老人ホームに入居する際、施設側から「身元保証人が必要」と説明を受けることがほとんどでしょう。身元保証人は誰でもなれるのか気になりますね。
老人ホームの身元保証人は「老人ホームにおける費用の金銭面の保証人」のため、無職の人は身元保証人になれません。また、一定の収入がある証明を施設側に提出する必要があります。
この記事では、「老人ホームの身元保証人にはどんな人がなれるのか」「身元保証人に心当たりがない人はどうすれば良いのか」を解説しますので、参考にしてみてください。
Contents
無職の人は老人ホームの身元保証人にはなれません。なぜなのでしょうか?
身元保証人は入居者の金銭面の保証をする役割があるので、無職の人では身元保証人を務められません。
身元保証人の年収や資産状況などは金額が具体的に決められているわけではありませんが、施設と契約するときには収入を証明する書類の提出が必要です。
身元保証人とは、施設では対応しきれないことが起こった場合に、入居者に代わって対応する人のこと。例えば、以下のような対応を求められます。
身元保証人と似たものに「身元引受人」というものもあります。身元引受人と身元保証人は法的に区別されていないため、一人でその両方の役割を担う場合もあれば、それぞれ一人ずつ必要な場合もあります。
身元保証人と身元引受人を区別している老人ホームでは、主に身元保証人は「入居者の債務の保証をする人」、身元引受人は「入居者の意思を尊重した対応や決断をする人」と役割を分けている場合が多いです。
身元保証人と身元引受人がそれぞれ必要なのか、一人で十分なのか、施設によってさまざまなので、施設を検討する際にしっかり確認しましょう。
身元保証人の条件は、その役割に対して責任を担うことができる人物でなければなりません。身元保証人の条件は主に以下が挙げられます。
身元保証人は、施設によって条件を満たせば友人や知人が引き受けられる場合もあります。しかし、配偶者や子どもなど、親族が身元保証人になるのが望ましいです。身元保証人は金銭の取り扱いや入居者の意思決定という重要なことも代行するため、入居者と信頼関係があり入居者をよく知る人が適任とされるためです。
また、身元保証人に明確な年齢制限は定められていませんが、高齢すぎないことが条件に挙げられます。高齢すぎると施設の費用の支払い能力や、判断力の低下などが原因で、身元保証や連帯保証の責任を負えなくなる可能性があるためです。
身元保証人がいなくても入居できる老人ホームはあります。しかし、その数はとても少ないです。
2013年に公益財団法人がおこなった実態調査では、老人ホームなどの施設の91.3%が身元保証人を必要としているとの結果が出ています。
出典:「病院・施設等における身元保証等について」(公益財団法人成年後見センター・リーガルサポート)
身元保証人の心当たりがない人は、身元保証人が不要な施設を探す他に、主に以下の方法で施設に入居できる場合があります。
それぞれ詳しく見てみましょう。
身元保証会社とは、身元保証人の役割を代行するサービスを提供する会社です。主に民間企業やNPO法人が運営しています。弁護士や司法書士、行政書士といった法律の専門家と連携し、身元保証や連帯保証を引き受けてくれます。
身元保証会社が提供するサービスは会社によってさまざまですが、主に以下のサービスがあります。
身元保証会社を利用するには、当然ながら費用が必要となります。利用する身元保証会社やサービス内容によって、費用は大きく異なります。
費用の支払い方法は、預託金としてあらかじめまとまった金額を先払いして何かあったときには預託金から支払うスタイルや、契約時の初期費用とさらに月額費用も両方引き落とされるスタイルになっていることもあります。
契約内容によってはかなり高額になることもあるので、事前に費用を確認しましょう。
身元保証会社は会社によってサービス内容がさまざまです。さらに、身元保証会社によって預託金、月額費用、初期費用などかかる費用の種類も異なります。
身元保証会社を選ぶ際には以下の点を注意しましょう。
施設によっては身元保証人がいなくても、成年後見制度を利用し、成年後見人を立てることで入居できることもあります。成年後見制度とは、 認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分である人の援助者(成年後見人)を選ぶ制度です。
