写真は別の日に撮影したものです。
「特別養護老人ホーム(特養)」に入居した人は、どんな毎日を送っているんだろう。イベントや季節の行事などもあるのかな?
ある日の特養の一日に密着して、入居者さんやスタッフの日常を調査してきました!
「特別養護老人ホーム(特養)」とは、介護が必要な高齢者が入居して、生活や介護のサービスが受けられる公的な介護保険施設です。
65歳以上で要介護3以上などの入居条件がありますが、民間の高齢者施設より費用が安く、入居すれば終身で介護サービスが受けられます。
なお、65歳未満でも要介護3以上で特定疾病が認められた人や、要介護1~2でも在宅生活が困難な場合は入居が可能な場合もありますので、各市町村にお問い合わせください。
今回の密着調査には、神奈川県横浜市栄区にある地域密着型特別養護老人ホーム「クロスハート野七里・栄」にご協力いただきました!
ちなみに、「地域密着型」とは定員29名以下の施設のこと。こちらでは入居者さん8人のグループに分けた「ユニット型」の形態をとっています。
朝起きてから夜寝るまで、入居者さんがどんな一日を過ごすのか、興味津々です!
6時~7時 | 起床 |
---|---|
8時 | 朝食 |
9時~13時 | 入浴 |
12時 | 昼食 |
14時 | レクリエーション |
15時 | おやつ |
18時 | 夕食 |
20時 | 就寝 |
21時 | 消灯 |
施設長の前田みどりさんによると、毎日のタイムスケジュールは決めているが、きっちりと時間通りに行動するのではなく、その日の状況やその人の状態に合わせて起床や朝食の時間に幅を持たせているとのことです。
「集団生活の中でも、その人らしさを消さないように、あまり時間に縛られず自由に暮らせるよう心がけています」と前田さんは話します。
そのため、「クロスハート野七里・栄」は、ほかの施設よりスケジュールは緩めになっていると語っていました。
起床は朝6時から7時になっていますが、スタッフが定時に起こすということはなく、自分の好きな時間に起きられます。
起床後は、スタッフの協力で着替えや髪の毛を整えたりしてから、みなさんリビングに集まって朝ごはんをいただきます。
この日のメニューは、次の内容でした。
主食は、火曜日は食パン、土曜日はロールパンになりますが、希望者はごはんでもOK。また食パンは焼いてトーストにしたり、耳をカットするなどのリクエストもできるそうです。
「食事には入居者の飲み込む能力に合わせて常食(通常の食事形態)、常食の一口大、やわらか食(歯茎でかみ切れるが見た目は常食と同じ)、ムース食、特別食(流動食)の5タイプがあります。かつては常食をハサミで細かく切った『刻み食』や『極刻み食』が一般的でしたが、見た目や口当たりが良くないので、うちでは見た目は常食とほとんど変わらない『やわらか食』にしています」と施設長の前田さんが説明してくれました。
朝食後はトイレやおむつ交換などの排泄ケア、陰部洗浄を済ませてから自由時間に。また「クロスハート野七里・栄」では週2回、入浴をおこないます。
「基本的にユニットごとに入浴をする曜日を決めていますが、入居者さんのご希望や状態を見てフレキシブルに対応しています」と前田さん。
浴室は通常のバスタブが設置された「個浴」と、シャワーチェアごと入浴できる「機械浴」の2室があり、それぞれスタッフが入浴介助をします。
入浴にかかる時間は1人40分ほどです。その方のご状態に応じて、午前もしくは午後の時間帯で入浴します。
お昼ごはんは12時から。なかには、11時半くらいから配膳を手伝ってくれる入居者さんもいるそうです。
この日の昼食は次の内容でした。
「クロスハート野七里・栄」では最低限の食事介助はしますが、できるだけ自分で食べてもらうようにしているそうです。
なお、毎月1日は「おついたち」として、主食を赤飯に変更しています。さらに、ひな祭りやクリスマスなど季節の行事にちなんだ食事や、47都道府県の特色あるメニューを出す月1回の「ご当地メニュー」などのイベント食も提供。その際は、スタッフが多くいる昼食時におこなっています。
昼食後に口腔ケアやお手洗いを済ませて、14時くらいまで休憩を取ります。
レクリエーションは14時頃からおこないます。「クロスハート野七里・栄」では、週2~3回くらいで実施するそうです。
「当施設では、毎日、時間ごとのプログラムをきっちりとは決めておらず、その方の機能やご状態、意欲、趣味に応じた提供を心がけています。また、毎日の活動がお身体の負担になる方もいらっしゃいますので、その辺りをしっかり見極めたうえで、その方らしく余暇を選択できるということを大切にしています」と施設長の前田さんは話していました。
なお、スタッフが主導しなくても自由時間に入居者が自主的に何かできるよう、共有スペースには脳トレの本やトランプ、かるたなどが用意してありました。
15時からはおやつタイム。常食とやわらか食の人はほぼ同じおやつが出ますが、飲み込む能力が低下してムース食を食べている人はゼリーやプリンなど、飲み込みやすいものを提供しています。
調査に訪れた日は、ちょうどおやつとレクリエーションを兼ねた「おやつレク」の日でした。入居者が自分でムースと牛乳をかきまぜ、その上にクリームとフルーツをトッピングした手作りのパフェにチャレンジ。みんなお手製のデザートに舌鼓をうっていました。
夕食は18時から。朝や昼よりボリューム感のある献立です。
この日の献立は次の内容でした。
夕食後は、20時の就寝時間まで自由に過ごします。
夜間は、その方のご状態に合わせた排泄援助、および2時間おき各部屋の巡視をしています。
施設長の前田さんは、「今は、高齢者の皮膚や排泄量の状態に合わせた、機能的なおむつも沢山あります。そういったものを選んで使用することで、夜間のおむつ交換の回数を減らし、できるだけご入居者に安眠をして欲しいという思いがあります」と語ります。
日々の過ごし方から排泄ケアまで、「クロスハート野七里・栄」ではその人らしい日常が送れるよう個人の自由を大切にすることをモットーにしているんだね!
今回、調査に協力していただいたのは「クロスハート野七里・栄」。2009年4月に開所した、地域密着型の特別養護老人ホームです。定員は26名で、1日8人までのショートステイも併設しています。
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