入居相談室室長

北野 優さんの
監修記事一覧

2009年に入居相談員のキャリアをスタートしてから、延べ1万人以上の相談を受ける。入居相談員としてのスキル・知見は群を抜いており、「人生100年時代 失敗しない介護施設選びと介護費用の目安」「相談事例から学ぶ!失敗しない有料老人ホーム探しのポイント」など老人ホーム選びに関する数々のセミナーにも登壇。7000施設以上の紹介数を誇る、「いい介護」入居相談室の室長。
Q&A

介護認定の更新をしたら父親の要介護度が下がった!どうしたら良い?

父親の介護認定の更新をしたら、要介護2から要介護1に下がってしまいました。ケアマネジャーさんに「サービスの量が減る」と言われて。これ以上減ると仕事に支障が出るので困っています。 もちろん、父の状態が良くなったわけではありません。むしろ認知症がひどくなっているのに…。どうして要介護度が下がってしまったんでしょうか? (坂口さん・会社員・62歳) もしかしたら、お父様が認定調査の際に普段よりも元気に振る舞ったのかもしれません。また、調査員に実情を正確に伝えられなかった可能性もあります。要介護認定の結果に納得がいかない場合は、区分変更申請をすることをおすすめします。再度、認定調査を受ける際は、調査員に個別で実情を伝えましょう。伝えることに漏れがないようにメモを作っておくのもおすすめです。 親の要介護度が下がった!なぜ? 父の介護認定の更新をしました。そうしたら、要介護2から要介護1に下がってしまったんです!父は良くなるどころか認知症の症状が悪化しているというのに…。要介護度が下がると、利用できる介護サービスの量も減ってしまうので困っています。どうして、父の要介護度は下がってしまったんでしょうか? 「状態が良くなっているわけじゃないのに要介護度が下がってしまって困る」というのは、私もよくご相談いただきます。要介護度が下がったのには、以下のような理由が考えられます。 認定調査で普段よりも元気に振る舞った 認定調査で実情を上手く伝えられなかった 主治医の意見書でうまく伝えられていなかった 認定調査で普段よりも元気に振る舞った 意外と”あるある”なのが、認定調査のときに親御さんが普段よりも元気に振る舞ったことで要介護度が下がることです。認定員に良いところを見せたいと元気よく体を動かしたり、できないことも「できる」と回答してしまうんですね。 それ、心当たりあります!今回の認定調査で、「トイレは1人で行ける!」とはっきり答えていました。普段は危なっかしくて私が付き添っているのに…。 それに、認知症の方の場合は、普段、自分が身の回りのことをどの程度できるかを忘れてしまって「1人でできる」と答えることもありますね。また、認知症の方の場合、普段はぼーっとしていることが多いのに認定員が来たらシャキッとしてはきはき話す、というケースも珍しくありません。おそらく、いつもと違う状況が刺激となって頭がはっきりすると考えられます。 確かに!認定調査のときは、認知症になる前のようにはっきりとやりとりができていました。認定調査のときだけ元気になっても、あとで困るってことですね…。 認定調査で実情を上手く伝えられなかった 親御さんだけでなく、ご家族が介護の実情をうまく伝えられないと要介護度が下がる可能性があります。例えば、「夜中に大声で叫んで眠れない」「ふらつくことが増えて転倒してしまうかも」といったようなことです。親御さんの心身の状況や介護で困っていることを調査員に伝えられないと、要介護度が低くなってしまうことがあります。 主治医の意見書でうまく伝えられていなかった 介護認定では、認定調査だけでなく主治医の意見書も大きな判断材料になります。ですが、主治医意見書のなかで正確に親御さんの心身の状態が記述されていないと、要介護度が下がってしまうこともあるんです。 要介護度が下がったときの対策は? このまま要介護度が下がったままだと困ります!せめて今までと同じ要介護度でないと、仕事にも支障が出てしまうんです。どうにかなりませんか? それは大変です!以下のような対策を打ってみましょう! 情報開示請求をする 不服申し立て(審査請求)・区分変更申請をする 情報開示請求をする 情報開示請求とは、介護認定に関わる情報を見れる制度。認定調査票や主治医意見書の内容を確認できます。つまり、認定調査がどんな結果になったのか、主治医がどんな情報を記載したのかを知れるんです。自治体に情報開示請求のための手続きをする手間はかかりますが、どうして要介護度が下がったのかを把握したい場合には利用してみましょう。 そんなことができるんですね!確かに、このままでは要介護度が下がった理由がわかりませんもんね。 不服申し立て(審査請求)・区分変更申請をする 要介護度に納得いかない場合は、「不服申し立て(審査請求)」「区分変更申請」で介護認定を受け直せます。 介護認定ってやり直しができるんですね! そうなんです。