ミドルステイとは?ショートステイとの違い、料金や利用のタイミングを解説

ミドルステイとは?ショートステイとの違い、料金や利用のタイミングを解説

更新日 2024/05/16

ショートステイより期間の長いミドルステイとはどのようなサービスなのでしょうか。ショートステイとの違いや料金体系、サービス内容などについて解説します。

ミドルステイの特徴

ミドルステイには自治体の制度としてのサービスと民間運営の有料老人ホームが提供しているサービスとがある

ミドルステイは最長1ヵ月でおこなわれるショートステイよりも長く、数か月にわたって施設に入居すること。介護サービスとして定義されたものではありませんが、実際の介護現場ではよく使われている言葉です。

ミドルステイには、自治体が実施しているミドルステイと有料老人ホームによるミドルステイとがあります。

自治体によるミドルステイは、ショートステイと違って利用条件に制限があります。またミドルステイのサービスはすべての自治体でおこなわれているわけではないので注意しましょう。

一方、有料老人ホームでのミドルステイは、1ヵ月以上の利用であれば介護サービス部分が介護保険の対象になるのが大きな特徴です。

ミドルステイとショートステイの違い

利用する理由について

ショートステイは、在宅介護している家庭が何らかの事情で一時的に利用するものなので、利用事由などに利用制限はありません。しかし、期間が長期間にわたるミドルステイの場合は、各自治体で制限が設けられているところが多くなっています。

民間が運営する有料老人ホームについては、当然ですが理由は問われません。

介護保険の自己負担について

自治体の制度下におけるミドルステイでは、料金が細かく設定されています。詳細は「ミドルステイの料金」の項目で解説しているので、ぜひご覧ください。

一方、有料老人ホームで実施されているミドルステイは、介護サービス部分が介護保険の対象になり、自己負担額は1割(収入によっては2~3割)で済みます。ショートステイの場合は介護サービス部分も全額自己負担になるので、費用面の違いはかなり大きなものになります。

ミドルステイを実施している施設

ミドルステイは特別養護老人ホーム(特養)やケアハウス、有料老人ホームなどで実施されている

自治体の制度としてミドルステイのサービスを提供しているのは、特別養護老人ホーム軽費老人ホームなど。介護老人保健施設の場合は、もともと退院してから自宅に戻るまでの半年ほどの期間を対象にしているので、ミドルステイとは呼びませんが、実質の内容としては同じと考えて良いかもしれません。

民間企業が運営している有料老人ホームに関しては、ミドルステイをサービスとして実施している施設もあればそうでない施設もあり、前者については内容も期間設定もさまざまです。

利用できる期間

自治体で実施しているミドルステイは、利用期間を1~3ヵ月としているところが多いです。一方でショートステイは概ね数日~1ヵ月程度というのが一般的です。

有料老人ホームの場合は、期間の設定に関しては施設によってさまざま。1週間程度から、中には数年の設定をしている施設もあるようです。

ミドルステイの料金

ミドルステイの料金は、1日2,000円前後

自治体でおこなわれるミドルステイの料金は、ショートステイの相場をそのまま設定しているものと定額で料金設定されているものがあります。定額利用の場合は補助がでる場合もあります。

有料老人ホームの場合は、施設によってミドルステイの料金が違います。金額については施設に問い合わせて確認しておきましょう。

  • 自治体で実施しているミドルステイ:1日約2,000円~5,000円
  • 有料老人ホームでのミドルステイ :1日約1万円~60万円

自治体制度におけるミドルステイの料金

自治体で実施しているミドルステイの料金にはどのようなものが含まれるのか。詳しく見ていきましょう。

定額ミドルステイの場合

要介護認定を受けている人
実施施設指定短期入所生活介護事業所
(特別養護老人ホームや老人保健施設)
利用者負担額2,000~3,000円/日
要介護認定を受けていない人
実施施設養護老人ホーム、軽費老人ホーム等
利用者負担額1,700円前後/日

ショートステイの金額に準じたミドルステイ

併設型の場合
介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室
ユニット型多床室
要支援1 451円 479円 529円
要支援2 561円 596円 656 円
要介護1 603円 603円 746円
要介護2 672円 672円 815円
要介護3 745円 745円 891円
要介護4 815円 815円 959円
要介護5 884円 884円 1,028円

参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)

単独型の場合
要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室
ユニット型多床室
要支援1 479円 479円 561円
要支援2 596円 596円 681 円
要介護1 645円 645円 746円
要介護2 715円 715円 815円
要介護3 787円 787円 881円
要介護4 856円 856円 949円
要介護5 926円 926円 1,017円

参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)

サービス加算

ミドルステイにかかるサービス加算の内訳について説明します。後ほど紹介する有料老人ホームでも同様にサービス加算がかかります。

ミドルステイに必要な代表的なサービス加算は下記のようなものがあります。

  • 夜間看護体制加算
  • 医療連携強化加算
  • 夜勤職員配置加算
  • 個別機能訓練加算
夜間看護体制加算

夜間に緊急の事態が起きた時の対応を、適切におこなうためのサービス加算です。

利用者が安心して入居できるように、常勤の看護師を1名以上配置し、24時間体制で病院などに連絡できる看護体制を整えています。

医療連携強化加算

ショートステイやミドルステイにおいて要介護度が高く、重度な高齢者を受け入れるときは、その介護に対応した受け入れ態勢を準備することが必要です。そのためのサービス加算を医療連携強化加算と言います。

