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#老人ホームの選び方

老人ホーム 重要事項説明

老人ホームの重要事項説明書|入居前に確認したい10の項目

老人ホームの重要事項説明書は、契約前に施設の情報を把握するための書類です。この記事では重要事項説明書の10項目を徹底解説。重要な情報を見落とさないよう、重要事項説明書の記載内容や注目すべきポイントを押さえておきましょう。 重要事項説明書とは 重要事項説明書は、老人ホームだけでなく不動産や保険などの契約でも必要な書類で、契約内容のうち特に重要な項目がまとめてあります。 例えば、運営会社の情報や費用、サービスなどが網羅されているので、重要事項説明書を読めば契約前に知りたい情報を把握することができます。 多くの人が団体生活を送るため、老人ホームの重要事項説明書には施設内での決まり事も多く記載されています。入居者本人や家族が契約内容をしっかり理解し、ルールを守って生活するためにも重要事項説明書は作られています。 重要事項説明書には何が記載されている? 老人ホームの重要事項説明書には、経営会社の情報や施設の設備、職員配置、サービスの内容、料金、入居者の状況など幅広い情報が記載されています。 老人福祉法第29条により都道府県への提出が義務づけられている書類のため、どの施設でも必ず作成されています。入居相談のときにもらえるのはもちろん、希望すれば取り寄せることもできるので、入居を検討する際は必ず入手して内容を確認しましょう。 重要事項説明書が大切な理由 重要事項説明書は利用者の保護を目的に作成されています。老人ホームの入居には多額の費用が掛かるうえ、権利や条件が複雑です。 しかし、契約する本人や家族は知識や経験が不十分なことが多く、詳しい説明がなければ正確な情報を把握できず、誤解した状態で契約してしまうリスクがあります。 そこで、契約に関わる重要な情報を重要事項説明書にまとめ、契約前に交付するよう決められています。 重要事項説明書は字が小さかったり文章が堅苦しかったりと決して読みやすいものではありません。しかし、施設側は重要事項説明書を読み、内容を納得したうえで入居を決めたと判断します。このため、契約する前に記載内容をきちんと把握しておくことが大切です。 入居後のトラブル事例 契約前に重要事項説明書をしっかりチェックしてないと、入居後に必要なサービスを受けられなかったりトラブルにつながることもあります。入居後のトラブルには、次のような事例が挙げられます。 サービス内容が契約項目と違う長期入院のため、介護施設から退去を迫られた退去をする際の入居一時金の返金額が少ない トラブルを避けるためには重要事項説明書をよく読み、疑問点があれば契約前に施設担当者に確認しましょう。 重要事項説明書の10項目 老人ホームの重要事項説明書は、基本的に厚生労働省の標準様式に従って作成されています。 このため、事業者や自治体ごとに細部は異なるものの事業主体概要や事業の概要などの基本項目は共通しているので、複数の施設の中から入居先を選ぶときは、重要事項説明書を見比べることで検討しやすくなります。 事業主体概要有料老人ホーム事業の概要建物概要サービスの内容職員体制利用料金入居者の状況苦情・事故等に関する体制入居希望者への事前の情報開示その他 ここからは、重要事項説明書の標準様式にある10項目について解説していきます。 事業主体概要 事業主体概要には、施設を運営する法人の所在地や主な事業、会社が設立された年月日、連絡先やホームページアドレスなどが書かれており、運営会社の基本的な情報を把握できます。 有料老人ホーム事業の概要 有料老人ホーム事業の概要には、住まいの概要と類型が記載されています。それぞれどのような内容が書かれているのか見ていきましょう。 住まいの概要 住まいの概要には、運営会社ではなく老人ホーム自体に関する情報が記載されています。 具体的には、老人ホームの名称や所在地、施設までのアクセス(交通手段と所要時間)管理者の氏名と役職、事業の開始年月日などが書かれています。 類型 類型には、「介護付き」や「住宅型」「健康型」といった老人ホームの類型が書かれています。また介護付き有料老人ホームの場合は、介護保険事業者番号と指定した自治体名、指定を受けた年月日、指定の更新日が記載されています。 建物概要 建物概要には、老人ホームの敷地面積や土地の所有関係、建物の規模や構造などが記載されています。この項目で居室の面積やトイレ・浴室の有無、共用施設などが確認できるため、必ず一度は目を通しておきましょう。 また、消火用スプリンクラーの有無や建物が耐火構造なのかなど、消防設備についてもこの項目でチェックできます。 サービスの内容 サービスの内容には、施設の運営基本事項について多岐にわたる内容が記載されています。重要な情報が多いため、しっかり目を通しておきましょう。 全体の方針 全体の方針には、施設全体の運営方針や提供されるサービスの内容が簡潔に記載されています。 また、下記について施設が自らおこなっているか、外部へ委託しているかを確認できます。 入浴、排せつ又は食事の介護食事の提供洗濯、掃除等の家事の供与健康管理の供与安否確認又は状況把握サービス生活相談サービス  介護サービスの内容 この項目は、介護保険の「特定施設入居者生活介護」のサービスを提供している介護付き有料老人ホームのみが記載しています。 次のサービス加算の対象なのかがわかるため、施設でどのようなサービスが受けられるか判断することができます。 個別機能訓練加算夜間看護体制加算 医療機関連携加算看取り介護加算認知症専門ケア加算サービス提供体制強化加算人員配置が手厚い介護サービスの実施の有無ケア加算 医療連携の内容 医療連携の内容には、協力医療機関の名称や住所、診療科目、協力内容が記載されています。また、救急車の手配や入院時の付き添い、通院介助など、入居者に対してどのような医療支援サービスをおこなっているかも知ることができます。 入居後に居室を住み替える場合 老人ホームでは、常時介護が必要になった場合などに別の居室への住み替えを求められることがあります。この項目では、住み替えの判断基準や住み替え先の居室、手続きの内容などが記載されています。 また、この項目にある、住み替えた場合の追加費用の有無や、前払金(入居一時金)償却の調整の有無については特にしっかりチェックしておきましょう。 なお、償却とは時間をかけて賃料(家賃を)にあてていく費用のことで、短期間で退去した場合前払金が払い戻されることもあります。 入居に関する要件 入居に関する要件には入居条件や解約条件が記載されており、入居希望者にとっては特に気になる項目です。体験入居の期間や費用、事業主体から解約を求める場合の内容についても書かれているので、しっかり確認しておきましょう。 職員体制 職員体制には、施設で働く職員の情報が書かれています。職員体制は介護の質や生活の充実度にも関わるため、必ず目を通しておきましょう。 職種別の職員数 施設で働く次の職種の人数が常勤、非常勤別に記載されています。 管理者生活相談員介護職員看護職員機能訓練指導員計画作成担当者栄養士調理師その他の職員 また、就業規則に定められた週あたりの勤務時間を「1」として計算した「常勤換算人数」も知ることができます。 例えば常勤の1週間あたりの勤務時間を40時間としている場合、週40時間働く常勤職員と週20時間働く非常勤職員が1名ずついたとすると、常勤換算人数は1.5人です。 資格を有している介護職員の人数 この項目では、施設で働く次の有資格者の数がわかります。 社会福祉士介護福祉士実務者研修の修了者初任者研修の修了者介護支援専門員 このうち身体介護のプロである介護福祉士の人数は、しっかりチェックしておきましょう。 資格を有している機能訓練指導員の人数 機能訓練指導員として老人ホームで働くには、次のいずれかの資格が必要です。 看護師または准看護師理学療法士作業療法士言語聴覚士柔道整復士あん摩マッサージ指圧師鍼灸師 この項目では、施設で働く機能訓練指導員の職種と人数を知ることができます。機能訓練指導員の職種によって専門分野が異なるため、入居後にリハビリや機能訓練を希望する人は特に注目してチェックしましょう。 夜勤を行う看護・介護職員の人数 この項目では、夜勤の看護・介護職員数を知ることができます。平均人数のほかに、夜間に最も人手が少なくなる時間帯の職員数である「最小時人数」も記載されているため、常時見守りや介助を必要とする要介護度の高い人はしっかり確認しておきましょう。 特定施設入居者生活介護等の提供体制 前年度の利用者の平均数に対し、看護・介護職員が常勤換算で何人配置されていたかを確認できます。 なお、この項目は特定施設入居者生活介護の対象である介護付き有料老人ホームのみ記載しています。 職員の状況 職員の状況には、前年度の採用人数や退職者数のほか、職種ごとの職員数が経験年数別に書かれています。 豊富な知識や経験のあるベテランの介護職員数がわかるので、手厚い介護を求める人にとっては重要な項目です。また、極端に退職者が多い施設は労働環境に問題がある可能性が高く、入居者にとってもケアの質が低下するなどのデメリットにつながる恐れがあります。 利用料金 利用料金には、前払金や月額利用料など施設に入居するために必要な費用の情報が記載されています。入居を検討する際に特に注目したい部分なので、詳しく見ていきましょう。 利用料金の支払い方法 この項目には、入居時の年齢や要介護状態に応じた料金設定の有無など、入居費用についての基本的な情報が記載されています。 また、居住の権利形態が、「利用権方式」「建物賃貸借方式」「終身建物賃貸借方式」のいずれにあたるのかを確認することができます。 なお、権利形態についてはこちらの記事で詳しく説明しています。 利用料金のプラン 利用料金のプランには、その施設の代表的な料金プランが記載されています。この項目を見れば、入居時に必要な費用(入居一時金)や毎月支払う金額とその内訳などを把握できるため、特に念入りに確認しましょう。 この項目に目を通して入居費用をイメージするとともに、入居が長期間になった場合でも無理なく支払い続けられるかシミュレーションすることも大切です。 利用料金の算定根拠 利用料金の算定根拠には、利用料金のプランに書かれた家賃や管理費、食費などを算出するための根拠が記載されています。 例えば、家賃は居室面積ごとの金額を、管理費は人件費や事務費など含まれる費用の内訳をチェックできます。また、食費は朝昼晩それぞれの金額などがわかるため、利用料金のプランと合わせて目を通すことで入居後の費用がイメージしやすくなります。 特定施設入居者生活介護に関する利用料金の算定根拠 介護付き有料老人ホームでは、特定施設入居者介護に対する自己負担額の算定根拠や手厚い人員配置による上乗せサービスの有無をこの項目に記載しています。 上乗せサービスがある場合は、人員配置が基準を上回っていることを示しているため、介護サービスが充実してると言えます。 ただし、その分費用もプラスされるので、入居前によく確認しておきましょう。 前払金の受領 入居時に前払金を設定している施設では、算定根拠や想定居住期間、償却年月数、初期償却額といった詳細が記載されています。また、償却が終わる前に退去した場合の返還金の算定方法も知ることができます。 前払金は数十から数百万円と高額なことも多いため、前払金が設定されている場合は必ずこの項目をチェックしましょう。また、不明点や疑問点がある場合は施設側に確認しておきましょう。 入居者の状況 入居者の状況は、重要事項説明書が更新された時点における施設内の入居者の情報を表しています。入居後のミスマッチを防ぐため、どんな人が入居している施設なのかを知っておきましょう。 入居者の人数 この項目では、性別、年齢、要介護度、入居期間などで分類した入居者の人数を知ることができます。どんな人が入居しているかがわかるため、施設の全体像が読み取れます。 特に、自立の人や要介護の高い人の人数には注目してみましょう。その施設が健康な人向けなのか、それとも要介護度が高い人向けなのかといった入居者の受け入れ傾向をつかむことができます。 入居者の属性 入居者の属性には、施設に入居している人の平均年齢と、定員数に対する入居割合(入居率)が記載されています。 入居率が高ければ、人気の高い老人ホームということが言えるでしょう。一方、低ければすぐに入居しやすいと言えます。入居率が低い場合は入居者が集まらない理由を知るため、施設側に質問してみましょう。 前年度における退去者の状況 老人ホームの退去理由には、自宅に戻ったり他施設への転居のほか、長期入院による契約解除や死亡による退去などがあります。このうち死亡による退去が多い場合は、看取りの体制が整った施設であることがわかります。 また、「死亡以外の退去(生前解約)」には、解約に至った実例が記載されています。退去の理由には施設の方針が現れやすいため、目を通すことで貴重な情報が得られ失敗のない施設探しにつながります。 苦情・事故等に関する体制 苦情・事故等に関する体制では、苦情を受け付ける窓口のほか、事故が起こったときの対応などについても知ることができます。 利用者からの苦情に対応する窓口などの状況 利用者からの苦情や事故に対応する窓口の名称、電話番号、受付時間が記載されています。また、窓口の施設内における設置場所やどのように相談を受け付けているかもわかるため、入居後に苦情や事故を伝える際の参考にしましょう。 サービスの提供により賠償すべき事項が発生したときの対応 この項目では、施設の損害賠償責任保険加入の有無がわかります。また、事故が起きたときの対応方法や、事故予防への取り組みについても知ることができます。 介護サービスを受けるにあたり、事故が心配な方も多いのではないでしょうか。事故発生時どのような対応がとられるかを把握しておけば、施設への安心感につながります。 利用者等の意見を把握する体制、第三者による評価の実施状況など 施設で提供するサービス改善や向上のため、定期的に入居者にアンケート調査を実施しているかがわかります。 またサービスの質について第三者による評価を受けているかや、その結果開示の有無も確認できます。このため、この項目からはサービス向上への意識や施設運営のオープンさを読み取ることができます。 入居希望者への事前の情報開示 入居希望者が契約書や施設の経営状態を示す資料の開示を希望する場合、どのような形で公開可能なのかが書かれています。 施設の倒産や廃業のリスクについては入居前に知っておきたい情報の1つです。財務面の情報を得るために、事業収支計画書や財務諸表が開示可能かチェックしておきましょう。 その他 その他には、運営方法やサービスについて入居者や家族と施設側が話し合う「運営懇談会」の実施の有無や頻度が書かれています。 また、提携ホームへの移行の欄に「移行あり」とある場合、要介護度が上がるなどの理由により将来的に移行を勧められる場合があります。 さらに、法令上必要な届出の有無や建物や運営体制が法令に適合しているかも確認できるので、制度面で問題がないかについてもチェックしておきましょう。 事業主体が当該都道府県、指定都市、中核市内で実施する他の介護サービス 重要事項説明書の最後の数ページは別添資料で、別添1は老人ホームの事業者が同じ都道府県(または指定都市、中核市)内でおこなっている介護サービスの一覧表です。この表から、施設の事業者がほかにどのような事業を展開しているかを知ることができます。 有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅が提供するサービスの一覧表 別添2は、老人ホームで提供されるサービスの一覧表です。 介護付き有料老人ホームと一部のサービス付き高齢者向け住宅では、介護や健康管理、生活支援などのサービスの内容と費用を入居を検討する人に対して明らかにする必要があるため、この表が添付されています。 この表では、各サービスが「あり」「なし」で分かりやすくまとめられているほか、提供頻度や料金なども記載されています。 重要事項説明書は最新を確認する 重要事項説明書は適宜更新されるため、古いものでは内容が変わっている可能性があります。このため、入居を検討する際は最も新しいものを入手しましょう。 また、最後に更新されてから時間が経過している場合は、老人ホームに求める条件に的を絞って現状の内容を確認します。口頭で説明を受けた部分はポイントをメモにとり、残しておきましょう。 記載されていない特徴は見学して確認 重要事項説明書は、契約前に施設の情報を把握するための書類です。 しかし、「近くに緑の多い公園がある」「近隣の保育園との交流が盛ん」「お花見や買い物などの外出レクリエーションが多い」といった施設の特徴は、重要事項説明書の10項目から読み取ることはできません。 施設の環境や雰囲気など、見学して初めてわかることもたくさんあります。気になる老人ホームは、資料を取り寄せるだけでなく実際に足を運び、自分の目で見ることも大切です。 老人ホームの重要事項説明書に関するよくある質問 重要事項説明書とは何ですか? 契約内容のうち特に重要な項目がまとめてある書類です。運営会社の情報や費用、サービスなどが網羅されているので、契約前に知りたい情報を把握することができます。 また老人ホームの場合、多くの人が団体生活を送るため施設内での決まり事なども記載されています。 老人ホームの重要事項説明書には主に何が記載されてますか? 「経営会社の情報」「施設の設備」「職員配置」「サービスの内容」「料金」「入居者の状況」など幅広い情報が記載されています。希望すれば取り寄せることもできるので、気になっている施設がある場合は入手をして内容を確認しましょう。 重要事項説明書だけでわからない場合はどうすれば良いですか? あくまで重要事項説明書は、契約前に施設の情報を把握するための書類です。施設の雰囲気や入居者、スタッフの様子、その他特徴などは施設の見学をして初めてわかることです。まずは実際に施設へ足を運び、どのような所かを見極め、疑問点などがあればその場で質問してみましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "重要事項説明書とは何ですか?", "acceptedAnswer": { 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2022/01/19

入居検討時は施設長に会おう

老人ホームの選び方~入居相談員編~|良い相談員を見極めるポイント

入居相談員は老人ホームの入居希望者に対して、施設案内やサービス内容を説明をする人です。入居相談員によってホームの印象が左右され、入居時に得られる情報も変わってきます。 ここでは入居相談員の役割、良い入居相談員を見極めるポイントなどについて解説します。 入居相談員の役割 老人ホームを見学する際、一般的に施設の特徴やサービス内容を説明するのが「入居相談員」になります。 入居相談員に資格要件はありませんが、自身の施設の事だけでなく幅広い介護の知識が必要なため、現場経験者や介護の資格を持っている人も多くいます。 入居希望者の要望や感じている不安などをしっかりとヒアリングした上で、その老人ホームとして対応できること、できないことを説明することが役割です。 入居後は生活相談員やケアマネジャーが対応 入居相談員は入居するまでの担当です。入居してからは「生活相談員」や「ケアマネジャー」が担当することになります。 日常の相談窓口となる生活相談員 老人ホームの入居者とその家族の相談に乗ったり、外部との調整役をするのが生活相談員の役割です。 特別養護老人ホームやデイサービス事業所などでは「生活相談員」、介護老人保健施設やデイケアでは「支援相談員」という名称で呼ばれています。また、どちらも「ソーシャルワーカー」と呼ばれることもあります。 生活相談員は、相談業務やサービス契約の手続きをするといった窓口業務が中心で、直接介護に関わることは少ないです。 生活相談員になるには、一般的に社会福祉士や精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかが必要です。自治体によっては、資格がなくても同等の能力を有することなどを条件に生活相談員になることも可能です。 入居後のケアマネジメントをおこなうケアマネジャー ケアマネジャーは介護・医療・福祉分野の資格を保有し、実務経験5年以上、介護支援専門員実務研修受講試験に合格した人がなれる専門職です。正式名称は「介護支援専門員」と言い、入居者や家族と現状の問題点などを話し合いながら、ケアプランの作成をおこないます。 ケアマネジャーは幅広い知識と豊富な現場経験があり、入居者一人ひとりに対してきめ細やかな対応ができます。また、介護サービス事業者や外部機関との調整をするなど、介護現場においてとても重要な役割を担います。 見学時に入居相談員へ確認すること 老人ホームを見学する時に、不安に思ったことや疑問点がある場合は、必ず入居相談員に確認しましょう。質問するときは、過去の事例を聞くなどして、曖昧ではない具体的な回答を引き出すように工夫すると良いでしょう。 過去にあったクレームや最も多い退去理由など。施設側が避けたい質問をしてみると相談員の資質だけでなく、ホームの姿勢そのものが見えることがあります。 下記では入居後のトラブルを避けるために、見学時に入居相談員に確認しておくべき点について説明します。 費用 老人ホームでは月額費用以外に、施設によって入居金や敷金、オプションといった費用がかかる場合があり、その額は各施設によって異なります。「現在、入居している人が実際どのくらいの費用がかかっているのか」「費用が高い人、低い人でどのくらい差があるのか」などを確認しておくと安心です。 費用の質問事例 月額費用に含まれない項目はなにか?食事をしなかった分の食費は発生するのか? 有料老人ホームを退去した場合に、一時金は返還されるか? 食事 美味しい食事が提供されると施設での生活もより豊かなものになります。また、「味だけではなく、咀嚼が難しくなったときにソフト食に対応できるか」「アレルギーに対応できるか」「生活習慣病に対応した食事に対応できるか」なども確認しましょう。 好き嫌いや食事の量の調節など、個人に合わせた対応が可能かも聞いておくと良いでしょう。ただし、施設によっては追加料金が必要となる場合もあるので注意が必要です。 食事の質問事例 食べられない食材や料理があるときは、具体的にはどのように対応してもらえるか?ソフト食など食事形態への対応が可能か、追加費用となるのか? 治療食や減塩食、カロリー制限などに対応可能か、追加費用があるのか? 入浴 老人ホームでの入浴は各施設でルールが異なります。入浴時間や曜日が決められていることが一般的ですが、「体調不良の場合や、入浴を拒否した場合には別の日に振替ができるか」など、臨機応変に対応できるかを確認しましょう。 入浴の質問事例 車いす、寝たきりの人に対応した機械浴があるか?規定回数を超える入浴が可能なのか、追加費用はあるのか? 人に見られることを嫌うので1人で入浴ができるか? 介護体制 介護付き有料老人ホームでは、要介護者3人に対して1人以上の介護職員または看護職員を配置する義務があります。一方、住宅型やサービス付き高齢者向け住宅では明確な規定がなく、人員体制は施設によりさまざまです。 入居者数と比べて介護職員の数が少ない場合は、介護が手薄になっている可能性があります。また日中の介護体制だけではなく、夜間の介護に携わる人数も確認しておくと良いでしょう。 介護体制の質問事例 日中・夜間の最少人数は? 決まった人に対応してもらうことができるか? 看取りはしてもらえるのか? 医療体制 老人ホームで安心して暮らすためには、施設の医療体制について事前に確認しておくことが大切です。 「どのような提携医療機関があるのか、訪問診療はおこなわれるのか」また、「提携医療機関以外の病院への送迎はスタッフがおこなうのか」「家族がおこなわなければいけないのか」確認が必要です。 また、リハビリが必要な方はリハビリ施設の充実度や作業療法士などのリハビリ専門スタッフの配置なども知っておきたいところです。 医療体制の質問事例 提携する医療機関と、その内容は?看護師やリハビリをおこなうスタッフが常勤しているか? 夜間や緊急時の対応は? レクリエーション・イベント 老人ホームでは、入居者同士の交流や身体を動かす機会を作るといった目的で、イベントやレクリエーションが頻繁におこなわれています。 ただし、サービス付き高齢者向け住宅などの自立した高齢者向けの施設では、施設主体のレクリエーションの提供は基本的になく、入居者主体のサークル活動が一般的です。 事前にレクリエーション予定表などで各施設のレクリエーションの実施状況や頻度を確認しましょう。また、レクリエーションやイベントを見学できると、その施設の入居者、スタッフの普段の雰囲気が良くわかるのでおすすめです。 レクリエーション・イベントの質問事例 本人が参加を拒否したときの対応法は? 長く続けていた趣味を続けられるか? 有料となるレクリエーションやイベントの頻度は? 退去要件 老人ホームでは施設により退去要件が定められています。体調の変化により施設での生活が困難になった場合や、医療的な処置が必要でその施設での生活が難しくなった場合など、さまざまです。 退去要件の質問事例 入院が長引いた場合は、退去させられてしまうのか?認知症が進んだ、医療行為が必要となった場合どうなるのか?これまで退居となった具体的な事例はなにが多いのか? 参考書類について 実際のサービス内容と入居相談員の説明に相違はないかという点にも気を付けたほうがいいでしょう。資料の内容や見学時の印象が好印象でも、聞いた内容に間違いがないか、運営する法人の財務諸表や重要事項説明書を確認することをおすすめします。 財務諸表はその法人の財務状況をチェックすることができます。重要事項説明書では正式な施設の概要やサービス内容を知ることができます。 参考書類の質問事例 事前に重要事項説明書がもらえるか、もらえない場合に納得のいく説明はあるか? 財務諸表など経営状況がわかる書類を提示してもらえるか、もらえない場合に納得のいく理由はあるか? 良い入居相談員の特徴 老人ホームへの入居を検討している人にとって、入居相談員の印象はそのまま施設全体の印象へとつながります。 では、良い入居相談員とはどのような人でしょうか。下記では、良い入居相談員の特徴について説明します。 現場経験が豊富で、介護に関する幅広い知識を持っている 良い入居相談員は、介護全般や現場の知識が豊富な人です。自分の施設のことだけではなく、他施設や、介護保険制度、医療や在宅介護サービスについて幅広い知識を有している入居相談員が理想です。 言葉遣いが適切で丁寧 言葉遣いが丁寧であることも良い入居相談員の特徴と言えます。入居を検討している本人や家族に対し丁寧な対応はもちろんのこと、嫌な思いや傷つけたりしないように言葉を選んでコミュニケーションをとっています。 相談者に寄り添い客観的な判断ができる 入居を希望する高齢者や家族にとってデリケートな話もあります。相談者に寄り添って気持ちを汲みながら、身体状況や経済状況などを踏まえて客観的に判断してくれる入居相談員だと安心して相談ができますね。 解決策を提案できる 施設で生活するにあたって、介護、医療の対応や本人の要望など、個別の対応が必要なケースもあります。信頼できる入居相談員であれば対応が困難なケースでも、どのように対応ができるのか解決策を一緒に考えて提案をしてくれます。 こんな入居相談員には要注意 入居相談員はホームの顔です。入居相談員には優秀な人材が配置されていることが多く、ホーム全体の教育体制を推測することができます。もし、入居相談員の対応に疑問を感じる点があれば注意が必要です。下記では、注意が必要な入居相談員のポイントを見てみましょう。 言葉遣いやマナー・身だしなみが悪い 老人ホームに限らず、言葉遣いやマナー・身だしなみは社会人としてクリアしなければいけないポイントです。入居者やスタッフに対して態度が悪い入居相談員がいる施設はおすすめできません。 資料に書いてあることしか説明できない 利用する本人や家族の質問に対して、資料に書いてある説明しかできなかったり、回答が曖昧な場合も要注意です。入居相談員の知識が乏しく、経験が足りない可能性があります。満足な回答を得られない場合は、別途施設長や別のスタッフに確認するほうがいいでしょう。 また、入居相談員の対応が不十分な場合は、施設全体の人材が不足をしていたり、施設のマネジメントができていないことも考えられます。 契約を急かす 本人や家族の要望に対して簡単に「できます」と答えて、契約を急かされる場合は注意をしましょう。 空室数が少ないので、急いだほうが良いという善意による場合もありますが、入居者を増やしたいために契約を焦っている可能性や、経営が上手くいっていないなどの理由も考えられます。契約を急がせられる場合は、その理由を聞いてみましょう。 老人ホームの知識が豊富な相談員に同席してもらう 老人ホームの紹介センターでは、施設見学時に老人ホームの知識が豊富な相談員が同席してくれるところもあります。 紹介センターの相談員が同席してくれれば、施設の入居相談員の説明漏れがあっても、その場で適切に指摘してもらえます。 また、他の老人ホームとの比較もしてもらえるので、対応の悪い入居相談員にあたってしまったとしても安心です。見学し終わった後に、改めて紹介センターの相談員にわからなかったことを聞くこともできます。 老人ホームの入居相談員に関するよくある質問 入居相談員はどんな人? 入居相談員は老人ホームの入居希望者に対して、施設案内やサービス内容を説明をする人です。入居相談員によってホームの印象が左右され、入居時に得られる情報も変わってきます。 また入居相談員は、現場経験者や介護の資格を保有している人もいます。見学時に介護のことで不安などがあれば親身に聞いてもらえるので安心です。 良い入居相談員とはどんな人ですか? 経験が豊富で介護について幅広く知識を持ち、入居希望者の気持ちに寄り添うことができる入居相談員が良いと言えるでしょう。また、資料を見て説明するだけでなく、さまざまな悩み事について解決策を共に考えてくれる入居相談員は信頼できます。 どんな入居相談員には注意すべきですか? 一般常識として言葉遣い・身だしなみが悪いなどマナーに欠ける入居相談員は信用できません。 また、入居相談員の知識が乏しく、経験が足りていない場合は、資料に書いてあることしか説明できず家族としては不安が残ります。満足な回答を得られない場合は、別途施設長や別のスタッフに確認することをおすすめします。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "入居相談員はどんな人?", "acceptedAnswer": { ...

