介護医療院とは、要介護の高齢者が身体介助や生活援助、手厚い医療ケアサービスが受けられる公的施設のことで、2018年に新設されました。
ここでは、介護医療院の詳細や費用について解説します。入居先の老人ホームを選ぶ際の参考にしてください。
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介護医療院には入居時に費用がかかりません。月額利用料の相場は10~20万円ほどで、民間が運営する有料老人ホームなどに比べて低めの費用設定になります。
月額利用料は介護サービス費(おむつ代含む)、食費、居住費、日常生活費などが含まれます。
費用は医療体制や設備の充実度、人員配置などにより変動するので、詳しくは施設に確認すると良いでしょう。介護サービス費については原則1割負担ですが、収入による軽減措置もあります。
介護医療院には「Ⅰ型介護医療院」と「Ⅱ型介護医療院」があります。Ⅱ型のほうがⅠ型より比較的容体が安定した高齢者が入所します。
それでは詳しくご説明していきましょう。
Ⅰ型は比較的重度の要介護者を対象にしており、医療ケアを提供する介護療養型医療施設と同等の扱いとされています。
Ⅰ型は、さらに強化型A・強化型Bに分かれており、それぞれの特徴は以下の通りです。
比較項目 | 強化型A | 強化型B |
---|---|---|
重症度割合 | 50%超 | 50%超 |
医療措置 | 50%超 | 30%超 |
ターミナルケア | 10%超 | 5%超 |
リハビリ | 要件あり | 要件あり |
地域貢献活動 | 要件あり | 要件あり |
出典:「介護療養型医療施設及び介護医療院」(厚生労働省)
Ⅱ型は入居者の家庭復帰をリハビリなどを通してサポートする介護老人保健施設と同等の扱いとなっており、Ⅰ型の方がⅡ型よりも重い疾患を抱えている患者が対象と言えるでしょう。
介護医療院の月額費用の内訳は以下の通りです。
介護医療院の月額費用の中身について詳しく説明していきます。
Ⅰ型は療養機能を強化した「強化型A」と「強化型B」の2つの施設があります。療養機能強化型Aのほうが療養機能強化型Bより医療処置やターミナルケアを受ける高齢者の割合が多くなっています。
Ⅰ型は喀痰吸引、インスリン注射、ターミナルケア、リハビリが必要な高齢者が多く入所しているため、医師や看護師、介護職員の人員配置基準も高く、介護療養型医療施設と同レベルの水準です。
A型もB型もどちらも要介護度が高くなると金額も上がり、1日あたり800~1,300円ほどの金額設定です。サービス費は所得や施設の形態、居室の種類、職員の配置などに変動します。
従来的個室 | 多床室 | ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 | |
---|---|---|---|
要介護1 | 721円 | 833円 | 850円 |
要介護2 | 832円 | 943円 | 960円 |
要介護3 | 1070円 | 1182円 | 1199円 |
要介護4 | 1172円 | 1283円 | 1300円 |
要介護5 | 1263円 | 1375円 | 1392円 |
参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
Ⅱ型はⅠ型に比べて比較的容態が安定した高齢者が対象です。Ⅰ型と比べると金額は安めの設定です。金額は1日あたり730~1,200円ほどになります。
従来的個室 | 多床室 | ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 |
|
---|---|---|---|
要介護1 | 675円 | 786円 | 850円 |
要介護2 | 771円 | 883円 | 960円 |
要介護3 | 981円 | 1092円 | 1199円 |
要介護4 | 1069円 | 1181円 | 1300円 |
要介護5 | 1149円 | 1261円 | 1392円 |
参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
居住費の基準費用額は以下の通りです。※居住費は施設タイプによって異なります。
介護医療院は「多床室タイプ」がほとんど。多床室タイプは室料はかからず、光熱費相当を支払うことになります。また、所得に応じた軽減措置があります。
費用基準額は1日300~1,380円ほどで、所得に応じて変動し、軽減措置があります。
食費は1日単位ごとの請求で、食事をしない日(入院や外泊など)は請求されません。また、費用には食事提供と食事介護が含まれています。
日常生活費は、理美容や新聞、電話、クリーニングといった費用が対象です。オムツ代は日常生活費に含めず介護サービス費に含まれるために注意が必要です。
介護医療院の主なサービス加算は以下3項目です。
なるべく毎月の費用は抑えたいもの。介護医療院の費用を軽減できる制度は以下3項目です。
それでは詳しく説明していきましょう。
前述の月額利用料は、所得に応じて支払い額が決まる仕組みになっています。簡単に言うと、所得が少ない人ほど支払いの負担が軽くなる、ということです。
