長い闘病の末に、延命治療をおこなわずに穏やかな終末を迎えたいと望む人もいるでしょう。
そのような人が受けられる「ホスピスケア」というものがあります。ホスピスケアは、病気による苦痛を和らげ、患者と家族にとって穏やかで幸せな生活を送ることを目的としたケアです。
この記事では、ホスピスケアの具体的なケア内容を解説します。ぜひ参考にしてみてください。
ホスピスケアとは、末期がんなどで死期が近い患者が「人生の終末を穏やかに迎えたい」と考えた際に受けられるケアです。ケアの内容は、病気やその治療によって感じる苦痛を和らげたり、穏やかな最期を迎えるためのサポートが中心です。
ホスピスケアを受けられる施設を「ホスピス」といいます。ホスピスでは末期がんなどの病気治療を目的にしたり、延命のために治療はありません。ホスピスで受けられる治療は苦痛を和らげるためのもので、リハビリのような運動もありません。
ホスピスケアを受けることにより、これまで治療に伴っていた苦痛を最小限に抑えられ、人生の残りの時間を本人の思うままに過ごせるのが大きなメリットです。
ホスピスケアと似ているものに「緩和ケア」というものがあります。緩和ケアとは、病気で受ける痛みや、その他の苦痛を伴う症状を和らげるケアのことです。ホスピスケアはがんなどの治療を止めた方が受けるのに対し、緩和ケアはがんなどの治療と並行して受けられます。
緩和ケアを受けるのに適した人は、病気や症状に関わらず治療に伴う苦痛を和らげたい方です。がんなどで告知されたばかりの初期症状の方から、症状が進んでしまった方も受けられます。
「がんと宣告されてから日々の治療が辛い」「この先、本当に治るのか不安になってきた」と不安や辛さを感じる方は緩和ケアを受けるのがおすすめです。
ホスピスケアは、患者に対して最大限の敬意を払い、患者と家族にとって穏やかで幸せな生活を送ることを目的にしています。しかしホスピスケアという言葉は知っていても、実際にどのような対応をするのか正しく理解している人は少ないでしょう。
実際に施されるホスピスケアとはどのようなものなのでしょうか。「身体的ケア」「精神ケア」「社会的ケア」の3つに分けて説明します。
「身体的ケア」とは、身体面の苦痛を取り除くケアのこと。例えば、以下のような内容が挙げられます。
身体的ケアでは、入居者が穏やかで快適に過ごせるように、体を拭いたり、身だしなみを整えたりします。24時間、週7日間対応が基本です。
ホスピスでは治療による延命措置はおこなわれませんが、痛みをコントロールするための治療はおこなう場合があります。痛みの緩和をするか、延命措置をするか、という判断は難しいものですが、医師としっかり話し合って処置の方針を決めます。
「精神的ケア」は、死に対する恐怖や不安感を緩和するケアです。重篤な病気による苦しみや、死への恐怖心を和らげるために、ホスピスケアでは精神的なケアも大切にしています。
例えば、施設の部屋を本人の住み慣れた住宅の空間に近づけるといった視覚的なサポート。思い出の品を本人の近くに置いておくだけでも安心感につながり、苦痛の緩和になるでしょう。
また、患者が信頼している人との会話による心理的サポートもあります。苦痛を感じている際は特に孤独感を抱きやすくなっています。家族など信頼する人が一緒にいるだけでも、患者は安心して過ごせます。
「社会的ケア」とは、社会的な問題解決を援助するため、主にソーシャルワーカーや家族がおこなうケアのこと。例えば、入院費や医療費などの手続きや、遺品整理、遺品相続などをサポートします。
一般にホスピスの利用は保険の支払い対象になります。しかし、患者本人と家族だけでは、支払い手続きなどをおこなう余裕はなかなかありません。加えて、終活の一環として財産の整理や相続対策なども必要です。
そのため、入院患者の社会的な申請や手続き関係を代行するサービスもホスピスで用意しています。身体的・精神的と同時に社会的ケアもおこない、患者に無用な負担をかけないように適切な配慮がされているのです。
ホスピスケアで医師による医療行為は受けられますが、抗がん剤の投与など、がんそのものの治療は受けられない施設がほとんどです。 ホスピスで受けられる医療行為は、あくまで痛みを軽減するためのもの。がんの治療以外の通常の診療は患者や家族の希望に応じて、今までと同様に継続して受けられます。
ホスピスで受けられる医療行為の内容は、レントゲンや血液検査、輸血、点滴など全身状態を維持するために必要な検査や治療です。また、必要に応じて、症状緩和のための外科的治療や放射線治療がおこなわれることもあります。
ホスピスが病院と最も違うのは、病気治療・延命措置を目的としていない点です。ホスピスケアの目的は終末期を迎えた患者に幸せな時間を過ごしてもらうことです。
ホスピスケアを受けられる場所は主に以下です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
ホスピスとは、末期がんなどで死期が近い患者に対して、安らかな最期を迎えてもらうための治療やケアをおこなう施設のことをいいます。治療が困難な人や自らホスピスケアを希望した人がホスピスに移ります。
ホスピスでは、面会の制限が無かったり、居室に泊まることができたりと、家族と一緒に過ごす時間も多く取れます。
がんなどの治療を受ける中で、「最期は自分の好きなように過ごしたい」「苦痛から解放されて家族と心ゆくまま最期の時間を楽しみたい」と思う方は、ホスピスへの入居を検討してみましょう。
緩和ケア病棟とは病院内に併設されたホスピスのことです。がんなどの病気の治療を受けている病院の緩和ケア病棟に移った場合、患者の病状や治療法などについての情報伝達がスムーズで、家族も新たにホスピスを探す必要がなく、負担が少ないといえます。
緩和ケア病棟は、がんによる心身の苦痛を和らげることを目的とした病棟です。そのため、キッチン設備が整えられていたり、季節のイベントが開催されたりなど、できる限り日常に近い生活を送ることができるよう工夫されています。また、家族や友人などを招き、一緒に病棟内のイベントを楽しむこともできます。
緩和ケア病棟でのケアを通じて心身の苦痛が和らいだら、患者の希望に応じて退院し、帰宅も可能です。
ホスピスケアは介護施設でも受けられる場合があります。最近では、ホスピスケアを提供する特別養護老人ホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などが少しずつ増えています。
入院期間に定めのある緩和ケア病棟と違い、入居期間に定めがないことが介護施設に入居するメリットのひとつ。生活の中で必要となる排泄介助などの身体介助に介護保険を利用するので、介護認定を持つ方が入居対象となる施設が多いです。
なかには介護認定がない方の入居が認められる場合もありますが、その場合には生活で必要となる介助に対し実費での支払いが必要なため、月額の支払い金額が高額になってしまいます。
自宅で受けるホスピスケアは「在宅ホスピス(在宅緩和ケア)」と呼ばれます。
在宅ホスピスとは、患者の自宅や専門の施設で、ホスピスケアを受けながら生活する方法です。住み慣れた家で家族と一緒に残された時間を過ごせることは、患者にとって一番幸せかもしれません。
在宅ホスピスでは、定期的に医師と看護師が訪問して、ケアや診察をおこないます。専門の施設なら、何かあったときにいつでも医師や看護師が駆けつけられるので安心です。自宅の場合でも家族のサポートを受けながら、緊急の時には医師や看護師に対応してもらえます。
もし、自宅で具合が悪くなった場合は病院に入院することも可能です。加えて、自宅で介護をする家族が身体的・精神的負担を感じ、十分な介護ができなくなると判断した場合は、レスパイト入院(一時的な入院)もできます。
緩和ケアは、がんなどの病気の治療と平行して受けられるので、普段、治療で通っている外来でも緩和ケアを受けられる場合があります。
がんなどの治療で通院しながら緩和ケアを受ける場合、基本的には担当の医師または看護師からケアを受けます。しかし、必要に応じて他の医療専門職からのケアを受けることもあります。
緩和ケア外来のない病院に通院している方は、普段がん治療のために通っている外来で緩和ケアを受けるか、または他の病院の緩和ケア外来を受診します。
がんなどの治療を受けながら緩和ケアを受けたいと思った場合、まずは通院している外来に相談してみましょう。
ホスピスケアは患者に対して最大限の敬意を払い、患者と家族にとって穏やかで幸せな生活を送ることを目的としています。主に、治療に伴う身体面の苦痛を取り除く「身体的ケア」、死に対する恐怖や不安感を緩和する「精神的ケア」、入院費や医療費などの手続きや、遺品整理、遺品相続などをおこなう「社会的ケア」の3つがあります。ホスピスケアでは、がんなどの病気そのものに対する治療はおこなわれませんが、全身状態を維持するために必要な検査や治療は受けられます。また、必要に応じて、症状緩和のための外科的治療や放射線治療がおこなわれることもあります。
ホスピスケアとは、末期がんなどで死期が近い患者が「穏やかに人生の終末を迎えたい」と考えた際に受けられるケアです。ケアの内容は、病気やその治療によって感じる苦痛を和らげたり、穏やかな最期を迎えるためのサポートが中心です。緩和ケアも苦痛な症状を和らげるケアのことです。しかし、緩和ケアはホスピスケアとは異なり、がんなどの治療と並行しておこなわれます。緩和ケアはがんなどを告知された初期症状の方から、症状が進んでしまった方も受けられます。
ホスピスケアは主に、緩和ケア病棟、介護施設、自宅で受けられます。緩和ケア病棟は、治療が困難な人や自らホスピスケアを希望した人が緩和ケア病棟に入院できます。緩和ケア病棟でのケアを通じて心身の苦痛が和らいだら、患者の希望に応じて退院し、帰宅も可能です。また、入居した介護施設や自宅へ医師と看護師が訪問してくれる「在宅ホスピス(在宅緩和ケア)」もあります。住み慣れた家で家族と一緒に残された時間を過ごせることは、患者にとって一番幸せかもしれません。
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