特別養護老人ホーム(特養)の経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会は10月3日、会員が経営している高齢者施設の経営状況を調べた結果を公表。すると、2022年度は62%の特養が赤字であることがわかりました。
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全国老人福祉施設協議会は、全国およそ1600ヵ所の高齢者施設を対象に、施設の経営状況を明らかにする調査を実施。2022年度の決算などを取りまとめ、2023年10月3日にその結果を公表しました。
すると、2022年度は2021年度の43%よりさらに多い、62%の特養が赤字であることが明らかになったのです。これは、全国老人福祉施設協議会が経営状況を調査してから最悪の数字だといいます。
理由としては、施設の消毒など新型コロナウイルスの感染対策費用に加え、急激な物価高騰でコストが大幅に増大したことが考えられます。
全国老人福祉施設協議会は2022年度の特養の収支差率(売上金額に対する利益の割合。一般企業でいうところの利益率)も調べたところ、前年度から3.0ポイント低下したマイナス2.8%と、こちらも過去最悪であることがわかりました。
また、併設デイサービスの収支差率はマイナス5%とさらに低迷。新型コロナの感染拡大に伴い、利用控えが増えたことが要因なのではないかと考えられます。
10月3日に開かれた集会で、全国老人福祉施設協議会の会長を務める大山知子氏は「想像以上に厳しい数字だ。事業継続は困難と言わざるを得ない。まさに介護崩壊の危機である」と現状に対する警鐘を鳴らした上で、「来年度に控える改定で、介護報酬の大幅なプラス改定を勝ち取るために一致団結して行動していく」と決意を改めて表明しました。
特養の介護報酬額は法律で決まっているため、現状を変えるには介護報酬の大幅なプラス改定が不可欠。今後の介護報酬改定をめぐる議論に注目です。
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