夜間対応型訪問介護とは|費用や対象者、メリット・デメリットについて

夜間対応型訪問介護とは|費用や対象者、メリット・デメリットについて

更新日 2024/05/17

居宅でさまざまな介護サービスを受けられるのが訪問介護。しかし一般的な訪問介護サービスは夜間の時間帯にはサービスの提供はおこなわれません。

夜間にサービスを提供してくれるのが夜間対応型訪問介護です。介護度が高い方にとって、夜間にもサービスが受けられるのはありがたいものですよね。

そこでこの記事では、夜間対応型訪問介護サービスについて詳しく紹介していきます。

夜間対応型訪問介護とは?

夜間対応型訪問介護は、夜間の時間に限定した訪問介護が受けられる介護保険サービス

夜間対応型訪問介護とは、夜間の時間に限定した訪問介護が受けられる介護保険サービスのことです。

高齢化が進み、老老介護が増えたことなどから夜間の介護ニーズが高まり、2006年から始まった地域密着型サービスです。介護スタッフが定期的に訪問する「定期巡回訪問サービス」と、利用者から通報を受けて都度訪問する「随時対応サービス」があります。

夜間対応型訪問介護を利用できる条件

夜間対応型訪問介護は地域密着サービスのため、原則としてその市区町村に住んでいることが前提です。また、通常の訪問介護サービスと同様に要介護認定を受けていなければサービスを利用することはできません。

夜間対応型訪問介護を利用できる方の条件は以下の通りです。

利用できる人

  • 要介護認定で「要介護者1~5」と認定された方
  • 利用する事業所と同一市区町村に住んでいる人

利用できない人

夜間対応型訪問介護はいつ利用すべき?

夜間対応型訪問介護は、夜間の緊急時対応、一人暮らしの高齢者の夜間介護、家族の介護負担軽減で利用するのが良い

どのようなときに夜間対応型訪問介護を利用するのが良いのでしょうか。ポイントは以下の3つです。

  • 夜間の緊急時対応
  • 1人暮らしの高齢者の夜間介護
  • 家族の介護負担軽減

夜間の緊急時対応

夜間に体調が急変してしまったり、転倒してしまった場合など何か緊急性を要することが起きた際にはホームヘルパーが訪問し、救急車の手配などをおこなってくれます。

1人暮らしの高齢者の夜間介護

就寝準備から夜間のトイレ介助やおむつ交換、寝返り介助、起床準備などを一人ではおこなうことが難しい場合に、夜間対応型訪問介護サービスを利用すると安心です。

家族の介護負担軽減

家族が出張などで家を留守にするときの対応や、介護に加え育児もおこなっている世帯であれば夜間の介護負担を減らすために、一度利用を検討してみると良いかもしれません。

受けられるサービス

夜間対応型訪問介護サービスでは主に以下の3つのサービスをまとめて提供しています。

  • 定期巡回サービス
  • 随時対応サービス
  • オペレーションセンターサービス

定期巡回サービスは、夜間に定期的に利用者の居宅を巡回し介護サービスを提供するもの。随時対応サービスは、オペレーションセンターから連絡を受け必要時にホームヘルパーが訪問し介護サービスを提供するものです。

オペレーションセンターサービスは、利用者からの要請を受けてホームヘルパーを訪問させるかなどの対応を判断するものです。利用者は「定期巡回サービス」「随時訪問サービス」のどちらも利用することができます。

なお、利用者はオペレーションセンターに連絡する手段としてケアコール端末を所持することが、サービスを受ける際の条件となっています。

夜間は何時から? 夜間対応型訪問介護が利用できる時間は明確に決められています。夜間とは一般的に午後10時~午前6時までを含む時間帯のことを指します。この夜間の時間帯を含んだ午後6時~午前8時までをサービス提供時間に設定している事業所が多いようです。

