「自分の親が認知症で介護拒否をし始めたが、どうしたら良いんだろう?」
「介護拒否をする原因がわからない、介護の仕方が悪いのかな?」
といったお悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、要介護者に介護拒否をされた場合の対応方法、原因、ポイントなど詳しく説明していきます。認知症介護でありがちな介護拒否の対策のヒントになるはずです!
まず、要介護者に介護拒否をされた場合、介護する人はどのように接していく必要があるのかを説明していきます。ポイントは以下の3つです。
忙しい日常生活の中で介護をしていると時間に余裕がないことも多く、要介護者に思わず無理強いしてしまうことも。
介護を拒否された場合は、介護する人も一呼吸置いてから「これをやりたくないんだね」とまずは要介護者の意思に寄り添い、認めてあげましょう。そうしたうえで「こうしてみても良いのでは」「自分で選んでみようか」など介護側からの提案や、生活に支障がない範囲内で本人に委ねてみましょう。
要介護者の気持ちを尊重することで、介護者の介助を受け入れるようになります。
特に認知症の方は、日常生活の介助に対しても理解ができないことがあります。
例えば「朝起きたらトイレに行きましょう」と排泄の介助をした場合、なぜトイレに行ってズボンや下着をおろすのかを理解できず、恐れや混乱などから介助者やトイレに行くことを拒否してしまうことがあります。
そのような場合は、「朝、トイレに行って排尿しましょう。お腹がすっきりして朝ごはんが食べたくなりませんか?」と具体的な説明をして本人に体感や納得させることにより、スムーズに排尿ができるようになることがあります。
要介護者は自分なりの生活タイミングが決まっていたり、認知症の方は「介護されている意味がわからない」場合があります。
そのため、介護を嫌がったり要介護者が気分を害した場合は、一旦、介護の手を止めて少し離れたところから見守り、本人がやりたいタイミングを見計らって、介護を再開すると良いでしょう。
また、お互いに「距離を取る」「間を持つ」ことも重要です。
介護拒否されると介護する人も「自分が悪いのか?」と自分を責めてしまいがちですが、思いつめないようにしましょう。
以下の4つは、要介護者が介護拒否をした場合の代表的な原因です。
認知機能が低下すると、介護職のプロではない家族には理解できないこともあり、介護には忍耐と時間を要します。
例えば、要介護者が食べこぼしをしたので着替えさせようとしたら抵抗されて着替えがスムーズにいかなかったり、記憶障害によって着替えている最中に「なぜ服を脱がされているのか」と慌ててしまうことも。
その場合は「洋服がこのように汚れたので着替えましょう」「濡れていたままでは寒いでしょう?」と汚れた衣服を実際に見せて要介護者に寄り添いながら、何度も丁寧に説明すると良いでしょう。
認知症の介護は本人の怖い、不安、恥ずかしいと感じた時の記憶の積み重ねに左右されることがあります。
例えば、
「介護する人が誰だかわからない」→「ヘルパーの来訪に怯える」
「手荒な着替えや入浴介助を受ける 」→「 着替えや入浴が怖い」
「部屋やトイレで失禁してしまう 」→「 排泄が嫌・恥ずかしい」
となっていき、時には大声を出して嫌がることがあります。
そのようになった場合は、一旦、本人の感情を受け止め、なぜ不安に感じているのか相手を理解するように努めましょう。そういった関わりを重ねることで、本人も介護の拒否や抵抗感が和らいでいくことでしょう。
認知症の方にも当然私たちと同じように羞恥心があります。要介護度が高くなってくると排泄や入浴の介助が必要となるケースも多いですが、家族ではない人や異性にトイレや入浴、着替えの介助をされるのに嫌がる傾向があります。
また、「オムツを交換しましょう」「誰も見ないから、ここで洋服を着替えましょう」といったデリカシーやプライバシーの配慮に欠けた言動は、要介護者を傷つけ介護拒否に繋がることがあるので注意しましょう。
高齢者も元々は「自立した大人」であり、身体が不自由になってきたことやヘルパーに来てもらうことに抵抗感を持つことは当然と言えます。
排尿や排便で失敗してしまった人の中には「また下着が汚れたら」「着替え介助を受けて汚れた衣服や下着を見られたくない」と水分を摂るのを控えたりする人も。また、食事や投薬の記憶が曖昧だが、聞くのも恥ずかしくて食べず飲まずになってしまう要介護者もいます。
生命や健康維持に関わることもあるため、介護する側は気を付けてください。
介護拒否のパターンはおもに下記の6つのパターンがあります。
それぞれについての内容と、その対処法について見ていきましょう。
食べることは生命を維持するうえで非常に大切ですが、食事を拒否することもあります。体調が悪くて食べられなかったり、食べる気にならないといった精神的な原因もあります。
一方で口内炎などで口の中が痛かったり、うまく飲み込めないといった身体的な原因の場合もあります。
また、認知症の症状によっては、箸の使い方がわからなくなっていたり、それがどう食べるものか理解できない状況もあるので、何故、食べないのかを観察することが重要と言えます。
認知症の薬を拒否するケースもあります。この場合は単に薬を飲むこと自体を忘れているだけのこともあります。しかし、わかっていて服用していない場合は、薬があわなかったり、飲みにくいという原因が考えられます。
医師に相談して、薬の回数・時間帯を変えてもらったり、できるだけスムーズに服薬できるように対策を検討しましょう。
入浴を拒否することも介護拒否ではよく見られます。入浴の介護拒否の原因の一つは衛生観念が薄まり、入浴の必要性を感じなくなることです。年とともに「着替える・入浴する」ということ自体が「億劫」になってしまう方も多いです。
また、介護者に裸を見られるのが恥ずかしいという羞恥心による場合もありますので、同性の介護者だけにするなどの配慮が必要です。「入浴が好きなのか、嫌いなのか」などを考慮する必要もあるでしょう。
着替えについては入浴と同様に羞恥心が要因の場合も多いです。しかし同時に着替える段取りを整えることができない実行機能障害がおきていて、困っているケースもあります。
着替えを拒否している場合も「なぜ拒んでいるか」を見極めたいところです。
認知症が進んでくると、便意や尿意についての意識が鈍ってくる傾向にあります。また、トイレの場所がわからなくなっていたり、トイレ自体の方法が曖昧になることも考えられます。
トイレを失敗すると本人にも家族にも大きなストレスにつながります。トイレを拒否している原因を正しく理解して、対策をとりましょう。
そもそも年をとると外出自体が億劫になる傾向にあります。それにくわえて認知症の人の場合は、外出の意味が理解できずに余計なストレスや不安感を感じてしまうこともあります。
わかっていると思い込まないで、なぜ外出するのか、どこにいくのか、なにをするのかをしっかりと伝えたうえで外出するようにしましょう。
介護は先が見えないため、無理をしないことが大切。とはいえ、入浴や食事中にちょっとしたきっかけで怒り出したり吐き出されると、介護する側もやるせない気持ちに。
一方、要介護者は認知症になったとしても本人なりの理由や意思があることが多いです。
介護する側も接し方や介助する手順、部屋の配置などいろいろと試してみるのも良いですが、遠慮なく外部の介護サービスに短期間でもサポートしてもらうのもひとつです。
決して1人だけ家族だけで抱え込まず、地域包括センターや相談窓口、知人などに相談してアドバイスをもらうことをおすすめします。有料老人ホームへの入所やショートステイの利用も検討すると良いでしょう。
「自分のことは自分でできる」「介護されるなんて恥ずかしい」といった自尊心や羞恥心は誰でも持っているものです。
また介護ヘルパーなどの顔がわからず、何をされるかわからない恐怖心から介護拒否に転じるケースも多く見られます。
まずは無理強いせず本人の意思を尊重するようにし、嫌がる理由などを聞いてみるのも良いでしょう。
また、介護をおこなう際は、具体的な声かけをすることを心がけましょう。具体的な声かけをすることで本人に納得してもらいスムーズな介助ができることもあります。
「食事の拒否」「服薬の拒否」「入浴の拒否」「着替えの拒否」「排泄の拒否」「外出の拒否」などが挙げられます。
介護拒否の理由はさまざまで、食事に関しては食べる気にならないといった精神的な原因があったり、入浴については裸を見られるのが恥ずかしいという羞恥心があったりとケースは多岐に渡ります。どのような場合でも、早めに原因を突き止め取り除くことが重要です。
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