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2024年4月22日滋賀県は、同県野洲市にある介護老人福祉施設の運営法人に対して新規利用者受け入れ停止の行政処分を言い渡したことを発表しました。新規利用者受け入れ停止の期間は5月1日からの1年間です。 この施設では、2023年の10月までに施設の介護スタッフ3人が入居者12人に対して、叩いたり、押さえつけるなどの虐待が15件もあったことが確認されています。 施設では虐待と隠蔽がおこなわれていた 滋賀県によると、同県の介護施設に勤務する介護スタッフが入居者に対し、2023年4月~10月の間に15件もの虐待をしていたことが発覚。滋賀県は施設に対して2024年5月1日より1年間の新規利用者受け入れ停止の行政処分を言い渡したそうです。 今回発覚した施設の問題行動は以下です。 入居者の顔や腕を叩いたり押さえつけたりする身体的虐待 入居者が介護を求めても「あなたの体が悪い」と暴言を吐いて介護をしない心理的虐待・介護放棄 施設の施設長は介護スタッフの虐待を認識していたにもかかわらず、市に報告をしなかった 虐待による内出血のあった入居者の家族に対して「事故が原因だった」と虚偽の説明をし、虐待を隠蔽 虐待をおこなっていた介護スタッフは主に3人で、被害を受けた入居者は12人に及ぶそうです。 介護施設での高齢者虐待を防ぐためには 今回処分を受けた施設は施設内で入居者に対して暴言があったとして、2023年4月に市からの行政指導を受けていましたが、その後も虐待を続けていました。虐待をおこなった介護スタッフは「人が足りず余裕のない職場環境で虐待をしてしまった」と話しているそうです。 介護施設でおこなわれる虐待は閉鎖的な環境でおこなわれるため、周囲からわかりづらいことが多いです。 介護施設での高齢者虐待を防ぐには、まずは余裕を持った人員配置にすることが大切。施設で起こる虐待は単独でおこなわれることがほとんどのため、常に他者の目がある状況に置くことで多くの虐待が回避できるでしょう。 また、施設の雰囲気も大切です。スタッフ同士のコミュニケーションが不足している施設では、スタッフのストレスも溜まりやすくなり、虐待に至る兆候を見逃す可能性も高くなります。 もし家族など身近な人が介護施設への入居を考えている際には、事前に入居希望の施設を訪れて現場の雰囲気を見ておくと良いかもしれませんね。
2024/04/23
今月、愛媛県松山市内のサービス付き高齢者向け住宅で95歳の女性の腕を骨折させるという事件が発生しました。女性に暴行を働いた相手は同施設で働いている看護師の男で、暴行を受けた女性は全治3ヵ月から4ヵ月の大怪我だったと言います。 高齢者向け住宅で暴行事件が発生 警察の調べによると、2024年3月8日の午後7時ごろ、愛媛県松山市内のサービス付き高齢者向け住宅で看護師が入居していた95歳の女性の左腕をひねるなどして骨折させるという事件が発生。一連の暴行事件の容疑で同施設で看護師として働いている30歳の男が逮捕されました。 この事件は、被害者の女性の家族が警察に相談をし、相談を受けた警察の捜査により発覚。警察による聞き取りや防犯カメラの映像などから容疑者を割り出し、3月27日に容疑者の男を逮捕しました。 警察の調べに対し、男は容疑を認めていると言います。警察は引き続き動機や余罪などについて、さらに詳しく捜査を進めていくとしています。 「虐待かも?」と思ったら、まずは専門家に相談を 今回の事件は、被害者の家族が早い段階で警察に相談したことにより発覚しました。高齢者への虐待は、どれも高齢者の尊厳を著しく傷つけてしまったり、場合によっては命の危険につながったりすることもあります。そのため、虐待の疑いを持った段階で速やかな通報をおこなうのが望ましいです。 施設内で起こる高齢者への虐待は表面化しにくく早期発見が難しいという特徴があります。家族など周囲の人が虐待の兆候に気づいたときには専門機関に相談しましょう。高齢者虐待の相談窓口は、地域包括支援センターや法務省の常設する人権相談所など、公的な窓口が複数用意されています。 家族など周囲の人が高齢者本人や入居している施設に対して「虐待かもしれない」「このままでは虐待につながってしまうかも…」など、虐待のおそれがあると気づいた段階で相談・通報することで高齢者虐待の早期発見や防止につながります。 虐待の疑いを持っても「通報」と考えると勇気がいるかもしれません。まずは信頼できる施設のスタッフやケアマネジャーに相談するのも良いです。一人で抱え込まずに身近な人に相談してみましょう。
2024/03/28
福島県は県権利擁護推進会議にて、2022年度における介護施設の職員による高齢者への虐待件数、相談・通報件数ともに2年連続で増加し、過去最多となったことが明らかになりました。 県は、施設職員への研修などをおこない、虐待の防止や早期発見を図るとしています。 福島県で職員による高齢者虐待が最多に このたび福島県は、福祉や医療、法務などさまざまな分野の有識者を集め、高齢者の権利擁護に関する協議をおこなう「権利擁護推進会議」を開きました。 そこでおこなわれた発表によると、2022年度に県内で確認された介護施設職員による虐待件数は9件で、過去最多を更新したことが判明。また、虐待の相談・通報件数は32件に上り、これも過去最多であることがわかりました。 虐待の内訳は、高齢者に暴言を浴びせるなどの「心理的虐待」が最多に。次に高齢者を殴ったり蹴ったりなどの「身体的虐待」が多く、それから多い順に、必要な介護や世話を意図的に怠る「介護等放棄(ネグレクト)」、性的な関係や行為を迫る「性的虐待」と続きました。 また、県は虐待が起きた発生要因についても調査しました。それによると、「教育や知識、介護技術等に関する問題」や「不十分なチームケア体制」が虐待の原因だと考えている介護職員が最も多いことが判明。また、「虐待防止の取り組みが不十分だ」などの回答も一定数みられたとのことです。 介護職員による高齢者虐待が増加していることについて、県は「新型コロナの対応などで職員の負担が増えて、ストレスを抱えていることが要因なのではないか」と分析しています。 虐待の芽チェックリストの活用を 公益財団法人東京都福祉保健財団が、介護職員向けに「虐待の芽チェックリスト」を作成しています。その内容の一部が以下のとおりです。 利用者に対して威圧的な態度を取っていないか 利用者に対して「ちょっと待って」を乱用して、長時間待たせていないか 食事や入浴の強制をしていないか 利用者への声かけなしで介助をおこなっていないか 利用者の呼びかけやコールを無視していないか 高齢者虐待を防ぐためにはチェックシートを確認して、虐待につながりそうな行為をおこなっていないか自分のケアを振り返ることが大切です。 また、以上のチェックシートは介護施設の職員だけでなく、家族の介護をしている人も自身のケアを見直すきっかけにもなります。今まさに家族の介護をしている人は、虐待につながるケアをおこなっていないか振り返ってみてみましょう。
2024/01/30
2024年1月、和歌山県は県内における高齢者虐待の現況を公表。県の発表によると、2022年度中に県内で確認された家族らによる高齢者虐待の件数が187件で、過去最多を更新したことが明らかになりました。 高齢者のケアをするはずの介護者を虐待に向かわせてしまう要因のひとつに「介護者のストレス」が挙げられます。特に、周囲とのつながりが薄い人は介護のストレスが溜まりやすく、その結果高齢者に暴力を振るうなどの虐待に走ってしまうことも。長期間継続して介護を続けていくためにも、負担を感じたら福祉の専門家に早めに相談することが大切です。 3年連続、高齢者虐待数が増加 和歌山県の発表によると、2022年度中に県内で確認された、家族らによる高齢者虐待の件数が187件に上り、3年連続で過去最多を更新したことが明らかになりました。 県内で起きた高齢者虐待の種別は複数回答で、殴る・蹴るなどの「身体的虐待」が125件、高齢者に暴言を浴びせるなどの「心理的虐待」が76件、高齢者の預金を勝手に使い込んだり必要なお金を与えなかったりなどの「経済的虐待」が29件、必要な介護や世話をおこなわないなどの「ネグレクト(介護等放棄)」が23件でした。 和歌山県で起きた高齢者虐待の種類(2022年度) また、和歌山県が高齢者を虐待した人(虐待者)の年代も調査したところ、70代の虐待者が42人で最多であることが判明。また80代の虐待者も33人でした。 70代や80代といった高齢者世代の虐待者数を合計すると75人と、その子ども世代(50代40人、40代33人)の合計73人よりも、わずかながら多いことが明らかになったのです。 以上の結果について和歌山県は、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」による介護負担の増大が虐待件数の増加につながったとみています。 今後、県は市町村の職員に対し、県が作成したマニュアルを周知したり虐待防止に関する研修をしたりしていくそうです。 夫・息子による虐待が多いワケは また、過去に和歌山県は虐待者の属性についても調査を実施しました。 2021年度に和歌山県で起きた高齢者虐待事件のデータを分析したところ、虐待を受けた高齢者の息子が虐待者だった割合が35.8%で最多であることが判明。続いて多かった虐待者の属性は、虐待を受けた高齢者の夫で、その割合は27.5%でした。 一方、虐待を受けた高齢者の娘や妻が虐待者になった割合はそれぞれ16.6%と10.4%だったことから、女性よりも男性の方が高齢者虐待の主体になりやすい傾向にあることがわかりました。 参考:「令和4年度における県内市町村の高齢者虐待への対応状況について」(和歌山県) これは和歌山県のみならず、全国でも同様の傾向にあることが調査により明らかになっています。 厚生労働省がおこなった調査によると、全国で起きた高齢者虐待事件のうち、38.9%が高齢者の息子によるものであることが判明。続いて多かったのが高齢者の夫による虐待で、その割合は22.8%でした。 参考:「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業」(厚生労働省) 以上のことから、全国的に見ても娘や妻といった女性よりも息子や夫といった男性の方が虐待の主体になりやすいことがわかります。 女性よりも男性のほうが虐待者になりやすいのは、一般的に社会的なつながりが女性よりも男性のほうが少ないことが一因として考えられます。職場以外の人間関係を持たない男性も少なくないため、親の介護をひとりで抱えてしまって共倒れになるケースも見受けられます。 自分が虐待しそうになったら 高齢者虐待の要因のひとつに、介護をする側のストレスが挙げられます。特に認知症のある高齢者のケアは難しく、介護を強く拒否されたことによるストレス反応で虐待をしてしまったというケースも少なくありません。 介護によるストレスをうまく発散できず、「もしかしたら自分も虐待してしまうかもしれない」ということを自覚したら、共倒れになる前に外部の介護・福祉サービスの利用を検討してみましょう。訪問介護サービスやデイサービスなどを利用すれば、家にいながらでも自分にかかる介護の負担を減らせます。 訪問介護やデイサービスなどをこれまでまったく利用したことがない場合は、まず近くの地域包括支援センターに相談してみましょう。「対象者が生活するために介護サービスが必要だ」と認定されれば、訪問介護をはじめとしたさまざまな介護サービスを利用できるようになります。 また、すでに介護サービスを利用しているもののそれが不十分で、自身の介護負担が大きいと感じた場合には、担当のケアマネジャーと相談して介護サービスの利用量を増やせるか検討してみると良いでしょう。 介護の”同志”とつながるのもアリ 長期にわたって家族の介護を続けていくためには、自分と同じように家族の介護をしている人とつながるのもひとつの手。同じ境遇の人だからこそ共感できることもあり、場合によっては有益な情報を得られるかもしれません。 例えば、認知症の高齢者を介護している人は「認知症の人と家族の会」という介護者のつどいがおすすめ。参加すると、認知症介護に関する勉強会に参加したり悩みを相談したりすることができるそうです。 ほかにも、各自治体でさまざまな介護者のつどいが開催されています。気になった人はチェックしてみると良さそうですね。
2024/01/26
群馬県が、昨年度の高齢者虐待に関するデータを発表。それによると、県内の特別養護老人ホーム(特養)などの介護施設で高齢者が虐待を受けたケースが12件に上り、過去最悪の水準であることが明らかになりました。 群馬県で起きた虐待件数が過去最悪に 群馬県の発表によると、昨年度に県内の介護施設で起きた高齢者虐待件数が12件に上ることが判明。これは、統計を開始した2006年度以降で最悪の数字です。 具体的な虐待内容は複数回答で、殴る・蹴る、身体拘束などの「身体的虐待」が8件、利用者に暴言を吐くなどの心理的虐待が4件、世話や介護を意図的に放棄する「ネグレクト」が2件、性的な行為や脱衣などを強要する「性的虐待」も2件でした。 県は高齢者を虐待から守るために、虐待の対応にあたる市町村からの相談に弁護士が応じる窓口を設置したり、介護施設や市町村の職員を対象にした研修会を開催したりして、対策を強化していると言います。 県の担当者は介護職員による虐待の背景に「ストレス」があると指摘した上で、「どんな理由があっても虐待は許されない。早期に発見した上で、対応にあたるための周知活動に努めたい」と話しています。 ストレスをコントロールする方法 介護職員や家族といった介護者による高齢者虐待が後を絶ちません。ではどうすれば介護者による高齢者の虐待を防げるのでしょうか? 介護者による虐待の大きな原因のひとつに、介護者のストレスが挙げられます。ケアの場面でストレスを感じたとき、それに対して上手く対処できないと不適切なケアにつながりやすくなると考えられます。 特に介護者がストレスを感じやすいと考えられる場面は、認知症を患っている高齢者への対応。認知症のあるこうれいしゃはケアに強い抵抗を示すことも少なくないため、適切な対応が求められます。 認知症介護研究・研修センターは、介護者のストレスを緩和するために以下のような対策が有効だと言います。 高齢者が拒否を示す理由を推察し、その気持ちへの対応を考える ストレスを感じているということをスタッフやほかの家族と共有する ケアを一人で抱え込まない 特に大事なのは、ケアを一人でおこなわないこと。もし現在一人で高齢者の介護を抱え込んでいる人がいたら、各自治体の地域包括支援センターに相談してみましょう。共倒れにならないためにも、さまざまな人と協力しながらケアを進めていくことが大切です。 参考:「介護現場のための高齢者虐待防止教育システム」(認知症介護情報ネットワーク)
2024/01/19
札幌市のサービス付き高齢者向け住宅で、介護職員が入居者の高齢女性に暴行を加えるという事件が発生しました。暴行を受けた女性は病院に搬送されましたが、その後死亡が確認されたと言います。 高齢者向け住宅で暴行事件が発生 警察の調べによると、2024年1月1日、札幌市のサービス付き高齢者向け住宅で、介護職員が施設に入居していた94歳の女性の額を殴ってケガをさせるという事件が発生。一連の暴行事件の容疑で29歳の男が逮捕されました。男は容疑を認めていると言います。 暴行事件が起きたあと1週間は、女性のケガは皮下出血のみだったため、これまで通り施設で暮らしていたと言います。しかし、1月8日に女性の容態が急変。女性は病院に運ばれたものの、死亡が確認されたそうです。 捜査の結果、女性の死因は外傷性ショックであることが判明。警察は今後、男の容疑を傷害致死に切り替えることも視野に、捜査を進めていく方針です。 職員による虐待・暴行を防ぐ手だては? 今回のような介護職員による虐待・暴行を防ぐ手だてはないのでしょうか? 各自治体は、介護職員による虐待を防ぐために、以下のような対応を施設に求めています。 虐待防止に関する研修の実施 市町村への速やかな通報 職員間で話し合いの機会を求めるなど、再発防止への取り組み 特に大切なのは、「速やかな通報」。入居者への虐待や暴行がわかったら、その時点ですぐに市町村に通報することが介護職員には義務付けられています。 また、職員間の風通しが悪く、不満を溜め込みやすい施設の方が、より虐待や暴行につながりやすいと考えられます。親や親族が近々施設に入居する予定がある人は、事前に施設に足を運び、施設の雰囲気を見ておくことが大切ですね。
2024/01/18