この時間帯以外は、基本的に通常の訪問介護サービスを利用して受ける必要があるので注意するようにしましょう。

定期巡回サービス

ホームヘルパーが定期的に居宅に巡回し、1回の訪問につき約30分程度で、以下のようなサービスをおこないます。

  • 安否確認
  • 排泄介助
  • 体位変換
  • おむつ交換

また、家族の家事といった利用者以外に対するサービスや、ペットの散歩など日常生活に支障がでないサービスについては、対応することができません。

随時訪問サービス

夜間に体調が悪くなってしまった場合や何かのはずみで転倒してしまった場合など、緊急を要する場合には、利用者または家族からケアコール端末を用いて連絡を受けたホームヘルパーが訪問し対応をおこないます。

また医療面のケアが必要な場合もあるので、訪問看護ステーションや主治医と連携をしている事業所も多く、柔軟な対応が可能です。

1回の訪問につき約30分程度が目安です。サービス提供時間内であれば複数回利用することができますが、1回利用するごとに費用が発生します。

オペレーションセンターサービス

オペレーションセンターにいるオペレーターが利用者からの要請を受けて、状況に応じてヘルパーの派遣や、主治医への連絡といった対応方法を判断するサービスです。

オペレーションセンターにいるオペレーターが利用者からの要請を受けて、状況に応じてヘルパーの派遣や、主治医への連絡といった対応方法を判断するサービスです。

具体的には以下のような対応をおこないます。

  • ヘルパーの派遣(通報をもとにヘルパーが訪問すると、随時訪問サービスとなります)
  • 主治医への連絡
  • 救急車の手配
  • 対応方法の提案
  • 利用者の相談相手

オペレーターはあらかじめ利用者の身体の状況や居宅の環境を把握していますので、適切なサービスを迅速に受けることができます。

オペレーションセンターを配置していない事業者もあり

事業所によっては夜間対応型サービスを利用している人が少なく、ヘルパー自身が利用者からの通報に対応できる場合、オペレーションセンターを設置していない場合もあります。

オペレーションセンターがなくても緊急時にはきちんとヘルパーが対応できる状態であることが条件となっており、利用者にとってはオペレーションセンターの有無にかかわらず受けられるサービス内容に違いはありません。

また、ケアコール端末についてはオペレーションセンターの有無を問わず利用者への配布が必須となっており、一般電話や携帯電話の使用は認められていません。

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夜間対応型訪問介護の費用

夜間対応型訪問介護を利用するにあたり、どれくらいの費用がかかるのかはある程度知っておきましょう。以下で詳しく説明します。

オペレーションセンターサービスの有無で異なる

夜間対応型訪問介護の料金は、オペレーションセンターが設置されているかどうかで変わってきます。

オペレーションサービスセンターがある場合

項目料金
月額基本料金1025円
定期巡回サービス(1回あたり)386円
随時訪問サービス(1回あたり/ヘルパー1人)588円
随時訪問サービス(1回あたり/ヘルパー2人)792円
24時間通報対応加算610円

オペレーションサービスセンターがない場合

項目料金
月額基本料金2800円

参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)

介護度ごとに料金は分けられておらず、利用回数ごとに料金が加算されるシステムになっています。

オペレーションセンターがない事業所の場合は、月額基本料金だけ支払えばOK。オペレーションセンターがある場合は、月額基本料金のほかに各サービスごとに料金が設定されています。

日中にオペレーションサービスを利用した場合にかかる費用である24時間通報対応加算なども、利用時には支払う必要があります。

なお、ケアコール端末費用やオペレーションサービス費用が別途請求されるといったことはありません。

夜間対応型訪問介護のメリット

夜間対応型訪問介護のメリットは以下の通りです。

  • 夜間の緊急時にすぐ通報できる
  • 家族の介護負担軽減ができる
  • 離れて生活する家族も安心できる

夜間の緊急時にすぐ通報できる

夜間は人が少なく、緊急時でもまわりが気付きにくい状態になります。ただしオペレーションセンターに連絡をすることで緊急時に気付いてもらえる環境にあることはとても安心です。