夜勤職員配置加算

夜勤職員配置加算は、定められた夜間の人員基準より多い職員を配置して、入居者の方により安心して生活できる環境を作り上げた施設に加算されます。

人員体制の適切な配置だけではなく、見守りセンサーの設置なども必要になります。

個別機能訓練加算

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった機能訓練指導員を1名以上配置して、入所者に対して個別機能訓練計画書を作成。その計画に基づいた機能訓練をおこなうことで、利用者の機能面の維持・回復を目指すものです。

食費・滞在費

滞在費については定額料金の場合は、その中に含まれます。ショートステイに準じた料金体系の場合は、介護度や利用する部屋のタイプに応じて変わってきます。

食費についても同様に、定額料金の場合は含まれますが、ショートステイに準じた料金体系の場合はそれぞれの施設によって異なります。

有料老人ホームでのミドルステイの料金

有料老人ホームで実施しているミドルステイの料金は、施設によってさまざまです。料金を構成する主な項目は以下の通りです。

  • 居住費
  • 管理費
  • 食費
  • 介護保険自己負担分

介護保険自己負担分(介護付き有料老人ホームの場合)

要介護度 1割負担 2割負担 3割負担
要支援1 5,490 10,980 16,470
要支援2 9,390 18,780 28,170
要介護1 16,260 32,520 48,780
要介護2 18,270 36,540 54,810
要介護3 20,370 40,740 61,110
要介護4 22,320 44,640 66,960
要介護5 24,390 48,780 73,170

出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)

見学時のチェックポイント

ミドルステイの利用前には施設を見学すると良い

実際にミドルステイを利用するときは、施設によっては事前に見学することができます。施設を見学するときにチェックするべきポイントについて説明します。

利用者の表情

数か月利用するミドルステイでは、施設との相性も大切です。施設に見学に行ったらすでに入居している利用者の表情をしっかり見るようにしましょう。

明るく楽しそうな表情の人が多いようなら、施設全体のサービスが行き届いていると思って良いでしょう。逆に不満がある暗い顔をした人が多いようであれば、何か問題があるのかもしれません。

介助の様子

施設見学時には介護スタッフが介助する様子をしっかり確認する必要がある

スタッフが介助する様子もチェックポイントのひとつです。1人で何人も対応して、入居者を急がせたり、雑に扱っているような様子が見てとれたら、良い施設とは言えません。

入居者とスタッフが相互にコミュニケーションが取れていて、信頼関係が生まれている施設を選びましょう。

レクリエーション

どのようなレクリエーションが行われているかを確認することも、ミドルステイの施設選びでは重要です。近い日程でレクリエーションやイベントがある日があれば、その日にあわせて見学を設定すると良いでしょう。

入居者がどのような態度でレクリエーションに参加しているか、参加したくない場合、スタッフはどのように対応しているのかも気にしておきたいポイントです。

スタッフ

施設見学時には介護スタッフなど施設で働く職員の言動や挨拶なども確認すると良い

施設のスタッフの言葉遣いや言動、挨拶がきちんとされているかといった点も事前に確認することをおすすめします。

スタッフ同士の人間関係がうまくいっているところは、施設全体の雰囲気も明るくなります。また数ヵ月同じ施設で過ごすことになるので、あまり合わないスタッフが配置されると、入居者のストレスにつながります。

建物や設備の状況

ミドルステイの間の清掃頻度はどれくらいか、施設全体が清潔に保たれているかは注意して見ておきましょう。

衛生的な環境で過ごすことは、心身の健康にとって非常に重要です。また、施設内の導線が整っているか、部屋に最低限の設備があるかも確認しましょう。

ミドルステイはこんなときに役に立つ

在宅介護を基本にしながらも、ミドルステイを利用しなければならないときもあります。ミドルステイが便利な状況について見ていきましょう。

  • 仕事の事情や冠婚葬祭などにより、介護する側が家を空けなくてはならないとき
  • 介護する側が体調不良になってしまったとき
  • 介護疲れによりリフレッシュしたいとき
  • 将来の施設入居をふまえ、事前に施設に慣れておきたいとき
  • 退院が決まっているが、在宅介護がまだ不安なとき

必要に応じてミドルステイ・ショートステイを使い分けよう

ミドルステイは、一時的な利用だけではなく将来の施設入居を見据えた利用の仕方もできます。ただしミドルステイはショートステイと比べて、利用期間だけではなく料金体系や利用できる施設についても異なっている点が多いので、利用するときは注意が必要です。

必要に応じてミドルステイとショートステイを上手に使い分けることで、介護の自由度をあげることができます。在宅介護の方はぜひ検討してみてください。

ミドルステイに関するよくある質問

ミドルステイはどこで提供されていますか?

ミドルステイサービスを提供しているのは、自治体などが運営している特別養護老人ホームや軽費老人ホームなどです。

また民間企業が運営している有料老人ホームについては、すべての施設でミドルステイを提供しているわけではありません。有料老人ホームでミドルステイを検討する際は事前に確認しましょう。

ミドルステイは何日利用できますか?

自治体で実施しているミドルステイの利用期間は、概ね1カ月~3カ月としているところが多いです。また、有料老人ホームで実施しているミドルステイの場合は、施設によって期間の定めがさまざまで、中には数年と設定している施設もあります。

ミドルステイの利用条件は何ですか?

ミドルステイは、自立の人から要介護の人まで幅広く利用できるのが特徴です。

ただしショートステイとは異なり、自治体が運営する施設でのミドルステイを利用する場合は、利用する理由について制限を設けられている施設が多いです。一方、有料老人ホームのミドルステイは理由は問われません。

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