新しい介護サービスとして注目を集めているのが小規模多機能型居宅介護です。通所、訪問、宿泊が1カ所で対応できるので、利用者にとって非常に便利なサービスと言えます。
この記事では、小規模多機能型居宅介護の利用条件や費用、利用にあたっての注意点などをまとめました。在宅介護の強い味方ですので、ぜひ参考にして活用してみてください!
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小規模多機能型居宅介護とは、利用者が可能な限り自立した日常生活を送れるように支援する、小規模な在宅介護系サービス施設のこと。デイサービス(通所介護)を中心に、ショートステイや訪問介護を組み合わせて、在宅での生活の支援や機能訓練などのサービスを受けられます。
小規模多機能型居宅介護は、2006年4月の介護保険法改正によって、新しく誕生した地域密着型のサービスです。
小規模多機能型居宅介護は、ひとつの事業者がデイサービスを中心に、ショートステイや訪問介護もサービスとして提供しています。そのため、24時間・365日利用できるように休業日を設けていません。
空きがあれば「デイサービスを利用した後、そのままショートステイを利用」といった対応も可能です。
小規模多機能型居宅介護を利用するには、以下の条件を満たしている必要があります。
小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスのため、自宅の住所と施設の住所が同一市町村でなければ利用できません。
小規模多機能型居宅介護では以下の費用がかかります。
それぞれ詳しく見てみましょう。
小規模多機能型居宅介護のサービスで毎月かかる月額利用料は通所・訪問・宿泊のどれを利用しても定額であり料金は変わりません。
区分 | 同一建物の居住者以外におこなう場合 | 同一建物の居住者へおこなう場合 |
---|---|---|
要支援1 | 3450円 | 3109円 |
要支援2 | 6972円 | 6281円 |
要介護1 | 1万458円 | 9423円 |
要介護2 | 1万5370円 | 1万3849円 |
要介護3 | 2万2359円 | 2万144円 |
要介護4 | 2万4677円 | 2万2233円 |
要介護5 | 2万7209円 | 2万4516円 |
参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
※1単位を10円として換算した場合の料金。1単位の自己負担額は地域によって異なります。
月額料金は要介護度により異なります。要支援の人であれば月額3000~3500円ですが、もっとも重度である要介護5の場合は月額が3万円近くになります。
また、別途発生する費用としてはショートステイの宿泊費が1日当たり1000~3000円。食費、おむつ代(実費分)なども加算されます。
月額利用料以外にもサービス加算という費用がかかります。サービス加算は施設のサービス充実度や体制によって異なります。主なサービス加算は以下です。
サービスを登録した日から30日間、1日あたり30円の初期加算が発生します。
職員の中で介護福祉士と常勤職員の割合を増やして対応した場合に加算されます。月あたり350円から750円が相場です。
1名以上の常勤の看護職員を勤務させている事業所で発生する加算です。条件によって金額に幅がありますが、月あたり480円から900円が相場です。
認知症の利用者を受け入れる時に加算される金額で、月500円から800円程度かかります。
訪問サービスに対応する社員が2名以上常勤。そして月間で延べ200回以上の訪問回数をこなしている大規模な事業所の場合に加算されます。目安として月1000円前後の金額になります。
小規模多機能型居宅介護計画について、随時適切に見直しをおこなっている事業者を利用している場合に加算されます。目安として月1000円前後の金額になります。
小規模多機能型居宅介護を利用するメリットは以下があります。
それぞれ詳しく見てみましょう。
小規模多機能型居宅介護の大きな特徴は24時間365日休業日なしで利用できることです。
小規模多機能型居宅介護ではない一般的な訪問介護やデイサービスでは、あらかじめ決められた時間やスケジュールに沿ってケアプランが作成されます。一方、小規模多機能型居宅介護では、利用者それぞれの状況に合わせて利用が可能です。
例えば、「夜間に介護を受けたい」や「短時間だけ利用したい」など、いつでも必要なときに必要な分だけ介護サービスが受けられます。
宿泊機能がない介護施設の場合は対応できない曜日や時間帯がある場合が多いですが、いつでも連絡がとれて対応してもらえるのは大きなメリットです。
小規模多機能型居宅介護の月額利用料が定額であることもメリットのひとつです。
小規模多機能型居宅介護を利用しない場合は、受けたいサービスに合わせて別々の介護事業者を利用するのでそれぞれの介護事業者に費用がかかります。各介護事業者の費用を合算するとうっかり介護保険支給限度額を超えてしまうこともあります。
それに対して小規模多機能型居宅介護は月額利用料が定額制なので、月に何回利用しても介護保険支給限度額を超えてしまう心配はありません。もちろん加算や実費負担はありますが、基本料金が決まっているので予算計画も立てやすいです。
