入居相談室室長

北野 優さんの
監修記事一覧

2009年に入居相談員のキャリアをスタートしてから、延べ1万人以上の相談を受ける。入居相談員としてのスキル・知見は群を抜いており、「人生100年時代 失敗しない介護施設選びと介護費用の目安」「相談事例から学ぶ!失敗しない有料老人ホーム探しのポイント」など老人ホーム選びに関する数々のセミナーにも登壇。7000施設以上の紹介数を誇る、「いい介護」入居相談室の室長。
Q&A

老人ホームの費用が想定外の金額に!思っていたよりも5万円も高くなったのはなぜ?

先月、母が老人ホームに入居しました。その請求書がつい先日届いたのですが、想定していたよりも5万円以上高くて困っています。 老人ホームで見学をしたときには、施設の人から月28万円程度と言われていました。なのに、実際には33万円以上かかっていて…。どうしてこんなに高くなってしまったんでしょうか? (若林さん・会社員・57歳) 明細を見てみないと正確なことはわかりませんが、考えられるのは食費やオプションサービス、消耗品費などを見積もっていなかった可能性です。施設によっては、ケアプランに含まれていない介護サービスが追加で発生することや、ベッドや寝具などのレンタル費用が追加されることもあります。想定外の費用が発生するのを避けるには、契約前に重要事項説明書をよく読んでおくこと。重要事項説明書には専門的で複雑な書き方をしている部分もあるので、わからない場合は施設担当者に聞いておきましょう。 老人ホームで想定外の費用がかかる理由は? 先月、母親が老人ホームに入居したので、先日初めての請求書が届きました。その金額を見てみたら、説明を受けていたよりも5万円以上高かったんです!施設を見学したときに聞いていたのは月28万円程度。それくらいなら払えるかと思っていたのですが、請求書では33万円以上の金額がかかれていました。なぜこんなにも金額が高くなってしまったんでしょうか? 明細を見ていないので正確なことはわかりませんが、考えられるのは基本料以外の費用を始めに見積もっていなかった可能性です。老人ホームの基本料とは、家賃、管理費・共益費、食費といったもの。ネット上の情報やパンフレットの多くではこの基本料のみが記載されています。ですが、実際には以下のような費用も発生することがあります。 介護サービス費 日用品・消耗品費 水光熱費 オプションサービス費 介護サービス費 介護サービス費とは、入浴介助や排泄介助、居室清掃といった介護サービスが発生するときにかかる費用です。ちなみに、お母様が入居したのはどんな種別の老人ホームですか?介護付き有料老人ホームでしょうか? いえ、住宅型有料老人ホームです。 なるほど。となると、介護を受けるには、別途、訪問介護などの介護サービスの契約をする必要があります。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅といった、介護サービスを施設が直接提供していない施設では、介護サービスは別の事業所が提供することになるため、介護サービス費が費用に含まれないことがあるんです。 そうなんですか!知らなかったです…。 それに、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、介護サービス費が利用した分だけの従量制。ご入居者一人ひとり料金が異なるため、事前に金額を提示できないので基本料と一緒に記載できないという面もあります。 なるほど…。 加えて、意外と見落としてしまいがちなのが、ケアプランに含まれていない介護サービスの費用。失禁した際に排泄介助や更衣介助などが必要になり、施設職員が対応した場合、介護保険が適用されないサービスなので全額自己負担になってしまうことがあります。介護保険が適用されるサービスであれば1割負担で済むものが、全額負担になってしまうと費用がかなりかさむことになりますよね。 あ、そういえば母が施設に慣れていないせいか、場所がわからなくてトイレに間に合わず失禁してしまったと何度か連絡が来ていました。その対応で金額が増えていたのかも…。 日用品・消耗品費 施設によっては、歯ブラシやトイレットペーパーなど日用品にも費用がかかることも。また、オムツを使用している場合はその購入費やオムツの破棄費用が発生することもあります。もし、持ち込みが可能であれば、日用品やオムツをご家族が購入して使った方が費用が抑えられると思いますよ。 水光熱費 水光熱費は、施設によっては管理費や共益費に含まれている場合もあれば、別途実費で発生することもあります。また、寒冷地では冬期は暖房費として追加費用が発生することもありますよ。水光熱費の扱いは施設によってまったく異なるので、施設に確認しておきましょう。 オプションサービス費 オプションサービスとはどんなサービスですか? 基本のサービスに含まれないサービスのことです。例えば、以下のようなものにオプションサービス費が発生することがあります。 有料レクリエーション 訪問理美容 家具レンタル リネン交換 移動販売 洗濯 買い物代行 外出の付き添い 通院同行 想定外の費用がかからないための対策は? どうして想定外に費用がかかってしまったのか、よくわかりました。もうこれ以上、お金がかからないようにするためにはどうしたら良いんでしょうか? 想定外に費用がかからないようにする対策としては、「重要事項説明書をよく読む」「介護付き有料老人ホームに入居する」ことが挙げられます。それぞれお話ししていきますね。 重要事項説明書をよく読む 重要事項説明書とは、サービスや職員体制などについて記載される書類です。どの老人ホームにも作成が義務付けられているもので、見学時や契約時に施設側から説明を受けるものです。 そういえば、契約のときに書類を受け取った記憶があります。でも、細かくいろんなことが書いてあるのと、ややこしいのでよく確認していないんですよね。 重要事項説明書はとても大切です。費用についても記載されているので、トラブルを避けるためによく読み込んでおいてください。ただ、若林さんがおっしゃる通り、わかりにくいのも事実です。わからないところは施設に説明を求めましょう。誠実な対応をしてくれる施設であれば、契約前でも入居後でも丁寧に説明してくれると思いますよ。 そうなんですね。改めて確認しておかないと…。 また、老人ホームの料金はややこしいことが多いので、契約の説明時に全体の金額の概算しか言われないこともあります。そのため、細かい内訳やお金の用途なども確認しておくと想定外の出費が抑えられるでしょう。 介護付き有料老人ホームに入居する 予定になかった介護サービス費がかさんでいる場合、介護付き有料老人ホームに入居するのもひとつの方法です。介護付き有料老人ホームは、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅とは異なり、介護サービス費が定額制。要介護度ごとに介護サービス費が設定されており、何度、介護を受けても追加料金が発生することはありません。パンフレットなどの料金を比較すると、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の方が安い傾向があるのですが、実際のトータルの金額では介護付き有料老人ホームの方が安くなる可能性もあるんです。 そんなことがあるんですね!今、母が入っている老人ホームも金額が安いので選んだんですが…。介護付き有料老人ホームの方が良かったのかな…。 うーん、お母様の状態がわからないので何とも言えないところですが…。介護の頻度が高いのであれば、介護付き有料老人ホームをおすすめします。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、訪問介護やデイサービスなどによる決まった時間でないと介護を受けられません。対して、介護付き有料老人ホームでは時間の定めはなく、柔軟に介護を受けられます。少し様子を見て、介助の頻度が多いようであれば介護付き有料老人ホームを検討してみても良いかもしれませんね。 オプションサービスを考慮していないと、想定外のお金がかかることも オプションサービスには、訪問理美容代、おむつ代、ケアプラン外の対応などがある 想定外の出費を避けるには、重要事項説明書をよく確認したり、介護付き有料老人ホームに入居すること pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...
Q&A

老人ホームのオプションサービスにはどんなものがある?注意点も教えてください

父が一人暮らしを続けるのが心配になってきたので、老人ホームを検討しています。ネット上で老人ホームの情報を調べていたら、「オプションサービス」という記載を見つけました。買い物に代わりに行ってくれるなどいろんなサービスがあるようですが、ほかにはどんなサービスがあるのでしょうか? (大沢さん・自営業・62歳) おっしゃる通り、オプションサービスにはいろんなものがあります。例えば、通院同行や行政手続き代行、訪問理美容や家具のレンタルなどのサービスが提供されています。ただ、これらのサービスは、人手が足りないことを理由に利用を断られることや、想定以上の料金がかさむといったことが起こりえます。トラブルになりやすいことでもありますので、あらかじめよく確認しておくことが必要です。 老人ホームのオプションサービスとは? 父の老人ホーム探しをしています。ネット上で老人ホームの情報を見ていたら、「オプションサービス」という記載を見つけました。スタッフさんが代わりに買い物をしてくれるといったサービスがいろいろとあるようですが、ほかにはどんなサービスがあるのでしょうか? おっしゃる通り、オプションサービスにはたくさんの種類があります。サービスの内容は施設によって異なり、以下のようなものがあります。 通院同行 病院への送迎、診察の付き添いなど 30分約1,500円~2,000円、交通費※提携病院の通院同行は無料の場合もある 行政手続き代行 介護保険の更新など 60分約1,000円~1,500円 買い物代行 60分約1,000円~2,000円、購入費 食事に関するサービス 食事の配膳・下膳 追加料金のかかる特別メニューなど 美容・健康に関するサービス 訪問理美容 福祉ネイル レクリエーション、イベント 有料レク(外部の講師費用、材料費) 入浴 介護保険の基準(週2回)よりも多い回数の場合 金銭・貯金管理 家具のレンタル 寝具、タンス、収納家具など 介護サービスがオプションサービスになることも 施設が介護サービスを直接提供していない「住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」では、介護サービスをオプションサービスとして設定していることがあります。 どういうことですか?そもそも、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、介護サービスを提供していないんですか? そうなんです。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅で介護サービスを利用する場合は、別途、契約が必要です。つまり、事前に介護サービス利用の契約をしていない方は介護サービスを受けられません。でも、急な体調不良などで介護サービスが必要になることもありますよね。そうしたときに、一時的に介護を受けられるようにオプションサービスとして介護サービスを用意しているんです。 なるほど…。オプションサービスで利用できる介護サービスはどんなものですか? 訪問介護などで受けられる介護サービスとほぼ同じような内容です。具体的には以下のようなものがあります。 食事介助 排泄介助・おむつ交換 入浴介助・清拭 居室清掃 リネン交換 洗濯 オプションサービスのトラブルに要注意 いろいろなサービスを柔軟に利用できるので便利なオプションサービスですが、トラブルが起こることもあるので注意が必要です。 え、どんなトラブルが起こるんですか? よくあるトラブルとしては、以下のようなものがあります。 人手不足でオプションサービスが受けられなくなる 想定以上に費用がかさむ 人手不足でオプションサービスが受けられなくなる 老人ホームの人手不足によって、オプションサービスの利用を断られることがあります。オプションサービスはあくまで”オプション”なので、通常のサービスを提供するのが優先です。そのため、スタッフさんの退職や欠勤によって人員が足りなくなった場合は、オプションサービスの利用を断られる場合もあります。そのため、オプションサービスを定期的に利用する場合は、利用できないときのことも考えておくのがおすすめ。内容によってはご家族が対応したり、外部サービスを利用することも視野に入れておきましょう。 介護業界が人手不足なのはよく聞きますが、オプションサービスが利用できなくなることもあるんですね…。 想定以上に費用がかさむ オプションサービスを利用するときのもうひとつの注意点が、想定以上に費用がかさむ可能性があることです。例えば、通院同行は1時間あたりの料金と交通費が発生します。そのため、病院が混んでいて時間がかかるとその分だけ費用が高くなっていきます。これは行政手続き代行で役所が混雑していたり、買い物代行で道路が渋滞していて時間がかかった場合も同様です。混雑具合は想定しにくいところではあるので、あらかじめ費用を多めに見積もっておきましょう。 確かにそうですね。父が通っている病院も混んでいるときと空いているときの差が大きいので、想定しにくいことではありますね。 また、見落としがちなのが、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、ケアプランに含まれていない急な対応はオプションサービスとして追加料金が発生する場合もあること。「追加料金がかさんでかなり高額になって困っている」とご相談をいただいたこともあります。ご相談いただいたのは、ナースコールでスタッフさんを呼び出すのに1回500円かかる施設に親御さんが入居しているケース。一人でお部屋で過ごす不安感から親御さんが何度もナースコールを押してしまい、月25万~27万円を想定していたのに実際は月40万円近くもかかってしまったそうです。 月40万円!10万円近く上がってしまうことがあるんですね。 そうなんです。そういうこともありえるんです。また、入居時は身の回りのことを自分でできていた方も、年を重ねるにつれてそれがままならなくなることもありますよね。例えば、一人でトイレに行けなくなり失禁が増えて、その更衣介助や清掃などが急に発生すれば、それもオプションサービスとなります。オプションサービスによる介助は、介護保険が適用されないので全額自己負担。そのため、費用が高額になってしまう可能性があるんです。 父はまだ介助が必要な状況ではないですが…。でも、入居してから介助が必要になるのは十分ありえますよね。 もし、介護やそれに関連するサービスで費用がかさむ場合は介護付き有料老人ホームがおすすめです。介護付き有料老人ホームは介護サービス費が要介護度に設定されている定額制。身体介助はもちろん、ナースコールでの呼び出し、掃除などの生活支援も介護サービス費に含まれているので、追加料金が発生しません。ただ、もちろん、通院同行や買い物代行などのケアプランにないサービスは、追加料金がかかることもあります。そのため、どういうサービスが必要なのかを事前によく考えてから入居先を決めましょう。 オプションサービスには、通院同行や手続き代行、家具レンタルなどがある 人手不足を理由にオプションサービスが利用できなくなることも 費用がかさんで、想定以上の金額になってしまう可能性も pre { margin: 40px 0; background: #333; ...
Q&A

老人ホームに入居後は通院の送迎をしてくれますか?いくつもの病院に付き添うのが大変です

90歳を超えて一人暮らしをしている父を老人ホームに入れたいと思っています。ただ、父は月に数回、いくつかの病院に通っており、送迎や付き添いが必要な状態です。今は私が送迎していますが、老人ホームに入ったら施設が送迎してくれるのでしょうか? 私の仕事が忙しくなり、通院のためだけに施設から連れ出すのは難しい状態です。薬をもらうだけですし、父も認知症ではないので送迎してもらうだけでも大丈夫です。 (石塚さん・60歳) 通院の送迎に関しては、施設ごとに対応が全く異なります。例えば、提携している医療機関への通院のみ無料で送迎する場合や、通院はすべて有料で送迎する場合、通院の送迎を全く対応していない場合などがあります。ただ、もし施設の往診医で対応できる内容であれば、かかりつけ医を施設の往診医に変更するのもあり。月に1~2回程度、施設に往診に来るので、送迎の必要はありません。もし、どうしても通院が必要で施設もご家族も送迎ができない場合は、介護タクシーを利用するのもひとつの手。ただ、付き添いに制限があったり費用が高額になる場合もあるので、利用前に介護タクシーの事業者などとしっかりと調整する必要があります。 老人ホームに入居したら通院の送迎はどうなる? 父が体力が衰えて一人暮らしが難しくなってきたので、老人ホームに入れようかと考えています。ただ、父はいくつかの病院に通院していて送迎をしないといけません。施設に入居したら、送迎は施設側がやってくれるのでしょうか?通院は薬をもらうだけなので、それだけのために父を施設から連れ出すのは大変ですし、施設に入ったら薬がなくなるのがわからないので通院させるタイミングもわからなくなると、気になっています。 通院の対応に関しては、施設によって全く異なるんです。通院ついて、主に次の3パターンの対応にわけられます。 協力医療機関のみ無料で送迎可能 すべて有料で送迎可能 送迎対応していない 多くの老人ホームで、近隣の医療機関と提携しています。その提携している医療機関のことを「協力医療機関」などと呼んでいます。老人ホームの中には、協力医療機関への通院であれば無料で送迎しているところもあります。診察まで付き添ってくれるかは施設ごとに異なるので、事前に確認しましょう。ただ、協力医療機関でなければ送迎に追加料金がかかることも。設定されている1時間あたりの了解と交通費がかかります。 では、父が通っている病院が協力医療機関でなければ、お金がかかってしまうんですね。 そういうことになってしまいますね。もし、協力医療機関で対応できる内容であれば、かかりつけ医を協力医療機関の医師に変更するのもひとつの手ですよ。 入居する施設の協力医療機関も確認しておかないといけませんね。 かかりつけ医を往診医に変更するのもアリ 老人ホームの中には、協力医療機関の医師が定期的に往診していることがあります。そこで、かかりつけ医を往診医に変更すれば通院の必要がないので石塚さんの負担が軽くなるでしょう。 往診に来てくれるんですね!ちなみに、何科の先生が来てくれるんでしょうか? 医師にもよりますが、内科、精神科が主な診療科です。薬を処方してもらっているだけの場合、入居する施設の往診医で対応できるなら通院の送迎がなくなってご家族が楽になると思いますよ。また、薬の管理は基本的に施設でおこなうので、薬の残量を気にする必要もなくなるでしょう。ちなみに、かかりつけ医を往診医に変更する場合、入居時に施設から医師に情報されるので施設に任せておいて大丈夫です。 父は歯医者にも通院していますが、歯科の往診はないのでしょうか? 訪問歯科をおこなっている施設も多いですよ。義歯の作成・調整や、虫歯治療、口腔ケアのアドバイスなどもおこなっています。 そうなんですね!それなら通院をしなくて良さそうなので、とても助かります。 家族で通院の送迎ができない場合は…。 老人ホーム側で通院の送迎ができず、往診医にも依頼できない場合、やはりご家族が通院の送迎をすることになります。 これからしばらく仕事が忙しくなるので、送迎できなくなると思うんですよね…。 ご家族の送迎が難しい場合、介護タクシーを使うのもひとつの手。介護タクシーとは、基本的に介護の資格を持った運転手が送迎や乗降車の手伝いをするサービスです。介護タクシーには介護保険を適用する場合と適用しない場合があります。それぞれ、サービス内容や費用が異なるのでお伝えしていきますね。 介護保険適用あり 介護タクシーを介護保険を適用させて利用する場合、基本的に運転手の同行は病院の受付まで。ご家族の同乗も基本的にはできません。つまり、タクシーでの送迎のみで、病院内での介助などはおこなわないんです。また、介護保険適用の介護タクシーを利用する場合、あらかじめケアマネジャーさんに相談する必要があります。他の介護保険サービスを利用していれば利用限度額を超えないように調整する必要も出てくるかもしれません。 なるほど、事前の調整が必要なんですね。 介護保険適用なし 介護保険の適用がない介護タクシーは、自由度が高いのが特徴です。介護保険内の介護タクシーが通院や行政手続きといった目的でないと利用できないのに対して、介護保険外の介護タクシーは目的の定めがありません。また、介護保険内の介護タクシーは、ご利用者が車椅子など移動に介助がいる場合などでないと病院内の付き添いや介助ができませんが、介護保険外ではその定めがありません。加えて、介護保険を利用していないので、ほかの介護保険サービスとの兼ね合いを考える必要もありません。 かなり自由に利用できるんですね! そうなんです。ただ、介護保険外のサービスですので、費用は全額自己負担。介護保険を利用したときは1割負担で抑えられることを考えるとかなり高額になってしまう可能性が高いです。 うーん、高額になってしまうんですね。それは困るな…。 そうですよね。なので、介護保険外の介護タクシーを使うのはほかの方法をとれなかったときの手段として方が良いかもしれません。まずは、老人ホームの往診医で必要な薬の処方が対応できるか確認して、難しそうであれば通院の送迎を施設で対応してくれるか確認してみてください。施設で対応できないようであれば、ご家族で対応するか介護タクシーを利用するか考えてみましょう。 通院の送迎は、協力医療機関のみ無料で対応、有料で対応、対応していない、など施設ごとに異なる 施設の往診医に変更すれば、通院や薬の管理の手間がなくなる どうしても送迎ができないときは、介護タクシーを利用するのもひとつの方法 pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...
Q&A

老人ホームの「上乗せ介護費」とは何ですか?何のための費用なのか教えてください

実家で一人暮らしをする母の介護をしています。母が認知症が進行して料理ができなくなったり、ゴミの日がわからなくなってゴミ捨てもできなくなったりしており、そろそろ一人暮らしが難しそうなので老人ホームを検討しています。 実家近くの老人ホームが気になって資料を取り寄せたのですが、その資料の料金表に「上乗せ介護費」という記載がありました。上乗せ介護費とは何のための費用でしょうか? (長田さん・60歳) 上乗せ介護費とは、介護保険で決められている以上のスタッフを配置しているときに発生する追加費用のことです。主に人件費に充てられており、介護保険外なので全額がご入居者の負担となります。上乗せ介護費は毎月数万円の負担が発生します。そのため、費用を抑えつつ、介護保険外のサービスを利用したい場合は、オプションサービスを利用するのが良いでしょう。オプションサービスは利用時間や回数に応じた都度払いのため、上乗せ介護費が設定されている施設よりも費用負担が抑えられると思いますよ。 老人ホームの上乗せ介護費とは? 実家で一人暮らしをしている母の介護をしています。母は認知症が悪化して、料理や掃除といった家事ができなくなってきてしまっています。そのため、私が週3回ほど通って家のことをしているのですが…。私がいない間に何か起こったらどうしよう、と不安な気持ちでいっぱいです。なので、老人ホームに入れようと思って施設探しをしています。実家の近くに気になる施設があったので資料を取り寄せたところ、料金表に「上乗せ介護費」という記載がありました。上乗せ介護費とは何のための費用なのでしょうか? 上乗せ介護費というのは、介護保険法で決められている以上の人員配置をしている場合に発生する追加料金のことです。介護保険法では、「要介護者3名に対して介護スタッフ・看護師が1名」以上の比率で人員を配置しなければならないと定められています。上乗せ介護費は、この比率以上の人員体制であるときに発生するものです。 人員配置というのは、何を見ればわかるんですか? 施設の資料などの職員体制の欄に記載があると思います。職員体制の項目に「3:1」「2.5:1」という記載がありませんか? えーっと…。そうですね。「2:1」と書いてあります。 となると、「要介護者2名に対して介護スタッフ・看護師が1名」の比率で配置されていることになりますので、かなり手厚い人員配置をしているようですね! なるほど、そういうことなんですね! 上乗せ介護費は、介護保険が適用されない費用です。そのため、全額がご入居者の負担。各施設で決められる料金なので、金額は施設ごとに大きく異なります。また、ちなみに上乗せ介護費は「特定施設入居者生活介護」に認定されている施設のみ設定できる費用です。それ以外の施設では発生しません。 「特定施設入居者生活介護(特定施設)」とは 北野 特定施設は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。特定施設ではケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。 特定施設として認定を受けている施設は以下の種類です。 介護付き有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅の一部 ケアハウスの一部 養護老人ホームの一部 サービス付き高齢者向け住宅の一部 上乗せ介護費は毎月支払う ほとんどの施設で、上乗せ介護費は家賃などと同様に毎月支払う料金体系になっています。 料金表に「介護サービス費」というものもありますが、それとは別の費用なんですね。 はい、そうなんです。介護サービス費は、介護保険が適用される介護サービスの費用のこと。つまり、「3:1」に収まる費用ですね。上乗せ介護費はそれ以上の人員を配置して、基準以上のサービスを提供するための費用ですので、介護サービス費とは別に発生します。 上乗せ介護費がかかる老人ホームの特徴 上乗せ介護費がスタッフさんの人件費ということはわかりました。ただ、上乗せ介護費として追加でお金がかかる以上、上乗せ介護費がかからない施設と違いがあるということですよね? そうですね。上乗せ介護費が発生するような手厚い人員体制の施設では、通常の人員配置だと難しい”プラスアルファ”のケアをおこなっていたり、レクリエーションやイベントが充実している傾向があります。 「”プラスアルファ”のケア」ってどんなものですか? 具体的には、週に1度、スタッフがお客様のお話を一対一で聞く時間を設けたり、リハビリの時間以外でもスタッフが付き添って歩行訓練をしたり…。そのほか、「天気が良いから」と、空いた時間で近隣のお散歩に出かけることもあります。こうした対応は、人員に余裕があるからできることだと思います。もちろん、どのようなケアをしているかは施設ごとの運営方針によって大きく異なるので、一概には言えません。あくまで、”プラスアルファ”のケアをしてもらえる傾向がある、と考えておいてくださいね。 上乗せ介護費をかけずにオプションで賄えることも 人員体制が手厚い施設は、通常の施設よりも充実したケアをしてくれる一方で、何万円もの追加費用が毎月発生します。そのため、予算的に厳しい場合は上乗せ介護費が発生する施設を選べない場合もあるでしょう。そこで、オプションサービスを活用することで、必要なケアを賄えることもあります。 オプションサービスとは何ですか? 例えば、オプションサービスには以下のようなものがあります。 買い物の代行・同行 通院の同行・送迎 食事の提供 理美容 行政手続き代行 移動販売 これらのサービスは、1時間ごとや回数ごとに料金が発生します。そのため、例えば「月2回の通院の同行だけはしてほしい」という場合には、その回数分だけ支払えば良いわけです。 つまり、何万円の上乗せ介護費を毎月支払うよりも費用を抑えられるというわけですね。 おっしゃる通りです。ただし、注意していただきたいのが、基準以上の人員配置の施設でも、上乗せ介護費に上記のオプションサービス費が含まれているとは限らないことです。つまり、上乗せ介護費がある施設でもオプションサービスとして費用が追加発生することがあります。「介護保険外のサービスはすべて上乗せ介護費に含まれている」と考えてしまうと、想定していない出費が発生することがあります。上乗せ介護費にどこまでの費用が含まれているかは施設によって異なるので、事前に確認が必要です。複数の施設の資料を取り寄せたり見学に行ってみたりして、必要なサービスが提供してもらえるか、追加費用が発生するのかを比較するのがおすすめです。 上乗せ介護費とは、基準以上の人員配置がある場合の人件費 手厚い人員配置の施設では、独自のケアやレクなどが充実している 介護付き有料老人ホームなら上乗せ介護費がなくても24時間介護を受けられる pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: ...
Q&A

老人ホームの看取りとはどれくらいの期間ですか?施設に「看取り」と言われたので覚悟をしておきたいです

父が入居している老人ホームから、「そろそろお看取りかもしれません」と言われました。「看取り」と言われて亡くなるまではどれくらいの期間があるものでしょうか?大まかでも良いので父の残りの時間を知って覚悟しておきたいです。 (谷さん・61歳) お看取りの期間はかなり個人差が大きいためなんとも言えないのが正直なところです。施設側で看取りケアを始めてから1ヵ月ほどで亡くなる方もいれば、数年後に亡くなる方もいます。ただ、最期のときが近づくにつれてだんだんお父様の状態が変化していくので、経過を把握しておくことで大まかな時期がわかるでしょう。特に亡くなる直前は眠っている時間が長くなって反応がなくなり、のどがゴロゴロと鳴ることがあります。 老人ホームでの看取りの期間はどれくらい? 父が入居している老人ホームから「そろそろお看取りかもしれません」と言われています。施設から「看取り」と言われて亡くなるまでの期間はどれくらいのものなのでしょうか?父は87歳と高齢なので想定はしていたことですが、いつ亡くなるのかを知って覚悟をしておきたいです。 うーん…。申し訳ないのですが、正直なところお看取りの期間は個人差が大きく、なんとも言えないのが正直なところなんです。老人ホームで看取りケアを開始してから1ヵ月以内で亡くなることもあれば、数年後に亡くなることもあります。 1ヵ月以内から数年…。確かにわからないですね。 ただ、最期のときが近づくにつれてお父様の状態は変化していきます。その変化で大まかな最期のタイミングがわかると思いますよ。 看取りのはじめ 看取りケアが始まってしばらくは以下のような状態が見られます。 体重が減少する 食欲が低下する 尿量が減少する せん妄が起こる 最期のときが近づくと、食欲が低下して食事量や体重、尿量が減っていきます。噛んだり飲み込んだりする機能が低下するため、施設ではやわらかい食事やペースト状の食事を提供。食事が摂れない場合も無理をせずに、好きなものや、アイスクリーム、高栄養ゼリーなどの食べやすいものを食べてもらうようにします。また、体力が低下して誤嚥性肺炎などの感染症にかかりやすくなっているので、老人ホームでは口腔ケアを徹底し、口の中の清潔に努めます。 父は今は食事は摂れているようなので、まだ大丈夫かな。父の好きなアイスクリームがあるので、差し入れに持っていこうと思います。その次の「せん妄」とはなんですか? せん妄とは、意識障害のことです。時間や場所がわからなくなって混乱したり、つじつまの合わないことを言ったり、急に興奮することがあります。また、逆にぼーっとしたり、ウトウトと居眠りをすることもあります。老人ホームでは、つじつまの合わない話をしていても否定せずに傾聴したり、興奮している場合は落ち着けるような声掛けをするなどの対応をします。普段と違う様子があっても、なるべくいつも通りに過ごせるように配慮しているんですね。 自宅で介護していて急に興奮し始めたら戸惑ってしまいそうですが、プロがそばにいるなら安心ですね。 亡くなる直前 亡くなる直前になると、以下のような状態になります。このような状態になると、施設側から最期が近い旨を伝えられるかもしれません。 食べ物や飲み物がほとんど取れなくなる のどがゴロゴロ鳴る 眠っている時間が長くなる 反応がなくなる 亡くなる直前は、水分を口に運んでも飲めなくなります。口の中が乾燥しているためたんをうまく出せず、のどからゴロゴロとした音がすることがあります。このようなときはぬらしたガーゼやスポンジで口内のたんを取り除き、湿らせる対応をします。また、眠っているような状態で話しかけてもほとんど反応がなくなります。しかし、反応がなくても最後まで耳は聞こえていると言われているので、老人ホームではこまめに声掛けをしたりご本人が好きな音楽をかけたりして、孤独を感じないような配慮をしています。 そんな状態になるんですね…。老人ホームでは、寝たきりになって話もできなくなったら寝かせきりになってしまうのかと思っていましたが、いろいろと配慮してくれると聞いて安心しました。 ターミナルケア、緩和ケアとの違い 北野 看取りケアによく似ているものに「ターミナルケア」「緩和ケア」というものがあります。混同しやすいので、看取りケアとの違いを簡単にまとめました。 ターミナルケア:「終末医療」とも呼ばれる。点滴や酸素吸入などの医療ケアを中心とした対応 緩和ケア:痛みを緩和するためのケア。がんの疼痛コントロールなど、投薬などによる治療をおこなう 看取りケア:医療的ケアをおこなわず、日常生活のケアを中心におこなう 老人ホームでの看取りケアの内容 老人ホームでの看取りケアは、以下のように大まかに3種類に分かれます。どんなケアをしてもらえるのか、事前に把握しておくと安心できるんじゃないでしょうか。 身体的なケア 精神的なケア 家族へのケア 身体的なケア 身体的なケアとは、以下のような対応をすることです。 清潔の保持(口腔ケア、入浴、ベッドのシーツ交換など) 身体的苦痛の緩和(床ずれ防止など) 栄養や水分補給 排せつ バイタルサインのチェック 老人ホームは医療機関ではないので、延命のための医療行為は基本的にできません。そのため、入浴や清潔保持、排泄、食事といったいつも通りのケアに加えて、寝たきりになった際に床ずれ防止などの苦痛の防止・緩和をおこないます。看取りケアを始めるといっても、通常のケアの延長線上にあるものなので特別なことはしません。いつも通りのケアを手厚くおこなって、できるだけ苦痛のないように配慮するのが老人ホームでの看取りケアです。 なるほど…。看取りケアだからといって特別なことはないんですね。5年以上も今の老人ホームにお世話になっていますし、顔見知りの職員さんにいつも通り接してもらうのが父にとっても良いのかもしれませんね。 精神的なケア 精神面では以下のようなケアをおこないます。 こまめに訪問する 声掛けをする スキンシップをする 室内環境の整備 先ほどお話しした通り、最期のときが近づくと会話ができなくなることがほとんどです。だからといってコミュニケーションを取らないのではなく、こまめに声掛けをしたり、手を握るなどのスキンシップをして孤独感を和らげます。 家族へのケア 家族に対してもケアがあるんですか? そうなんです。大切な人が亡くなる前後はご家族にとっても不安ですから、精神的なサポートをおこないます。具体的には以下のようなことです。 入居者の状態をわかりやすく伝える ケアの内容を丁寧に説明する 家族の希望をケアに反映する 家族が気持ちを打ち明けやすい雰囲気をつくる 家族の気持ちに寄り添う こういうことをしてもらえるんですね。安心しました。家族のサポートをしてもらえるなら、施設のスタッフさんにいろいろ相談してみようと思います。 老人ホームでの看取り期間は数ヵ月~数年と個人差が大きい 看取りのはじめは食欲低下やせん妄などが起き、亡くなる直前には眠っている時間が長くなる 老人ホームの看取りケアは、身体的なケア、精神的なケア、家族へのケアをおこなう pre { ...
Q&A

認知症の末期になるとどうなる?症状や対応方法も教えてください

母が認知症になって5年以上が経ち、以前よりも症状が悪化しているのを感じるようになりました。今でも介護が大変なのに、今後、もっと悪化して認知症の末期になったらどうなってしまうんでしょうか? (松崎さん・自営業・68歳) 認知症のご家族を在宅介護するのは本当に大変ですよね…。認知症の末期では、歩行能力などの運動機能が低下するため、トイレや入浴、食事などさまざまな場面で介助が必要になります。寝たきりになることもあります。また、免疫力の低下によって感染症にかかりやすくなることも。感染症によって入院し、さらに心身の機能が低下することもあります。 認知症の末期になったらどんな症状が出る? 母が認知症と診断されてから5年以上が経ち、はじめより物忘れがひどくなったり、テレビや電子レンジなどの家電の使い方もわからなくなってしまいました。トイレや風呂などにも介助が必要で常に目が離せません。認知症の末期になると、もっと症状が悪くなるんですよね?今でも大変なのに末期になったらどうなってしまうんでしょうか? 認知症の方の介護は本当に大変ですよね…。認知症の症状は個人差がありますが、末期になると一般的に以下のような症状が出るとされています。 身体機能が低下する 食欲が低下する 失禁が増える 感染症が増える 身体機能が低下する 認知症の末期になると、身体機能の低下が起きることがあります。トイレや入浴、食事、着替えといった日常生活全般に介助が必要になるでしょう。また、歩行や体のバランスを取ることが難しくなって転倒し、骨折してしまうリスクも高いです。また、身体機能が低下して、寝たきりになってしまうケースも珍しくありません。 寝たきり!今もふらついたりすることがあるので付き添いが必要ですが、歩けなくなってしまうことがあるんですね…。 食欲が低下する 認知症末期になると、意欲の低下や認知機能の低下によって食欲が落ちることがあります。認知症の影響により、「食べる気が起きない」「そもそも食べ物であると認識できない」「食べ方がわからない」といった理由で食事量が減少してしまうんです。また、食べ物を噛んだり飲み込んだりする力である嚥下機能が低下することも。今まで食べられていたものが食べられなくなって食欲が低下してしまうんです。食欲低下が慢性的になると、栄養不足によってさらに身体機能が衰える原因にもなります。 失禁が増える 認知症末期には、失禁が増えることも。「トイレの場所がわからない」「衣服の脱ぎ方がわからない」「歩行が遅くなったことで間に合わない」などの理由からです。 今もたまに失禁します。母はたまにトイレの場所がわからなくなっている様子がありますね…。 感染症が増える 認知症が進行したことで食欲が落ちて体力が低下。それによって免疫力が低下して感染症が増える傾向があります。また、嚥下機能が低下することで誤嚥を起こしやすくなり、誤嚥性肺炎に感染することもありえます。感染症になって入院してしまうと、それが原因でさらに認知症が進行したり体力が低下するなど、全体的な状態が悪化しやすくなるのも注意が必要なポイントです。 認知症の人の寿命は? 北野 「認知症の人と家族の会」の調査によると、認知症の方の介護年数は平均7年。つまり、認知症の方は診断を受けてから平均7年で亡くなっているということです。 ただ、回答は1~31年とかなりバラつきがあります。認知症の進行にはかなり個人差があるため、平均年数は目安として考えておいてください。 参考:「認知症の人と家族の思いと介護状況および市民の認知症に関する意識の実態調査報告書」(公益社団法人認知症の人と家族の会) 認知症末期になる前の備え 認知症が末期になることというのは、最期のときが近づいていることでもあります。そのため、「あのとき、ああしてあげれば良かった」と後悔しないように、事前の備えが大切です。 適切な対応を知る 認知症末期となると、介護する側にとっても心身の負担が大きくなることが考えられます。そのため、事前に適切な対応を知っておきましょう。正しい知識がないためにあまり良くない対応をしてしまい、さらに状態が悪くなることもありえるからです。 良くない対応とはどんなものですか? 例えば、「強要する」「ひとりにする」などの対応です。具体的には、「食欲がないのに無理やり食べさせる」「家族の会話に入れずに仲間外れにする」といったことです。先ほどお話しした通り、認知症末期には食欲低下が起こりやすいです。食べたくない様子があるのに無理やり食べ物を口に入れたりすると食べる構えができていないため誤嚥をしやすく、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。ご家族としては、食事量が少ないとさらに体力が落ちてしまわないか心配になってしまうかもしれません。ですが、認知症末期の方が食欲が低下するのは自然なこと。食べられるときに食べたいものを食べてもらうようにしましょう。嚥下機能が落ちても食べやすいアイスクリームや、高栄養食品を摂ってもらうのも良いと思いますよ。 母の食欲が落ちてきていて心配で「もっと食べて」と言っていましたが、食べられるときに食べれば良いんですね。アイスクリームは昔から好きなので、今度出してみようと思います。 また、認知症末期には反応が薄くなったり会話ができなくなることが多いです。コミュニケーションが取れないからと言って家族の会話に入れずにひとりぼっちにしたり、最低限の声掛けしかしないのはNG。さらに孤独感が募り、気力の低下が進んでしまいます。なので、以前のような反応がなかったとしても笑顔で話しかけましょう。お母様と目線を合わせて話しかければ、反応はできなくても話しかけられていることはわかります。その日の出来事を話すなど、何でも良いので話しかけることが大切です。 介護サービス利用や老人ホーム入居を検討する 認知症末期や最期のときが近づいている状態は、介護の負担が大きいですし、何より衰弱していく様子を目にするのは精神的な負担が大きいでしょう。そのため、認知症末期の方の介護はご家族だけではなく、介護サービスを使ってプロに頼ることをおすすめします。 介護サービスなら、今はデイサービスを利用しています。 そうなんですね!でしたら、ケアマネジャーさんと相談しながらデイサービスの回数を増やしたり別のサービスも併用したりと、在宅介護サービスを調整していきましょう。ただ、在宅介護サービスを利用しても介護の負担が大きいと感じたら、老人ホームに入居することも検討してください。 そうなんですよね…。今も常に目が離せなくて大変なので、そろそろ自宅で介護するのは限界なのかなと感じていました。 そうだったんですね…。今後、お母様が認知症末期になると、寝たきりになって徐々に衰弱していくことが考えられます。そうなると、ご家族がそばを離れられなくなるでしょうし、いつ状態が変わるのか気が気でない日々が続くかもしれません。気を張り詰めている時間が長くなるのは、精神的な負担が大きいですよね。老人ホームであれば施設には常にスタッフさんがいますし、プロによる適切なケアを受けられます。最期のときが近づいている場合には、お母様に変化があれば逐一連絡してくれるので安心ですよ。後悔しないためにも、プロに任せるのもひとつの方法です。 なるほど…。私は仕事でずっと母に付き添っていられるわけではないので、老人ホームに入れるのも考えた方が良いかもしれないですね。 身体機能の低下、家族の顔がわからないなどの症状が出ることがある 強要したり、ひとりにしたり、慌てたりするのはNG! 認知症の人の寿命は平均7年だが、個人差がかなり大きい pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...
Q&A

介護スタッフの数が多い老人ホームはどうやって探せば良い?手厚い介護が受けられる施設を探しています

同居している母の老人ホームを探しています。母は体は元気なのですが、認知症の影響で介助がないと何もできません。トイレの行き方やお風呂の入り方もわからなくなってしまったので、すべて私が手助けしている状況です。 手がかかる母なので、介護スタッフさんがしっかり介護してくれるところが良いと思っています。例えば、スタッフさんの数が多いとか…。 介護スタッフさんがたくさんいる老人ホームってどうやって探せば良いんでしょうか?見分け方があれば教えてください。 (前川さん・会社員・57歳) 介護スタッフさんが多い老人ホームを探す際は、施設のホームページなどの「職員体制」を確認しましょう。介護保険法では、「要介護者3人に対して介護スタッフもしくは看護師が1人以上」と定められているので、それ以上の人員を配置していれば職員体制を手厚くしていることがわかります。職員体制欄には、ご入居者と職員さんの割合を「3:1」や「2.5:1」のように表しています。この数字の前半の数字が少ないほど職員1人に対するご入居者の割合が少ないので、手厚い人員配置にしているということがわかります。ただ、手厚い人員配置にしている老人ホームは人件費が多くかかるので「上乗せ介護費」が追加で発生する場合があります。通常の人員配置の施設よりも高額になる傾向があるので、よく確認しておきましょう。 スタッフ数が多い老人ホームの見分け方 認知症の母の老人ホームを探しています。母は体は元気ですが、認知症のせいで身の回りのことが何もできません。トイレの場所がわからなくなったり、お風呂の入り方がわからなくなって、何をするにも介助が必要な状態なんです。そんな状態でとても手間がかかるので、しっかり介護してもらえるところが良いな、と思っています。できれば、介護スタッフさんがたくさんいるところだと安心です。介護スタッフさんが多い施設と少ない施設の見分け方はありますか? ありますよ!スタッフ数が多くて手厚い職員体制の老人ホームを探す場合は、以下の2点を確認してみましょう。 職員体制 看護師の勤務時間 職員体制 まずは、老人ホームのホームページなどで職員体制を確認しましょう。特に介護付き有料老人ホームの場合、職員体制の項目に「3:1」や「2.5:1」といった記載があると思います。 そういえば、近くの老人ホームのホームページには「3:1」と書かれていました。これってどういう意味ですか? これは、介護が必要な入居者に対しての介護スタッフと看護師の比率を表しています。つまり、「要介護者3名に対して、介護スタッフ・看護師が1名」の比率で配置されているという意味です。ということは、「3:1」の要介護者側の人数が少ないほど、スタッフが多く配置されていることになります。ちなみに、介護保険法では「3:1」以上の人員配置をしないといけないと定められています。そのため、「2.5:1」「2:1」と記載されていたら、法律で定められている基準よりも多くスタッフがいるということがわかりますね。 「2.5:1」「2:1」のように、前半の数字が少ないほどスタッフさんがたくさんいるんですね。職員体制の比率をよく確認しておかないと。 ちなみに、老人ホームのなかでも住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅には、人員配置の基準がありません。そのため、ホームページなどで確認できないことがあります。また、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅で介護を受ける場合は、外部サービスを利用する必要があります。決められたタイミングでしか介護を受けられないことも多いので、柔軟に手厚く介護を受けたい場合は、介護付き有料老人ホームを探すのがおすすめですよ。 看護師の勤務時間 もし、日常的に医療ケアが必要な場合は、看護師の勤務時間についても確認しておきましょう。民間の老人ホームのなかでも、介護付き有料老人ホームでは少なくとも日中の看護師の配置が義務付けられています。しかし、夜間も医療ケアが必要な場合は、24時間看護師が常勤している施設でないと入居ができないことがほとんどです。具体的には、朝食前や夕食後のインスリン注射や、たん吸引が必要な場合は、看護師が24時間常駐している施設を探しましょう。 スタッフ数が多い老人ホームに入るメリットと注意点 ここまで、スタッフの数が多い老人ホームの探し方についてお話ししましたので、改めてスタッフの数が多いことのメリットと注意していただきたい点をお伝えしますね。 メリット スタッフが多くて手厚い介護体制がある施設のメリットは、以下のようなものがあります。ただ、これらの対応は施設の運営方針によっても異なるので、あくまで「こういう傾向がある」と考えてくださいね。 柔軟な対応ができる オプションサービスが充実している アクティビティ、レクリエーションが充実している スタッフの数が多い施設は、人員に余裕があります。そのため、日常的な介助をするだけではなく、”プラスアルファ”の対応もしてもらえることが多いんです。 「”プラスアルファ”の対応」ってどんなものですか? 例えば、ご入居者のお話をスタッフが一対一で聞く時間を設けたり、機能回復のためにスタッフが寄り添って歩行訓練をしたり、有料で買い物代行のオプションサービスがあったり…。ホームページやパンフレットなどではわかりにくい部分なのですが、人員にゆとりがあるからこそ柔軟な対応をしています。また、アクティビティやレクリエーションなどが充実している傾向もあります。人員が少ないとどうしてもアクティビティやレクリエーションに時間を割けないのですが、人員にゆとりのある施設では毎日、1日に複数回のアクティビティやレクリエーションをおこなっていることもあります。 1日に何度もレクリエーションをしているんですね!母は参加したがると思うので、嬉しいですね。 アクティビティやレクリエーションの内容も豊富なので、老人ホームに入ってから活動する機会がほしい方は、スタッフの数が多い施設はおすすめです。 注意点 スタッフの数が多い施設は良いことだらけのように感じますが、注意しないといけない点があるんですか? はい。スタッフの人員に余裕がある施設は対応が柔軟なのが良い点なのですが、費用が高い傾向がある点に注意していただきたいです。というのも、基準より多くスタッフが常駐しているため、その人件費を「上乗せ介護費」として追加していることが多いんです。 そうなんですね。確かに、通常より多くスタッフさんがいるから、その分、人件費がかかりますもんね。 おっしゃる通りです。上乗せ介護費は、介護サービス費とは別に毎月発生します。介護サービス費は介護保険に収まるサービスの費用のこと。対して上乗せ介護費は、介護保険の基準を上回る職員に対しての費用なので、追加で発生してしまうんです。 なるほど…。上乗せ介護費の金額にもよりますが、ある程度はしょうがないかな…。 上乗せ介護費の金額は、施設の料金表などで確認できます。行き違いがあって、入居後に施設とトラブルになっては大変なので、予めよく確認しておいてくださいね。 人員配置が「3:1」より多い老人ホームを選ぼう 看護師が24時間常駐していると医療行為があっても安心 スタッフが多いと柔軟な対応ができるが、費用が高くなることがある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...
Q&A

レビー小体型認知症の父親が寝てばかり…。起こした方が良いのでしょうか?

レビー小体型認知症の父が、昼間に寝てばかりで気になっています。寝ていなくてもぼーっとしていることが増えましたし…。 声をかけて起こしてもまたすぐに寝てしまうのですが、起こさずに放っておいた方が良いのでしょうか? (植田さん・パート・60歳) できるだけ日中は起きて活動してもらうのが良いです。ただ、寝ているときに起こすだけではなく、どうしてお父様が日中に眠ってしまうのかの原因を知り、それに基づいて起きていられるように対策をとっていきましょう。例えば、レビー小体型認知症による抑うつ症状や睡眠障害が発生している可能性があります。そのせいで夜間に眠れなくなり、昼間に寝てしまっていることも考えられます。このような場合は、医師に相談して薬の変更・調整をしたり、生活リズムを整えて夜に眠りやすい環境を作りましょう。また、お父様が夜に起きているときに「早く寝て」というように寝ることを強制するような声掛けをしてしまうと、それがストレスで余計に眠れなくなることがあるので要注意です。 レビー小体型認知症だと寝てばかり?原因は? 同居しているレビー小体型認知症の父が、昼間に寝てばかりで気になっています。何度起こしてもまたすぐに寝てしまうので、最近は起こさずに放っておいていますが、その都度起こした方が良いのでしょうか? 日中は眠らずに活動するのが理想です。ですが、起こしてもすぐに寝てしまうのなら難しいですよね…。ただ、日中に寝てしまうと体内リズムが崩れて夜に眠れなくなることもあります。なので、どうしてお父様が日中に寝てしまうのか原因を見つけて対策をとっていくことが大切です。 父が昼間に寝てしまう原因ってどんなものが考えられるでしょうか? レビー小体型認知症の方が昼間に寝てしまう原因として、以下のようなものが考えられます。 抑うつ症状 睡眠障害 神経伝達物質の不足 抑うつ症状 抑うつ症状とは、気持ちが落ち込んだり不安感が強くなったりする状態のこと。認知症の影響でできないことが増えて、ご家族に迷惑をかけていると感じてストレスが強くかかると抑うつの状態になることがあります。抑うつ症状がある方は無気力になり、声をかけても反応が薄かったり表情が乏しくなることがあります。 あっ、それは父に当てはまるかもしれません。声をかけてもぼーっとしていて。返事はするんですが以前よりも反応が薄いというか…。 それは心配な状態ですね…。ちなみに、抑うつ症状があると疲労を感じやすくもなるため、体を回復させるために日中も寝てしまうことが考えられます。また、寝ることで一時的にストレスから離れられるので昼夜問わず寝てしまっていることもあります。 睡眠障害 レビー小体型認知症の特徴的な症状のひとつに「レム睡眠行動障害」というものがあり、それが夜間の眠りを妨げているために日中に眠くなってしまう可能性があります。レム睡眠行動障害というのは、眠りの浅いレム睡眠中に怖い夢やリアルな夢を見て、夢の中と同じ動きをしてしまうこと。恐怖のあまり大声を上げたり暴れるといった行動をしてしまうんです。 そういえば、以前、父が夜中に急に大声を上げたことがありました…。 それはびっくりしますよね。レム睡眠行動障害を起こすことで目覚めてしまい、質の良い睡眠が取れていない可能性も。寝不足のせいで昼間に寝てしまうことも考えられますね。 神経伝達物質の不調 レビー小体型認知症の影響で、神経伝達物質が減少することがわかっています。この神経伝達物質の不調によって情緒不安定になり、そのストレスを減らすために眠る時間が増える傾向があるのです。具体的には、リラックス効果のあるセロトニンや、ストレスに対抗するための準備をするノルアドレナリンという神経伝達物質が不足することで、抑うつ症状や情緒不安定になり、不安な気持ちから逃げるために寝てしまっている可能性があります。 レビー小体型認知症の人が寝てばかりのときの対策 父が寝てばかりの理由がなんとなくわかったかもしれません。でも、父が起きていてくれるような対策はあるのでしょうか? いくつかありますよ。次のような対策を試してみてください。 薬の調整をする 睡眠環境を整備する 生活リズムを整える コミュニケーションの方法を変える 薬の調整をする 神経伝達物質のバランスが崩れている場合、抗パーキンソン病薬や抗うつ薬、抗不安薬を使うことで睡眠状態が改善することがあります。抗パーキンソン病薬や抗うつ薬、抗不安薬といった薬は神経伝達物質のバランスを整える効果があり、情緒を安定させたり睡眠の質を向上させることが期待できます。 睡眠薬ではない薬でも、睡眠状態を改善することがあるんですね。 はい。薬での治療をおこなうかどうかは医師の判断になるので、まずはかかりつけ医に相談してみてくださいね。 生活リズムを整える 基本的なことですが、生活リズムを整えることも睡眠状態を改善する方法のひとつです。具体的には以下のことを意識してみましょう。 同じ時間に起床・就寝する 3食同じ時間に摂る 日中に活動をする 夜に眠れないのは、日中の過ごし方が原因である場合があります。そのため、毎日の起床・就寝時間、食事の時間を決めて規則正しい生活にすることで、夜の睡眠状態が改善することがあります。また、夜間に寝付けないのは日中の活動量が少ないからかもしれません。なので、散歩に出かけたり体操をしたり、趣味の時間をつくったり、家事を手伝ってもらったりなど、体を動かす時間を増やすと良いでしょう。 言われてみれば、父はテレビを見てばかりで体を動かすことはほとんどないですね。うーん、簡単な家事はやってもらった方が良いのかな。 デイサービスを利用するのも良いかもしれませんね。デイサービスなら毎回同じ時間での利用になるので、生活リズムを作りやすいですし、レクリエーションや体操で体を動かす機会もありますよ。 睡眠環境を整備する 睡眠状態を良くするには環境を整えるのも大切です。例えば、以下のようなことに気をつけてみましょう。 部屋を暗くする 騒音のない静かな部屋を選ぶ 寝具やマットレスを季節や体に合ったものにする カフェインやアルコールを控える なんだか、当たり前なことばかりですね。 そうなんです。当たり前のようなことなのですが、ご高齢者は夜に足元が暗いのが怖いからと電気を付けたまま寝ていたり、夜になると近所の騒音が聞こえたり…ということがあるんです。また、ご高齢になると暑さや寒さを感じにくくなります。気温に合っていない寝具を使っていることもあるので、そこも改めて確認しておいてくださいね。 コミュニケーションの方法を変える 「コミュニケーションの方法を変える」ってどういう意味ですか? レビー小体型認知症に限らず認知症を患う多くの人が、不安やストレスを感じやすい状態です。今までできていたことができなくなったり、認知機能の低下の影響で状況が把握できなくなったり…。私たちにとって何でもないことがストレスになることもあります。そのため、夜に眠れない様子があっても「早く寝て」と寝ていないことを責めることを言わない方が良いんです。 えっ、そうなんですか!夜中に起きることがあるので「早く寝てよ」といつも言ってしまっていました…。 気持ちはよくわかります。ただ、「早く寝て」と寝ることを強制されると、「寝ないといけない」と思って余計に眠れなくなることもあります。なので、「どうしたの?」と眠れない理由を聞いてみたり、「眠れなくても布団に入ると体が休まるよ」といった声掛けがおすすめです。不安感をあおらないような声掛けが大切なんです。 なるほど…。普段のコミュニケーションの方法も睡眠に関係してくるんですね。気をつけるようにしないといけませんね。 レビー小体型認知症の場合、抑うつ症状や睡眠障害によって寝てばかりになることがある 寝室の環境を整えたり、生活リズムを整えることで睡眠状況を改善しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...
Q&A

認知症の義父が性的な行動をするのが嫌!セクハラのせいで介護したくありません

認知症の義父を自宅で介護しているのですが、この数ヵ月、着替えを手伝うときに私の体を触ってきたり下着を脱いで下半身を見せようとしてくるんです。毎日のようにセクハラされるので、義父の介護が嫌で嫌でたまりません。 夫に相談して夫から義父に強く言ってもらったのですが効果はありません。認知症の義父は体は元気ですが認知症がひどく、どんなことにも介助が必要。介護する間はまたセクハラされるんじゃないかと気を張っているので、とても疲れます。 「認知症だからしょうがない」と割り切りたくても割り切れません。どうしたら良いのでしょうか? (田中さん・パート・60歳) それはお辛い状況ですね…。認知症の方によるセクハラは、不安やストレスを感じていたり、記憶障害の影響で気持ちが若い頃に巻き戻っていることが原因と考えられます。いずれにしても認知症の影響で孤独感を持っていることが根本にあることが多いので、セクハラされたら「私はお義母さんではないですよ」と軽く流して、話を変えるのが良いかもしれません。お義父様の好きなテレビ番組や趣味の話をすると、そちらに興味を持って性的関心が薄れるかもしれませんよ。「止めてください」と拒否をしたり嫌がると逆効果になることもあります。認知症の方は不安感を強く持っていることがほとんどなので、言動を否定せずに流すのが大切。セクハラは受けた方の精神的なダメージが大きいですから流すのは大変かもしれませんが、「不安を感じているんだな」とお義父様の気持ちを想像してできるだけ冷静に対応をしてくださいね。 認知症の親が性的な行動をする理由 認知症の義父がセクハラをしてくるので介護が嫌でたまりません!義父はひどい認知症なので、着替えやトイレなど身の回りのことほとんどを私が介助しています。そのときに私の体を触ったり下着を脱いで下半身を見せようとしてきたりと性的な行為をしてくるのが嫌なんです。「認知症だからしょうがない」と思えれば良いのですが、どうしても割り切れずに義父への嫌悪感が募ってしまって。認知症になっても最近までは穏やかで落ち着いている人だったのに、どうしてこんな風になってしまったんでしょうか? ご家族にセクハラをされるのは、精神的にきついですよね…。認知症の方は、症状の進行によってときに社会の規範から外れた行為をすることがあります。特に性的行動は以下のような理由で症状として現れることがあります。 不安やストレスを抱えている 記憶が若いころに戻っている 不安やストレスを抱えている 認知症の方は、常に不安感を抱えていると言われています。認知症によって理解力や判断力が低下して状況を把握できなくなったり、認知症によって自分の役割がなくなって孤独を感じることで不安になっているのです。そのため、人とのつながりやスキンシップによって安心感を得ようとすることがあります。その行為のひとつが性的行動なのです。性的行動をして相手に受け入れてもらいたい、という気持ちがあるのかもしれません。行動自体は社会のルールから外れたことですが、「誰にも受け入れてもらえない」という不安感があることは理解してくださいね。 確かに、認知症になる前よりも義父との会話が減った気がします。それが原因で孤独を感じていたのかな…。 記憶が若い頃に戻っている 認知症の方は記憶障害の影響で、精神的に若い頃に戻っていることがあります。認知症になると新しい記憶から忘れてしまうので、直近数十年分の記憶がないことも珍しくありません。実年齢は80代でも記憶が40代で止まっていて「自分はまだまだ若い」と思い込んでいることもあります。40代というとまだまだ性欲が旺盛な年代。もしかしたら、身近でお世話してくれる女性である田中さんにアプローチしているのかも。また、認知症の影響で田中さんを自分の奥さんと勘違いしていることも考えられますね。 えぇっ!?お義母さんと?そんなことがあるんですね。 ちなみに、今のご高齢者は女性に対して性的な言動をするのが当たり前だった時代を生きてきた方も多いです。そのため、セクハラという意識がない可能性も念頭に入れておくと良いでしょう。 認知症の親が性的な行動をするときの対策 義父がセクハラをする理由に思い当たることがありました…。でも、だからといって気持ちを切り替えて介護できるものでもありません。 そうですよね。なので、田中さんの精神的な負担を軽くできるよう、お義父様が性的行動をしたときの対応をいくつかお伝えします。対応方法は以下のようなものがあります。 話題を変える その場を離れる 老人ホームに入居する 話題を変える 認知症の方からセクハラを受けたときは、話題を変えてみましょう。お義父様の趣味や好きなテレビ番組など、興味を持ちそうな話をするんです。そうして性的な関心をそらせるのがおすすめです。あとは、お義父様の昔の思い出や楽しかったことなどを聞いてみると、懐かしい気持ちで性的な気持ちが薄らぐこともあるでしょう。田中さんの旦那さんの子供のころの話や、お義母様の話を聞いてみるのも良いかもしれません。共通の話題なので、田中さんも聞きやすいんじゃないでしょうか。 家族の昔の話なら話題として振りやすいですね。 その場を離れる 性的行動によって田中さんの不快感が収まらないときやお義父様が性的な行為を止めないときは、その場を離れるのもひとつの手。時間を置くことで、お義父様が性的関心を忘れてしまうこともありえますし、何より田中さんの気持ちを落ち着ける時間を稼げます。ときには、旦那さんに介護を代わってもらったり介護サービスを活用したりして、介護から離れる時間を作るのも大切です。 しかる、嫌がると逆効果になることも 北野 認知症の方が性的行動をしてしまったとき、ご家族がしかったり嫌がったりすることがあると思います。気持ちは大変よくわかるのですが、これが逆効果になる可能性もあります。 なぜなら、不安感や孤独感を和らげるためにセクハラをしている場合、自分の行動が否定されるとさらに不安感や孤独感が増してしまうことがあるため。そのため、しかったり嫌がることを繰り返すと、セクハラがエスカレートするだけでなく、ほかの認知症の症状が進行する可能性も考えられます。 老人ホームに入居する 田中さんがセクハラから開放されるために、お義父様が老人ホームに入居することもひとつの方法です。 セクハラだけで老人ホームに入れるんですか?確かに介護をするのは嫌ですが、義父はまだ自分で歩いたりできていますし…。 老人ホームというと、歩けなくなったり寝たきりになったタイミングで入居するもの、というイメージを持っている方が多くいらっしゃいます。ですが、それだけでなく介護をする人とされる人の関係が上手くいかなかったり、介護する人の負担が大きくて在宅介護が続けられないときに入居される方も少なくありません。ただ、お義父様がほかのご入居者や職員さんにセクハラをする場合は、入居を断られてしまうこともあります。そこはお義父様の状態と施設の受入状況の兼ね合いなので、まずは施設に相談してみましょう。 今のところ、セクハラを受けるのは私だけなのですが、入居後のことはわからないですもんね。これまで私が我慢すれば良いから、と思っていたのですが、夫にも老人ホームのことを相談してみようと思います。 認知症の親がセクハラをするのは不安感や記憶が若い頃に戻っていることが原因かも セクハラが嫌なときは、話題を変えたりその場を離れたり誰かと共有しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

article-image

グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト