年金だけで老人ホームに入れる?入居できない場合の対処法と生活保護も解説

年金だけで老人ホームに入れる?入居できない場合の対処法と生活保護も解説

公開日 2022/06/16

「年金だけで老人ホームへ入居できるのかな?」と考えたことがある方は比較的多いことでしょう。

結論から言えば、年金だけで入居できる老人ホームは存在します。ただし、選択できる老人ホームの数が少なかったり入居条件が厳しかったりする場合があります。

この記事では、年金だけで入居する場合のおすすめ施設や、年金のみで老人ホームへ入居できない場合の対処法を解説しています。

年金だけで入居が可能か確認したい2つのこと

年金だけで入居できるかは、受け取れる金額の確認をしましょう。

年金だけで老人ホームに入居することは可能です。特に特別養護老人ホームのような公的施設は低価格で入居することができ、非常に人気の施設です。

また、昨今ではサービス付き高齢者向け住宅グループホームなどの民間施設も低価格でサービスを提供しており、年金だけで生活していける可能性があります。

ただし受給しているのが国民年金のみ(=受給額が少ない)の場合は、老人ホームの選択肢が少なくなり、最悪のケースとして入居先がないということも考えられます。

そこで、まず考えなければいけないのが「年金をいくらもらえるのか」と「老人ホームでの生活にいくら必要なのか」という収支のバランスです。

受け取れる年金額を把握しよう

受け取れる年金額は国民年金のみで約6万円程、厚生年金の場合は約21万円程が支給されています。

以下では、令和4年度の月額の年金金額をまとめました。

厚生年金国民年金
令和4年度
219,593円
64,816円

出典:「令和4年4月分からの年金額」(日本年金機構)

すでに年金を受給している方で「いくら年金をもらってるかわからない」という場合は、銀行口座の確認をしましょう。年金は2ヵ月に一度支給されるので、その金額を1/2にすることで月額の金額を把握することができます。

老人ホームでかかる2種類の費用

老人ホームは、国や自治体などが運営している「公的施設」と民間企業が運営する「民間施設」とに分けられます。

老人ホームの費用は、契約時に必要になる「初期費用」と、毎月かかる「月額費用」の2種類に分かれます。

以下では、公的施設と民間施設の費用相場をまとめました。

施設の種類公的/民間初期費用月額費用
介護付き
有料老人ホーム
民間0~数千万円15~30万円
住宅型
有料老人ホーム
民間0~数千万円11~25万円
サービス付き
高齢者向け住宅
民間0~数十万円11~25万円
グループホーム民間0~数十万円10~15万円
ケアハウス公的0円~数十万円6~17万円
特別養護
老人ホーム
公的0円8~14万円
介護老人
保健施設
公的0円8~14万円
介護医療院公的0円10~20万円
ホスピス民間施設や入院期間
により異なる
施設や入院期間
により異なる

公的施設の場合、民間施設よりも格段に費用が安く、厚生年金を受給していれば年金だけで生活していくのも不可能ではありません。

ただし、月額費用はあくまで家賃・管理費・食費・水道光熱費などで、医療費や介護保険自己負担額、日用品や嗜好品購入代などが別途必要になることを理解しておく必要があります。そのため老人ホームへの入居の際は、余裕を持って予算を組みましょう。

年金だけで入居するなら3つの公的施設

年金だけで老人ホームに入居したいと思ったら「公的施設」がおすすめ

本人や家族が介護施設を選択する際に重要視するポイントはさまざまです。今回のように費用を重視して年金だけで入居したいという場合は、国や自治体などが運営している「公的施設」が初期費用や月額費用も抑えられるのでおすすめです。

以下では、年金だけで入居できる可能性のある3つの公的施設をまとめました。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホーム(以下特養)は、要介護度が高く、在宅での生活が困難な高齢者に対し介護を提供する施設です。

特養は、初期費用が不要で月額費用も安いことが魅力のひとつです。しかし特養は、金額が安いため入居を希望する方が多く、数年待つというケースも珍しくありません。

費用目安と入居条件は以下の通りです。

<費用目安>
  • 初期費用:不要
  • 月額費用:8~14万円
<入居所件>

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(以下老健)は、高齢者の健康維持のためのリハビリテーションを提供する施設です。終身的な利用を目的とした施設ではなく、あくまで在宅復帰を目指しています。

老健も特養と同様に初期費用が不要で、月額費用も低価格で入居できます。ただしリハビリをおこない在宅復帰することが目標となっているため、長期的に入居はできず、原則として3~6ヵ月が期間として設けられています。

費用目安と入居条件は以下の通りです。

<費用目安>
  • 初期費用:不要
  • 月額費用:8~14万円
<入居条件>
  • 要介護1以上
  • 病気や怪我が原因で医師からリハビリが必要と判断された人

介護医療院

介護医療院は、介護サービスに加え手厚い医療的ケアを受けられる施設です。長期療養を目的としているため、期間は設けられておらず、看取りやターミナルケアにも対応しています。

介護医療院も初期費用は不要ですが、医療的ケアをおこなうという面で特養や老健と比べて月額費用が高くなっています。

費用目安と入居条件は以下の通りです。

<費用目安>
  • 初期費用:不要
  • 月額費用:10~20万円
<入居条件>
  • 要介護1以上
  • 日常的に医療的ケアを必要とする人
低価格帯の老人ホームは競争率が高い 年金だけで老人ホームを利用することは不可能ではありません。厚生年金受給者であればギリギリ対応することができ、国民年金受給者であっても最低価格帯の老人ホームに入居することができれば生活していくことができます。しかし、低価格帯であればあるほど競争率が上がり、待機人数が多いのが現状です。

年金だけで生活できる老人ホームはありますが、あくまで最終手段として認識しておく必要があります。

年金だけで入居できない場合の対処法

年金のみで入居できない場合は、生活保護を受給するか在宅介護サービスを活用するのも一案です。

国民年金のみの場合、いくら公的施設が低価格と言っても入居が難しい可能性が高いです。では、年金だけで老人ホームに入居できない場合はどうすれば良いのでしょうか。

以下では、入居できない場合の対処法をまとめました。

生活保護を受給する

資産がなく、家族からの援助も見込めず、生活が困窮する恐れがあると判断された場合、年金をもらっていても生活保護を受給することができます。ただし、生活保護を受給するとさまざまな制限を受けることになるため、あくまで最終手段として認識しておきましょう。

生活保護を受給していても老人ホームへの入居は可能です。ただし、すべての老人ホームが生活保護受給者を受け入れているわけではなく、生活保護法による指定を受けた施設に限られます。入居を希望する際は、以下の窓口で生活保護受給者を受け入れてくれる老人ホームを探してもらうと良いでしょう。

  • 市区町村の生活支援担当窓口
  • ケースワーカー
  • ケアマネジャー
  • 老人ホーム紹介センター

特に老人ホーム紹介センターは、入居までのサポートをおこなってくれることはもちろん、各老人ホームに対して幅広く知識を持っていることが特徴です。そのため、費用面で困っている方に対して最適な施設を紹介することが可能です。

在宅介護サービスを活用する

年金のみで老人ホームの費用が賄えない場合は、在宅介護サービスを活用するのも一案です。自宅で介護をおこなうことで家族の介護負担は増えますが、その分、老人ホームへ支払う家賃や管理費などの月額費用をカットすることができます。

以下では、主な在宅介護サービスをまとめました。

  • 自宅で介護サービスや生活支援を受けたい「訪問介護
  • 施設に通いながら介護サービスやリハビリを提供してほしい「デイサービス
  • 施設に泊まって介護サービスを受けたい「ショートステイ

上記のサービス以外にもさまざまな種類の在宅介護サービスが存在します。利用する人の身体状況や介護度に合わせて活用しましょう。

年金で老人ホームに入居する際によくある質問

年金のみで老人ホームに入居できますか?

年金だけで入居できる施設はあります。ただし選択肢が少なく、希望のサービスを受けられないこともあります。資産や預貯金がない場合は、厳しい条件になるということを認識しておきましょう。

年金のみで老人ホームに入居する場合どんな施設に入居すれば良いですか?

特養や老健などの「公的施設」、サービス付き高齢者向け住宅やグループホームなどの低価格帯の「民間施設」に入居することで、年金の範囲内で生活できる可能性があります。ただし、入居条件が「要介護3以上」であったり入居期間が設けられていたりする場合があるので、入居を検討する際は該当の施設に確認しましょう。

公的施設はすぐに入居できますか?

年金で入居できるほどの安価な施設となるため、待機人数が多いのが実情です。特に特養に至っては、申し込みをしてから数年待ちという話も珍しくありません。入居を希望する際は、複数の施設に申し込むなど計画的に動きましょう。

▶「いい介護」で低価格な老人ホームを探してみる

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

article-image

【動画でわかる!】グループホームの費用はいくらかかる?月額利用料の内訳や初期費用を徹底解説!

認知症の方の入居先を探す際、選択肢に挙がるのが認知症の高齢者が共同生活を営む小規模介護施設「グループホーム」です。 この記事では、グループホームの入居一時金や月額利用料を詳しく解説。グループホームで使える助成制度についてもご紹介しています。 https://youtu.be/5Bec4lhyW4M グループホームにかかる費用の相場 グループホームの費用には、入居時に必要な「初期費用」と毎月発生する「月額利用料」があります。民間、社会福祉法人、医療法人、NPO法人とさまざまな団体がグループホームを運営していることから、施設ごとの費用やサービスには差があります。 初期費用は0円の施設から100万円程度の施設まであり、平均すると10~20万円程度。月額利用料は施設の立地やサービス内容によっても異なり、おおむね15~30万円程度です。 一般的な有料老人ホームに比べると、初期費用・月額利用料ともに費用を抑えて入居することが可能です。 項目 ...