2022/01/19

良い施設長を見極めるポイント

老人ホームの選び方|理想の施設に入居するための7つの条件

「老人ホームを選ぶ」とひとことで言っても、ほとんどの方は初めての経験でしょう。そんな方々にとって、種類も多く、特徴もそれぞれ、費用もまちまち…となると、何から手を付けていいのかわからず不安になる方も多いでしょう。 そこでこの記事では、老人ホーム選びのひとつの基準となる「条件」について詳しく解説していきます。ぜひ入居先検討の参考にしてください! 老人ホーム入居時の決め手となる7つの条件 老人ホームの種類もいろいろあり、入居条件も異なります。入居者本人が介護や医療をどの程度求めたいのかによって選ぶ施設も変わってきます。また、施設によっては設備やレクリエーションなどの特徴もさまざまです。 老人ホームを選ぶためには、まず本人が施設でどのように過ごすことを希望しているかを確認することが重要です。本人が望む生活を考えて、ご本人にあった施設選びをしましょう。 以下、老人ホームを選ぶ際に重要な7つの条件についてご説明します。 費用面での条件 立地面での条件 介護サービスにおける条件 医療体制における条件 居室設備における条件 共用設備における条件 その他の条件 費用面での条件 有料老人ホームの利用には多くの場合、入居一時金などの「初期費用」と毎月支払う「月額利用料」という2種類の費用が必要になります。 施設の地域や設備、利用するサービスの内容によって金額が大きく異なることを考えると、無理のない支払い計画を立てることが大切です。 生活保護の方は自治体により入居先の条件が異なるので、担当ケースワーカーに相談しましょう。 払える費用を確認する まずは資産を計算し、どのくらいの費用が老人ホームに支払えるのか確認します。 年金額を確認する預貯金を確認する資産を確認する(不動産・保険など)家族の支援の有無を確認するローン借入金などの有無を確認する 支払える金額に応じて、入居できる老人ホームも変わります。初期費用等一括で支払う場合には現在の預貯金から支払うことになるでしょう。 土地、マンション、車などの資産を持っている場合には、売却もしくは賃貸に出すことで老人ホームの費用に充てることも可能です。 かかる費用を確認する 有料老人ホームの入居にかかる費用は、「入居一時金」と「毎月の利用料」です。またそれ以外に、交際費や医療費、紙おむつ代などの「日常生活費」がかかります。 施設の種類(住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など)によっては、介護サービスの利用が増えるとその分費用も増えます。 老人ホームの入居時費用、月額費用を確認する日常でかかる費用(日用品や水光熱費など)の目安を確認する介護費用を確認する(介護保険自己負担額など)医療費を確認する(毎月の薬代など) 現在は100歳も珍しくない時代となっており、厚生労働省の調べでは、1990年の3,298人と比較すると2020年では85,610人と約25倍となっています。余裕をもった試算を心がけましょう。 立地面での条件 立地条件は本人の希望のほかに、家族が通いやすいということも大切。本人が元気で外出できる場合は、本人が住みやすい環境であることも重視しましょう。 立地の条件例 施設の周辺環境を確認し、入居者本人が安心して暮らせる場所であるかを調べておきましょう。家族が通う交通手段の確認も大切です。 散歩を日課にしているので、周辺は交通量の少ない環境ベッド上での生活となるので、窓からの景色が良いところ通院先が決まっているので、タクシーで通える距離最寄り駅から徒歩圏内車移動のアクセスや距離家族の家からの移動時間 介護サービスにおける条件 施設によって介護体制が異なります。介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設は施設内で施設スタッフから介護サービスを受けます。住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅などは基本的に外部の事業者と契約することになります。 要介護度の高い人にとっては、介護サービスがついてる施設が安心です。外部の介護サービスを利用する場合は、利用した分だけ支払うことになるので費用を抑えることができます。今後介護度が変わることもあるので、介護サービスをどこまで求めるのか見極める必要があります。 介護サービスの条件例 基本的に介護サービスの内容には違いはありませんが、施設により個人に合った介護サービス体制に対応できるかは異なります。介護サービスに希望がある場合は確認をしましょう。 介護サービス条件例 老人ホームで規定される入浴回数を超えての入浴が対応可能か、追加費用がかかるのか在宅で受けていた介護サービスを継続できるかスタッフの人員体制(日中や夜間の最少人数を確認する) 医療体制における条件 年齢を重ねるごとに認知症や持病がある方も多くなります。高齢者は、病気や疾患とうまく付き合っていくことが重要になり、老人ホーム選びでは持病や必要な医療的処置の内容から条件を考えていくことも必要です。 医療体制の条件例 どのような医療面のケアが必要か、今後必要になるのかを考えて必要な対応をおこなえる老人ホームを探しましょう。 看護師が勤務しているか、または時間帯など提携医療機関との連携、緊急時の対応などリハビリの提供が可能か必要な医療ケアの対応が可能か看取り対応が可能か 居室設備における条件 居室は自分の家であり、心地よく過ごせるかがとても重要です。 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅であれば、居室は「個室」であることがほとんどですが、特別養護老人ホームや介護老人保健施設では、個室だけではなく多床室という数人で使用する大部屋の場合もあります。 個室は広いことが良いとは限りません。足が悪くなったときには移動をせずに身の回りのものに手が届くコンパクトな空間が便利になることもあります。家族が考える満足度が本人にとって最適な環境とは限りません。本人の生活のしやすさを優先しましょう。 居室設備の条件例 本人にとって過ごしやすい設備の備わった施設を選びましょう。 居室の広さや間取り居室内にキッチンや浴室があるかベッドからトイレまでの距離 共用設備における条件 共用設備にはトイレ・浴室・食堂・機能訓練スペースなどの基本的な設備と、施設によって談話室・娯楽室・理美容院などの設備があります。高級な有料老人ホームなどではレストラン、サウナ、温泉、プール、売店などホテルのような豪華な設備があるところもあります. 個室の浴室がある場合や大浴場のケース、浴室や食堂の利用時間が決まっている施設、個人に合わせて自由に使える施設など、施設によって異なるので確認しましょう。 共用設備の条件例 自分の希望のライフスタイルが実現できる設備があるかを確認しましょう。 陶芸などの趣味を継続できる設備があるか温泉やプールがあるか庭や、屋上庭園など緑を感じられるか その他の条件 身体状況や疾患、これまでの生活習慣で本人や家族によっては譲れない条件もあります。本人の希望をすべて満たすのは難しいかもしれません。絶対に譲れない「必須条件」と、「希望条件」に分けると施設選びのひとつの基準になります。 持ち込み可能な私物 老人ホームの個人スペースは限られているので、自宅に合ったものをすべて持ち込むことはできません。 認知症の方は環境変化をおさえるためにも在宅で使用していた家具を持ち込むと良いとされていますが、大きな家具や危険性のある家具には条件や制限が設けられている場合がほとんどです。 多額の現金やアクセサリーも禁止の場合があります。持ち込みたい私物がある場合は、事前に確認しましょう。 ペットと一緒に入居できるか 家族の一員としてペットを飼っている方にとって、ペットと一緒に入居できるかどうかは重要な条件のひとつです。ペットの世話を頼める相手がいない方、ペットと離れることで精神的に落ち込みが大きくなる方は、ペットと一緒に入居できる施設を検討しましょう。 まだペットと一緒に入居できる施設は多くはありませんが、徐々に増えてきてはいます。ペット可の施設でも、種類や条件が施設ごとに異なるので事前に確認しましょう。 レクリエーション・イベント・サークル活動 老人ホームで行われるレクリエーションやイベント、サークル活動は、入居者の身体機能や脳機能を活性化させる目的があります。また、入居者同士や地域の人々とコミュニケーションをとることにより意欲を向上させたり、認知機能の維持にもつながります。 施設によりレクリエーションやイベントの内容や頻度は異なります。自分の趣味ややりたいことがおこなわれている施設を選ぶことで健康的に過ごすことができます。 身元保証人・身元引受人を忘れずに 老人ホームの9割以上で、身元保証人・身元引受人が入居時に必要になります。 保証人の主な役割は「緊急時の連絡窓口」「治療方針の確認や判断・入院手続き」「費用が滞った際の金銭面の保証」「入居者が亡くなった時の手続きや身柄引き取り」など。身元保証人の人数は1名から、施設によっては数名必要な場合もあります。 施設により条件が異なるので、施設見学の際に確認をしましょう。 大切なのは本人に合った施設を選ぶこと 老人ホームは施設によりサービス内容が異なり、施設の特徴もさまざまです。老人ホームを選ぶためには入居する本人の優先したい条件を決めて、本人に合った施設を選ぶことです。  老人ホームはこの先長く生活をする場所になります。施設の条件をよく確認し、実際に施設を訪れて、入居する本人が納得した施設に入居できるようにしましょう。 老人ホームの条件に関するよくある質問 認知症の人は入居できますか? 認知症があっても身体的に元気な人はグループホームへの入居条件を満たしています。グループホームは専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活を送ります。 また昨今では、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などでも認知症の人の対応ができる施設が増えてきています。 入居の際はすべての条件が叶いますか? 入居者本人、家族の希望をすべて満たすのは難しいかもしれません。絶対に譲れない「必須条件」と、「希望条件」にわけ施設側と良く話し合うことが大切です。入居の際に家族間で妥協できる点とできない点を話し合っておくとよりスムーズに入居できます。 医療行為が必要な人は入居できますか? 老人ホームなどの介護施設の多くは、医療行為を目的としておらず介護が主体です。しかし、24時間看護師が常駐している施設や病院が隣接している施設などは介護だけではなく医療的ケアにも力を入れています。 また、日中だけ看護師がいる場合は勤務時間帯の確認をしておくと良いでしょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "認知症の人は入居できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2022/01/18

