介護保険が適用になるサービスの種類は本当にたくさん。どんなサービスがあって、どのサービスを使えるのか…と、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、居宅介護と施設介護のそれぞれで利用できるサービスに関して紹介します。また、実際に負担する費用や介護保険を適用するための注意点に関しても解説しています。
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介護保険サービスを受けるには要介護認定・要支援の認定が必要です。認定はお住いの市区町村の窓口に「介護保険要介護・要支援認定申請書」を提出し、認定を受けることができます。
要介護認定の申請日から30日以内が目安。介護を必要とする度合いによって、「要介護1~5」と「要支援1~2」の7つに区分され、区分によって受けられるサービスの内容や支給限度額が変わります。
要介護認定後、利用する介護サービスの内容や時期に関するケアプランを作成します。
介護保険で利用できるサービスは、大きく6つに分けられます。
以下では、6つのサービスの詳細に関してまとめました。
要介護者・要支援者が居宅に住んだまま訪問介護や通所介護などの介護事業者を利用して受けられる介護保険サービスをご紹介します。
訪問介護とはホームヘルパーと呼ばれる訪問介護員などが自宅を訪問。入浴や排せつ、食事などの「身体介護」をおこなったり、調理、洗濯や掃除といった家事の「生活援助」をおこなうサービスのことです。
看護師1名を含めた2〜3名のスタッフが自宅に来て、専用の浴槽を使い入浴のサポートをする介護サービスです。
介護される方だけでの入浴が困難な場合や、家族の介助だけでは入浴が難しい場合に利用されます。自宅の浴槽が狭かったり体調の急変が心配な方も安心して入浴できます。
訪問リハビリテーションとは、主治医によって介護が必要と認められた方ばあい、利用者の自宅でおこなわれます。
リハビリ専門職である理学療法士や作業療法士などが訪問してリハビリを提供します。心身の機能の維持回復や日常生活の自立を目的としています。
病気や障がいのある方が、住み慣れた地域や家で自分らしい療養生活が送れるように支援するのが訪問看護サービスです。
介護される方の住んでいる地域にある訪問看護ステーションから、看護師や理学療法士・作業療法士などの専門家が自宅を訪問。医療的ケアを施します。
要支援や要介護と認定され通院が難しい方を対象としたサービスです。
自宅に医師や看護師、薬剤師といった専門家が訪れ、療養上の指導や健康管理、アドバイスなどをしてくれます。
22時から6時までを含む夜間の時間帯に提供される訪問介護サービスのことです。在宅で過ごす介護が必要な方が、夜も安心して過ごせるよう提供されます。
離れて住んでいる一人暮らしの方を対象に、就寝準備や起床準備、夜のトイレ介助やおむつ交換に対応しています。家の中での転倒や急病といった体調の変化に対応する連絡先や救急車の手配も夜間対応型訪問介護のサービス対象です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期的に介護スタッフが自宅を訪問してくれる「定期巡回訪問サービス」と、要望を受けて自宅を訪問する「随時対応サービス」があります。
日中〜夜間を通じて24時間365日サービスを受けることが可能。「定期巡回サービス」「随時対応サービス」「随時訪問サービス」「訪問看護サービス」を組み合わせて利用します。
サービス内容が重複する通院等乗降介助を除いて、訪問介護や夜間対応型訪問介護と併用することはできません。
要介護認定を受けた方が、自宅で生活を続けられるよう身体機能の維持や向上を目指して機能訓練をおこなうサービス。機能訓練だけでなく、他の利用者と交流することで社会的な孤立感を解消したり、認知症の予防を目的としています。
施設で健康チェックや排せつや入浴の介助、昼食やレクリエーション、機能改善などのサービスを受けます。その時間は家族が自由な時間になるので、介護する側も肉体的、精神的にリフレッシュすることができます。
デイケアとは医療機関や介護老人保健施設などに通い、リハビリを受けられる介護サービスです。医師の指示のもと、国家資格を持つ専門家からリハビリを受けることができます。
デイサービスは日常生活のための機能訓練が目的ですが、デイケアはおもにリハビリテーションに特化したサービスと言えます。
