高齢者が自宅で日常生活を送り続けるために専門的なリハビリサービスを提供してくれるデイケア。今回は、デイケアの具体的なサービス内容や費用といった基本から、利用する上で知っておきたいデイケアのメリットやデメリットについて紹介していきます。
Contents
デイケアは別名「通所リハビリテーション」。要介護者が療養や退院後の機能回復を目的に、介護老人保健施設や病院などの医療施設に通いながら生活機能を向上させる訓練や食事、入浴などの生活支援を受ける施設のことを指します。
デイケアと似たサービスのひとつにデイサービスなども挙げられますが、デイケアは医療やリハビリに特化している点が特徴です。
そのため、施設には医師やリハビリ専門の職員がおり、リハビリはもちろんのこと診察や健康管理もおこなってくれます。
また、リハビリの内容に関しては医師の指示書をもとに計画書が作成され、それに基づいたリハビリがおこなわれるため利用者一人ひとりにあったリハビリを受けることができます。
デイケアは自宅での日常生活を送ることを目的にリハビリを提供してくれるサービスのことです。主な利用目的としては以下のようなものが挙げられます。
上記のような希望があって、良いサービスがないかと検討している人にとってデイケアというサービスは適切と言えますが、全てデイケアを利用すれば希望が叶えられるわけではないということは忘れてはいけません。
というのも、実際に提供されるリハビリ内容やリハビリテーション器具の種類、設備環境といったものが施設によって異なるからです。
そのため、デイケアの利用を検討する場合には、利用を検討している施設の特徴やリハビリの内容をきちんと事前に確認しておくようにしましょう。
デイケアは要支援1〜2の認定を受けた人、あるいは要介護1〜5の認定を受けた人を対象としたサービスです。
介護サービスの対象者については要介護認定を受けている人を限定しているものも多いのですが、デイケアは要支援と要介護どちらかの認定を受けている全ての人を対象としている点が特徴的です。
なお、要支援の認定を受けた人は、介護予防通所リハビリテーションを利用できます。
また、介護認定については受けられる年齢が65歳以上とされていますが、64歳以下で特定疾病を抱えている人であれば申請をすることができ、認定を受ければデイケアサービスを利用することができます。
デイケアは介護保険を利用してサービスを受けることができますが、実際にその費用はどのくらいになるのでしょうか。施設の規模や利用時間によって金額は変動しますが、一般的な費用について以下で説明していきます。
なお、その他、食費やおむつ代、レクリエーションにかかる費用は実費となります。
<共通サービス(1ヵ月あたり)>
要支援1 | 2,268円 |
---|---|
要支援2 | 4,228円 |
参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
<選択サービス>状態に応じて個別に指導
栄養改善 | 200円 |
---|---|
口腔機能向上 | 160円 |
参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
要支援の人は主に生活機能を向上させるための共通的サービスに加え、運動機能向上、栄養改善、口腔機能の向上のサービスを組み合わせて利用することができます。
要介護度 | 自己負担額(1回あたり) ※1単位10円の地域 |
単位 | |
---|---|---|---|
1時間以上2時間未満 | 要介護1 | 369円 | 369単位 |
要介護2 | 398円 | 398単位 | |
要介護3 | 429円 | 429単位 | |
要介護4 | 458円 | 458単位 | |
要介護5 | 491円 | 491単位 | |
2時間以上3時間未満 | 要介護1 | 383円 | 383単位 |
要介護2 | 439円 | 439単位 | |
要介護3 | 498円 | 498単位 | |
要介護4 | 555円 | 555単位 | |
要介護5 | 612円 | 612単位 | |
3時間以上4時間未満 | 要介護1 | 486円 | 486単位 |
要介護2 | 565円 | 565単位 | |
要介護3 | 643円 | 643単位 | |
要介護4 | 743円 | 743単位 | |
要介護5 | 842円 | 842単位 | |
4時間以上5時間未満 | 要介護1 | 553円 | 553単位 |
要介護2 | 642円 | 642単位 | |
要介護3 | 730円 | 730単位 | |
要介護4 | 844円 | 844単位 | |
要介護5 | 957円 | 957単位 | |
5時間以上6時間未満 | 要介護1 | 622円 | 622単位 |
要介護2 | 738円 | 738単位 | |
要介護3 | 852円 | 852単位 | |
