ショートステイの中でも、医療ケアを伴うサービスを提供するのが短期入所療養介護です。
短期入所療養介護は具体的にはどのようなサービスでしょうか。短期入所療養介護のサービス内容や利用期間、費用。またメリット・デメリットなどについて解説します。
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短期入所療養介護は、通常の介護ではなく、より医療ケアに目的を置いたショートステイです。
短期入所療養介護施設には医師や看護師が配置されているので、専門的な医療ケアも受けられます。医療ケアとは経管栄養、尿管カテーテル管理、ストマ管理、酸素療法、痰吸引などのことを言います。
医療ケアだけではなく、理学療法士、作業療法士・言語聴覚士などの専門家によって適切なリハビリテーションや機能訓練もおこなわれています。
短期入所療養介護を提供できる医療施設は下記のとおりです。
これらの施設の中では介護老人保健施設の利用が最も多く、病院や診療所が提供する短期入所療養介護はまだまだ少ないのが現状のようです。
短期入所療養介護は、要介護1~5の認定を受けている人を対象としており、要支援1~2の認定を受けている人は利用できません。
要支援の認定を受けている人は「介護予防短期入所療養介護」のサービスを利用することができます。
介護予防短期入所療養介護は、身体状況の悪化や要介護状態への進行を予防する目的のサービスで、要支援の認定を受けた人のみが利用できます。
短期入所療養介護では具体的に以下のようなサービスが提供されます。
医療ケアだけなく介護に関するサービスも、もちろんあります。それでは、詳しく中身を見ていきましょう。
経管栄養や痰吸引、インスリン注射といった療養上の世話をおこないます。また、医師が利用者の病状や健康状態に対する診察をしたり、服薬指導をしてくれたりします。
施設利用者が使用している医療器具の調整、交換をおこないます。
理学療法士、言語聴覚士などのリハビリの専門職がリハビリテーションをおこないます。
利用者に認知症の症状がある場合は、認知症対策のケアを施します。
緊急の事情により在宅介護できなくなった場合、ケアプラン作成がなくても緊急で受け入れをします。
食事の提供や入浴、排泄の介助など日常生活におけるサポート全般をおこないます。
余命わずかな終末期の利用者の場合は、ターミナルケアにも対応します。
ショートステイは最短1日、連続して利用する場合は最長30日まで利用可能です。年間では介護認定期間の50%以内という規定があります。
利用期間については短期入所療養介護も短期入所生活介護も同じです。
また、31日以降も続けて利用する場合は、再度申し込み手続きをおこなう必要があります。その場合、31日目は自己負担となり、翌日以降に介護保険が適用されることを認識しておきましょう。
短期入所療養介護は以下の場面で利用される可能性があります。
在宅での介護は、身体的・精神的に介護者へ大きな負担がかかります。病気や用事などの場面だけでなく、定期的にサービスを利用し、適度な休息をとることが大切です。
短期入所療養介護を利用した場合の気になる費用について見ていきましょう。短期入所療養介護の場合は基本サービス費に加えて、身体状況に応じて加算されるサービス加算、その他実費がかかります。
短期入所療養介護の基本サービスである介護・医療にかかる金額が基本サービス費になります。この基本サービス費は一律ではなく、要介護度、施設の形態、居室の種類、職員の配置などによって異なります。
基本サービス費については介護保険が適用されるので、自己負担は1割(収入によって2~3割)です。医療にかかる経費や介護用品の費用なども含まれています。
短期入所療養介護は医療ケアに対応している分、短期入所生活介護(ショートステイ)より費用が高く設定されています。
要介護度 | 従来型個室 | 多床室 (2名以上) | ユニット型個室 ユニット型多床室 |
---|---|---|---|
要支援1 | 579円 | 613円 | 624円 |
要支援2 | 726円 | 774円 | 789円 |
要介護1 | 753円 | 830円 | 836円 |
要介護2 | 801円 | 880円 | 883円 |
要介護3 | 864円 | 944円 | 948円 |
要介護4 | 918円 | 997円 | 1003円 |
要介護5 | 971円 | 1052円 | 1056円 |
参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
※介護老人保健施設で短期入所療養介護を利用した場合
※ユニット型は、食事や談話ができる共同スペースと個室で構成された居宅形態
※手厚い人員体制を敷く施設の場合はその分の加算がある
介護保険の対象となる基本サービス費とは別に、全額自己負担となる費用が2つあります。
身体状況に応じて加算されるサービス費とそのほかの実費です。
滞在費(日額) | 377円(多床室) 1668円(従来型個室・ユニット型準個室) 2006円(ユニット型個室) |
---|---|
食費(日額) | 1445円 |
基本サービス費に含まれず、身体状況に応じて加算されるサービス費もあります。これらの金額は利用した分が費用として上乗せになります。
代表的な加算サービス費は下記のとおりです。
短期入所療養介護を利用するときは、基本料金とサービス加算以外にも、自己負担になる費用がかかります。おもな自己負担費用は下記のとおりです。
実際に短期入所療養介護を利用するときはまずケアマネジャーに相談してください。ケアマネジャーは条件に合った短期入所療養介護の事業者を選定して申し込みをします。
次は施設の見学とスタッフとの面談があります。その後、主治医に診療情報提供書を書いてもらい、ケアマネジャーのケアプラン作成が完了したら施設に提出。審査を通過してはじめて契約になります。
短期入所療養介護にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?双方についてよく検討してから利用するようにしましょう。
日常的に医療ケアが必要な方を預けることは、家族にはとても不安です。短期入所療養介護であれば、医師や看護師が配置されて医療ケアも問題ありません。また、認知症の患者についても受け入れ可能なのもポイントです。
ただし短期入所療養介護は人気なので、予約がとりずらい状況が続いています。利用申し込みの手続きも数週間はかかります。短期入所療養介護を利用しようと思ったら、早めに行動に移すことをおすすめします。
短期入所療養介護は、通常の介護ではなく、より医療的ケアに目的を置いたショートステイです。主に「病状の確認、療養上の世話」「医療機器の調整、交換」「ターミナルケア」などが挙げられます。
短期入所療養介護の利用期間はショートステイ変わらず、最短1日、連続して利用する場合は最長で30日まで利用することができます。利用者の身体状況に応じてショートステイと使い分けましょう。
短期入所療養介護を利用するときは、基本料金とサービス加算以外に「滞在費」「食費」「日用品代」「レクリエーション費」などが必要です。基本料金とサービス加算以外はすべて自費なので注意が必要です。
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