デイケアの利用時間帯は約6~8時間ほどの一日型が一般的です。集中的にリハビリをおこないたい方だけではなく、胃ろうや痰吸引などの医療的ケアが必要な方も多く利用しています。
福祉用具のレンタルは介護される方だけでなく介護する方にとってもありがたい存在です。貸与対象となる福祉用具の一例を挙げると、車いすや特殊寝台、床ずれ防止用具や歩行補助杖があります。
特定の福祉用具を購入する場合には購入費の助成があります。サービスの対象となる福祉用具には下記のようなものがあります。
短期的に施設に入所して介護支援を受けられるのがショートステイです。
介護する方が冠婚葬祭や出張などで数日間留守にしなければならなかったり、体調を崩してしまった場合に便利です。予定がなくても単なるリフレッシュでも利用できます。
介護施設に短期間入所して介護サービスを受けるショートステイの中でも、医療的ケアに対応しているショートステイは「短期入所療養介護」と呼ばれます。
在宅で療養していく中で、医療面や機能面の回復とともに介護する方の負担を軽くする目的もあります。
小規模多機能型居宅介護は、同一の介護事業者が通所介護(デイサービス)を軸に、訪問介護や短期入所生活介護(ショートステイ)を一体的に提供する介護サービスです。
在宅でいくつもの介護サービスを利用する中で、介護される方の状況の変化による契約変更などの手続き。介護する方の負担や不安を解消できるというメリットがあります。
また、通所・訪問・ショートステイを組み合わせても月額料金が定額なので、介護保険利用限度額を超過する心配がないのも大きな特徴です。
認知症の方のための専門デイサービスで、自宅から施設までの送迎があり、食事や入浴など生活サポートやレクリエーションを施設に通っておこなうことができます。
引きこもりがちな認知症の方のために、職員や利用者間、地域の方との交流の場を設けながら社会的孤立感を緩和する目的があります。また介護する方の孤立感や介護負担を軽減する面もあります。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)とは、認知症の方に特化した小規模の介護施設です。
これまでと同じ地域で暮らし続けることができる地域密着型サービスとなっています。ユニットと呼ばれる5~9名のグループ単位で、家事などの役割を分担しながら共同生活を送るのが最大の特徴です。
認知症介護の知識や技術を持ったスタッフも担当制なので、いつも同じメンバーでそれぞれの状況に合わせた認知症ケアを受けられます。
介護保険の対象になる住宅改修工事には、手すりの取り付けや段差や傾斜の解消、ドアから引き戸への扉の交換、和式便器から洋式便器への交換などがあります。
屋内だけでなく玄関から道路までの段差解消なども対象となる場合があります。
施設介護サービスとは、介護保険施設に入居して受ける介護サービス。介護保険施設、地域密着型サービス、特定施設入居者生活介護の3つの施設でサービスを受けることができます。
介護保険施設と定められている3つの施設は以下の通りです。
介護保険施設は地方公共団体や社会福祉法人、医療法人などが運営する公的施設です。
介護老人福祉施設は原則「要介護3以上」の方が対象。高度な医療的なケアを必要としない、常に介護が必要の入居可が能です。
また、自宅での介護が困難な方の養護も目的とされています。終身まで利用できる施設が多いのが特徴です。
介護老人保健施設は、「要介護1以上」のリハビリテーションを必要とされる方が対象。病院での治療を終えた方が、在宅復帰をするためのリハビリを専門に行う施設です。
在宅復帰を目的とした施設のため、入所期間は3~6ヵ月と限定的。医学的な管理の元、介護や看護、リハビリと日常生活の介護サービスを受けることができます。
介護医療院は「要介護1以上」の方が対象。長期的な医療と介護の両方を必要とする高齢者向けの施設です。介護と医療的ケアを同時に受けることができます。
地域密着型サービスとは、認知症の高齢者や中重度の要介護高齢者等が、できる限り住み慣れた地域で生活が続けられるように、市町村指定の事業者が提供するサービスです。
サービス内容は、お住いの市町村によって異なります。地域密着型サービスの対象者は、要介護の認定を受けている方で、原則として運営する事業者と同じ市町村に居住している方が対象となります。
特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。
ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。
指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。
特定施設入居者生活介護の指定を受けていない施設でも、介護保険適用の介護サービスの利用が可能です。
利用には居宅介護支援事業者(介護支援専門員)に介護度や要支援度の必要性に応じたケアプランを作成してもらい、介護サービス事業者と個別に契約をすることになります。外部の事業者からのサービスとなるため、直接施設職員による介助を受けることはありません。
ただし、訪問介護・通所介護・居宅介護支援事業所等を併設している施設では、希望をすればサービスを利用することも可能です。
自宅で訪問介護や通所介護を利用するときと同じように、自分に合ったプランを選べるため介護度の低い人は費用を抑えることができます。
出典:「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
要介護・要支援の高齢者が自宅に住みながら受ける居宅介護サービス。サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームも利用している場合も、その部屋は「自宅」となり居宅介護サービスとなります。
居宅介護サービスの場合、外部の訪問介護、通所介護などを利用することとなります。自分に必要な介護や支援を選択して受けることができ、支払いはサービスを受けた分だけ支払います。
居宅介護サービスでは訪問介護、通所介護のほかショートステイやベッドや車椅子をレンタルできる「福祉用具貸与」「訪問看護」「訪問入浴介護」などの利用ができます。
居宅介護サービスを利用する場合、1ヵ月に利用できる上限(支給限度額)が、要支援・要介護度に応じて定められています。限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割、または3割)の自己負担ですみます。
サービスを利用した分だけ支払うことになるので、介護度の低い方は費用をおさえることが可能です。
通常は、ケアマネジャーと相談してサービス計画を立て、自分の必要な介護サービスを支給限度額の範囲内でサービスを受けることになります。
限度額を超えてサービスを利用することはできますが、超えた分は全額自己負担となります。
ケアマネジャーはサービス提供事業者を把握し、支給限度額の範囲内でサービスを組み合わせるための正確な計算ができます。サービス計画を立てるときにはケアマネジャーと相談をし、納得のできるプランを立ててもらうことが重要です。
要介護度 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
---|---|---|---|
要支援1 | 5,490円 | 10,980円 | 16,470円 |
要支援2 | 9,390円 | 18,780円 | 28,170円 |
要介護1 | 16,260円 | 32,520円 | 48,780円 |
要介護2 | 18,270円 | 36,540円 | 54,810円 |
要介護3 | 20,370円 | 40,740円 | 61,110円 |
要介護4 | 22,320円 | 44,640円 | 66,960円 |
要介護5 | 24,390円 | 48,780円 | 73,170円 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
介護付有料老人ホーム、介護型ケアハウス、一部のサービス付き高齢者向け住宅などの特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設では、介護サービス費用は要介護度ごとに決められた額を支払う定額制になっています。
定額制のため、必要なサービスが増えた場合でも、介護サービス費が高額になる心配もなく、安心してサービスを利用できます。
利用負担は原則1割、一定以上の所得がある方の場合は2割、または3割です。
介護保険は、利用者の日常生活を送る上で必要なサポートをすることが目的です。そのため介護サービス利用者本人の援助にならないものや、日常生活上必要でないサービスについては保険の適応外となります。
以下のようなものは保険適応外のサービスとなるので注意が必要です。
利用者以外の家族のためとなるサービスは利用者本人の援助に当てはまらないので、介護保険の適用外です。