気管切開でも老人ホームに入居できる?|施設選びの重要なポイント

気管切開すると安定した呼吸が確保できる一方で、日常的な医療ケアが必要になります。家族の介護により自宅で生活することも可能ですが、介護施設への入居を検討する際は、医療体制の手厚い施設を選びましょう。 この記事では施設選びのポイントのほか、気管切開のメリットデメリット、気管切開の方に必要なたん吸入の手順などについても解説しています。 気管切開の方が入居可能なのは医療体制が手厚い施設 気管切開の方を受け入れ可能なのは、看護師が24時間体制で常駐していたり医療機関を併設しているなどの、看護・医療体制の整った一部の施設に限られています。このため、胃ろうやインスリン注射などのほかの医療行為と比べると入居可能な施設の数は多くありません。 受け入れが難しくなる要因 気管カニューレは使っているうちに汚れてくるため、2週間に1度程度の交換が不可欠です。交換するときは医師や看護師による医療処置が必要です。 また、気管切開している方は呼吸器に持病がある場合が多く、症状が急変した際に医療体制の整った施設でないと対応することができません。 上記の理由により気管切開している方を受け入れできる施設は少ないため、お住まいの地域周辺で探しても見つからない場合があります。施設への入居を希望する場合は、範囲を広げて探してみましょう。また、広範囲の施設を探す場合はインターネットを利用した情報収取が便利です。 気管切開とは 気管切開は、のどから気管までを切開する気道確保方法です。一般的には切開した穴がふさがらないよう気管カニューレを挿入し、必要に応じて人工呼吸器を装着することもあります。 気管切開すると呼吸が楽になる一方で、日常的な医療ケアが必要になることも留意しておきましょう。 どんな人に気管切開は必要? 気管切開には、次の3つの役割があります。 口や鼻からの挿管チューブを使わず人工呼吸器の装着を可能にする鼻と口以外から空気を取り込める唾液が気管に流れ込むのを防ぐ このため、気道が狭くなって呼吸がしにくい方のほか、がんでのどの一部を切除した方や脳梗塞などの病気で長期間、人工呼吸器を必要する方などにも気管切開はおこなわれます。 手術後、傷口や全身の状態が安定して必要な栄養がとれれば、自宅で過ごすことが可能です。また、リハビリによって口からの食事が可能になったり、呼吸の症状が回復すれば気管切開の穴をふさぐこともあります。 気管切開のメリットとデメリット 気管切開はほかの手術と同様にメリットとデメリットがあります。気管切開について十分理解することが術前・術後の不安解消につながるため、手術を受ける際は本人や家族が手術の内容やメリット・デメリットをしっかり把握しておきましょう。 メリット 気管切開には、次のメリットがあります。 楽に呼吸できるようになり、窒息のリスクが減る気管内のたんを吸引しやすい気管カニューレの固定や挿入がしやすい デメリット 一方、気管切開は次のデメリットを伴います。 たんの吸引やガーゼ交換など、日常的な医療ケア必要になる手術に伴う気管内の出血や術後感染症などの危険性がある気胸や肺炎などの合併症のリスクがある 気管切開の人におこなう毎日必要な医療ケア 気管切開すると、日常的に医療ケアが必要になります。どのようなことをおこなうのか見ていきましょう。 カフの空気量を確認する 気管カニューレには、気管側の先端近くに「カフ」と呼ばれる風船が付いているタイプがあります。カフを膨らませることで気管とカニューレの隙間をなくし、唾液が気管に流れ込むのを防ぎます。 カフの空気は自然に抜けてしまうため、定期的に空気を注入します。ただし空気の入れすぎは気管粘膜の血流を阻害してしまうので、適切な空気量の調整が必要です。 バンドの交換と皮膚の状態確認 気管カニューレはバンドを使って固定します。カニューレ周辺が汚れていると皮膚トラブルの原因になるため、1日に1度はバンドを外して清潔にするとともに皮膚の状態を確認します。 また、バンドの汚れも確認し、必要に応じて交換することも皮膚トラブルの防止に役立ちます。 口腔ケア 口の中が汚れていると細菌が繁殖して肺炎の原因になるため、気管切開していないときと同様に口腔ケアは重要です。口から食事をしていない方も、1日1回は歯を磨いたりガーゼを濡らして口の中を拭くなどの方法で口の中を清潔に保ちます。 加湿管理 乾燥した空気が直接気管に入らないよう、気管カニューレには「人工鼻」という加湿フィルターを装着します。人工鼻は48時間ごとまたは汚染または破損のある場合に交換が必要です。 気管切開にはたん吸引が必要 気管切開をすると自力でたんを出せなくなることが多いため、1日に数回たんの吸引をおこなう必要があります。このため、気管切開した方が自宅で生活する場合は、家族による介護が欠かせません。 手術後に自宅に帰る場合、家族は看護師からたん吸引について次のようなレクチャーを受けます。 たん吸引をおこなう準備 たん吸引をおこなう前に、まずは次のものを準備します。 吸引器吸引カテーテルアルコール綿水道水の入ったコップカテーテルが入る容器手袋マスクエプロンゴーグル たん吸引の手順 たん吸引はカテーテルを入れる場所により、次の3つの方法があります。 口腔内からの吸引鼻腔内からの吸引気管カニューレ内部からの吸引 ここでは、すべての方法で共通する以下の基本の手順について解説します。 手指を清潔にする意思確認をして体位を整える吸引カテーテルを吸引器本体のチューブにつなぐ吸引器の電源を入れる吸引圧を合わせるカテーテルを挿入するたんを吸引するカテーテルをゆっくり引き抜くカテーテルを洗浄して外す 1.手指を清潔にする せっけんなどを使用し、指の間や手の甲、爪もしっかり洗います。 2.意思確認をして体位を整える たんの吸引はまず本人の意思を確認し、次に環境や体位を整えます。口や鼻から吸引するときは、仰向けであごを少し上げるとチューブが入りやすくなります。 またこのとき、鼻の周辺や口の周り、口の中を観察し、出血や腫れ、乾燥などがないかチェックすることも大切です。 3.吸引カテーテルを吸引器本体のチューブにつなぐ 吸引用カテーテルを取り出して、吸引器本体のチューブにつなぎます。カテーテルを取り出すときは先端が家具などに触れたりしないよう衛生に気をつけます。 また、吸引器本体のチューブにつなぐ際は、外れないよう奥までしっかり差し込みます。 4.吸引器の電源を入れる 吸引器の電源を入れて、まずはコップに入れた水できちんと吸えるか確認します。水を吸うことでカテーテル内の滑りを良くするとともに、消毒液内で保管していたカテーテル内部の液を洗い流す役割もあります。 5.吸引圧を合わせる カテーテルの水を切り、アルコール綿でカテーテルの根元から先端までを消毒して吸引圧を合わせます。吸引圧は100〜150mgHgが一般的ですが、必ず医師や看護師に確認して指示に従います。 6.カテーテルを挿入する カテーテルを持つ方の手は親指・人差し指・中指を使い、先端から10㎝あたりをペンを握るように持ちます。反対の手は親指でカテーテルの根元を押し曲げるようにし、吸引圧をかけない状態でゆっくりと挿入します。挿入する前に「入れますよ」と声をかけることも大切です。 7.たんを吸引する カテーテルの根元を押さえていた親指を少しずつ放し、左右にゆっくり回転させながらたんを吸引します。吸引時間は10~15秒以内を目安におこないます。吸引しながらたんの色や量、粘度も観察します。 8.カテーテルをゆっくり引き抜く カテーテルを左右にゆっくり動かしながら引き抜きます。このとき呼吸が苦しくないか、爪や唇の色に異常がないか確認します。 たんが残っているようであれば、呼吸が整ってから再度吸引します。 9.カテーテルを洗浄して外す アルコール綿でカテーテルの外側についたたんを拭き取ったら、コップに入れた水を吸ってカテーテルの内側を洗い流します。カテーテル内にたんが残っていないことを確認したら、吸引器の電源を切ってカテーテルをチューブから外します。 カテーテルの保管方法 口や鼻からの吸引に使用するカテーテルは、衛生的に保管することで複数回使うことができます。保管方法は以下の2種類があります。 空のコップに入れておくなど、乾燥した状態で保管する。浸漬用消毒液の入った保存容器にカテーテル全体を浸して保管する。 気管カニューレ内吸引用カテーテルの交換頻度 気管カニューレ内の吸引に使用するカテーテルは、1回ごとの使い捨てが推奨されています。しかし、経済的な理由などで使い捨てるのが難しい場合は、衛生的に保管したうえで24時間程度まで繰り返し使うこともあります。 再使用する場合は、口や鼻からの吸引に使うカニューレとは分けて別の消毒液入り容器内で保管します。ただし、たんなどが付着していると細菌が繁殖することがあるため、汚れが落ちないときやくすんできたときは新しいものに交換しましょう。 たん吸引の注意点 たんの吸引中は呼吸ができず、息を止めている状態です。酸素が不足しがちになるので、吸引中や吸引直後は顔や爪の色に異常がないかチェックしましょう。また、たんが多いときは複数回に分けるなど、1回の吸引が長くならないように気をつけます。 さらに、医師から指示された吸引圧やカテーテルを挿入する深さを守り、気管を傷つけないようにすることも大切です。 老人ホーム選びの際、気管切開をしている人に関するよくある質問 気管切開とは何ですか? 気管切開は、のどから気管までを切開する気道確保方法です。呼吸が上手くいかない場合や、痰や分泌物を上手く吐き出せず苦しいケースに用いられます。気管切開することで空気を行き渡りやすくし、痰の吸引をスムーズにおこえるようにします。 気管切開をしている人は老人ホームへ入居できますか? 看護師が24時間常駐していたり、医療機関を併設しているなどの施設であれば入居することができます。ただし、胃ろうやインスリン注射などの医療行為と比べると入居可能な施設は少ないので、施設への入居を希望する際は広範囲で探しましょう。 気管切開をしている人はどんな老人ホームに入居すべきですか? 気管切開している人は呼吸器に持病がある場合が多く、症状が急変した際に医療体制の整った施設でないと対応することができません。よって看護師が24時間常駐しているなど、医療特化型の施設を選択する必要があります。 また職員体制についても、緊急時に医師はすぐに来てくれるのか、看護師は日中、夜間で何名いるのかを確認する必要があります。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "気管切開とは何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2022/01/14

胃ろうでも老人ホームに入居できる?|施設を選ぶときの3つのポイント

胃ろうが必要な方も入居できる老人ホームは以前に比べると増えています。しかし、施設を選ぶ際は住み心地や立地の良さだけではなく受け入れ態勢もしっかり確認しましょう。 この記事では胃ろうのメリットデメリットや胃ろうが必要な方の老人ホーム選びのポイントを徹底解説。さらに、胃ろうが必要な方を介護する上での注意点も紹介しています。 胃ろうは医療行為のひとつ 胃ろうとは、手術で腹部に穴を開けてカテーテル(チューブ)を胃につなぎ、栄養剤を直接注入する栄養摂取方法です。 胃ろうを含む経管栄養は医療行為のため、老人ホームでの実施は看護師にしか認められていませんでした。しかし、2012年に「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が施行されたことで、「喀痰(かくたん)吸引等研修」を受けた介護福祉士も、胃ろうを含めた特定の医療行為がおこなえるようになりました。 喀痰吸引等研修を受けた介護福祉士がおこなえる特定の医療行為とは、次の2つを指します。 たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養) ただし、研修を受けた介護福祉士が特定の医療行為をおこなうには、所属する事業所が「登録特定行為事業者」として各都道府県に登録している必要があります。 胃ろうでも介護施設に入居できる 胃ろうへの対応は以前は看護師にしか認められていなかったため、胃ろうの方が入れる施設は限られていました。 しかし、看護師が24時間常駐する老人ホームが増えたことや、2012年の介護保険法改正により研修を受けた介護福祉士も対応できるようになったことで、胃ろうを理由に入居を断られることは少なくなりました。 ただし人員体制や設備は施設ごとに異なるため、すべての老人ホームで胃ろうが必要な方を受け入れられるわけではありません。入居施設を選ぶ際は、まずは胃ろうに対応できるかを確認しましょう。 胃ろうが必要な人の老人ホーム選び、3つのポイント 胃ろうが必要な方の入居先選びは、住み心地や立地の良さだけではなく受け入れ態勢もしっかり確認しましょう。ここからは、老人ホーム選びの3つのポイントをご紹介します。 対応できる職員体制が整っているか口腔ケアにしっかりと対応してくれるかその人にあった栄養剤を選んでくれるか 対応できる職員体制が整っているか 胃ろうにすると嚥下(えんげ)機能が低下し、自力でたんを吐き出すのが難しくなる場合があります。たんには細菌が多く含まれており、放置すると誤嚥(ごえん)性肺炎の原因となるため吸引による除去が必要です。 胃ろうもたんの吸引も看護師または研修を受けた介護福祉士のみが対応できるため、どちらかの職員が24時間常駐する施設を選びましょう。また、胃ろうにより皮膚トラブルが起きることもあるため、提携医療機関による訪問診療体制も入居前に確認します。 胃ろうでは、嚥下機能維持のためのリハビリも重要です。専門的なリハビリへの対応やリハビリの内容、リハビリにより改善した事例などについても質問してみましょう。 口腔ケアにしっかりと対応してくれるか 胃ろうにすると口からの食事をおこなわないため、口腔ケアは不要と思われがちです。しかし、唾液は消化だけでなく、口の中を清潔に保つ役割も持っています。このため、胃ろうにすると唾液の分泌量が落ちてしまい、口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすくなります。 口の中の細菌の増殖は誤嚥性肺炎などの原因にもなります。このため、胃ろうでも口腔ケアをしっかりしてくれる施設を選ぶことが大切です。 その人にあった栄養剤を選んでくれるか 胃ろうで使われる栄養剤には、「半消化状態栄養剤」と「消化態栄養剤」の2種類があります。半消化状態栄養剤はタンパク質の消化が必要なため、消化機能が正常または軽度の障害がある方に適しています。一方、消化態栄養剤はタンパク質が分解されており、消化吸収能力が低下した方に用います。 利用する方の消化能力で適した栄養剤が変わるため、医師や看護師と連携してその人に合った栄養剤を選択してくれる施設を選びましょう。 胃ろうは栄養を補給する方法のひとつ 加齢や病気などによって口から食事を取れなくなった場合、口以外から栄養補給をおこなうための方法のひとつとして胃ろうを提案されることがあります。 胃ろうの手術はPEG(経皮内視鏡的胃瘻造設術)と呼ばれます。手術には内視鏡を用いるため比較的身体への負担が少なく、順調なら15~30分程度で終わります。また経過にもよりますが、入院期間は一般的に1~2週間程度と短期間で済みます。 胃ろうの対象はどんな人? 身体機能の低下や重度の認知症などにより、口からの食事が難しくなることがあります。胃ろうは口から栄養を取れなくなった方が栄養不足で衰弱するのを防ぐためにおこなわれます。 また、飲み込む力が低下してむせ込んでしまうと、誤嚥性肺炎を引き起こす恐れがあります。誤嚥性肺炎は命にかかわるため、リスクを減らす目的で医師から胃ろうを勧められることもあります。 口からの食事で必要な栄養を確保できるようになったら 胃ろうにしても、口からの食事が可能です。さらに、口から必要な栄養量を確保できるようになれば、胃ろうのカテーテルをを抜くこともあります。 ただし、ゼリー食やペースト食などでなんとか栄養量を確保できている状態であれば、ちょっとしたトラブルで栄養量が足りなくなることもあります。胃ろうを残しておけば、口からの摂取量が落ちたときだけ必要量を補給することも可能なうえ、発熱時の水分補給にも利用できます。 さらに、いったん抜いてしまうと短期間で閉じてしまい、再度食べられなくなった場合は再手術が必要です。抜かないでおくことが本人の負担軽減につながることもあるため、カテーテルを抜くかは慎重に判断する必要があります。 胃ろうのメリット・デメリット 胃ろうの手術を受けても、リハビリによって口からの食事に戻せる可能性があります。さらに、症状や栄養状態が改善すればカテーテルを抜くことも可能です。ただし、専門家のサポートが欠かせないことから、口からの食事に戻すための取り組みは医療・介護体制が十分に整った施設を中心におこなわれています。 胃ろうにはメリットはもちろんデメリットもあるため、しっかり確認しておきましょう。 メリット 胃ろうをすることでのメリットは、主に以下の3つです。 身体への負担や痛みが少ない必要な栄養を摂取できる口から食べるための訓練ができる 身体への負担や痛みが少ない 口から食事を取れなくなった方の栄養摂取方法には、鼻から胃に通したチューブで栄養を送る「経鼻胃管栄養」もあります。経鼻胃管栄養は手術を必要としませんが、鼻からチューブを入れるため痛みや息苦しさなどを感じます。 胃ろうはチューブが鼻やのどを通らないため、経鼻胃管栄養と比べて痛みや不快感、身体への負担が少なくて済みます。 必要な栄養を摂取できる 胃ろうにすることで、口から食事を取れない方でも必要な栄養を摂取できるようになります。また、食事によってむせることがなくなるため、栄養補給と誤嚥性肺炎予防を両立できるのもメリットです。 口から食べるための訓練ができる 胃ろうのカテーテルは口やのどを通らず、腹部から直接胃に通します。このため、再び口から食事をするための訓練がしやすいという利点もあります。 デメリット 一方で、胃ろうのデメリットは以下の通り。 手術が必要口腔内が不潔になりやすい逆流することがある 手術が必要 胃ろうの手術は短い時間で終了し、身体への負担も少なく済みます。しかし腹部に穴を開けるため、身体に傷をつけることに抵抗がある方には手術そのものがデメリットとなります。 また、認知症の方は自分でカテーテルを引き抜いてしまうことがあります。カテーテルが抜けると穴は比較的短時間で閉じてしまい、再手術が必要になることもあります。 口腔内が不潔になりやすい 胃ろうにすると、口から食べる機会が減って唾液の分泌が少なくなります。これにより口腔中が乾燥しやすく、口腔ケアを怠ると細菌が繁殖しやすくなります。 口腔内を不潔にしていると細菌の混じった唾液を誤嚥し、口から食事していなくても誤嚥性肺炎を引き起こすことがあるため注意が必要です。 逆流することがある 栄養剤を注入する際の姿勢によっては、液が逆流してしまうことがあります。逆流した栄養剤を誤嚥することで誤嚥性肺炎につながる恐れがあるため、注入中から注入後しばらくは上体を起こした体勢を維持する必要があります。 カテーテルを自己抜去したときは 自己抜去とは、自分自身でカテーテルを引き抜いてしまうことをいいます。特に認知症の方は、抜いてはいけないことを忘れてしまうため注意が必要です。 胃の粘膜の回復は早く、カテーテルが抜けると短時間で穴がふさがってしまうため、自己抜去してしまったらすぐに病院に連絡して処置してもらいます。 また、引き抜く可能性がある場合は、チューブが露出していないボタン型カテーテルへの交換も検討してみましょう。さらに、ひっかけて抜いてしまうことを防止するため、カバーなどで注入口を覆うなどの対策も大切です。 胃ろうの介護に対する注意点 胃ろうが必要な方が快適に過ごすには、介護する方が次の点に注意する必要があります。 口腔ケアが大切 前途でも述べたように、胃ろうの方にとって口腔ケアは非常に重要です。口から食事をする機会が少なくなると唾液の分泌量が減り、嚥下機能の低下につながります。また、唾液が減少して口腔内が乾燥すると細菌が繁殖しやすくなり、誤嚥性肺炎を引き起こす恐れもあります。 このため、口から食事をとっていなくても口の中を清潔に保ち、嚥下機能を維持するための適切なリハビリをおこなうことが大切です。 逆流を防止する 栄養液の逆流は誤嚥性肺炎の原因になります。逆流は注入時の姿勢が悪いと発生しやすいため、注入中は上体を30度以上起こします。また、注入後もしばらくは上体を起こした体勢を保つと良いでしょう。 姿勢を整えることは、胃ろうだけでなく通常の食事でも誤嚥防止に役立ちます。介護する方は、意識して姿勢を正すよう促しましょう。 胃ろう周辺部を清潔に保つ 胃ろう周辺部を不潔にしていると、皮膚トラブルの原因になります。カテーテルをつけたままで入浴できるので、石鹸などを使って周辺部をていねいに洗い、清潔に保つよう意識しましょう。 また、胃ろうは異物を差し込まれた状態のため、人によっては拒否反応を起こすこともあります。皮膚に腫れや赤みが出た場合は必要に応じて医師に相談し、適切な処置を受けましょう。 老人ホームでの胃ろうに関するよくある質問 胃ろうが必要な人は老人ホームへ入居できますか? 胃ろうが必要な人でも看護師が常駐している施設であれば入居できます。看護師が24時間常駐する老人ホームが増えたことや、2012年の介護保険法改正により研修を受けた介護福祉士も対応できるようになったことで、受け入れの幅も広がりました。 胃ろうが必要な人はどんな老人ホームに入居すべきですか? 「対応できる職員体制が整っているか」「口腔ケアにしっかりと対応してくれるか」「その人にあった栄養剤を選んでくれるか」などが挙げられます。 特に職員体制の部分では、看護師がどの時間帯に勤務しているか、嚥下機能維持のためのリハビリ専門職がいるのかなど施設へ確認する必要があります。 看護師以外が胃ろうをおこなうことはありますか? 2012年に「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が施行されたことで、「喀痰(かくたん)吸引等研修」を受けた介護福祉士も、胃ろうを含めた特定の医療行為がおこなえるように認められました。 ただし、研修を受けた介護福祉士が特定の医療行為をおこなうには、所属する事業所が「登録特定行為事業者」として各都道府県に登録している必要があります。看護師に胃ろうをしてもらいたい希望があれば、24時間看護師が常駐している施設を選ぶのもひとつの手段です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "胃ろうが必要な人は老人ホームへ入居できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2022/01/11

インスリン注射が必要な人の老人ホーム選び|施設での医療・看護ケアのポイント

老人ホームでは、インスリン注射が必要な入居者に対し看護師が投与することも可能です。ただし、注射の回数や時間帯によっては対応できない場合もあるため、施設を選ぶ際は注意が必要です。 この記事では、施設選びのポイントとともに、インスリン注射の種類や副作用についても解説。インスリン注射が必要な方やこれから必要になる可能性がある方の施設選びにお役立てください。 インスリン注射は誰が打つ? 糖尿病の症状が進行すると定期的なインスリン注射が必要になります。注射の頻度は週に1回程度で済む方もいれば1日に数回必要な方もいるなど、人によって異なります。 インスリン注射は医療行為にあたるため、本来は医師や看護師がおこないます。ただし自宅などでおこなう必要がある場合は、医師による指導を受けた本人や家族による投与も可能です。 しかし、老人ホームなどの入居者に介護職員がインスリン注射を打つことは認められていません。このため施設に入居した場合、本人または看護師が投与をおこないます。 本人がおこなう場合と施設に依頼する場合について、注意点などを見ていきましょう。 自分でおこなう場合 認知症や体のまひなどがなければ、施設入居後も本人の管理のもと自分自身でインスリンを注射することも可能です。この場合は、看護師が24時間常駐していない老人ホームでも入居できます。 ただしインスリン投与を忘れたり、投与しても血糖値が安定せず高血糖が続く場合などは命に関わります。 また、加齢や健康状態の悪化により自分で注射できなくなった場合、施設側が対応できないと退去を求めらることもあります。このためインスリン注射が必要なことは入居前に施設側に相談しておきましょう。 施設の看護師がおこなう場合 自分でインスリン注射ができない場合は、老人ホームに依頼して看護師に打ってもらいます。注射の頻度にもよりますが、食事の量などによっては必要以上に血糖値が下がりすぎてしまうこともあるため、24時間看護師が常駐している老人ホームを選ぶと安心です。 また、看護師にはインスリンの投与だけでなく投与前後の血糖値管理もおこなってもらい、血糖値のコントロールを連携医療機関と継続的に共有してもらいましょう。 インスリン注射が必要な人の老人ホームを選ぶポイント 老人ホームの入居条件には、一般的にインスリン注射についての規定はありません。ただし施設によって医療体制が異なるため、注射の回数や必要な時間帯によっては対応できない場合があります。 このため、インスリン注射が必要な場合は次の点を意識して老人ホームを選びましょう。 看護師が勤務しているか 老人ホームでは、医師の指導のもと介護・看護職員が一定の医療的ケアをおこなうことが認められています。しかし、専門性が必要な医療行為は施設内で対応できないため、提携する医療機関などで受ける必要があります。 このため、入居希望者が医療的ケアを必要とする場合、施設の医療体制によっては受け入れを拒否されることがあります。老人ホームを探す際は、まず必要な医療的ケアに対応できるか確認しましょう。 特別職員配置基準 老人ホームでは、厚生労働省の定める「特別職員配置基準」により医師・看護師の配置義務や医療行為の可否が決められています。 特別職員配置基準は施設の種類により次のように異なります。 施設の種類医師の配置義務看護師の配置義務医療体制の充実度有料老人ホームなしあり施設によるグループホームなしなし(任意)充実していない老人保健施設ありあり充実している特別養護老人ホームあり(非常勤可)あり施設による インスリン注射の回数・時間帯に対応可能か インスリン注射は食前におこなうため、その時間帯に看護師が勤務している老人ホームを選ぶことが大切です。例えば1日1回朝食前の投与が必要な方は、朝食前の時間帯に看護師の勤務シフトが設定されているか確認します。 投与が必要な時間帯に看護師がいない場合は、食事の時間をずらして対応してもらうこともあります。ただし、1日3回以上投与が必要な場合や食事の時間調整が難しい場合は、看護師が24時間常駐する老人ホームを選んだほうが良いでしょう。 食事療法・運動療法に対応可能か 糖尿病はインスリン注射だけでなく、継続的な食事療法や運動療法によって血糖値を下げることも大切です。このため、インスリン注射が必要な方の受け入れ実績があり、糖質制限食やカロリー制限食に対応できて運動療法にも力を入れている老人ホームがおすすめです。 夜間の急変に対応できるか インスリンを投与している方は、空腹時や夜間に血糖値が下がりすぎてしまうことがあります。このため看護師が日中のみ勤務している施設を選ぶ場合は、夜間の急変にどのように対応するかが大切です。 具体的には、夜間も医師の呼び出しが可能か、または看護師の夜間オンコール体制があるかを確認しましょう。 糖尿病の治療で推奨されるインスリン注射 インスリンは、糖尿病の治療に利用されるホルモンの一種です。健康な人は体内で分泌されるインスリンによりブドウ糖の量が自動で調節され、血糖値の安定がはかられます。この血糖値を安定する働きが失われてしまった状態が糖尿病です。 糖尿病には体内でインスリンがほとんど分泌されない1型糖尿病と、血糖コントロールがうまくできない2型糖尿病の2種類があります。インスリン注射による治療は、現在どちらの糖尿病でも積極的に推奨されています。 9割以上が2型糖尿病 1型糖尿病はインスリンを分泌するβ細胞が破壊されて発症するのに対し、2型糖尿病は遺伝的な体質や食生活、運動不足などにより発症します。日本人の糖尿病患者のうち9割以上は2型糖尿病が占めるといわれています。 1型糖尿病はインスリンがほとんど分泌されないため注射による投与が欠かせませんが、2型糖尿病でもインスリンの分泌が減ったり働きが悪くなった場合には医師の指示で投与することがあります。 また、血糖値が高い状態が続いてインスリンの分泌が悪くなり、さらに血糖値が高くなる悪循環を引き起こしている場合の治療にもインスリン注射は用いられます。 インスリン注射の種類と特徴 インスリン注射は、効果が出るまでのタイミングや持続時間によって「超即効型」「即効型」「混合型」「中間型」「持続型」の5種類に分けられます。種類ごとの特徴を見ていきましょう。 超即効型 食後の高血糖状態を改善するため、食事を摂取する直前に投与します。 即効型 食後の高血糖状態改善のため、食事の30分前に投与します。ほかの種類のインスリン注射と異なり、筋肉や静脈への注射が可能という特徴があります。 混合型 超即効型や即効型に中間型をブレンドした製剤です。混合比率により効果が出るまでの時間は異なりますが、作用時間は中間型とほぼ同等です。 中間型 空腹時血糖の上昇を抑えるため朝食前に皮下注射をおこないます。作用時間によっては、朝食前と夕食前の1日2回投与する場合もあります。 持続型 空腹時血糖の上昇を抑えて1日の血糖値を全体的に下げる一方で、食後高血糖の改善効果は強くありません。1回の投与で効果はほぼ1日続きます。 低血糖症状に注意する インスリン注射は血糖値を下げるために使用します。しかし、普段より食事の量が少なかったり運動量が多くなると副作用として血糖値が下がりすぎてしまうこともあります。 低血糖症状は多くの場合すぐにブドウ糖を摂取することで改善できますが、放置すると命に関わるため初期症状の段階での対応が肝心です。 低血糖症状の前兆 低血糖症状は、血液中の糖分が少なくなることで起こります。低血糖症状には前兆が見られ、血糖値が70mg/dLを下回ったあたりから体が糖分を欲し、空腹感を感じます。 その後、生あくびが出たり吐き気を感じるようになり、血糖値が50mg/dLを切ると無気力になるなどそのほかの症状も現れます。 低血糖症状の前兆は病気がなくても起きる症状が多いですが、インスリン注射をしている方がこのような症状になった場合は早めに対処することが大切です。 低血糖症状の症状 低血糖症状が進行すると、発熱や冷や汗、動悸や震え、顔面蒼白などの症状が現れます。症状が悪化すれば、意識をなくしたり昏睡状態になったりするなど命に関わることもあります。 低血糖は認知症や心臓・血管疾患などほかの病気のリスクにもなります。また、特に高齢者の場合は気を失って転倒し、けがをする危険もあるため注意が必要です。 インスリン注射をしないこともある 普段は食事前にインスリン注射をおこなっている方も、その日の体調により投与を中止する場合があります。これは、インスリンを注射をしたにも関わらず食事を取れなかったり量が少ないと、低血糖症状を引き起こす恐れがあるからです。このため、普段通り食事をとるのが難しいと判断した場合は、食事の量や測定した血糖値に応じてインスリン注射を中止したり、投与する量を調節する必要があります。このような判断は看護師がおこないますが、日頃から医師と連携し血糖値をコントロールしていくことも大切です。 老人ホームでの糖尿病のインスリン注射に関するよくある質問 インスリン注射が必要な人は老人ホームへ入居できますか? 自身でインスリン注射ができる人、施設に看護師が常駐している場合であれば入居できます。ただし看護師に投与してもらう際は、注射の回数や時間帯によっては対応できない場合もあるため、事前に施設へ確認しましょう。 インスリン注射が必要な人はどんな老人ホームに入居すべきですか? インスリン注射は食前におこなうため、その時間帯に看護師が勤務している老人ホームを選ぶことが大切です。ただし、1日3回以上投与が必要な場合や食事の時間調整が難しい場合は、看護師が24時間常駐する老人ホームを選んだほうが良いでしょう。 老人ホームではインスリン注射を誰が打ってくれますか? 認知症や体のまひなどがなければ、医師による指導を受けた本人でもインスリンを注射することが可能です。自分でインスリン注射ができない場合は、老人ホームに依頼して看護師に打ってもらいます。 また1日3回以上投与が必要な場合は、自身でインスリン注射をおこなうか、24時間看護師が常駐している施設でインスリン注射をしてもらいます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "インスリン注射が必要な人は老人ホームへ入居できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2022/01/05