新潟県新潟市で、介護支援専門員(ケアマネジャー)の女が、利用者の財布から現金およそ2万円を盗んだ疑いで逮捕されました。 女は容疑を認めていると言います。 ケアマネジャーが利用者の現金を盗んで逮捕 警察などの調べによると、容疑者の女は2023年7月27日、ケアマネジャーの業務の一環で新潟市内にある80代男性の自宅を訪問しました。その際、利用者の男性が所有している財布の中から現金2万1000円を盗んだ疑いがもたれています。 被害に遭った男性の家族は警察に被害届を提出。警察が捜査したところ、ケアマネジャーの女が容疑者として浮上し、今回の逮捕に至ったそうです。 女は取り調べに対し容疑を認めていて、警察は余罪も視野に捜査を進めていく方針を示しています。 後見人制度の利用も視野に 今回のような、高齢者の金銭を無断で使用する行為は「経済的虐待」に該当します。 厚生労働省の調査によると、2020年時点で起きた訪問介護における経済的虐待はすべての虐待の中で14.4%を占めていたことが判明。特養において経済的虐待は0.2%、グループホームでは0%だったことを踏まえれば、訪問介護では特に経済的な搾取がおこなわれやすいことがわかります。 今回のような被害を防ぐためにはどのような対策をすれば良いのでしょうか? 日本高齢者虐待防止学会理事長の池田直樹氏は、判断能力が不十分な人の生活支援や財産管理などをおこなう「任意後見制度」の利用を提案。「判断能力が衰える前に、預金の出し入れを行う権限のある後見人をつくる必要がある」と話しています。 また、何かなくなったらすぐに把握できるように、所有物に名前を書いたり所有している物のリストを作ったりすることも有効です。それでも心配な方は、防犯カメラの導入などを検討してみても良いかもしれませんね。 参考:「令和2年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果」(厚生労働省)
2023/08/09
岡山県赤磐市にある特別養護老人ホームで介護職員による虐待が発生。入居者の要求を無視したり著しい心理的な苦痛を与えたりしたとして、事業所に対して入居者の新規受け入れ停止の処分が下りました。 赤磐市の特養で職員による虐待が発生 赤磐市の発表によると、市内の特別養護老人ホームで従業員4人による高齢者虐待が、少なくとも1年以上にわたって続けられていたと言います。 報告された主な虐待内容は以下のとおりです。 車椅子で眠っている入居者に声かけをしないまま、通常の速度以上で車椅子を押して、段差でつまずき転倒させる 入居者がトイレの介助を依頼した際に「自分で行けるだろ」「お金を出せ」などと言う 入居者の介護の依頼を無視する ガーゼの交換を1週間怠り放置。悪臭がしたため患部を確認すると、床ずれができていた 赤磐市は以上のような行為を、介護保険法78条の「要介護者の人格を尊重する義務」に違反するとして、この施設を運営している事業所に対して、2023年8月1日~2024年1月31日まで新規入居者の受け入れを停止する処分を下しました。 赤磐市の友實武則市長は「弱い立場にある入居者に対する虐待行為は許されない。適切な運営がなされるように、厳重に指導をおこなっていく」と話しています。 適切な介助をしているか見直しが重要 岡山県は、介護者による高齢者虐待を防ぐためのガイドラインを作成しています。このガイドラインでは、以下のような行為が虐待にあたると定めています。 身体的虐待:高齢者の身体に外傷が生じるおそれのある暴行を加える行為(入居者を殴る、蹴る、打撲させるなど) 心理的虐待:高齢者に対する著しい暴言を吐いたり、拒絶的な対応を取ったりして、精神的な苦痛を与える行為(怒鳴る、恥をかかせるなど) 介護や世話の放棄(ネグレクト):高齢者の介護や世話を放棄して、衰弱させる行為(部屋のごみを放置して劣悪な環境で生活させる、食事を与えないなど) 性的虐待:合意を取らないままおこなうあらゆる性的行為(裸にして放置するなど) 経済的虐待:高齢者の財産を不当に使用したり処分したりする行為(本人の自宅を無断で売却するなど) 虐待が起きにくい施設かどうかを見極めるには、その場の雰囲気を観察することが重要です。職員同士のコミュニケーションが円滑におこなえていないような施設は、虐待が起こるリスクが高まると言えます。施設の入居を予定している身近な高齢者がいる人は、一度見学に行って雰囲気を観察してみると良いかもしれませんね。 参考:「岡山県高齢者虐待防止ガイドライン」(岡山県保健福祉部長寿社会対策課)
2023/07/18
佐賀県唐津市の高齢者施設で、70代の男性入居者が介護職員に暴行されるという事件が発生。2023年6月2日、24歳の元介護士の男が男性入居者を何度も殴った疑いで逮捕されました。 佐賀県の高齢者施設で虐待発生 警察の調べによると、2022年11月、容疑者の男は当時働いていた唐津市の介護老人保健施設(老健)で、70代の男性入居者の顔や腹などを何度も殴った疑いが持たれています。 警察は2023年5月下旬に、「介護職員が入居者を暴行している可能性がある」という情報を確認。それから捜査を進めていくうちに容疑者を特定し、今回の逮捕に至ったということです。 警察の調べに対し、男は暴行の容疑を認めていると言います。今後、警察はさらに詳しく調べていく方針です。 「虐待の芽チェックリスト」で定期的に確認 今回のような、介護職員による高齢者虐待を防ぐためには、「虐待の兆候」を事前に察知して、早期に対応策を考えていくことが重要です。 東京都福祉保健財団は、虐待を未然に防ぐことを目的に「虐待の芽チェックリスト」を作成。チェック項目を確認し、自分の介助の中で当てはまる行為があったら直していくように求めています。チェックリストの主な内容は以下のとおりです。 利用者を子ども扱いしていないか 利用者に対して威圧的な態度や命令口調で接していないか 利用者の呼びかけを無視したり、意見や訴えに否定的な態度を取ったりしていないか 利用者やその家族の悪口を言っていないか 利用者に対して乱暴で雑な介助をおこなっていないか ほかの職員に仕事の相談ができないなど、職場でのコミュニケーションが取りにくくなっていないか 高齢者虐待を防ぐために意外と重要なのが、職場でのコミュニケーション。職員たちが良い雰囲気で仕事している施設では、虐待は起こりにくいものです。もし、これから身近な人が高齢者施設に入居する場合は、事前に雰囲気を確認しておくと良いかもしれませんね。 参考:「養介護施設従事者等による高齢者虐待防止に役立つ資料等のリンク集」(東京都福祉保健財団)
2023/06/08
島根県松江市の高齢者施設で、介護職員が入居者の財布から現金を盗むという事件が発生。2023年5月24日、現金1万円を盗んだ容疑でその施設で勤務していた介護職員の女が逮捕されました。 介護職員が入居者の現金を盗む 警察の調べによると、2023年4月5日の午後3時~8時45分頃の間、介護職員の女は自身が勤務していた松江市内の介護施設で、60代の男性入居者から現金1万円を盗んだとみられています。 女は業務中に男性の財布に触れる機会があったときに、現金を盗んだということです。 入居者の男性が金銭を盗まれていることに気づき、警察に盗難の被害届を提出したことで今回の事件が発覚。捜査の結果、介護職員の女が事件に関わった疑いが浮上しました。 警察の調べに対し、女は「間違いない」と容疑を認めているそうです。 経済的搾取も虐待のひとつ 介護者による虐待は、殴る蹴るなどの暴力だけではありません。今回の事件のように、無断で高齢者のお金を使用することも虐待に当たります。 高齢者虐待防止・養護者支援法では、以下のような行為はすべて虐待としています。 身体的虐待:殴る、蹴る、四肢を縛る、無理やり口に食事を入れるなど 心理的虐待:言葉で脅したり嫌がらせをしたりして、精神的に苦痛を与える 性的虐待:本人の同意を得ず裸にして放置したり性的な行為を強要したりする 経済的虐待:本人の同意なしに財産や金銭を使用したり、本人の使用を制限したりする ネグレクト:必要な介護をおこなわず、高齢者の心身状態を悪化させる では、どうすれば以上のような虐待を防げるのでしょうか? 高齢者虐待防止・養護者支援法の第20条では、虐待を防止するために必要な措置として以上の3点が挙げられています。 高齢者施設の職員に研修を実施 利用者およびその家族からの苦情を処理する体制の整備 その他、職員による高齢者虐待の防止 3つ目のその他の項目には、例えば定期的に面談をおこない、職員のストレスコントロールを図ることなどが考えられるでしょう。 介護職員による虐待を防ぐためには、職員間が密にコミュニケーションを取り、虐待をさせない雰囲気づくりに取り組むことが重要です。施設のスタッフが一丸となって業務や仕事の進め方の見直しをおこなって、高齢者が安心して過ごせる体制を整備していってほしいですね。 参考:「高齢者虐待対応マニュアル」(東京都)
2023/05/29
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。