ただ、正確には不服申し立ては今回の認定調査などの情報をもとに再度、判定をする制度。一から認定調査をやり直しするわけではないんです。そのうえ、不服申し立ては結果が出るまでに数ヵ月かかることもあります。そのため、多くの方は不服申し立てではなく区分変更申請をしています。 区分変更申請は、短い期間で結果がわかるんですか? はい。区分変更申請は1ヵ月程度で結果が出ます。それに、認定調査をはじめからやり直しをするため、認定調査の受け直しや意見書を主治医に書き直してもらうこともできるんです。 それなら、区分変更申請の方が良いですね! 再度、認定調査を受ける際には、調査員に実情を正確に伝えられるようにメモなどを取っておくことをおすすめします。伝え漏れを防げますし、メモをそのまま認定員に渡しても良いかもしれません。お父様が認定調査で元気に振る舞ったとしても、「いつもは、こんなに介助が必要なんです」とはっきり伝えるようにしましょう。 次の認定調査では、父が見栄を張って「1人でできる!」と言い張っても、調査員さんに普段の状況をきちんと伝えるようにします。 認定調査で元気に振る舞ったり、実情を伝えられないと要介護度が下がることも 要介護度が下がったときは、情報開示請求をして区分変更をしよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before ...
Q&A

親が認知症になったときのお金の管理方法は?父の金遣いが荒く、心配です

80代後半の父が実家で一人暮らしをしているのですが、もしかしたら認知症なのかも、と心配です。中でも心配なのがお金のこと。実家に大量の健康食品が置いてあり、父に聞いたところ要領を得ません。請求書があったので父が自分で購入したのだと思いますが、それを覚えていないようなんです。 ほかにも、必要以上に銀行口座からお金を引き落としている様子があり、健康食品以外にも不要なものを買ってしまっているのかも…。 本当は通帳を預かって私が管理したいのですが、頑固な父はそれを許しません。このままでは、年金や貯金を使いつくしてしまうかもしれません。良い方法はありませんか? (児玉さん・パート・63歳) 親御さんのお金の管理は、多くの方が頭を悩ませています…。もし、お父様が認知症だった場合、早い段階で児玉さんがお父様のお金の管理をできるようにしておくことをおすすめします。親御さんのお金をご家族が管理できるようにする方法には、成年後見制度、家族信託、銀行口座の代理人制度、保険の指定代理請求制度、日常生活自立支援事業などがあります。が、多くの方法でご本人の判断能力があるうちに手続きをしないといけないんです。そのため、お父様の判断能力が衰える前に、対策を打っておくことが大切なんです。 親が認知症になったときのお金の管理方法は 実家で一人暮らしをしている父の金遣いが荒くて心配です。先日、実家に帰ったら大量の健康食品が置いてありました。でも父はそれを買ったことをよく覚えていないようで…。請求書があったので、父が購入したものなのは確かです。でもそれを覚えていないなんて、認知症になってしまったのかもしれません…。加えて、1ヵ月に10万円近くも口座から引き出しており、不要なものを買ったりしていないか心配です。水光熱費などは口座引き落としにしているので、現金で引き出す必要はないんです。このままでは、お金を浪費して年金や貯金を使い切ってしまうかもと思い、私が通帳を預かろうと思ったのですが、父は頑なに渡そうとしません。何か対策はありませんか? 児玉さんが言う通り、お父様は認知症になってしまった可能性がありますね…。認知症の親御さんがいる方の多くは、お金や財産の管理に頭を悩ませているんです。対策としては、以下のような方法があります。 成年後見制度 家族信託 銀行口座の代理人制度 保険の指定代理請求制度 日常生活自立支援事業 成年後見制度 成年後見制度とは、判断能力が低下している人の財産などを後見人が管理できるようにする制度です。成年後見制度には、「任意後見制度」「法定後見制度」の2種類があります。 任意後見制度 任意後見制度とは、判断能力が低下したときに備えてご本人が任意後見人を立てて、生活に関する手続きや財産管理などを任せるための契約をする制度。ご本人が後見人や契約内容を選べるのが特徴です。ただ、認知症になって既に判断能力が低下しているとみなされると、任意後見制度による後見人の契約はできません。 つまり、任意後見制度を利用する場合は認知症になる前に契約を済ませておかないといけないんですね。 法定後見制度 法定後見制度は、ご本人が認知症を発症した後でも契約が可能な制度です。また、判断能力が低下している状態で契約を結ぶこともあり、ご本人がおこなった法律行為を取り消すことも可能。不要なものを買ってしまった場合も、後見人がその売買を取り消せるんです。