家族の介護負担軽減ができる

在宅で介護をしている方にとって、夜間だけでも介護サービスを利用できればかなりの介護負担軽減に繋がります。

老々介護の場合には、トイレ介助や転倒時の起き上がり介助など、力がいる動作をおこなうことも困難になります。夜間対応型訪問介護を利用することで大きな介護負担軽減になります。

離れて生活する家族も安心できる

1人で生活している高齢者の場合、夜間に何か合った場合には気付きづらく、不安が募りがちになってしまいますが、夜間対応型訪問介護を利用することでヘルパーが定期的に巡回してくれるため家族も安心して生活できます。

夜間対応型訪問介護のデメリット

夜間対応型訪問介護にはメリットもある反面、以下のようなデメリットも存在します。

  • サービスの提供時間に限りがある
  • 同じ市区町村でないとサービスが利用できない
  • 費用が高額になる可能性もある

サービスの提供時間に限りがある

夜間対応型訪問介護はあくまで夜間時に利用するサービスです。事業所によって違いはあれど長くても午後6時~午前8時までの利用が基本となります。

オペレーションサービスについては日中でも利用できる場合がありますが、24時間通報対応加算を別途支払う必要があります。

同じ市区町村でないとサービスが利用できない

夜間対応型訪問介護は地域密着型のサービスなので、基本的にサービスを提供する事業所と同じ市区町村に住んでいる必要があります。

このサービス自体を提供している事業所も多くはありませんので、利用を検討したい場合にはケアマネジャーや市区町村の担当窓口で相談しましょう。

費用が高額になる可能性もある

夜間対応型訪問介護の利用料金は介護度ではなく、月額基本料金のほかに各サービスを1回利用するごとに設定されているため、利用する回数が増えてしまうと料金が高額になる可能性があります。

夜間対応型訪問介護の利用方法

夜間対応型訪問介護の利用を検討している場合にはまず一度、ケアマネジャーに相談

夜間対応型訪問介護の利用を検討している場合にはまず一度、ケアマネジャーに相談しましょう。ケアマネジャーは利用者の現在の体の状況や介護度などから、サービス提供事業者の提案や適切なサービス内容、回数を検討し、適切なケアプランを作成してくれます。

その後ケアプランが承認されたら事業所と契約をし、実際のサービスを利用することができます。

夜間の介護体制も安心

夜間というさまざまな異変に気付きくい状況で強い味方になる夜間対応型訪問介護。日中の訪問介護サービスとうまく活用することで24時間体制のサービス提供が可能になります。

育児と介護の両立ができずに悩んでいる方や、遠方に住んでいるため親の介護が難しい方など、介護に対して少しでも不安な点がある方は、利用者が安心して生活するために、そして自身の介護負担を少しでも減らすために、夜間対応型訪問介護を利用してみてはいかがでしょうか。

夜間対応型訪問介護に関するよくある質問

夜間対応型訪問介護ではどんなサービスが受けられますか?

夜間対応型訪問介護は、夜間の時間に限定した訪問介護が受けられる在宅介護サービスです。

主に定期巡回サービスによる「安否確認」「排泄介助」「体位変換」「おむつ交換」、随時訪問サービスによる緊急時の対応などが挙げられ、ニーズが高まっているサービスです。

夜間対応型訪問介護は何時から利用できますか?

夜間対応型訪問介護は利用できる時間が決まっています。多くのサービス事業所が設定している時間は午後6時~午前8時までです。この時間帯以外は、通常の訪問介護サービスを利用する必要があるので注意しましょう。

夜間対応型訪問介護はどんな人でも利用できますか?

夜間対応型訪問介護は地域密着サービスのため、利用する事業所と同一市区町村に住んでいる人を対象としています。また要介護認定で要介護1~5に認定された人のみが利用できるので、自立の人、要支援の人は利用することができません。

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