老人ホームで受けられる医療的ケア|看護師・介護士ができることを解説

老人ホームでは、日常生活を送るための生活支援としてさまざまな医療的ケアがおこなわれます。 この記事では、老人ホームでおこなわれる医療的ケアや実施できる職種のほか、医療的ケアが必要な方の施設選びのポイントを解説。また、老人ホームでおこなわれるリハビリについても紹介しています。 医療行為(医療的ケア)とは? 「医療行為」とは、医学的な知識や技術がなければ相手に危害を与えかねない行為で、本来は医師や医師の指示を受けた看護師などにしか実施が認められていません。 しかし、たんの吸引などを病院以外の場所で受けながら日常生活を送る方が増えてきたことから、看護師のほか「認定特定行為業務従事者」の認定をもつ介護福祉士も一定の医療行為を実施できるようになりました。 このような、日常生活を送るための生活支援としておこなわれる医療行為は「医療的ケア」と呼ばれてます。なお理学療法士などがおこなうリハビリも医療行為に含まれます。 認定特定行為業務従事者 2012年4月から、認定特定行為業務従事者の認定を受けた介護福祉士は、以下の医療行為をおこなえるようになりました。 喀痰(かくたん)吸引経管栄養 ただし現状では、すべての老人ホームに認定を受けた介護福祉士が配置されているわけではありません。上記の医療行為を必要とする方は、入居を希望する施設に対応可能か確認しましょう。 入居前に医療体制を確認 老人ホームを探す前に、まずは自分に必要な医療的ケアを確認しましょう。施設選びでは、必要なケアを提供してもらえるかを重視することが大切です。 施設の種類医師の配置義務看護師の配置義務医療体制の充実度有料老人ホームなしあり施設によるグループホームなしなし(任意)充実していない老人保健施設ありあり充実している特別養護老人ホームあり(非常勤可)あり施設による 例えば、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)には医師の配置義務がありますが、有料老人ホームにはありません。また、有料老人ホームは看護師の配置義務はありますが、対応できる医療的ケアは施設により異なります。 このため、入居者本人の持病や必要な医療的ケアとその頻度を施設側に説明し、対応可能か確認しましょう。また、同じ医療的ケアが必要な人の受け入れ実績についても聞いておくと良いでしょう。 看護師でおこなえる医療行為 ここからは、老人ホームでおこなわれている医療行為について説明します。看護師が提供を認められている医療行為は、次の8種類です。 インスリン注射在宅酸素喀痰(かくたん)吸引経管栄養(胃ろうなど)ストーマの張り替え床ずれ・褥瘡(じょくそう)への処置中心静脈栄養人工呼吸器の管理 それぞれの医療行為の内容と、必要とする方について説明していきます。 インスリン注射 インスリン注射は糖尿病治療に用いられ、血糖値を下げるホルモン「インスリン」を1日に数回注射します。注射後の食事量などによっては必要以上に血糖値が下がりすぎ、放置すると命に関わる場合もあるため、看護師による観察や副作用発生時の対応が必要です。 インスリン注射が必要な方の老人ホーム選び インスリン注射が必要な方は、看護師が24時間常駐しているかインスリン注射が必要な食事の時間に看護師が勤務している老人ホームを選びましょう。 在宅酸素 在宅酸素は自宅などで酸素を吸入する医療行為で、慢性呼吸不全や慢性心不全の方が利用します。鼻に装着したチューブを酸素供給装置につないで酸素を吸入することで、息切れなどの症状が改善されます。 多くの老人ホームは在宅酸素に対応していますが、労作時の酸素投与量が3L/分以上必要な方は、対応可能かあらかじめ施設に確認しましょう。 在宅酸素が必要な方の老人ホーム選び 酸素ボンベの交換・補充は看護師がおこなうため、在宅酸素が必要な方は24時間看護師常駐の老人ホームを選ぶと良いでしょう。 喀痰(かくたん)吸引 窒息を防ぐため、専用の機械を使って気管などのたんを取り除きます。吸引中は息ができず酸素不足になることもあるため、看護師または認定特定行為業務従事者の認定を受けた一部の介護福祉士のみがおこなえる医療行為です。 喀痰吸引が必要な方の受け入れ可否は吸引の回数と必要な時間帯により決まります。このため、日中に数回程度であれば看護師が日勤で常駐する一般的な老人ホームで対応できる場合もあります。 喀痰吸引が必要な方の老人ホーム選び 吸引の頻度が増えると退居を求められる場合もあるため、1日3回以上必要な方は看護師または認定特定行為業務従事者の介護福祉士が24時間常駐する施設を選ぶと良いでしょう。 経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養) 病気により食事を口からとるのが難しい方や誤嚥性肺炎を繰り返している方は、チューブやカテーテルなどで胃や腸に栄養を直接注入する経管栄養を用いることがあります。 経管栄養は、注入速度の調整や皮膚トラブルへの対応など専門的な知識や技術が求められることから、看護師または認定特定行為業務従事者の認定を受けた一部の介護福祉士のみがおこなえます。 経管栄養が必要な方の老人ホーム選び 経管栄養を利用する方は痰の吸引も必要な場合が多いため、看護師または認定特定行為業務従事者の介護福祉士が24時間常駐する老人ホームを選ぶと良いでしょう。 ストーマの張り替え ストーマとは手術により腹部に作られた便や尿の排泄口で、人工肛門や人工膀胱があります。排泄物は装着したストーマ袋(パウチ)に溜まり、定期的に交換する必要があります。 ストーマは、テープや装具によるかぶれ、感染症などのトラブルが起きることがあります。このため、看護師は交換時に観察やケアをおこないます。 床ずれ・褥瘡(じょくそう)への処置 褥瘡は、体の一部に圧力がかかることで血流が悪化し、酸素や栄養が行き届かなくなって起きた皮膚や皮下組織などの損傷です。床ずれとも呼ばれ、寝たきりなど同じ姿勢を取り続けることで発生します。 対応を誤ると皮膚の壊死や傷口からの感染にもつながるため、看護師による処置が必要です。 中心静脈栄養(IVH) 心臓近くの太い静脈に栄養剤を点滴して栄養補給することを中心静脈栄養(IVH)といい、病気により口からの栄養摂取が困難な方や消化器官が低下している方などに対しておこなわれます。 IVHは、輸液製剤の混合や輸液バッグの交換など専門的な技術が必要です。また、感染症や自分でカテーテルを抜いてしまうなどのトラブルが起きることもあり、看護師による管理が求められます。 IVHが必要な場合は、入居希望する施設が病院と医療連携ができているかや往診医のIVH取り扱いの可否、看護スタッフがIVHの対応に慣れているかについて入居前に確認しましょう。 人工呼吸器の管理 人工呼吸器は、呼吸器や神経・筋肉の病気がある方に機械を使って呼吸を助けます。このうち自宅や施設で扱う呼吸器を「在宅人工呼吸器(HMV)」といいます。 操作を間違うと命に関わることもあるため、看護師による専門的な管理が必要です。人工呼吸器が必要な場合はその種類にもよりますが、一般的に看護師が24時間常駐する老人ホームへの入居がおすすめです。 人工透析が必要な人は 人工透析が必要な場合は、透析設備のある病院やクリニックに通院するのが一般的です。通院には無料の送迎がある場合とタクシーなどを自腹で利用する場合があるため、移動手段も確認しましょう。 また、人工透析をしている方は食事などの管理も大切です。病院やクリニックと連携し、塩分などの食事制限や水分量の管理が可能かも確かめておきましょう。 介護福祉士でもできること 介護職員でもできること 介護職員は、基本的に医療行為はできません。ただし、下記については厚生労働省が医療行為に含まれない行為としているため、介護職員による提供が可能です。 体温測定血圧測定(自動血圧計のみ可能)軽傷の治療(ガーゼ交換や絆創膏を貼るなど)湿布を貼る(麻薬は不可)点眼薬の点眼内包薬の内服介助(一包化された内服薬のみ可能)座薬の挿入爪切り(爪に異常があると不可)耳垢の除去(耳垢塞栓の除去は不可)鼻腔粘膜への薬剤噴射の介助自己導尿の介助 老人ホームでのリハビリ 介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームなどでは、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士といった資格を持つ機能訓練指導員が配置されており、入居者に対しリハビリをおこないます。 リハビリは入居者ごとに作成される「リハビリプログラム」に基づき実施され、「個別リハビリ」と「集団リハビリ」のほか、日常生活のなかでおこなわれる「生活リハビリ」があります。 個別リハビリ 個別リハビリは作業療法士、理学療法士、言語聴覚士などの機能訓練指導員によりおこなわれ、専門職ごとにリハビリの内容が異なります。それぞれの専門職が実施するリハビリ内容をご紹介します。 作業療法士が実施するリハビリ 作業療法士は、食事やトイレでの排泄などの日常生活に必要な機能を回復させるためのリハビリを主に実施します。 また、運動機能の完全な回復が見込めなくなった場合も、現在の身体機能をできるだけ維持し、日常生活を送れるよう訓練をおこないます。 理学療法士が実施するリハビリ 理学療法士は、病気やケガ、加齢などにより低下した運動機能を回復するためのリハビリをおこないます。リハビリの内容は、立つ、座る、歩くなどの基本的な動作の訓練が中心で、車いすや歩行器、つえなどを使ったリハビリも含まれます。 言語聴覚士が実施するリハビリ 言語療法士は、言葉によるコミュニケーション訓練のほか、摂食や嚥下(えんげ)機能の回復・維持に関するリハビリもおこないます。また、必要に応じて補聴器や点字器を用いることもあります。 集団リハビリ 老人ホームでは個別に実施するリハビリのほかに、入居者が共有スペースに集まっておこなう「集団リハビリ」も実施されます。 体操やゲームなどで足腰を鍛えるとともに脳を活性化したり、歌をうたうことで嚥下機能の維持・回復を図るなど、レクリエーションを兼ねておこなわれています。 生活リハビリ 生活リハビリとは、日常生活動作そのものをリハビリととらえ、できるだけ自分の力で日常生活を送れるよう適切な介助を受けながら生活することを指します。例えば、「介護ベッドから自室にあるトイレに自分で移動できるよう介護士が支援する」などがあてはまります。 生活リハビリは専門職でなくても可能なため、介護付き有料老人ホームでは日常生活のさまざまな場面において一般的に実施されてます。 医療体制を強化した老人ホームもある 老人ホームには医師の配置基準がありません。医師による医療行為は訪問診察がメインとなるため、施設内の医療行為は主に看護師により提供されます。 しかし一部の老人ホームでは、次のような医療体制の強化によって医療ニーズに対応しています。 病院・クリニックの併設看護師が24時間常駐運営母体が医療法人 医療体制強化のための取り組みや体制はほかにもありますが、ここでは上記の3つについてそれぞれの特徴を説明していきます。 病院・クリニックの併設 同じ建物や敷地内に病院やクリニックが併設していれば、急な体調変化にも迅速対応してもらえます。いざというときも普段から診察してくれている医師に診てもらえるため、すぐに適切な処置が受けられます。 また、入院設備のある病院が併設している場合は、入院が必要になった際も連携がスムーズで、優先的にベッドを確保してもらいやすいのもメリットです。 看護師が24時間常駐 介護付き有料老人ホームでは、看護師の常駐が義務づけられています。しかし、夜間の配置義務はないため、看護師による医療行為は日中のみというのが一般的です。 しかし、中には看護師が24時間常駐する老人ホームもあり、夜間や早朝でも胃ろうや痰の吸引、インシュリン投与や点滴などの医療行為を受けることが可能です。しかし、医療行為が必要な方でも安心して入居できる反面、費用は高くなります。 運営母体が医療法人 医療法人が運営している老人ホームでは、関連病院から医師が往診に来てくれるため夜間に体調が急変したときなども安心です。 また、職員は病院でおこなうような研修を受けている場合が多く、一般的な介護施設の職員よりも医療の知識や技術を身につけている可能性が高いです。 運営母体が医療法人の老人ホームを見学する際は、病院との連携や職員の研修についても質問してみましょう。 老人ホームと医療機関の連携 老人ホームで提供可能な医療サービスは人員面でも設備面でも限界があるため、高度な医療行為や治療が必要な場合には提携する医療機関を利用します。このため介護付き有料老人ホームでは、医療機関と提携することが施設運営基準に定められています。 提携医療機関は、医療行為のほか看護職員を介しての定期健診や健康相談、健康管理上のアドバイスなどさまざまなサービスを提供します。また、提携医療機関が救急対応可能なら緊急時にも対応してもらえます。 さらに、施設によっては必要時に提携医療機関へ優先的に入院できたり、医師による往診が受けられることも。老人ホームを選ぶ際は、提携医療機関とそのサービス内容にも注目してみましょう。 提携医療機関での医療行為 老人ホーム入居中に専門的な医療行為が必要になったときは、提携医療機関に通院したり医師の往診を受けます。提携医療機関で受けられる医療行為は内科や整形外科、脳神経外科などが中心ですが、それ以外にも必要に応じてさまざまな医療行為を受けられます。 施設入居中に入院したら 提携医療機関に入院した場合、入居中の老人ホームから洗濯物の交換や日用品を届けてもらうなどのさまざまな生活支援が受けられます。入院期間中は病院の入院費用と施設の月額利用料の一部を二重で支払うことになりますが、治療が終わって退院する際は施設に戻ることができます。 ただし、退院後に施設で対応できない医療行為が必要な場合は、施設に戻れず住み替えが必要になることもあります。 老人ホームでの看取り 終の棲家として老人ホームを選ぶ方も多いですが、施設の設備や人員体制などの都合によりすべての老人ホームが看取りに対応しているわけではありません。延命治療を放棄し個人の意志で最後を迎えることを望む場合は、老人ホームの看取り体制も確認しましょう。 看取り体制の整った施設では、職員に対し看取りに関する研修を実施しています。また、入居時には本人や家族と施設側が話し合い、延命治療の是非や急変時の病院への搬送などについて確認し、老人ホームで最後を迎えることなどへの同意書を交わします。 さらに、回復が見込めないと判断された場合は、医師や看護・介護職員、ケアマネジャーなど多くの職種が連携し、穏やかに死を迎えられるよう看取りケアがおこなわれます。 老人ホームでの医療的ケアに関するよくある質問 痰の吸引が必要な人はどんな施設に入居すべきですか? 1日3回以上必要な人は看護師または認定特定行為業務従事者の介護福祉士が24時間常駐する施設を選ぶと良いでしょう。日中に数回程度であれば看護師が日勤で常駐する老人ホームで対応できる場合もあるので、看護師が勤務している時間も確認しましょう。 人工透析が必要な人は老人ホームへ入居できますか? 人工透析が必要な人でも老人ホームへの入居はできます。ただし透析設備が整った老人ホームは少ないため、病院やクリニックに通院するのが一般的です。 通院は施設による無料の送迎か自腹でタクシーなどを利用するか、家族による送迎が挙げられます。人工透析をしている人は食事の管理も重要なので食事制限や水分管理についても確認しましょう。 介護スタッフが医療行為をすることはありますか? 「医療行為」は本来、医師や医師の指示を受けた看護師などにしか実施が認められていません。 しかし、痰の吸引などを病院以外の場所で受けながら日常生活を送る人が増加したことから、看護師のほか「認定特定行為業務従事者」の認定をもつ介護福祉士も一定の医療行為を実施できるように認められました。 ただあくまで痰の吸引や経管栄養といった医療行為のみで、すべての医療行為が可能になったわけではありません。 { "@context": "https://schema.org", "@type": 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2022/01/05

老人ホームの医療体制|施設で受けられる医療・看護ケアの内容

医療ケアが必要な方の入居先として老人ホームを選ぶ際は、医療体制を重視する必要があります。 この記事では、老人ホームで受けられる医療行為や医療機関との連携について解説。さらに医療的ケアが必要な人の施設選びのポイントも紹介しています。 老人ホームの医療体制 老人ホームでは、医師の指導のもと介護・看護職員が一定の医療的ケアをおこなうことが認められています。しかし、専門性が必要な医療行為は施設内で対応できないため、提携する医療機関などで受ける必要があります。 このため、入居希望者が医療的ケアを必要とする場合、施設の医療体制によっては受け入れを拒否されることがあります。老人ホームを探す際は、まず必要な医療的ケアに対応できるか確認しましょう。 特別職員配置基準 老人ホームでは、厚生労働省の定める「特別職員配置基準」により医師・看護師の配置義務や医療行為の可否が決められています。 特別職員配置基準は施設の種類により次のように異なります。 施設の種類医師の配置義務看護師の配置義務医療体制の充実度有料老人ホームなしあり施設によるグループホームなしなし(任意)充実していない老人保健施設ありあり充実している特別養護老人ホームあり(非常勤可)あり施設による 老人ホームで受けられる医療的ケア 老人ホームでの医療的ケアは、主に介護・看護職員により提供されます。それぞれの職種が具体的にどのような医療的ケアを提供できるのか見ていきましょう。 介護職員でもできること 介護職員は、基本的に医療行為はできません。ただし、下記については厚生労働省が医療行為に含まれない行為としているため、介護職員による提供が可能です。 体温測定血圧測定(自動血圧計のみ可能)軽傷の治療(ガーゼ交換や絆創膏を貼るなど)湿布を貼る(麻薬は不可)点眼薬の点眼内包薬の内服介助(一包化された内服薬のみ可能)座薬の挿入爪切り(爪に異常があると不可)耳垢の除去(耳垢塞栓の除去は不可)鼻腔粘膜への薬剤噴射の介助自己導尿の介助 看護師ができること 介護付き有料老人ホームには必ず看護師が配置されており、専門性を必要としない医療行為を受けられます。また、訪問看護などのサービスを利用すれば、施設だけでなく在宅でも看護師による医療行為を受けることができます。 看護師が提供可能な医療行為には次のようなものがあります。 インスリン注射痰の吸引※胃ろうなどの経管栄養※褥瘡の処置在宅酸素や人工呼吸器の管理導尿、バルーンカテーテルの管理 ※登録特定行為事業者として登録された事業所に登録する喀痰吸引等研修を受けた介護福祉士にも、実施が認められています。 老人ホームと医療機関の連携 老人ホームで提供可能な医療サービスは人員面でも設備面でも限界があるため、高度な医療行為や治療が必要な場合には提携する医療機関を利用します。このため介護付き有料老人ホームでは、医療機関と提携することが施設運営基準に定められています。 提携医療機関は、医療行為のほか看護職員を介しての定期健診や健康相談、健康管理上のアドバイスなどさまざまなサービスを提供します。また、提携医療機関が救急対応可能なら緊急時にも対応してもらえます。 さらに、施設によっては必要時に提携医療機関へ優先的に入院できたり、医師による往診が受けられることも。老人ホームを選ぶ際は、提携医療機関とそのサービス内容にも注目してみましょう。 提携医療機関での医療行為 老人ホーム入居中に専門的な医療行為が必要になったときは、提携医療機関に通院したり医師の往診を受けます。 提携医療機関で受けられる医療行為は内科や整形外科、脳神経外科などが中心ですが、それ以外にも必要に応じてさまざまな医療行為を受けられます。 施設入居中に入院したら 提携医療機関に入院した場合、入居中の老人ホームから洗濯物の交換や日用品を届けてもらうなどのさまざまな生活支援が受けられます。入院期間中は病院の入院費用と施設の月額利用料の一部を二重で支払うことになりますが、治療が終わって退院する際は施設に戻ることができます。 ただし、退院後に施設で対応できない医療行為が必要な場合は、施設に戻れず住み替えが必要になることもあります。 医療体制を強化した老人ホームもある 老人ホームには医師の配置基準がありません。医師による医療行為は訪問診察がメインとなるため、施設内の医療行為は主に看護師により提供されます。 しかし一部の老人ホームでは、次のような医療体制の強化によって医療ニーズに対応しています。 病院・クリニックの併設看護師が24時間常駐運営母体が医療法人 医療体制強化のための取り組みや体制はほかにもありますが、ここでは上記の3つについてそれぞれの特徴を説明していきます。 病院・クリニックの併設 同じ建物や敷地内に病院やクリニックが併設していれば、急な体調変化にも迅速対応してもらえます。いざというときも普段から診察してくれている医師に診てもらえるため、すぐに適切な処置が受けられます。 また、入院設備のある病院が併設している場合は、入院が必要になった際も連携がスムーズで、優先的にベッドを確保してもらいやすいのもメリットです。 看護師が24時間常駐 介護付き有料老人ホームでは、看護師の常駐が義務づけられています。しかし、夜間の配置義務はないため、看護師による医療行為は日中のみというのが一般的です。 しかし、中には看護師が24時間常駐する老人ホームもあり、夜間や早朝でも胃ろうや痰の吸引、インシュリン投与や点滴などの医療行為を受けることが可能です。しかし、医療行為が必要な方でも安心して入居できる反面、費用は高くなります。 運営母体が医療法人 医療法人が運営している老人ホームでは、関連病院から医師が往診に来てくれるため夜間に体調が急変したときなども安心です。 また、職員は病院でおこなうような研修を受けている場合が多く、一般的な介護施設の職員よりも医療の知識や技術を身につけている可能性が高いです。 運営母体が医療法人の老人ホームを見学する際は、病院との連携や職員の研修についても質問してみましょう。 医療的ケアが必要な人の施設選びのポイント 医療的ケアが必要な方が入居施設を探す場合、まずはケアを実施できる職種とケアが必要な時間帯を確認しましょう。介護付き有料老人ホームであっても夜間は看護師が不在の施設が多いため、昼夜を問わず医療的ケアが必要な方は注意が必要です。 また、医療行為が必要な人をどこまで受け入れるかは施設の方針により異なります。資料請求の際に必要なケアや時間帯を伝え、対応可能か確認しましょう。 ここからは、必要な医療的ケアの種類ごとに施設選びのポイントを紹介します。 喀痰(かくたん)吸引 喀痰吸引が必要な方の受け入れ可否は、吸引の回数と必要な時間帯により決まります。日中に数回程度であれば看護師が日勤で常駐する一般的な老人ホームで受け入れ可能な場合もあります。 ただし、吸引が増加すると住み替えを余儀なくされる場合もあるため、1日3回以上必要な方は看護師または喀痰吸引等研修を受けた介護福祉士が24時間常駐する施設を選ぶと良いでしょう。 経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養) 経管栄養は、注入速度の調整や皮膚トラブルへの対応など、専門的な知識や技術が求められます。 また、経管栄養の方は痰の吸引を必要とする場合も多いため、看護師または喀痰吸引等研修を受けた介護福祉士が24時間常駐する老人ホームが良いでしょう。 インスリン注射 インスリン注射を打てるのは医師または看護師のみです。このため、インスリン注射が必要な方は看護師が24時間常駐しているか、インスリン注射が必要な食事の時間に看護師が勤務している老人ホームを選びましょう。 在宅酸素 多くの老人ホームでは、在宅酸素に対応しています。しかし、労作時の酸素投与量が3L/分以上必要な方は、施設に対応できるか確認しましょう。 老人ホームでの酸素ボンベの交換・補充は看護師がおこないます。24時間看護師が常駐している施設なら、必要な酸素量が増えたときもすぐに対応してもらえて安心です。 人工透析 人工透析が必要な場合は、透析設備のある病院やクリニックに通院するのが一般的です。通院には無料の送迎がある場合とタクシーなどを自腹で利用する場合があるため、移動手段も確認しましょう。 また、人工透析をしている方は食事などの管理も大切です。病院やクリニックと連携し、塩分などの食事制限や水分量の管理が可能かも確かめておきましょう。 末期がん 末期がんの痛みを抑えるためには、多くの場合医療用麻薬を使用します。また、老人ホームでの医療用麻薬の管理は看護師がおこないます。痛みの出る時間帯は昼夜を問わないため、末期がんの方の入居先には看護師が24時間体制の施設を選びましょう。 老人ホームでの看取り 終の棲家として老人ホームを選ぶ方も多いですが、施設の設備や人員体制などの都合によりすべての老人ホームが看取りに対応しているわけではありません。延命治療を放棄し個人の意志で最後を迎えることを望む場合は、老人ホームの看取り体制も確認しましょう。 看取り体制の整った施設では、職員に対し看取りに関する研修を実施しています。また、入居時には本人や家族と施設側が話し合い、延命治療の是非や急変時の病院への搬送などについて確認し、老人ホームで最後を迎えることなどへの同意書を交わします。 さらに、回復が見込めないと判断された場合は、医師や看護・介護職員、ケアマネジャーなど多くの職種が連携し、穏やかに死を迎えられるよう看取りケアがおこなわれます。 老人ホームの医療体制に関するよくある質問 老人ホームに医師はいますか? 老人ホームでは、厚生労働省の定める「特別職員配置基準」により医師・看護師の配置義務や医療行為の可否が決められています。 医師の配置ついては、特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった公的施設には義務付けられています。ただ昨今では、有料老人ホームの中に医師が常駐しており医療体制が比較的充実している施設もあります。常時、医療行為が必要であれば医師が常駐している施設も検討しましょう。 どんな老人ホームが医療に強いですか? 主に「病院・クリニックが併設」「看護師が24時間常駐」「運営母体が医療法人」といった老人ホームが医療に強い施設と言えるでしょう。 特に、同じ建物や敷地内に病院やクリニックが併設していれば、急な体調変化にも迅速に対応してもらえるため安心です。 また、老人ホームの中には看護師が24時間常駐する施設もあり、夜間や早朝でも胃ろうや痰の吸引、インシュリン投与や点滴などの医療行為を受けることが可能です。入居の際は、該当の医療行為が受けられるかどうか確認しましょう。 施設入居中に入院してしまったらどうすれば良いですか? 治療を終え退院する際は施設に戻ることができます。ただし、退院後に施設で対応できない医療行為が必要な場合は、施設に戻れず医療的ケアに特化した老人ホームに住み替えをしなくてはいけません。 また入院期間中は病院の入院費用と施設の月額利用料の一部を二重で支払うこともデメリットとして挙げられます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "老人ホームに医師はいますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/28

老人ホームの選び方|身体状況の違いで入居できる施設が異なる

老人ホームを選ぶ上で大事なのは、要介護者の身体状況や認知症、持病の状態についてしっかり確認しておくこと。この記事では、入居の前に確認する身体状況に関するポイントをお伝えします。ぜひお役立てください。 身体状況により適した老人ホームが異なる 老人ホームによって提供可能な介護サービスや医療サービスは異なります。そのため、施設選びの前に要介護者の身体状況を正確に把握しておくことが重要です。 費用や立地条件がマッチした老人ホームを見つけても、「入居希望者の身体状況に対応できません」と、入居を断られてしまうことがあります。 定期的なケアが必要な胃ろうを利用しているケースでは、施設側の体制や設備が整っていなかったため、受け入れを断られるといった事例もあります。 要介護度を確認する 身体状況の把握で重要なのが、要介護度の認定です。市役所や地域包括センターに問い合わせて申請すると良いでしょう。手続き手順も複雑なものではありません。 介護付き有料老人ホームなどの多くで、要介護1以上という入居条件があります。認定には2ヵ月ほど時間を要するため、早めに申請しておきましょう。認定を受けると介護サービスの範囲や支給限度額が決まるため、介護サービスがスムーズに受けられるでしょう。 生活に必要な介護サービスを確認する 各介護施設によって、生活に必要な介護サービスは異なります。そのため、入居前に把握しておきたいのが「日常生活に必要な介護サービスをどこまで受けられるか」という点。 持病のある方を介護しているご家族は、要介護者の病状や日常生活に必要な介護サービスについて打ち合せの場を設けましょう。 その他、必要な設備や介護サービスの有無、スタッフは持病有りの入居者の介助が慣れているか、同じような持病ありの入居者が入居しているかなど確認するのも良いでしょう。 生活援助についての確認例 食事の支度、買い物掃除、洗濯入浴準備 身体介護についての確認例 外出時の乗降服薬の援助食事や排泄、入浴の介助起き上がり、歩行の介助体位変換の援助 老人ホームでの認知症の対応を確認する 介護施設を探すうえでも要介護者が認知症であることは重要なポイント。介護施設へ認知症への対応状況を確認すると良いでしょう。 また、排せつ異常や大声を出す人もいるため、施設によって受け入れ可否も異なります。 記憶障害や行動障害を持つ認知症患者に対しては専門の知識やスキルが必要となるため、具体的な症状を施設に伝えたうえで、入居の可否や可能な場合の対応について確認すると良いでしょう。 認知症の対応についての確認例 大声をあげてしまうせん妄・妄想の症状がある徘徊がみられる 老人ホームでの持病や医療行為(医療的ケア)の対応を確認する 入居を検討している老人ホームが、本人の持病や医療行為(医療ケア)に対応しているか、事前に確認しましょう。看護師が夜間も常駐する施設であれば安心感もあります。 施設のパンフレットに対応可能と記載してあっても、具体的なケアの内容や常駐体制について必ず確認すると良いでしょう。たん吸引、インスリン注射、人工透析などの対応もしっかり聞いてください。 施設への入居検討を主治医に伝えて、現在の症状の説明を聞いたり、施設と医療連携しているクリニックに連絡してもらうのもおすすめ。入居後に病状が悪化しないように適切なケアを受けられる介護施設を選択してください。 持病や医療行為(医療的ケア)の対応についての確認例 インスリン注射やたん吸引が必要24時間体制で医療ケアの提供が必要人工透析などの定期的な通院付き添い 入居前の身体状況に関するよくある質問 介護認定はどのようにしたら良いですか? 市役所や地域包括センターに問い合わせて申請すると良いでしょう。施設によっては、要介護度1以上といった入居条件を設けているところもあります。認定には2カ月ほど時間を要するので早めに申請しておきましょう。 医療行為がある人は老人ホームへ入居できますか? 医療行為があっても老人ホームへの入居はできます。ただし、入居を検討している老人ホームが、本人の持病や医療行為(医療ケア)に対応しているか、事前に確認する必要があります。 また夜間も医療行為が必要な場合、24時間看護師が常駐している施設を選択しなくてはいけません。24時間看護師が常駐している施設は自ずと費用が高い傾向にあるので注意しましょう。 認知症の人でも老人ホームへ入居できますか? 認知症があっても老人ホームへの入居はできます。ただし、認知症の症状によって施設の受け入れ可否が異なります。例えば「大声をあげてしまう」「せん妄・妄想の症状がある」「徘徊がみられる」といった症状を施設側へ伝え、入居が可能か事前に確認しましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護認定はどのようにしたら良いですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/27

老人ホーム 良い施設長

理想の老人ホームの選び方|良い施設を見分けるための7つのポイント

老人ホーム選びはその後の生活の質を左右するため、たくさんの情報を集めてしっかり吟味しましょう。 この記事では、老人ホーム入居までの流れや選ぶ際に確認したい点を徹底解説。これから老人ホームを探す方は、ぜひ参考にしてください! 老人ホーム入居までの7つのステップ 老人ホームは、申し込んだら即入居というわけにはいきません。施設ごとに費用やサービス内容が異なるため、入居後に後悔しないためにはじっくりと選ぶ必要があります。 まずは、老人ホーム探しから入居までの流れを把握しておきましょう。 希望条件を決める 老人ホームを探すにあたり、まずは自分が希望する条件を洗い出しましょう。 第一の条件は予算です。老人ホームは月額利用料のほかに初期費用が必要です。それぞれ無理なく支払える価格帯を設定しましょう。 また、面会に通う負担を軽くするため、家族の家からの距離や立地も重要な条件です。 そのほか居室の広さや食事など、自分なりに重視するポイントをまとめて希望条件を決定します。 老人ホームの情報を収集する 老人ホームの情報収集はインターネットが便利です。比較サイトを利用すると、希望する条件からおすすめの老人ホームが探せます。 希望の条件に合う老人ホームを見つけたら、詳しい資料を取り寄せます。なるべくたくさんの施設の資料を集め、比較してみましょう。 老人ホームを見学する 気に入った施設をいくつか絞り込めたら、施設見学を申し込みましょう。 見学できる時間帯や内容については施設ごとに異なります。食事の試食やレクリエーションの見学が可能か、問い合わせの際確認しましょう。 確認したい点はあらかじめリストアップしておくと良いでしょう。 見学にはメモやノートを持参し、施設内の撮影は職員に許可をとってからにしましょう。自分だけでは気づかないこともあるため、家族も一緒に見学すると良いでしょう。 仮申し込みをする 見学して気に入れば、その場ですぐ仮申し込みします。仮申し込みなので正式な入居決定ではなく、あくまで仮押さえの状態です。 仮申し込み期間は一般的に1ヵ月程度で、その間に必要書類を揃えます。 各種の書類を提出する 老人ホームに入居するためには、「診療情報提供書」や「健康診断書」の提出が必要です。 診療情報提供書は一般的に「紹介状」とも呼ばれ、かかりつけ医に書いてもらいます。健康診断書は一般的に老人ホーム側が書面を準備し、かかりつけ医に記入してもらいます。有効期間は3ヵ月なので期限には注意しましょう。 なお、診断情報提供書と健康診断書の作成はいずれも有料です。また検査が必要な項目もあり、取得までに3週間程度かかります。 本人との面談をおこなう 最後に本人との面談があります。面談では施設側が入居希望者の健康状態を確認するほか、入居するうえで気になる点を直接、施設の担当者に聞くこともできます。 要介護認定を受けた方であれば、ケアマネジャーの同席も可能です。入居予定者が施設に行けない場合は、自宅や病院など入居希望者がいる場所まで施設担当者が出向いてくれます。 契約・入居 書類の提出と面談の後に、施設側の入居審査があります。入居希望者の健康状態や経済状態を確認し、問題がなければ本契約を結び、晴れて入居となります。 このように、老人ホームを探し始めてから実際に入居するまでは、多くの工程と時間が必要です。 老人ホームを選ぶ際に重要な7つの確認ポイント ここからは、老人ホームを選ぶ際に確認すべきポイントを解説します。まず、必ず確認したいのは次の7つです。 施設全体・スタッフの雰囲気費用の内訳介護・医療体制食事内容立地・周辺環境設備入居後に思い描く生活ができるか それぞれ詳しく見ていきましょう。 施設全体・スタッフの雰囲気 パンフレットを見ただけでは実際の雰囲気はわかりません。候補となる老人ホームを見つけたら、実際に見学や体験入居してみましょう。また、1つの施設で判断するのは難しいため、複数の施設を見学して比較するのも大切です。 見学時にチェックしたいポイントは次の通りです。 突然の訪問にも笑顔で対応できるかプライバシーが守られている場所で話を聞いてくれるかダラダラとした行動はないか、無駄話をしている職員はいないか忙しく走り回っている、表情が疲れ切っているスタッフはいないか入居者や家族が望まない呼び方をしていないか(「ちゃん付け」や「ニックネーム」など)乱雑な言葉遣いや怒鳴り声は聞こえていないか。 費用の内訳 入居費用は大きく分けて入居時にかかる初期費用と、入居後に毎月支払う月額利用料があります。それぞれの内訳や、介護保険の適用範囲と自己負担額について確認しましょう。 また、医療費や日用品などの実費負担の目安や有料サービスも確認し、合計金額を無理なく支払い続けられるか見極めましょう。 介護・医療体制 老人ホームを選ぶ際は、人員体制や提供可能な医療的サービスについてもしっかり確認しましょう。 例えば、老人ホームにおける介護スタッフの配置基準は、入居者3人に対して1名以上です。この基準より介護スタッフが多い施設では、より手厚い介護が受けられます。 そのほか、次の項目についてもチェックしましょう。 看護職員や機能訓練指導員が常勤しているか提携する医療機関とその内容緊急時の対応看取り体制看護スタッフが勤務している時間帯 食事内容の確認 食事は栄養補給に必要なだけでなく、大きな楽しみでもあります。だからこそ、提供される食事も重視して選びましょう。 月間の献立表でメニューの傾向を知るとともに、バリエーションに富んでいるか、季節感を取り入れているかなどチェックしましょう。また、糖尿病食や塩分制限食などの療養食が提供可能か、個人の好みに対応してもらえるかなども確認します。 さらに、体調不良や外泊などで食事が不要な際の料金についても聞いておきましょう。 施設によっては、事前に予約すると食事の試食ができることも。実際に食べてみると美味しさがわかるだけでなく、盛りつけの仕方や食器の使いやすさも確認できます。 立地・周辺環境を確認 家族が面会に通い通いやすいことも、老人ホーム選びの重要なポイントです。電車を使う場合は駅からの距離、自家用車なら周辺の駐車場などもチェックしましょう。 また、老人ホームは第二の我が家となるため、本人が落ち着く環境がベストです。慣れ親しんだ自宅近くのほか、海沿いで育った方なら部屋から海が見えたり、花や緑が好きな方なら近くに公園があるなども良いでしょう。 さらに、自分で外出できる方なら、近くに商店街などがあると便利です。 設備について確認 設備の充実度は生活の質を左右します。 例えば、共有スペースの居心地の良さや寝たきりでも入れる入浴設備の有無などを確認しておきましょう。また、施設によっては温泉やカラオケルーム、ジムなどが備わっていることもあります。 居室内は、トイレやベッド・収納設備などの付帯設備の使いやすさをチェックするとともに、タンスやテレビなどを入れるスペースも確認します。 入居後に思い描く生活ができるかを確認 老人ホーム選びは、望んでいる生活が実現できるかも重要です。見学の際に必要なケアや希望するサービスをスタッフに詳細に伝え、実現可能か確認しましょう。 その際のスタッフの返答も大きな判断材料となります。希望に対して可能・不可能を答えるだけでなく、施設内での生活について例を示しながら提案してくれる施設であれば、信頼して入居できるでしょう。 その他のチェックポイント 老人ホームでの生活を豊かなものにするため、次のポイントも確認しておきましょう。 イベント・レクリエーション イベントやレクリエーションは、入居者の運動機能や認知機能の維持・向上を目的におこなわれます。また、楽しみながら身体や手先を動かすことで意欲を向上し、生きがいにもつながります。 施設により、イベントやレクリエーションの頻度や内容は異なります。自分が楽しめそうな活動のある施設を選べば、楽しく活動的に過ごすことができるでしょう。 私物の持ち込み 長年使い慣れた家具や家電を持ち込むことで、施設でも自宅にいるような安心感が得られます。しかし、大型家具などは施設により規定が異なるため確認が必要です。 多額の現金や貴金属類は、トラブルに発展する可能性があることから持ち込みを禁止している施設も少なくありません。また、貴重品は施設側で預かってもらえることもあります。 このほか、何が持ち込めて何が持ち込めないのかしっかり確認しておきましょう。 ペットとの入居 特に一人暮らしでペットを飼っている方にとって、ペットと一緒に入居できるかは重要です。 近年「アニマルセラピー」の研究が進み、ペットとの生活が高齢者の心身状態に良い影響を与えることから、ペットと同居できる施設も増えつつあります。 ただし、入居可能な動物の種類やペット向けのサービスは、施設ごとに異なります。ペットと一緒の入居を希望する方は、事前に確認しましょう。 老人ホーム選びの手助け 自分で老人ホームを探すのが困難だったり、どの施設が良いか決められない場合は、プロの意見を参考にしてはいかがでしょうか。 豊富な経験や知識をもとに、老人ホーム選びを助けてくれる3つの窓口を紹介します。 民間の紹介センター 民間のセンターでは全国の情報を網羅しているため、広範囲の老人ホームを探すのに便利です。 不動産会社のように施設を紹介してくれる民間企業も多く、紹介だけでなく見学や契約のサポートまでしてくれることも。 なお、民間の紹介センターは老人ホームからの手数料で運営されているため、利用者側は無料で紹介してもらえます。 ケアマネジャー 自宅などで介護サービスを利用している場合は、担当ケアマネジャーに相談するのがおすすめです。ケアマネジャーは介護現場のプロで、地域の施設について多くの情報を持っています。 また、自分の健康状態を正確に把握していることから、的確なアドバイスがもらえるのも大きなメリットです。 地域包括支援センター 介護認定を受けていない方は、地域包括支援センターを利用すると良いでしょう。 地域包括支援センターは保健医療の向上や福祉の増進を包括的に支援する施設で、市区町村からの委託により社会福祉法人や社会福祉協議会などが運営していることもあります。 地域の介護施設に詳しいだけでなく、介護認定の申請も可能です。また、介護のほか医療や成年後見制度など、高齢者の困りごとを幅広く相談できます。 老人ホーム選びは慎重に 老人ホームは施設ごとに設備やサービスが異なるため、施設選びがその後の生活の質を決めるといっても過言ではありません。質の良いサービスを提供する施設を選べば、快適で健康的な毎日を送れます。 老人ホームを選ぶ際は、資料を見るだけでなく実際に見学や体験入居し、複数の施設を比較してより自分に合った施設を見つけましょう。しかし、予算を見誤ると途中で資金が尽き、転院が必要になることも。余裕を持った資金計画も大切です。 入居後に後悔しないため、老人ホームはしっかり比較検討して選びましょう。 老人ホームの選び方に関するよくある質問 老人ホームを選ぶときのポイントは何ですか? 必ず確認したいのは、「施設全体・スタッフの雰囲気」「費用の内訳」「介護・医療体制」「食事内容」「立地・周辺環境」「設備」です。 特に「施設全体・スタッフの雰囲気」は実際に見学や体験入居をしてみないとわからないので、気になる施設がある場合、まずは施設の見学からおこないましょう。 すぐに入居できる施設はありますか? 入居者の年齢や身体状況、予算によってすぐに入居できるかが決まります。ただし即日入居というのは現実的に難しく、書類の準備や入居の審査などが必要となるため約1カ月程度が最短です。 事前に入居に必要な書類を揃えておくことで早めの入居が可能となる場合もあるので、見学の際などは施設側にどんな書類が必要なのかを聞きましょう。 老人ホーム選びを助けてくれる窓口はありますか? 主に「民間の紹介センター」「ケアマネジャー」「地域包括支援センター」などが挙げられます。 特に民間の紹介センターは、老人ホームからの手数料で運営されているため、利用者側は無料で老人ホームを紹介してもらえるメリットがあります。また民間の紹介センターは、老人ホームの情報に関して網羅しているので広範囲の老人ホームを探すのにも便利です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "老人ホームを選ぶときのポイントは何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/07

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

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