老人ホームは入居する施設の種類や入居条件によって必要資金が異なります。始めに予算を立てておくと資金計画が立てやすくなります。入居検討を始める人は、資金計画を立てるためのポイントをしっかり押さえましょう。
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老人ホームの入居を検討するにあたって押さえるべき3つのポイントは「世帯の資産」「収入」「入居期間」です。それぞれ見ていきましょう。
はじめに、どれだけの資産を保有しているかをしっかりと把握し、支払うことができる予算を検討しましょう。
資産としては預貯金額、退職金額などの現金や有価証券、土地や建物などの売却可能な不動産などです。売却予定のものは見積りをとって事前に資産価値を確認しましょう。
価値が変動する資産に関しては、低めの金額を想定をしておくと万が一のときにも安心できます。資産として下記の項目を確認しましょう。
今後見込める定期的な収入を確認しましょう。例えば退職金、企業年金の金額、年金受給額、利息、有価証券の配当、不動産を保有している人は家賃収入などが該当します。配当や家賃収入は変動するので低めの金額で設定すると良いでしょう。
厚労省資料「令和2年 簡易生命表の概況」によると、平均寿命は男性81.64歳、女性87.74歳と発表されています。
老後の資金計画を立てるには「老人ホームの入居期間」「入居するときに必要になる費用」「入居してから資金がどれだけ必要か」を前もってシュミレーションしておくことが大切です。
80〜84歳の約3割の人が要支援・要介護と認定されており、平均的な介護期間の「5年」を経て亡くなることをベースに考えると想定入居年数を設定することができます。あくまでもこの5年というのは目安です。
健康状態は常に変化するので、想定より多く見積もった方が安心です。
将来の資金計画を立てるにあたり、どういった費用項目があり、どれくらいの予算が必要なのかを具体的に把握しておくことが重要です。老人ホームにかかる費用は「初期費用」と「月額費用」の大きく分けて2種類です。
初期費用とは引っ越しにかかる費用や入居一時金を指し、月額費用は月額利用料として毎月の家賃、生活費、介護サービス費、医療費などが含まれます。施設の種類や入居一時金の有無で必要になる費用が大きく異なります。
必要な費用をシュミレーションして余裕を持った資金計画を立て、経済的に行き詰まることのないよう自身の経済状況にあった施設を選びましょう
入居時に支払う初期費用は事前に質問し、契約書などの書類で受け取るようにして、いつでも確認できるようにしましょう。
運営母体 | 施設の種類 | 入居時費用 |
---|---|---|
民間施設 | 介護付き 有料老人ホーム |
0~数千万円 |
住宅型 有料老人ホーム |
0~数千万円 | |
サービス付き 高齢者向け住宅 |
0~数十万円 | |
グループホーム | 0~数十万円 | |
公的施設 | ケアハウス (軽費老人ホームC型) |
0~数十万円 |
特別養護老人ホーム | 0円 |
入居時の費用としては、入居一時金や保証金などがあり、入居する施設によってさまざまです。
特に特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの公的施設には入居時費用はかかりませんが、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅などの民間の施設に入居する場合は入居時費用が必要で金額の幅も施設により大きく異なります。
自立している高齢者を受け入れている老人ホームに入居する場合、必要な家具や家電などの生活用品は自分で揃える必要があります。
購入品によって金額が大きく異なりますが、仮に全てを新調した場合、その費用は100万円以上かかります。大きな出費につながるのでその点についても検討する必要があります。
使い慣れた家具家電を持ち込むことで費用は抑えられます。何を、どの程度持ち込めるかは事前に施設へ確認しましょう。
在宅生活から老人ホームへの生活に切り替える際、自宅で使っていた家具家電を入居後も使い続けたい場合は引っ越し費用が発生します。
引っ越し業者を使った場合、輸送量や輸送方法、内容物によりますが、20万円から50万円程が相場です。寸法などを確認し、老人ホームと相談しましょう。
入居後に必要となる費用は、基本的に月単位で支払いが発生します。
ここでは入居後にかかる費用の主な3項目、「月額利用料」「介護サービスの自己負担額」「その他の費用」を解説します。各施設によって異なるので、長期的に見て自分の状況に合った施設を選びましょう。
運営母体 | 施設の種類 | 月額利用料 |
---|---|---|
民間施設 | 介護付き 有料老人ホーム | 15~30万円 |
