介護施設への入居を検討するにあたって、候補のひとつに「介護付き有料老人ホーム」が挙がることもあるでしょう。もし現在、訪問看護を受けている方が介護付き有料老人ホームへ入居した際、医療ケアはどうなるのでしょうか。
この記事で「介護付き有料老人ホームで訪問看護は利用できるのか」「どんな医療ケアが受けられるのか」解説しますのでぜひ参考にしてみてください。
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介護付き有料老人ホームで訪問看護を利用するには、条件があります。例えば、末期がんといった特定の病気の場合は訪問看護を利用できることがあります。
そもそも介護付き有料老人ホームは、介護保険を利用して施設内で介護サービスや看護サービスが受けられる施設です。
介護付き有料老人ホームでの介護サービスには介護保険が適用され、月々一定の自己負担が生じます。自己負担額は介護度により変わるほか、所得によっても1~3割の差があります。介護付き有料老人ホームでは、介護保険を上限まで利用して介護サービスと看護サービスを提供しています。
そのため、介護付き有料老人ホームで訪問看護を利用する際、介護保険は原則として利用できず、医療保険を利用した訪問看護の利用となります。
医療保険を利用した訪問看護の条件は、以下の通りです。
それぞれの条件を詳しく見てみましょう。
介護付き有料老人ホームに入居している方が訪問看護の利用をしたい場合には、主治医から「特別訪問看護指示書」の交付を受ける必要があります。「特別訪問看護指示書」の交付は末期がんといった特定の病気の場合に限られます。
「特別訪問看護指示書」とは、施設で提供される看護サービス以上のケアが必要と主治医が判断した場合に発行される書類です。主に入居者の持病の悪化などが理由で、入居している施設内で提供される看護サービスでは足りない場合に発行されます。
また、「特別訪問看護指示書」の指示期間は原則として月1回、14日以内と決まっています。
厚生労働大臣が定める疾病を患っている方も、医療保険で訪問看護が利用できます。
該当するのは、以下の19種類の疾病と1つの状態です。
参考:「訪問看護のしくみ」(厚生労働省)
「主治医から『特別訪問看護指示書』の交付を受ける必要がある」「症状が厚生労働大臣が定める疾病である」という2つの条件を満たさなければ、介護付き有料老人ホームで訪問看護を受けられません。
介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。生活支援や介護サービス、看護サービスを提供しており、介護保険が適用されます。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。
介護付き有料老人ホームでは介護サービスのほかに医療ケアも提供しています。施設によって医療ケアの手厚さが違うので、希望した医療ケアを提供する施設を探しましょう。
看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。
介護付き有料老人ホームの詳しい説明は下記ページにておこなっていますので、そちらも参考にしてください。
介護付き有料老人ホームでは、一部の医療ケアも受けられます。介護付き有料老人ホームには看護師が配置されているからです。また介護スタッフからも一部の医療ケアを受けられます。
看護師、介護スタッフ、それぞれから受けられる医療ケアを見てみましょう。
介護付き有料老人ホームには必ず看護師が配置されており、専門性を必要としない医療行為を受けられます。
看護師が提供可能な医療行為には、次のようなものがあります。
ただし、すべての介護付き有料老人ホームで医療行為が可能とは限りません。施設によって、看護師の配置人数や配置の時間帯などが異なるためです。
例えば、夜間に看護師が配置されていない施設では、夜間の医療行為ができません。人工呼吸器や在宅酸素を常時使用しているなど、夜間にも医療行為が必要な場合は、夜間にも看護師が配置されている施設への入居を検討する必要があります。
介護スタッフは、基本的に医療行為はできません。ただし、下記については厚生労働省が医療行為に含まれない行為としているため、介護スタッフによる提供が可能です。
加えて、施設が都道府県に対して医療行為を実施できる施設だと登録をしており、喀痰吸引等研修を受けた介護福祉士は、以下の実施が認められています。
介護付き有料老人ホームで受けられる医療ケアを紹介しましたが、それでも足りない場合、介護付き有料老人ホームよりも医療体制が充実している施設を検討することをおすすめします。
どの施設では手厚い医療ケアが受けられるのでしょうか。2つの施設を紹介します。
「介護医療院」は、高齢者に対する「医療」と「介護」のニーズに応えるための生活施設です。特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)と並ぶ公的な介護施設のひとつです。
介護医療院には医師が常駐しているため、基本的な介護サービスはもちろん、痰の吸引や経管栄養といった医療的処置にも対応可能。さらには、看取りの役割も担っています。
入居条件は以下の通りです。
介護医療院の入所には、要介護1以上の認定が必要です。また、「伝染病などにかかっていないこと」や「病気での長期入院が必要ないこと」など、施設ごとに条件が決められています。
なお、介護認定は基本的に65歳以上が対象ですが、特定疾患がある場合は65歳未満でも申請可能です。
介護医療院の詳しい説明は下記ページにておこなっていますので、そちらも参考にしてください。
「ホスピス」とは、末期がんなどで死期が近い患者が、安らかな最期を迎えるための治療やケアをおこなう施設です。
ホスピスの入居は末期がんや難病の人など終末期患者が中心です。基本的に年齢や病気の進行具合によってホスピスへの入居を断られるということはなく、穏やかに人生の終末を迎えたいと思うすべての人が対象となります。ただし、認知症が進行して身体の拘束が必要になる場合などは個別相談が必要です。
また、ホスピスに入居するには、本人に死期が近いことを告知していることが条件です。知らないまま入居すると、スムーズなケアや治療がおこなえません。本人と家族の気持ちが同じであることは、ホスピスに入居するうえでとても重要です。
ホスピスの詳しい説明は下記ページにておこなっていますので、そちらも参考にしてください。
介護付き有料老人ホームで訪問看護を利用するには条件があります。末期がんといった特定の病気など厚生労働大臣が定める疾病を患っており、主治医から訪問看護の許可を受けている方に限ります。また、介護付き有料老人ホームで訪問看護を利用する際、介護保険は原則として利用できません。医療保険を利用した訪問看護の利用となります。
介護付き有料老人ホームには必ず看護師が配置されており、インスリン注射、痰の吸引、在宅酸素や人工呼吸器の管理など、提供可能な医療行為もあります。しかし、すべての介護付き有料老人ホームで医療行為が可能とは限りません。施設によって、看護師の配置人数や配置の時間帯などが異なるためです。
医師が常駐している介護医療院やホスピスは医療体制が充実しているので、介護付き有料老人ホームよりも医療のサポートを安心して受けられます。介護付き有料老人ホームで受けられる医療ケアもありますが、それでも医療のサポートが足りない場合、介護付き有料老人ホームよりも医療のサポートが充実している施設を検討することをおすすめします。
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