この分類は5段階に分かれているので、以下で入居者本人がどれに当てはまるのか確認しておきましょう。
出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)
生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で本人及び世帯全体が市民税非課税
居住費の負担限度額 | 食費の負担限度額 | |
---|---|---|
多床室 | 0円 | 9000円 |
従来型個室 | 9600円 | |
ユニット型個室的多床室 | 1万4700円 | |
ユニット型個室 | 2万4600円 |
出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)
本人及び世帯全体が市民税非課税で合計所得金額+課税年金収入額が80万円以下の方
居住費の負担限度額 | 食費の負担限度額 | |
---|---|---|
多床室 | 1万1100円 | 1万1700円 |
従来型個室 | 1万2600円 | |
ユニット型個室的多床室 | 1万4700円 | |
ユニット型個室 | 2万4600円 |
出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)
世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額80万円を超え120万円以下の人
居住費の負担限度額 | 食費の負担限度額 | |
---|---|---|
多床室 | 1万1100円 | 1万9500円 |
従来型個室 | 2万4600円 | |
ユニット型個室的多床室 | 3万9300円 | |
ユニット型個室 | 3万9300円 |
出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)
世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額120万円を超える人
居住費の負担限度額 | 食費の負担限度額 | |
---|---|---|
多床室 | 1万1100円 | 4万800円 |
従来型個室 | 2万4600円 | |
ユニット型個室的多床室 | 3万9300円 | |
ユニット型個室 | 3万9300円 |
出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)
上記以外の人
居住費の負担限度額 | 食費の負担限度額 | |
---|---|---|
多床室 | 2万5200円 | 4万3350円 |
従来型個室 | 3万4500円 | |
ユニット型個室的多床室 | 4万9200円 | |
ユニット型個室 | 5万9100円 |
出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)
「高額介護サービス費制度」は、1ヵ月の介護保険サービス自己負担額が限度額を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。支給対象の方には自治体から「支給申請書」が送られくるので、忘れずに申請しましょう。
高額介護サービス費の支給を受ける際は、各自治体の窓口に申請しましょう。以下、申請時に必要な主な書類をまとめました。
「高額医療・高額介護合算制度」は、同一世帯で支払った介護保険サービスと医療費の自己負担額の合計が基準を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。合算期間は8月1日から翌年の7月31日で、利用するには自治体の国民健康保険窓口で申請します。
ただし、同一世帯内でも「夫が75歳以上で後期高齢者医療保険、妻が75歳未満で国民健康保険」など、加入する保険が異なる場合は合算することができません。さらに、基準を500円以上越えない場合は適用外です。
高額医療・高額介護合算制度を利用する際は、各自治体の窓口に申請しましょう。以下、主に必要な書類をまとめました。
介護医療院は公的施設に分類され、入居時に費用はかかりません。月額利用料の目安は約10~20万円程が目安で有料老人ホームと比較すると比較的安価で入居できます。
ただし介護医療院は、主に医療的ケアを必要とした人を対象としており、施設の医療体制や医療設備の充実度、人員配置によって費用が変動するので注意が必要です。
月額利用料の内訳は「介護サービス費」「居住費」「食費」「日常生活費」です。
特に「介護サービス費」についてはⅠ型とⅡ型で異なり、またⅠ型では入居者の身体状況に応じてさらに「強化型A」「強化型B」とわけられ、それぞれ金額が異なります。入居を検討する際は、「介護サービス費」について確認しましょう。
介護医療院は、入居者に対して「医療」「介護」だけでなく「生活の場」を提供する施設です。基本的な介護ケアはもちろん、医師が常駐し、たんの吸引や経管栄養といった医療的処置にも対応が可能です。また看取りの役割も担っています。
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