ただ、柔軟な資産運用ができないというデメリットもあります。 家族信託 家族信託は、財産の一部、もしくは全部を家族が管理できるようになるもの。親御さんの預貯金はお子さんであっても引き出しはできません。が、家族信託契約をして信託用の口座に親御さんのお金を移しておけば、お子さんも入出金が可能になります。つまり、お父様の判断能力が低下することに備えて予め家族信託をしておけば、もしお父様が認知症になってしまっても児玉さんがお金の管理をできるようになります。法定後見制度では、収入を得ているアパートやマンションなどの不動産があっても、改修費用のために後見人が財産を利用することは難しいです。一方で、家族信託は契約内容を柔軟に決められるので、ご家族がご本人の財産から改修費用を出すこともできるんです。 家族信託って名前を聞いたことはありましたが…。柔軟にお金の管理ができるんですね。考えてみても良いかな…。 銀行口座の代理人制度 ご本人が入院や介護施設に入居して銀行窓口やATMに足を運べなくなった場合に、ご家族が代わりに入出金できるようにするのが代理人制度です。ただ、もしお父様が認知症になって銀行が口座を凍結してしまった場合は入出金はできなくなります。 えっ、じゃあ、父が認知症になって介護施設に入ったときに父の口座からお金を引き出せないということですか? 緊急時に限って言えば、銀行が特例として認めてくれる場合があります。ただし、認知症などの診断書、介護施設の請求書、家族関係がわかる戸籍といった証明が必要です。しかし、この措置はあくまで一時的なもの。継続的にお金の引き出しが必要な場合は、成年後見制度などの利用が必要です。 保険の指定代理請求制度 入院などでお金が必要になった場合、保険会社に保険金を請求しますよね。でも、ご本人が認知症などで手続きができなくなる可能性も。そこで事前に代理人登録をしておけば、ご家族が代わりに保険金や給付金の請求ができるようになります。認知症になると、保険の請求手続きなどをするのも難しくなります。そのため、将来に備えて指定代理請求制度を活用するのも良いかもしれません。 日常生活自立支援事業 日常生活自立支援事業って初めて聞きました。 なじみのない言葉ですよね。日常生活自立支援事業は、地域の社会福祉協議会が提供しているサービスで、判断能力が低下した人の生活を支援します。依頼できる内容は、お金の管理も含めて多岐にわたります。例えば、以下のようなことを依頼できますよ。 福祉サービスの情報提供、手続き代行 施設や病院のサービスに関する相談 福祉サービス・病院の料金の支払い代行 年金などの受領に必要な手続き 公共料金の支払い 日用品購入の支払い代行 銀行口座の入出金、口座の解約手続き 通帳やハンコ、証書などを預かる へー!いろんなことが頼めるんですね。 利用したい場合は、お父様がお住まいの地域の社会福祉協議会に連絡してくださいね。 認知症によるお金のトラブル事例 もし、父の状況がもっと悪くなって、認知症になってしまったらどうなってしまうんでしょうか?そうなる前に私が父のお金の管理をできるようになっていれば良いとは思うんですが…。 認知症によるお金のトラブルは意外と多いです。例えば、以下のようなものがあります。 無駄遣いしてしまう 詐欺・悪徳業者にだまされる お金を盗られたと思い込む 介護・医療費などの立て替えが増える 無駄遣いしてしまう 認知症によって気持ちの抑えが効かなくなることで、不要なものにお金を使ってしまう可能性もあります。私たちだったら「今月はお金を使いすぎているから買うのを止めよう」「欲しいと思ったけど、本当に必要?」と考えて購入を思いとどまる場合でも、気持ちの抑えが効かないので、「欲しい」と思うままにお金を使ってしまうんです。なかには、支給されてすぐに年金を使い切ってしまったり、貯金を使い込んでしまうケースもあるんです。 それはとても困ります!私も経済的な支援をいつでもできるわけではありませんし、父には無駄遣いせずにいてもらわないと…。それに、今後、介護が必要になったらお金がかかるだろうし…。 詐欺・悪徳業者にだまされる 高齢者を狙った詐欺は、ニュースでよく報道されていますよね。父も詐欺にあうんじゃないかと心配で…。 おっしゃる通り、詐欺にあうご高齢者は少なくありません。しかも、詐欺とは言えなくても、ご高齢者に商品を半ば無理やり購入させる悪徳な業者もいます。判断能力が低下してくると詐欺や悪徳業者を見抜けず、その被害に遭いやすいんです。 認知症でなくても年を取ると判断能力が衰えてきますし、その前に私がお金を管理して、対策をとっておくことが大切ですね。 お金を盗られたと思い込む 認知症の方の典型的な症状のひとつに、ものを盗られたと思い込む「物盗られ妄想」というものがあります。なかでもお金や通帳を盗まれたと思い込むケースがとても多いんです。