要介護4 | 987円 | 987単位 | |
要介護5 | 1,120円 | 1,120単位 | |
6時間以上7時間未満 | 要介護1 | 715円 | 715単位 |
要介護2 | 850円 | 850単位 | |
要介護3 | 981円 | 981単位 | |
要介護4 | 1,137円 | 1,137単位 | |
要介護5 | 1,290円 | 1,290単位 | |
7時間以上8時間未満 | 要介護1 | 762円 | 762単位 |
要介護2 | 903円 | 903単位 | |
要介護3 | 1,046円 | 1,046単位 | |
要介護4 | 1,215円 | 1,215単位 | |
要介護5 | 1,379円 | 1,379単位 |
参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
要介護の人の費用は介護度により設定されており、介護度が高くなるにつれ値段も高くなっています。これらの費用に加え、食費やおむつ代などの実費分も含めて月の予算と折り合いのつく施設を探すようにしましょう。
デイケアを実際に利用した場合、以下の流れで1日を過ごします。
デイケアでは基本的に送迎もサービスのひとつに含まれるので、家族が施設へ送り迎えをする必要がなく介護負担の軽減につながります。
施設に到着した後は健康チェックをおこない、入浴とリハビリを開始します。その後、食事をとり午後にもリハビリをおこない、おやつを食べ、自宅まで送迎してもらいデイケアは終了です。
デイケアもデイサービスも高齢者が自立的な生活を送れることを目的にサービスを提供していますが、2つのサービスはそれぞれ力を入れている点が異なります。利用を検討する際には注意しましょう。
具体的にはデイサービスは日常生活における介護サービスが中心。一方で、デイケアは身体機能の回復や維持、認知機能の改善といったリハビリや医療的ケアに力を入れています。
もちろんデイサービスで機能訓練サービスを受けることも可能ですし、デイケアで日常生活における介護サービスを受けることも可能です。
しかし、それぞれ力を入れている点が異なるので、自分自身が重視したいポイントをしっかりと明確化し施設を選ぶと良いでしょう。
リハビリと機能訓練は同じものだと思われがちですが、実は種類が違います。
それぞれ身体機能を改善あるいは向上させるものであることに違いはありませんが、機能訓練についてはリハビリに関する資格を持たない人が運動や体操などを指導するものを指します。
一方でリハビリとは、医師の診察とリハビリに関する資格を持った専門スタッフが計画書に沿って心身機能の回復や自立を図る運動療法のことです。
実際に、デイケアとデイサービスのどちらを利用するのが良いのか悩んでしまう人もいるのではないでしょうか。そのようなときは、利用を検討している人の医療依存度をきちんと確認しましょう。
医療的ケアを日常的に必要としている人や、少し前まで入院をしていて退院後もリハビリを続けたい人などはデイケアの利用がおすすめです。
ただ、医療的ケアの必要性が低い人にとってはデイケアとデイサービスどちらを利用するか迷うかもしれません。
そのような場合には、デイケアで身体機能を向上させ、より健康的な状態でデイサービスを利用するのがおすすめです。
続いてデイケアのメリットとデメリットについて紹介していきます。
デイケアの大きな魅力は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリのスペシャリストがリハビリをおこなってくれることです。
またリハビリの評価も受けられるためリハビリの効果を実感することができます。そのためリハビリを通して機能向上を目指す人にとっては便利なサービスです。
必要に応じて利用者の自宅を訪問し、段差などの日常生活で動作がしづらい箇所を調べ、身体状態に適した福祉用具やリハビリを提案してくれるサービスもあるので、利用する上で大きなメリットです。
医師や看護師が常駐しているため、急に体調が悪化してしまった場合でも、適切な医療処置をおこなってもらえるという安心感も大きなメリットとして挙げられます。
デイケアを利用する上でのデメリットは以下のようなものが挙げられます。
デイケアはリハビリを中心におこなうサービスですが、リハビリテーション器具についての設置義務はないため、どうしても施設によって設備に差が出てしまいます。
一般的に規模の大きい施設ほど設備も充実している傾向にありますが、必ずしもそういうわけではありません。利用を検討する際には施設にある設備についてしっかり確認しましょう。
デイケアは1日中リハビリをおこなうサービスではなく、1日のうち1〜2時間ほどの短時間で集中的にリハビリをおこなうものもあります。
またリハビリの中でも、個別でリハビリを受けることができる時間は30分前後のことが多く、そのほかの時間は自分でリハビリをおこなうことが多くなります。