利用者のための食事の準備は介護保険が適用されますが、同居している家族のために食事を作ることは利用者のためのサービスではないため、保険適用外となります。
また、利用者が使用していない居室の掃除や、洗濯、ペットの世話なども利用者への直接のサービスとはみなされず、介護保険の適用外となります。
日常的な生活援助の範囲を超える家事やサポートは必要以上のサービスとなり、介護保険が適用されません。
居室の掃除や付き添いなどでは日常生活で必要な範囲は保険適用されますが、年末の大掃除や草むしり、旅行の付き添い、話し相手…など、日常的な生活の中では必要でないサービスは保険の適用外となります。
養護老人ホームとは、身体的・生活環境上・経済的などの理由で居宅で生活ができない高齢者を養護し、社会復帰の支援を行う入所施設です。
養護老人ホームでは居室の提供や、食事や健康管理などのサービスを受けることができますが、主な目的は介護ではなく入居者が自立した生活を送り、社会的な活動に参加できるよう支援することです。
そのため介護保険施設には該当せず、基本的に介護サービスを受けることはできません。
※特定施設に指定されている養護老人ホームは除きます。
介護予防サービスとは、なるべく介護を必要とせず、地域や自宅で自立した生活が送れるよう、早期に予防対策を行うサービスです。
介護予防は、あくまでも「要介護状態になることを極力遅らせること」または「要介護状態になるのを未然に防ぐこと」であるため、介護予防サービスが受けられる対象者は、要支援1・2の高齢者と自立している健康な高齢者となります。
サービスを受けるためには市区町村に在籍するケアマネジャーに相談し、ケアプラン(介護予防サービス計画)を作成してもらい、プランに合わせたサービスを受けます。
介護予防サービスは、目的や内容によって「介護予防サービス」「地域密着型介護予防サービス」「地域支援型の予防サービス」の3つに分類されています。
介護付き有料老人ホームでは介護保険を利用できますが、要介護度が高いと自己負担も高額になります。また、入居中に病気やけがなどで治療が必要とさらに医療費が必要になることも。
これらの費用負担を軽減できる制度がありますので、知っておきましょう。
「高額介護サービス費制度」は、1ヵ月の介護保険サービス自己負担額が限度額を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。支給対象の方には自治体から「支給申請書」が送られくるので、忘れずに申請しましょう。
高額介護サービス費の支給を受ける際は、各自治体の窓口に申請しましょう。以下、申請時に必要な主な書類をまとめました。
「特定入所者介護サービス」とは、所得の低い方の負担を軽減する制度です。
介護保険施設を利用には介護サービスについては保険が適用され、要支援・要介護度に応じて1割(一定以上所得者の場合は2割、または3割)の自己負担となりますが、居住費や食費、日常生活費については保険の適用外となり自己負担が必要です。
所得の低い方には負担限度額が設けられていて、申請により限度額までの負担に軽減することができます。「特定入所者介護サービス」の利用には、お住いの市区町村に申請し「介護保険負担限度額認定証」の交付を受け、それを施設に提示する手続きが必要です。
介護保険サービスを受けるには要介護認定・要支援の認定が必要です。介護を必要とする度合いによって、「要介護1~5」と「要支援1~2」の7つに区分され、区分によって受けられるサービスの内容や支給限度額が変わります。
まずは市区町村の窓口に申請書を出し、認定を受けましょう。認定後ケアマネジャーによってケアプランが作成されます。
要介護1の人の場合、ほぼすべての居宅介護サービスを利用できます。主に訪問系サービスである訪問介護や訪問入浴、通所系サービスのデイサービスやデイケアなどが挙げられます。利用する人の身体状況によってサービスを選択しましょう。
認知症の人でも訪問系サービス、通所系サービス、宿泊系サービスなど幅広くサービスを利用できます。
また、介護サービスの中には認知症の人のための認知症対応型通所介護という専門のデイサービスがあり、地域の人との交流の場を設けながら社会的孤立感を緩和する目的でレクリエーションなどをおこなっている施設もあります。
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