成年後見人には、本人に代わって財産管理や法律行為をおこなう代理権と、本人がおこなった法律行為の取り消しができる取消権の権限が与えられます。
成年後見制度(成年後見人)には大きく分けると2つの制度があります。
法定後見制度は、すでに判断能力が不十分である場合に本人に代わって支援する制度。任意後見制度は、将来、判断能力が不十分になってしまった場合に備えておくための制度のことを指します。
身元保証会社と成年後見人の大きな違いは、万が一、入居者の資産がなくなり支払いができなくなっても、生活保護などの行政手続きを成年後見人がおこなえるため、支払いが滞らない点です。
身元保証会社は身元の保証をしてくれる会社なので、入居者に代わって法的手続きはおこなえません。成年後見人は入居者に代わり、財産管理や法律行為をおこなう権利を持っているので、生活保護などの申請ができるのです。
生活保護者の受け入れが不可の老人ホームの場合だと施設を変えることになりますが、その手続きも成年後見人なら務められます。
成年後見人は身元保証人にはなれません。成年後見人は入居者の財産を管理するので、成年後見人が身元保証人になると、「自分で管理している財産を自分で連帯保証をする」といった状態になってしまうからです。
成年後見人は入居者の債務の保証はできませんが、入居者の財産管理をしているので入居者に代わって資産から費用の支払い手続きをすることは可能です。そのため、「身元保証人がいなくても、成年後見人がいれば入居できる」としている施設があるのです。
しかし、施設によっては、成年後見人がいても身元保証人をたてる必要がある場合もあるので、入居前によく確認しましょう。
身元保証人に関するトラブルには以下があります。
それぞれ詳しく見てみましょう。
身元保証人に関するトラブルに「知らない間に勝手に身元保証人にされてしまった」というものがあります。身元保証人の条件に合うからといって、親族や友人・知人を勝手に身元保証人にするのはやめましょう。
身元保証人は入居者に代わって意思決定をおこなったり、金銭面の管理をしたりなど、重要な立場です。身元保証人は、よく話し合って慎重に決めましょう。
入居した当時は身元保証人に十分な収入があったとしても、将来、身元保証人の経済状況が変わってしまうこともあります。例えば、身元保証人が自己破産をしたり、職を失ってしまったりした場合などです。
身元保証人の経済状況が変わってしまった場合には、身元保証人を変更しなくてはなりません。
身元保証人が入居者よりも先に亡くなってしまうというトラブルも、まれにあります。万が一、身元保証人が入居者よりも先に亡くなってしまった場合には、新しく身元保証人をたてるか、身元保証会社を利用する必要があります。
基本的に亡くなるリスクが高い高齢の人は、身元保証人になれない場合がほとんどです。しかし若い人であっても、交通事故や天災によって急死する可能性はあります。身元保証人が亡くなったり連絡がつかなくなったりするリスクを心配する人は、はじめから身元保証会社を有効活用するのも良いでしょう。
老人ホームに入居した後も身元保証人は変えられます。身元保証人を変える理由はさまざまですが、主には以下の場合が多いです。
身元保証人を変える場合には、新しい身元保証人が条件を満たしているか、施設側が確認する必要があるため、必要書類を提出し、もう一度審査をします。身元保証人を変更する際は、施設側に事情を説明し必要な手続きをしましょう。
老人ホームの身元保証人は無職の人はなれません。身元保証人は入居者の金銭面の保証をする役割があるので、一定の収入が必要だからです。施設と契約するときには収入を証明する書類の提出が必要です。
身元保証人がいなくても入居できる老人ホームはあります。しかし、「身元保証人が不要の施設」は全体の約1割と、とても数が少ないです。身元保証人の心当たりがない人は、身元保証会社を利用するという手段があります。また、施設によっては身元保証人がいなくても、成年後見制度を利用し、成年後見人を立てることで入居できることもあります。
身元保証人に関するトラブルには「知らない間に勝手に身元保証人にされてしまった」「身元保証人の経済状況が変わってしまい、入居者の金銭面の保証ができなくなってしまった」「身元保証人が入居者よりも亡くなってしまった」などがあります。
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