そのため、マンツーマンでのリハビリが長時間受けられると期待して利用した人にとっては少々物足りなく感じる場合もあるかもしれません。
デイケアでは集団リハビリをはじめ、食事の時間なども集団でおこなうことになります。集団生活が苦手な人にとっては、デイケアを利用すること自体がストレスにつながってしまうケースもあります。
また、送迎車も基本的には乗り合いになります。他の人との相乗りが苦手な場合は、事前に家族と相談して送り迎えをしてもらうなどの対応をするようにしましょう。
デイケアではリハビリテーション計画に基づきリハビリがおこなわれ、計画書の目標が達成されるとデイケアの利用は終了です。
計画書は医師の指示のもと作成されます。医師が引き続きリハビリが必要と判断した場合は、デイケアを継続して利用することが可能です。
基本的には、身体機能が改善された場合にはデイケアの利用はできなくなるということを念頭に置いておくと良いでしょう。
デイケアを利用する場合、どういった手続きが必要なのでしょうか。以下で説明していきます。
デイケアは要支援または要介護の認定を受けている人を対象としています。介護認定を受けていない場合はまず介護認定の申請をするようにしましょう。
住まいの市区町村で申請をすることが可能で、約1カ月後に認定結果が記載された介護保険証が届きます。
要支援と認定された人は地方包括支援センターに、要介護と認定された人は居宅介護支援事業所に相談してみると良いでしょう。それぞれの担当者が適切な介護予防通所リハビリテーションやデイケアサービスを受けられる施設を探してくれます。
利用するデイケアが決定した後は、かかりつけ医に診断情報提供書か健康診断書を作成してもらい、デイケアに提出するようにしましょう。
提出した書類をもとに審査をし、問題ないと判断されれば利用開始手続きがおこなわれます。
なお、診断情報提供書や健康診断書の提出が不要の場合もあります。どのような書類が必要かなどはケアマネジャーに確認しましょう。
数あるデイケアの中でより良いデイケアサービスを選ぶポイントについて紹介していきます。
デイケアを選ぶ上で、施設のスタッフと利用者本人の相性が良いかどうかを見極めることは重要です。また、施設全体の雰囲気が利用者にとって心地よいものかどうかもポイントです。
施設の雰囲気が合わずに通わなくなってしまうということを避けるために、なるべく事前に施設見学をしておくことをおすすめします。また、見学の時間帯は昼食のときなど、ほかの利用者の雰囲気などがよくわかる時刻に設定するのがおすすめです。
リハビリテーション器具や設備環境については、施設によって差が出てきてしまうこともあります。そのため、目的に合ったリハビリをおこなえるだけの設備が十分に整っているかという点をチェックしておく必要があります。
設備についてきちんと確認するためにも、何を最終ゴールにしてデイケアを利用するのかという点は明確化しておきましょう。
施設環境だけではなく、実際に利用者本人が希望する時間帯に利用することができるのかという点もデイケアを選ぶ際に調べておきましょう。
人気のデイケアであれば利用者も多く、利用したい日に利用できないこともありえます。利用日とその調整について事前に確認しましょう。
また、デイケアは平日利用が一般的ですが、土日対応をしている施設もあります。必要であればケアマネジャーに相談してみると良いでしょう。
医師や看護師が常駐し、必要な医療的ケアやリハビリを適切に提供してくれるデイケアサービス。年齢を重ねるにつれ、弱っていく身体機能を維持したり向上させたりする上でとても役立つサービスです。
自立した生活を送ることが難しい人にとって利用を検討してみる価値はあるのではないでしょうか。利用を検討する際はこの記事を参考に、希望に合ったデイケアを選んでみましょう。
デイケアでは主に医療やリハビリに特化したサービスが受けられます。デイサービスとは異なり、デイケアには理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった有資格者が常駐しており、リハビリに対してのアドバイスももらえます。
医療的ケアを日常的に必要としている人や、少し前まで入院をしていて退院後もリハビリを続けたい人などはデイケアの利用がおすすめです。
一般的なデイケアでは、レクリエーションなどはあまりおこなわれずリハビリに重きを置いているので、レクリエーションを通して他の利用者とも交流したいといった人はデイサービスの検討を視野に入れましょう。
実際に提供されるリハビリ内容やリハビリテーション器具の種類、設備環境といったものが施設によって異なるので、すべての希望が叶えられるわけではありません。デイケアを利用する際は、施設を事前に見学しリハビリ内容、設備環境について確認しましょう。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。