2021/11/15

article-image

グループホームに必要な人員基準|注意点と他施設との比較

「グループホームの職員はどれくらい配置されてるの?」「夜間に人が少ないと徘徊などに対応できないのでは?」などとグループホームの人員基準に関して疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、グループホームの人員基準と注意点、他施設との比較に関して解説しています。 「グループホームの入居を検討しているけど、どんな人からサポートを受けられるの?」などと悩まれている方は、是非、参考にしてみてください。 グループホームは主に4つの人員基準で成り立っている グループホームの人員基準は主に次の4つの職種で設定されています。 介護職員 計画作成担当者 管理者 代表者 それぞれの人員基準について詳しく見ていきましょう。 介護職員の人員基準 介護職員は入居者の生活援助や身体介助などの業務を担っており、入居者3人に対して1人以上配置されます。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 入居者の見守りは深夜も必要なため、介護職員は24時間体制で常駐しています。また、複数のユニットがあるグループホームは、ユニットごとに専任の介護職員が配置されます。 計画作成担当者の人員基準 計画作成担当者は入居者一人ひとりに合わせたケアプランを作成する職員で、ユニットごとに1人以上配置されます。なお、1つの事業所に2ユニットある場合は計画作成担当者も2人必要です。 計画作成担当者になるには次の要件を満たす必要があります。 実務者研修基礎課程または認知症介護実践者研修を修了していること 専らその職務に従事する者であること また、計画作成担当者のうち最低1人は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格の保有が必要です。 管理者の人員基準 管理者とは経営や人事・労務管理など管理業務を担う職員で、ユニットごとに常勤の管理者が配置されます。自らも介護サービスの実施や他の職員の指導をおこなうため、介護の知識や経験も必要です。 管理者になるには次の要件が求められます。 特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで3年以上従事した経験があること 厚生労働省が規定する管理者研修を修了していること 特定の介護施設における3年以上の実務経験に加え、認知症高齢者介護の経験も必要です。さらに厚生労働省の管理者研修を受けて、ようやく管理者になるための基準を満たせます。 なお、管理業務に支障をきたさなければ、ほかの職種との兼任も可能です。 代表者の人員基準 管理者の管理対象がユニット単位なのに対し、代表者はグループホーム全体を管理します。代表者になるには、次の要件を満たす必要があります。 介護施設で認知症高齢者介護に従事した経験を持つこと、もしくは保険・医療・福祉サービスの提供をおこなう事業所の経営に携わった経験があること 厚生労働省が定める認知症対応型サービス事業開設者研修を修了していること グループホームの人員基準の注意点 グループホームの人員基準を職種ごとに説明してきましたが、注意する点もあります。しっかり把握したうえで入居施設を選びましょう。 介護職員が常勤ではない場合がある 介護職員の人員基準は入居者3人に対して1人以上のため、1ユニットあたり最低でも2~3人が配置されます。全員が常勤である必要はなく、1人以上の常勤職員がいればパートやアルバイトなどの臨時職員も起用できます。このため、特に食事や入浴など人手が多く必要な時間帯では、非常勤職員が担当となる場合も多いです。 規定の人数が必ず24時間確保されているわけではない グループホームの人員基準は入居者3人に対して介護職員1人と決められています。しかし、適用されるのは日中のみで、24時間この人数が常駐するわけではありません。 人員基準は時間帯によって異なり、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。このように、時間帯によっては介護職員が手薄になる場合もあると把握しておきましょう。 規定の3:1を超えない場合もある 入居者3人に対して介護職員1人という比率は、実際に介護現場で働いている職員数ではなく労働時間をもとに計算します。つまり、人手が多く必要な時間帯を手厚くした分、それ以外の時間帯の職員数を抑えることも可能です。このように実際に働く職員数は人員基準をもとに調節されるため、時間帯によっては既定の「3:1」を超えないこともあります。 グループホームによってサービスの質や人員は大きく変わる グループホームの人員の最低基準は厚生労働省によって決められていますが、実際にどのくらい配置するかは施設の裁量に任せられています。このため、基準をギリギリクリアする施設もあれば、基準を上回る人員を確保している施設もあります。 人員が豊富なグループホームは職員一人ひとりにかかる負担が抑えられるため、サービスの質が向上します。逆に人員が少ないと、時間帯によってはサービスが行き届かなくなることも。人員配置によってサービスの質や量は変わるため、入居前に確認することが大切です。 グループホーム以外の介護施設の人員基準 グループホームだけでなく、ほかの介護施設の人員基準も知っておきましょう。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、特別養護老人ホームの人員基準を紹介します。 介護付き有料老人ホームの人員基準 介護付き有料老人ホームは、主に介護を必要とする高齢者が介護や生活支援を受けながら生活する施設です。 介護付き有料老人ホームの人員配置の最低基準は、要支援2以上の入居者3名に対して介護職員または看護職員を1名配置する「3:1」と決められています。施設によっては「2.5:1」「2:1」「1.5:1」などさらに手厚い配置にしている場合もあり、サービスが向上する分上乗せ介護費用が発生することもあります。 その他の主な人員は下記の通りです。 施設長(常勤の管理者) 事務員 生活相談員 看護職員 機能訓練指導員 計画作成担当者 栄養士 調理員 住宅型有料老人ホームの人員基準 住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯、清掃といった生活支援サービスを受けられる高齢者施設です。 管理者を1人配置する必要がありますが、そのほかの職種の配置義務はありません。このため、下記の職種の配置は施設ごとに必要に応じて決められます。 介護職員 看護職員 生活相談員 機能訓練指導員 サービス付き高齢者向け住宅の人員基準 サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化された高齢者向けの賃貸住宅です。一般型と介護型があり、一般型は介護施設のような人員基準は特にありません。 一方、介護型は「特定施設」の認定を受けているため、入居者3人に対して介護職員1人以上の配置義務があります。 特別養護老人ホームの人員基準 特別養護老人ホームは基本的に要介護3以上の高齢者が入居する施設で、介護だけでなく医療ケアにも対応しています。人員基準は入居者3人に対して介護職員または看護職員1人以上の配置が定められています。 また、入居者100人に対して医師1名、看護師3名以上という基準も設けられています。 グループホームの人員基準に関するよくある質問 グループホームの職員の人員基準は? 入居者3人に対して介護職員を1人以上配置することが定められています。また、複数の人員が配置されるときは、最低1人は常勤職員であることも人員基準で決められています。 グループホームでは24時間規定の人員配置? 入居者3人に対して介護職員1人を配置するのは、日中にのみ適用されます。よって、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされています。 グループホームはどのような人員配置なの? グループホームの人員配置は、介護職員・計画作成担当者・管理者・代表者の4つの職種で成り立っています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "グループホームの職員の人員基準は?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/02/13

特集

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面など様々な方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト