「年金だけで老人ホームへ入居できるのかな?」と考えたことがある方は比較的多いことでしょう。
結論から言えば、年金だけで入居できる老人ホームは存在します。ただし、選択できる老人ホームの数が少なかったり入居条件が厳しかったりする場合があります。
この記事では、年金だけで入居する場合のおすすめ施設や、年金のみで老人ホームへ入居できない場合の対処法を解説しています。
年金だけで老人ホームに入居することは可能です。特に特別養護老人ホームのような公的施設は低価格で入居することができ、非常に人気の施設です。
また、昨今ではサービス付き高齢者向け住宅やグループホームなどの民間施設も低価格でサービスを提供しており、年金だけで生活していける可能性があります。
ただし受給しているのが国民年金のみ(=受給額が少ない)の場合は、老人ホームの選択肢が少なくなり、最悪のケースとして入居先がないということも考えられます。
そこで、まず考えなければいけないのが「年金をいくらもらえるのか」と「老人ホームでの生活にいくら必要なのか」という収支のバランスです。
受け取れる年金額は国民年金のみで約6万円程、厚生年金の場合は約21万円程が支給されています。
以下では、令和4年度の月額の年金金額をまとめました。
厚生年金 | 国民年金 | |
---|---|---|
令和4年度 |
出典:「令和4年4月分からの年金額」(日本年金機構)
すでに年金を受給している方で「いくら年金をもらってるかわからない」という場合は、銀行口座の確認をしましょう。年金は2ヵ月に一度支給されるので、その金額を1/2にすることで月額の金額を把握することができます。
老人ホームは、国や自治体などが運営している「公的施設」と民間企業が運営する「民間施設」とに分けられます。
老人ホームの費用は、契約時に必要になる「初期費用」と、毎月かかる「月額費用」の2種類に分かれます。
以下では、公的施設と民間施設の費用相場をまとめました。
施設の種類 | 公的/民間 | 初期費用 | 月額費用 |
---|---|---|---|
介護付き 有料老人ホーム | 民間 | 0~数千万円 | 15~30万円 |
住宅型 有料老人ホーム | 民間 | 0~数千万円 | 11~25万円 |
サービス付き 高齢者向け住宅 | 民間 | 0~数十万円 | 11~25万円 |
グループホーム | 民間 | 0~数十万円 | 10~15万円 |
ケアハウス | 公的 | 0円~数十万円 | 6~17万円 |
特別養護 老人ホーム | 公的 | 0円 | 8~14万円 |
介護老人 保健施設 | 公的 | 0円 | 8~14万円 |
介護医療院 | 公的 | 0円 | 10~20万円 |
ホスピス | 民間 | 施設や入院期間 により異なる | 施設や入院期間 により異なる |
公的施設の場合、民間施設よりも格段に費用が安く、厚生年金を受給していれば年金だけで生活していくのも不可能ではありません。
ただし、月額費用はあくまで家賃・管理費・食費・水道光熱費などで、医療費や介護保険自己負担額、日用品や嗜好品購入代などが別途必要になることを理解しておく必要があります。そのため老人ホームへの入居の際は、余裕を持って予算を組みましょう。
本人や家族が介護施設を選択する際に重要視するポイントはさまざまです。今回のように費用を重視して年金だけで入居したいという場合は、国や自治体などが運営している「公的施設」が初期費用や月額費用も抑えられるのでおすすめです。
以下では、年金だけで入居できる可能性のある3つの公的施設をまとめました。
特別養護老人ホーム(以下特養)は、要介護度が高く、在宅での生活が困難な高齢者に対し介護を提供する施設です。
特養は、初期費用が不要で月額費用も安いことが魅力のひとつです。しかし特養は、金額が安いため入居を希望する方が多く、数年待つというケースも珍しくありません。
費用目安と入居条件は以下の通りです。
介護老人保健施設(以下老健)は、高齢者の健康維持のためのリハビリテーションを提供する施設です。終身的な利用を目的とした施設ではなく、あくまで在宅復帰を目指しています。
老健も特養と同様に初期費用が不要で、月額費用も低価格で入居できます。ただしリハビリをおこない在宅復帰することが目標となっているため、長期的に入居はできず、原則として3~6ヵ月が期間として設けられています。
費用目安と入居条件は以下の通りです。
介護医療院は、介護サービスに加え手厚い医療的ケアを受けられる施設です。長期療養を目的としているため、期間は設けられておらず、看取りやターミナルケアにも対応しています。
介護医療院も初期費用は不要ですが、医療的ケアをおこなうという面で特養や老健と比べて月額費用が高くなっています。
費用目安と入居条件は以下の通りです。
国民年金のみの場合、いくら公的施設が低価格と言っても入居が難しい可能性が高いです。では、年金だけで老人ホームに入居できない場合はどうすれば良いのでしょうか。
以下では、入居できない場合の対処法をまとめました。
資産がなく、家族からの援助も見込めず、生活が困窮する恐れがあると判断された場合、年金をもらっていても生活保護を受給することができます。ただし、生活保護を受給するとさまざまな制限を受けることになるため、あくまで最終手段として認識しておきましょう。
生活保護を受給していても老人ホームへの入居は可能です。ただし、すべての老人ホームが生活保護受給者を受け入れているわけではなく、生活保護法による指定を受けた施設に限られます。入居を希望する際は、以下の窓口で生活保護受給者を受け入れてくれる老人ホームを探してもらうと良いでしょう。
特に老人ホーム紹介センターは、入居までのサポートをおこなってくれることはもちろん、各老人ホームに対して幅広く知識を持っていることが特徴です。そのため、費用面で困っている方に対して最適な施設を紹介することが可能です。
年金のみで老人ホームの費用が賄えない場合は、在宅介護サービスを活用するのも一案です。自宅で介護をおこなうことで家族の介護負担は増えますが、その分、老人ホームへ支払う家賃や管理費などの月額費用をカットすることができます。
以下では、主な在宅介護サービスをまとめました。
上記のサービス以外にもさまざまな種類の在宅介護サービスが存在します。利用する人の身体状況や介護度に合わせて活用しましょう。
年金だけで入居できる施設はあります。ただし選択肢が少なく、希望のサービスを受けられないこともあります。資産や預貯金がない場合は、厳しい条件になるということを認識しておきましょう。
特養や老健などの「公的施設」、サービス付き高齢者向け住宅やグループホームなどの低価格帯の「民間施設」に入居することで、年金の範囲内で生活できる可能性があります。ただし、入居条件が「要介護3以上」であったり入居期間が設けられていたりする場合があるので、入居を検討する際は該当の施設に確認しましょう。
年金で入居できるほどの安価な施設となるため、待機人数が多いのが実情です。特に特養に至っては、申し込みをしてから数年待ちという話も珍しくありません。入居を希望する際は、複数の施設に申し込むなど計画的に動きましょう。
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