住宅型 有料老人ホーム | 11~25万円 | |
サービス付き 高齢者向け住宅 | 11~25万円 | |
グループホーム | 10~15万円 | |
公的施設 | ケアハウス (軽費老人ホームC型) | 6~17万円 |
特別養護老人ホーム | 8~14万円 |
老人ホームの月額利用料の目安となる料金表をパンフレットやホームページ上で公開している施設もあります。主な月額利用料は、家賃、管理費、水道光熱費、食費などがあります。事前にチェックして、気になる項目については施設に問い合わせましょう。
特に、民間運営の施設の中には月額利用料が数十万円と高級志向の老人ホームもあり、施設によって非常に幅があります。気になる施設は事前に確認しましょう。
入居者が要介護認定を受けている場合は、介護自己負担額も月額の費用として必要です。また要介護度に合わせて自己負担額が変わり、例えば、介護付き有料老人ホームは定額、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅はサービスを利用した分の支払いという形です。
どの施設に入居しても利用した介護サービス費用には介護保険が適用され、自己負担額は1割から3割です。ケアプランを作成した時点である程度の自己負担額の計算ができるので下記の表を確認してみましょう。
1割負担額/月 | 2割負担額/月 | 3割負担額/月 | |
---|---|---|---|
要支援1 | 5,460円 | 10,920円 | 16,380円 |
要支援2 | 9,330円 | 18,660円 | 27,990円 |
要介護1 | 16,140円 | 32,280円 | 48,420円 |
要介護2 | 18,120円 | 36,260円 | 54,360円 |
要介護3 | 20,220円 | 40,440円 | 60,660円 |
要介護4 | 22,140円 | 44,280円 | 66,420円 |
要介護5 | 24,210円 | 48,240円 | 72,360円 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
1割負担額/月 | 2割負担額/月 | 3割負担額/月 | |
---|---|---|---|
要支援1 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
要介護1 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護3 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
要介護4 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
要介護5 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
老人ホームに入居すると、日用品などの費用も出費として考える必要があります。
例えば、個人的な消耗品であるおむつを日常的に使うことになる場合、毎月のおむつ代は利用者が負担しなければいけません。歯ブラシや石鹸、お菓子や本なども自己負担となります。
また、施設のレクリエーションに使う材料費なども介護保険の対象外なので費用がかかります。
近年、複数の料金プランを準備している有料老人ホームが増えてきました。一般的には、有料老人ホームの入居一時金の金額によって、月額利用料が変わるシステムです。
例えば、入居一時金が0円だった場合のプランは月額利用料でカバーするのでその分高くなります。
また、入居一時金を一括で支払っておくと、月額利用料の負担は安く済みます。入居期間が長ければ長くなるほど、入居一時金を支払っておいた方が結果的にお得となり、逆に入居期間が短い場合は入居一時金が0円プランの方がお得となります。
このように入居期間を予め想定しておくと、自分に合った料金プランを選択することができます。
老人ホームに入居する場合、初期費用、月額利用料を考えなくてはなりません。
民間運営の施設に入居する場合はサービスが手厚い分、費用が高くなります。老人ホームに入居するためには、相当額の資金を準備しておくことが大切です。
実際、お金の工面に苦労する人が多く、資産の大半を占めるのは土地や家屋などの不動産のため現金が足りず、入居費用を支払えない人が少なくありません。
こうした高齢者の不安を鑑み、保有する不動産をもとに老人ホーム入居資金を捻出できる制度があります。ここでは制度や仕組みについて紹介します。
老後資金に関する問題について不安を感じている人が多いのが現状です。そんな中、近年話題に上がっている「リバースモーゲージ」は、自分の家に住み続けながら、その自宅を担保にして老後資金を借りることができる制度です。
メリットとしては、自宅を手放さずに老後資金を借りられること、借入した毎月の支払いは利息のみという点。
デメリットは長生きすると融資金額が足りなくなる可能性があること、不動産価値が下がった場合、融資額が見直される、利息が上昇するリスクがあるという点です。
そんなリバースモーゲージには社会福祉協議会がおこなう「公的プラン」と金融機関が行う「民間プラン」の2種類があります。
公的プランは厚生労働省の「不動産担保型生活資金」が代表的です。この制度は各都道府県の社会福祉協議会が受付窓口となり、高齢低所得者の自立支援を目的としているので老後の生活資金のみにしか利用できません。
民間プランは各金融機関が独自に実施しており、投資、事業用資金目的以外なら原則自由に利用できます。近年は「金融商品型リバースモーゲージ(住宅ローン)」の取り扱いが増えてきています。
利用ができれば老後の暮らしを充実させることができますが、その反面、不動産価値の変動や支払う利息の上昇のリスクもあり「相続人への負担が気になる」という人が多いのも事実です。
マイホーム借り上げ制度とは、国土交通省が支援する一般社団法人「移住・住みかえ支援機構(JTI)」が運営する制度です。50歳以上の人の自宅をJTIを経由して第三者に賃貸住宅として貸し出します。
そして、JTIから終身にわたり賃料が支払われるため生涯にわたって家賃収入が見込めます。対象となる家は1981年6月以降の新耐震基準で新しく建てられた家です。
子どもが実家を離れて夫婦二人で生活するなどライフステージの変化によって住み替えを検討することも考えられます。老人ホームなどに住み替える際は、自宅を賃貸住宅にした家賃収入で入居費用を作ることができます。
誰もが預貯金や不動産などの資産を持っているわけではなく、事情があって資産の処分ができないなどの場合もあるでしょう。
年金だけで有料老人ホームの費用を支払える人はごく一部です。親の介護、老人ホームへの入居を考えたとき「誰のお金を充てるのか」を時間に余裕をもって検討しましょう。
介護、老人ホームの費用を親の貯金や年金などの収入でまかなう場合は、親にどれくらいの資産があるのかを把握しておく必要があります。
切り出すことは難しい話題ですが、老後資金についての相談、印鑑や通帳などの重要書類の保管場所を親が元気なうちに聞いておきましょう。
このような話し合いは普段の親子関係が円満ではないと話しづらいものです。将来の親の生活のために必要になる情報なので、日頃から親子でコミュニケーションをとって信頼関係を築いておきましょう。
老後資金について不安があれば、お金のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)に相談すると将来のマネープランを作成してくれます。FPには専門性があるので、介護・老後家計が強いFPを紹介してもらいましょう。
日本FP協会の調査によると1時間あたりの相談料は約5,000円から10,000円台の範囲が相場です。相談業務なので相性やスタンスなども大事なポイントです。
契約後の相談や見直したいケースも出てくるので、契約する前にFPがおこなっているセミナーや説明会に参加してみることもおすすめします。また各地方自治体や消費生活センターが無料相談を実施しているので活用してみましょう。
まずは「預貯金、退職金」「土地やマンションなど、売却可能な不動産」などの資産を確認し、今後見込める定期的な収入も把握しておきましょう。
また、老人ホームへの入居の際に重要なのが、入居期間を想定することです。入居期間を誤って想定してしまうと資金が尽きてしまう可能性もあります。健康状態は常に変化するので、想定より多く見積もった方が安心です。
入居時に必要な費用として「入居一時金」「家具・家電などの生活用品」「引っ越し費用」などが挙げられます。特に、入居一時金については0~数千万円と施設により設定がさまざまです。入居する施設に合わせて資金計画を練ることが重要です。
入居後に必要な費用として「月額利用料」「介護サービスの自己負担額」「その他費用」などが挙げられます。
月額利用料は、家賃、管理費、水道光熱費、食費などがあります。介護サービスの自己負担額については、要介護度によって負担額が異なり、介護付き有料老人ホームでは一定額、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅ではサービスを利用した分の支払いと施設の種類によってさまざまです。
また、その他費用は個人によりさまざまで、例としておむつや歯ブラシ、石鹸などといった日用品が挙げられます。入居者の身体状況により金額の変動があるので注意しましょう。
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