小規模多機能型居宅介護では、1回の契約でデイサービス・訪問介護・ショートステイの3つのサービスを利用できます。
すべて別々の介護事業者と契約する場合は、その都度面談や見学、申し込み、契約などが必要です。その点、小規模多機能型居宅介護では、ひとつの事業所と契約すればデイサービス・訪問介護・ショートステイのすべてが利用できるのは効率的で、大きなメリットです。
小規模多機能型居宅介護では、ひとつの施設でデイサービス・訪問介護・ショートステイのすべてを対応。つまり、基本的に同じスタッフが対応します。
環境の変化を嫌ったり、その都度異なる人に介護されることにストレスを感じる人にとっては、いつものスタッフが対応してくれるのはメリットと言えます。
小規模多機能型居宅介護では、ひとつの施設でデイサービス・訪問介護・ショートステイのすべてを対応してもらえるので、利用者や家族の状況に合ったサービスを受けられます。
例えば、「デイサービスに行った後、そのまま施設のショートステイを利用する」「午前中に訪問介護を利用して、そのままデイサービスへ向かう」など、さまざまな形でサービスを受けられます。
小規模多機能型居宅介護の利用する際に考えられるデメリットは主に以下です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
小規模多機能型居宅介護では併用できるサービスに制限があります。そのため、小規模多機能型居宅介護を利用する前に受けていたサービスが受けられなくなる場合もあります。
併用できないサービスは主に以下です。
小規模多機能型居宅介護を利用する前からほかの介護事業者とデイサービス・訪問介護・ショートステイを契約していた場合は、ほかの介護事業者との契約を解約しなければいけません。なぜなら小規模多機能型居宅介護を利用する場合には、ひとつの介護事業者にサービスを集約する必要があるためです。
小規模多機能型居宅介護と併用不可となっているサービスは、基本的に小規模多機能型居宅介護で対応可能なものが多いです。
小規模多機能型居宅介護には専属のケアマネジャーがいるので、サービス開始後は今までのケアマネジャーではなく、施設のケアマネジャーに変更しなければいけません。
新しいケアマネジャーとの関係を作らなければならないので、利用者や家族にとって負担になる可能性があります。
小規模多機能型居宅介護は少人数を前提としているので、利用できる人数に制限があります。例えば、デイサービスの人数は「おおむね15人以下」、ショートステイの人数は「おおむね9人以下」と決まっています。
定額で月に何度も利用できるとしても、定員数をオーバーしているときはサービスを利用できません。
小規模多機能型居宅介護はの月額利用料は定額制なので、サービスの利用が多い月も少ない月も同じ額の費用がかかります。サービスの費用が少ない人の場合は「費用が高い」と感じる可能性があります。
利用者本人の要介護度が低く、それほど多くの介護サービスを必要としていない場合や、基本的に家族が介護できる場合などは、小規模多機能型居宅介護を利用した際の費用と介護サービスを個別で契約した際の費用を比べてみるのがおすすめです。
小規模多機能型居宅介護に向いている人は例えば以下の人です。
小規模多機能型居宅介護に向いている人は、本人の症状に変化があり、さまざまな種類の内容の介護サービスを利用したい人です。
また、小規模で同じ顔なじみのスタッフが対応してくれるので、環境の変化にストレスを感じるような人にもいいでしょう。介護サービスを金額を気にせず利用したいと希望する人にもおすすめです。
小規模多機能型居宅介護に向いていない可能性のある人は例えば以下の人です。
小規模多機能型居宅介護ではケアマネジャーの変更が必要で、ほかのサービスとの併用もできないので現在のサービスに大きな不満がない人は変えないほうが良いでしょう。
また定額制なので、サービスの利用回数が少ない人には向いていないと言えます。
小規模多機能型居宅介護を利用したい場合は、まずは担当のケアマネジャーに相談しましょう。ケアマネジャーが事業所を探し、希望に合ったところが見つかれば面談・契約という流れになります。
ケアマネジャーから施設の候補をもらった際には見学をしましょう。
小規模多機能型居宅介護には事業者専属のケアマネジャーがいるので、サービスを開始した後はそのままケアマネジャーが変更になります。
小規模多機能型居宅介護では、デイサービスを中心に、ショートステイや訪問介護をサービスとして提供しています。内容は食事介助や入浴介助、排泄介助などさまざまです。また、24時間・365日利用できるように休業日を設けておらず、ニーズが高まっているサービスです。
小規模多機能型居宅介護は、通所・訪問・宿泊のどれを利用しても利用料は月額定額制です。月額料金は要介護度により変わり、要介護5の場合は月額が3万円近くと高額です。
また別途費用として、ショートステイの宿泊費が1日当たり1000~3000円、施設の人員体制などによってはサービス加算も費用として必要です。
小規模多機能型居宅介護は、少人数を前提としており利用人数を制限しています。定員数をオーバーしているときはサービスを利用できないので、近々で利用する可能性がある場合は早めに施設へ申し込みましょう。
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