介護保険の対象として「居宅療養管理指導」というサービスがあることを知っている方もいるでしょう。しかし、詳しい内容に関しては知らない、という方も多いのでは?
そこでこの記事では、居宅療養管理指導の基本的な説明から、利用するにあたっての条件や申請方法、費用、サービスの流れについてなど、居宅療養管理指導の内容について詳しく解説していきます。
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寝たきりになった高齢者を在宅療養で介護するということは、家族にとって不安も多いでしょう。施設であれば知見のある専門の介護スタッフがそろっていますが、自宅ではそうもいきません。
居宅療養管理指導は、医師や歯科衛生士といった専門職が自宅に訪問し、居宅療養を送るために助言・指導をしてくれるサービスです。居宅療養管理指導は介護保険サービスのひとつでもあります。
居宅療養管理指導では医師や歯科衛生士といった専門家が自宅でアドバイスをしてくれます。具体的には専門家はどのような点についてアドバイスをくれるのでしょうか。
医師や歯科医師が、実際に利用者宅を訪問して、身体状況や精神的な問題はないか、また療養環境の確認をおこないます。
薬剤師は、医師又は歯科医師の指示に基づいて居宅療養管理指導によるサービスを提供してくれます。
管理栄養士は、医師の指示のもとで栄養管理について指導・助言を提供してくれます。
歯科衛生士は、歯科医師の指示のもと口腔内の指導を提供してくれます。
居宅療養管理指導はおもに在宅介護の家庭に対してのサービスです。実際に居宅療養管理指導はどのような時に利用すると良いのでしょうか。よくあるケースを下記にまとめました。
上記はほんの一例ですが、通常の在宅介護で対応できないことが発生したときに必要になることが多いようです。
居宅療養管理指導は介護保険の対象なので、費用は介護保険の自己負担分のみ。ただし、その金額は訪問してもらう専門家の職種と単一建物居住者の人数によって変動します。
職種 | 単一建物居住者 の人数 |
||
---|---|---|---|
1人 | 2~9人 | 10人以上 | |
医師 | 515円 | 487円 | 446円 |
歯科医師 | 517円 | 487円 | 441円 |
薬剤師 (病院・診療所勤務) |
566円 | 417円 | 380円 |
薬剤師 (薬局勤務) |
518円 | 379円 | 342円 |
管理栄養士 (該当事業所) |
545円 | 487円 | 444円 |
管理栄養士 (該当事業所以外) |
525円 | 467円 | 424円 |
歯科衛生士 | 362円 | 326円 | 295円 |
参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
単一建物居住者という言葉は聞き慣れないいかもしれませんが、マンションなどの同じ建物に暮らす人数のことです。
同じ建物に居宅療養管理指導を受ける人が複数いる場合は、その分安くなります。1回の訪問につき約300円から600円弱が相場です。
では、居宅療養管理指導を利用する実際のメリットは、主に以下のような点が挙げられます。
利用者の状態や症状は人それぞれ。そのために欲しいアドバイスもさまざまです。
居宅療養管理指導には、医師だけではなく管理栄養士や口腔ケアの専門家などもそろっています。ピンポイントで必要なサービスを必要なだけ受けることができます。
居宅療養管理指導ではケアマネジャーも同席して指導を受けることになります。
専門家の助言を踏まえて、どのようなケアが必要なのかをケアマネジャーが理解することで、スムーズなケアプラン作成につながります。
病院や専門施設に通院することは、本人だけではなく家族にとっても大きな負担になります。その点、居宅療養管理指導の場合は、自宅に訪問してもらえるので、家族の負担を軽くすることができます。
一方で居宅療養管理指導にも以下のようなデメリットがあります。
居宅療養管理指導には月間の利用回数に制限があります。また1回指導をうけてから、次の指導までに決まった期間をあけなければいけないという決まりもあります。
訪問してもらえて便利だからといって、無制限に利用できるサービスではないことは理解しておきましょう。
居宅療養管理指導はあくまでアドバイス・指導が目的。往診や訪問療養のような医療行為は対象外なので、要望してはいけません。
居宅療養管理指導を利用するには、ケアマネジャーから主治医に相談しなければいけません。
主治医が必要と判断した場合のみ、サービスを受けることができます。歯科についてはかかりつけの歯科医に判断してもらいます。
居宅療養管理指導の利用は、要介護1~5の方が対象です。要支援1か2の場合は「介護予防居宅療養管理指導」という別のサービスを受けることになります。
また、例外として自力での通院が難しいと医師などが判断した場合には、要介護認定されていなくても居宅療養管理指導を利用できる場合があります。
実際に居宅療養管理指導を利用するときはまずケアマネジャーに相談してください。
ケアマネジャーは訪問可能な専門家を探して手続きをします。専門家の調整が終われば契約して利用日時を決めることになります。
居宅療養管理指導と似たサービスとして往診・訪問診療があります。どのような点が違っているのでしょうか。
居宅療養管理指導と往診の大きな違いは医療行為の有無です。居宅療養管理指導では、原則として医療行為は受けられません。
一方で往診は、患者本人や家族から依頼を受けて自宅を訪問する医師から、患者に投薬や治療などの医療行為が受けられます。
また、往診は介護保険の対象ではないので、利用する際にケアマネジャーとの連携は必要ありません。
訪問診療も往診と同じで医療行為を伴うサービスです。往診が突発的な病気の診療であることに対し、訪問診療は医師が定期的に訪問して診察することです。
訪問医療では、通院が困難な高齢者に対して医師が定期的に訪問して投薬や治療をおこないます。居宅療養管理指導でも同じように医師が訪問しますが、あくまで指導が目的なので、医療行為はありません。
居宅療養管理指導は在宅で介護をおこなっている家庭にとっては心強く、便利なサービスです。ただし医師が訪問しても、その場で診察したり治療をおこなうことはできません。
利用者の状態によっては、居宅療養管理指導よりも、治療や診察が必要な場合もあります。
利用者の状況をしっかりと確認しながら、必要に応じて居宅療養管理指導をお願いするようにしましょう。
居宅療養管理指導は、医師や歯科衛生士といった専門職が自宅に訪問し、居宅療養を送るために助言・指導をしてくれるサービスを提供しています。
主に「診断に基づく継続的な健康管理や指導」「使用している医療器具の管理」「嚥下機能の維持・回復のためのアドバイス」などが挙げられ、内容はさまざまです。
居宅療養管理指導の費用は、介護保険の自己負担額のみです。同じ建物に居宅療養管理指導を受ける人が複数いる場合は、金額が安く、1回の訪問の相場としては約300~600円弱です。
居宅療養管理指導には月間の利用回数に制限があります。例えば、薬剤師から指導を受ける場合、薬局に勤務している薬剤師であれば月に4回、病院などで働く薬剤師であれば月に2回まで利用できます。
また、指導を仰ぐ専門職によっては、一度指導を受けてから、次の指導までに決まった期間を空けなければいけないという決まりもあります。
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