これは、認知症によって物忘れが増えて財布や通帳をしまった場所を忘れてしまった結果、誰かに盗まれたと思い込むことによるもの。ご家族が良かれと思って財布や通帳を預かった結果、それを盗まれたと勘違いしてしまうパターンもあります。 父の財布や通帳を預かればお金のトラブルはなくなると思いましたが…。そういうわけではないんですね。 お父様の財布や通帳を預かる場合は、お父様が納得したうえで預かりましょう。ただ、もしお父様が認知症になったら、納得のうえで財布や通帳を預けたとしてもそのことを忘れてしまう可能性も。その場合は、少額のお金を入れた財布をお父様に渡しておき、通帳は預かっている旨はメモなどを貼っておくと良いでしょう。 介護・医療費などの立て替えが増える 介護施設に入ったり入院した際に、認知症によってご本人がお金を下ろせないと費用の立て替えが増える可能性があります。銀行では基本的には本人以外の出金はできませんから、お父様が認知症になってしまって預金が引き出せないとなると、ご家族が支払うことになってしまいます。 本人が認知症になると、口座を凍結される危険性があるんですもんね。そうなると、私が費用を支払わないといけないのか…。ちなみに、介護費用ってどれくらいかかるものなんでしょうか? 生命保険文化センターの調査によると、介護ベッド購入費などの一時的な費用は平均74万円、月々の費用は平均8万3000円もかかっているそうです。また、同じ調査によると、平均的な介護期間は5年1ヵ月。つまり、全体で580万円近くもかかるんです。もちろん、このお金は基本的には親御さんの貯蓄や年金から捻出するもの。お父様が認知症になったり、介護が必要になってお金が引き出せなくなる前に、ご家族がお金の管理をできるように手配をしておくことをおすすめします。 参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省) 成年後見制度、銀行の代理人制度などで親のお金を管理できる 認知症によって、無駄遣いや詐欺にだまされるなどのリスクが増える pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; ...
Q&A

認知症の母親に手をあげてしまい、とても後悔しています。予防する方法はありますか?

先日、母に手を上げてしまって後悔しています。 私は数年前から認知症の母の介護をしており、このところ母が急に興奮してわけのわからないことを言いながら私に怒鳴ったり殴ったりすることが増えて。先日、理不尽な理由で私を怒鳴りながら何十分も殴り続けるので、私もだんだん怒りが込み上げてきて殴り返してしまいました…。 母の様子がおかしいのは認知症のせいなんだとわかっているのですが、自分でも抑えられなくなってしまったんです。それからずっと後悔と罪悪感でいっぱいで…。 今後、同じようなことがあったら、また母に手をあげてしまうかもしれません。防ぐ方法はありませんか? (浅井さん・会社員・57歳) 本当に大変な状況でしたね…。浅井さんが手をあげてしまったのは介護の疲れが溜まっていたせいですので、ご自分を責めないでくださいね。予防方法としては、まずは浅井さんの介護の負担を減らして疲れを溜まりにくくしましょう。ほかのご家族と分担したり介護サービスを活用することをおすすめします。なかには、「自分がしっかり介護をしないと」と常に気を張って介護をしていることもあるかもしれません。そうではなく、介護は楽をして良いもの。介護の負担を減らして作った時間を趣味の時間に使ったりと、リフレッシュタイムを確保してもっと「がんばらない介護」をしてみましょう。 認知症の親に手をあげそう…予防法は? 数年前から認知症の母の介護をしています。最近になって、母が異常に興奮してわけのわからないことを怒鳴り散らしたり、私を殴ることが増えました。先日も、母がものすごい勢いで私を怒鳴りつけながら殴ってきたんです。「いつものことだ」とはじめは流していたのですが、その日は止まらなくて…。何度も何度も殴られるうちに「どうして頑張って介護をしているのにこんな目にあわないといけないんだろう」と虚しさと怒りが込み上げてきて、思わず殴り返してしまったんです。どうして殴り返してしまったのか…認知症のせいだとわかっていたのに。たった1人の家族を殴ってしまって、ずっと後悔しています。それに、もし同じようなことがあったらまた殴ってしまいそうで怖いんです。何か予防する方法はないでしょうか? それはおつらかったですね。介護を続けていくうちに手をあげてしまう、もしくは手をあげてしまいそうになるケースは少なくありません。介護をしているご家族に手をあげてしまうかも、と悩んでいる人は浅井さんだけではないですから安心してください。介護をしている親御さんに手をあげてしまうケースの多くは、ストレスや疲れが溜まることがきっかけになっています。なので、まずは自分の介護の負担を減らしましょう。例えば、以下のような方法がありますよ。 他の家族と分担する 専門家に相談する 介護サービスを使う 他の家族と分担する 可能であれば、ご兄弟などのほかのご家族と介護を分担しましょう。浅井さんは、ご兄弟はいらっしゃいますか? 妹がいます。ただ、車で1時間以上かかるところに住んでいることもあって、あまり介護に関わってくれなくて…。 なるほど…。ちなみに、以下のような方法でも介護の協力をしてもらえなさそうでしょうか? 金銭的な援助をしてもらう 通院の送迎をしてもらう 週1回だけ介護を交代する 家が遠くて直接の介護を分担できない場合、金銭的な援助だけしてもらうのもアリです。介護には何かとお金がかかりますから、お金の援助をしてもらうだけでも精神的に楽になると思いますよ。それに、たまに通院の送迎をしてもらったり、週1回だけ手伝いに来てもらうだけでも浅井さんの負担は減るでしょう。あまり協力的でない人に介護の協力をしてもらうときには、「何をしてもらいたいのか」をはっきりさせてからお願いするとスムーズに協力してもらいやすいですよ。 うーん、妹は忙しくて定期的に直接介護してもらうのは難しそうです。でも、多少の金銭の援助ならしてもらえるかも。通院も月に1回程度なので、代わってもらえるかもしれません。 専門家に相談する 介護のことで困ったら、専門家にアドバイスをもらいましょう!具体的には以下のような専門家に相談をおすすめします。 地域包括支援センター ケアマネジャー かかりつけ医 地域包括支援センターって何ですか? 高齢者の暮らし全般をサポートしている総合窓口です。もし、まだ介護サービスを利用していないのであれば、まずは地域包括支援センターに相談することをおすすめします。もし、既に介護サービスを利用しているのであれば、担当のケアマネジャーさんに相談してくださいね。 介護サービスは利用したことがないですね。ということは、地域包括支援センターに相談するのか…。 また、かかりつけ医も介護の相談に乗ってくれます。特に認知症の場合は治療が必要になりますから、医療の専門家としてのアドバイスをしてくれるでしょう。 介護サービスを使う 介護のことはプロに任せるのがおすすめです!積極的に介護サービスを利用しましょう。 と言われても、介護サービスってよくわからなくて…。利用したこともないですし。 介護をご家族だけでおこなうのはとても難しいです。特に認知症介護の場合は負担が大きすぎて、ご家族が倒れてしまうこともありえるんですよ。 確かに、毎日毎日、母に振り回されて疲れました。いつも眠くて仕事に支障が出ています。 そんな大変な状況だったんですね…!でしたら、介護サービスをぜひ利用してください。介護サービスは、ご自宅で介護するときに利用する在宅介護サービスと介護施設に入居するサービスに分かれます。主なサービスには以下のようなものがあります。 在宅介護サービス 訪問介護 デイサービス ショートステイ 小規模多機能型居宅介護 自宅にヘルパーさんが来て介護してくれるのが訪問介護、介護施設に通って介護してくれるのがデイサービス、介護施設にお泊りするのがショートステイ。それら3つのサービスをまとめて1つの施設で提供してくれるのが小規模多機能型居宅介護です。お母様の性格や状況によって、介護サービスを使い分けましょう。 施設入居サービス 民間施設 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 公的施設 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健) 介護医療院 ケアハウス 養護老人ホーム 認知症の方であれば、グループホームか介護付き有料老人ホーム、もしくは特別養護老人ホームがおすすめです。これらの施設は、認知症ケアのノウハウや実績があるところが大半なので、お母様が穏やかに生活できると思いますよ。 介護疲れが虐待につながることも… テレビなどで「子どもが高齢の親を殴った」というニュースを見ることもあると思います。こうした虐待の多くは介護疲れが原因によるもの。「疲れて思わず殴ってしまった」というきっかけが多いんです。あまりに介護疲れやストレスが溜まると、ご高齢の親御さんを殴ることが日常化してしまうケースも珍しくありません。 そうか、私は母を虐待してしまったということなんですね。「思わず殴り返しただけ」と思っていましたが…。北野室長が言う通り、母に夜中に起こされたり理不尽に怒鳴られたりして、疲れやストレスが溜まっているんだと思います。母の認知症がひどくなってからなおさらです。だから、殴り返してしまったんだと思います。ニュースで見る事件も、介護疲れが溜まって追い詰められることで、殴るなどの虐待をしてしまってたんですね。 おっしゃる通りだと思います。特に虐待のなかでも身体的虐待が多いんです。身体的虐待とは、殴る・蹴るなどの暴力のほかにも、外出しないように行動を制限することも含まれます。認知症になると、外出して道がわからなくなってさまよう「徘徊」などの症状が出ることがありますが、それを予防するために部屋に閉じ込めたりすることも実は虐待にあたるんです。 えぇっ!?そうなんですね!母は1人では外に出ていかないので、部屋に閉じ込めたりはしていませんが…。徘徊するのであれば、部屋に鍵をかけて対策しようと思いますよね。 介護は楽をしても良い! ここまで、介護の負担を軽くするための方法や介護する親御さんに手をあげてしまう原因についてお話ししてきました。最後に、介護をするうえでの心の持ち方についてお伝えしますね。それは「介護は楽をしても良い」ということです。 楽をしても良い?介護は大変なものですよね? もちろん、介護をするのは体力的にも精神的にもきついことがあると思います。でも、介護をするご家族の心の持ち方で、介護を楽なものにできるんです。 つまり、気の持ちようで介護が楽になるということですか?よくわからないのですが…。 具体的にお話ししますね。楽な介護をするコツは、例えば次のような気持ちで介護をすることです。 がんばらない ほかの人と比べない 「終わりが来る」ものと考える がんばらない 楽な介護をするには「がんばらない」ことです。つまり、適度に手を抜くこと。多くの介護をする人は、「私がやらないと」と介護を抱え込みがちになります。介護には直接的に介護するだけではなく、もろもろの手続きや通院、買い出しなどやらないといけないことがたくさんありますよね。それのすべてを「私がやらないと」と抱え込むとパンクしてしまいます。なので、介護サービスやほかのご家族に任せられることは積極的に任せましょう。そして、誰かに任せてできた時間を、お友達と出かけたり旅行に行ったり、趣味の時間に使いましょう! 母の介護を他人に任せているのに、自分は遊ぶんですか!? 介護をしているご家族も人間ですから、息抜きの時間は必要です。なので、積極的に自分のために時間を使ってください。それでも誰かに介護を任せて自分が休むことに抵抗がある場合は、「介護を続けていくために自分のメンテナンスをする」と考えるのはどうでしょうか。介護は長期戦になることが多いですから、定期的にリフレッシュしてくださいね。 ほかの人と比べない 楽な介護をするために、ほかの人と比べないことが大切です。介護をしていると、ほかの介護をしているご家庭の話を耳にすることもあるでしょう。その話が効率的な介護の参考になれば良いのですが、ときには「〇〇さんは上手く介護をしているのに、どうして私はできないんだろう」「〇〇さんのお母さんの認知症は穏やかなのに、うちの母親は…」といった比較をしてしまうこともあるかもしれません。ですが、介護の方法や認知症の症状は千差万別。ご家庭の事情やその人の状況によってまったく異なり、ひとつとして同じ介護はありません。なので、得になりそうな情報は参考にしつつ、「うちはうち、よそはよそ」と割り切る気持ちも大切なんです。 愚痴を言う 楽な介護のために、積極的に愚痴を言いましょう! 愚痴ってあまり良くないイメージがあるんですが…。愚痴を聞く相手も嫌でしょうし…。 確かに、愚痴を言う相手は選ぶ必要はあります。が、介護のイライラやモヤモヤを溜めておくのは精神的に良くないですよね。お友達やほかのご家族に言えそうであれば、愚痴を聞いてもらうのもストレス発散におすすめです。もし、愚痴を誰かに言いにくいのであれば、紙に書くのも良いでしょう。誰かに見せるものではないので、言葉を選ばずに自由に書けますから。愚痴を書いた紙を取っておいて、記録代わりにするのも良いかもしれません。 なるほど、紙に書くのは良いですね! 「終わりが来る」ものと考える 毎日毎日、介護で忙しい日々が続いて「ずっとこんな生活が続くのかな」と暗い気持ちになることもあるかもしれません。でも、現在のしんどい状況には終わりが必ず来ます。もし、認知症による徘徊で夜も眠れない日々が続いていても、歩行が困難になればその症状はなくなります。認知症による暴力に悩んでいても、体力的に衰えると殴ることもなくなるでしょう。お母様の体がさらに衰えると悩まされていた認知症の症状がなくなり、もっと介護に余裕ができる可能性も。薄情な言い方かもしれませんが、「こんなつらい状況がずっと続くんだ」と鬱々とした気持ちで過ごすよりも、多少は気持ちが楽になって精神的に余裕が出てくると思いますよ。 確かに、母がいつまでも体が元気でいられるわけではないですもんね…。北野室長の話を聞いて、気持ちが少し楽になったような気がします。もっと気楽な気持ちで母の介護をしようと思います。 家族と介護を分担する、介護サービスを活用するなどで負担を軽減しよう 介護疲れが虐待につながることも。認知症介護は特に虐待が多い 介護は楽をしても良い!愚痴を言ったり自分を大切に pre { margin: ...
介護の基礎知識

サービス付き高齢者向け住宅で訪問看護を利用する方法丨ほかの施設・注意点

介護施設への入居を検討するにあたって、候補のひとつに「サービス付き高齢者向け住宅」が挙がることもあるでしょう。もし現在、訪問看護を受けている人が、サービス付き高齢者向け住宅へ入居した際、看護ケアはどうなるのか気になりますね。 サービス付き高齢者向け住宅では、施設へ入居しても訪問看護を利用できます。なぜならサービス付き高齢者向け住宅は、介護サービスや看護ケアを外部の事業者と契約する体制の施設だからです。 この記事では、「サービス付き高齢者向け住宅で訪問看護を利用できること」「入居しながら訪問看護を利用できるほかの施設」「訪問看護の注意点」を解説します。ぜひ参考にしてください。 この記事を読めばこれがわかる! サービス付き高齢者向け住宅で訪問看護が利用できるのかがわかる! 訪問看護を利用できる施設がわかる! 訪問看護を利用する際の注意点がわかる! 一般型サービス付き高齢者向け住宅なら訪問看護を利用できる サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)では訪問看護を利用できます。しかし、すべてのサ高住で訪問看護が利用できるわけではありません。 サ高住には「一般型」と「介護型」の2種類があり、訪問看護を利用できるのは一般型サ高住のみです。 一般型サ高住は、施設からのサービスは安否確認や生活相談など生活面でのサービスの提供のみで、基本的には一般的な賃貸住宅と同じように生活ができる、生活の自由度が高い施設です。介護サービスや看護ケアが必要な場合には外部の事業者(訪問介護、デイサービス、訪問看護など)と契約をすることで必要な分だけのサービスを受けられます。 訪問看護が利用できるほかの施設 一般型サ高住以外にも訪問看護を利用できる施設があります。例えば以下の施設です。 住宅型有料老人ホーム ケアハウス それぞれ詳しく見てみましょう。 住宅型有料老人ホーム 住宅型有料老人ホームでも訪問看護を利用できます。 住宅型有料老人ホームは、主に自立・要支援もしくは要介護が低い高齢者向けの施設です。 住宅型有料老人ホームでは、スタッフによる食事や掃除などの生活支援、緊急時の対応といったサービスが受けられます。しかし、施設から介護サービスの提供はありません。 介護が必要な場合は、外部の介護サービス事業者(訪問介護、デイサービスなど)と契約する必要があります。 ケアハウス ケアハウスでも訪問看護を利用できます。 ケアハウスは、老人福祉法で定められた軽費老人ホームの一種です。軽費老人ホームとは、一人での生活が不安で身寄りがない60歳以上の高齢者が入居できる施設のことです。 ケアハウスには「一般型」と「介護型」の2種類があり、訪問看護を利用できるのは一般型ケアハウスのみです。 訪問看護を利用するには 訪問看護を利用する際には、医師による「訪問看護指示書」が必要となります。 訪問看護指示書は主治医が発行するもので、有効期限は6ヵ月。指示書の発行後、医療保険適用の訪問看護は週3回まで利用可能です。 訪問看護を継続利用したい場合は、期限が来るごとに訪問看護の看護師から主治医に交付をお願いすることになります。 そして、継続を依頼された主治医が利用者の診療経過や訪問看護の計画書及び報告書などから「訪問看護が継続して必要」と判断することにより、指示書が引き続き交付されます。 また、介護保険と医療保険のどちらの保険が利用できるかは、疾患や患者の年齢によって変わります。 介護保険の対象の人は、担当ケアマネジャーに相談し、訪問看護ステーションに依頼をしてもらいましょう。 訪問看護は介護保険と医療保険のどちらを利用する? 介護保険と医療保険のどちらの保険で訪問看護が利用できるかは、訪問看護を利用する人の年齢などにより異なります。 介護保険を利用して訪問看護を受けられるのは、以下の条件に当てはまる人です。 65歳以上で要介護・要支援認定を受けている第1号被保険者 40~64歳で関節リウマチや末期がん等の「特定疾病」が原因で要介護・要支援認定を受けている第2号被保険者 医療保険を利用して訪問看護を受けられるのは、以下の条件に当てはまる人です。 64歳以下 介護保険を利用できない(65歳以上だが要介護度がない) 厚生労働省が定めた難病を持っている 参考:「訪問看護」(厚生労働省) 医療保険で訪問看護を利用する場合には、年齢制限はありません。ただし、65歳以上の人は「介護保険が利用できない人」に限られます。また、65歳以上の介護保険が利用できる人であっても、厚生労働省が指定した難病を持っている人には医療保険が適用されます。 また、末期がんの人や人工呼吸器が必要な人、毎日、褥瘡処置を受けなければならない人にも医療保険が適用されます。 医療保険を利用したい場合は、医療保険を利用できるかどうか、担当のケアマネジャーに確認しましょう。 また、利用者のがんが末期になった場合も介護保険から医療保険へ切り替わるので、確認が必要です。 訪問看護を利用する際の注意点 一般型サ高住で訪問看護を利用する際の注意点は、主に以下です。 24時間の看護ケアは受けられない可能性がある 生活面や介護面のサポートは受けられない 介護保険の限度額以上の利用は自己負担 それぞれ詳しく見てみましょう。 24時間の看護ケアは受けられない可能性がある 訪問看護では、看護ケアを受けられない時間帯がある場合があります。なぜなら、契約をしている訪問看護事業者が24時間・365日対応可能とは限らないからです。 訪問看護の事業者によっては、土日祝が休みだったり、サービス提供時間に制限があったりするので、夜中など看護ケアを希望する時間帯が決まっている人は事前によく確認しましょう。 生活面や介護面のサポートは受けられない 訪問看護では、生活面や介護面のサポートは受けられないので注意が必要です。 訪問看護は、自宅での療養生活や在宅介護が必要な人に専門的な看護ケアを提供するためのもの。日常生活におけるサポートや身体介護などは提供していません。 家事や炊事、買い物のサポートや身体介護が必要な場合は、訪問看護とは別にヘルパーなどのサービスや支援が必要になります。詳しくは担当のケアマネジャーに相談しましょう。 一般型サービス付き高齢者向け住宅は施設に介護体制がない 一般型サ高住は、基本的に介護の必要がない自立している高齢者のための住まいのため、施設からの介護サービスの提供はありません。 法律によりバリアフリー設計となってはいるものの、介護の設備はなく、施設のスタッフが直接、介護サービスを提供することはありません。また、介護や看護の資格を持っているスタッフが必ず常駐しているとは限りません。 訪問看護や訪問介護ではケアが補えない場合には、看護ケアや介護サービスが手厚い施設が安心です。 介護保険の限度額以上の利用は自己負担 介護保険を利用して訪問看護を受ける場合には、介護保険の自己負担額を超えないように注意が必要です。 介護保険で介護サービスを利用した場合の自己負担額は利用者の要介護度や年収によって異なります。 介護保険で介護サービスを利用し費用が自己負担額を超えた場合は、自己負担額を超える費用の全額を支払わなければいけません。 訪問看護以外のサービスで介護保険を利用する場合、その費用も合算されます。訪問介護やデイサービスなど、ほかのサービスを利用している場合には費用の合計額が支給限度額を超えないよう、担当のケアマネジャーと相談しながら確認しましょう。 よくある質問 サービス付き高齢者向け住宅に入居しても訪問看護は利用できますか? サ高住には「一般型」と「介護型」の2種類があり、訪問看護を利用できるのは一般型サ高住のみです。 訪問看護を利用できる施設は、ほかにもありますか? 一般型サ高住以外で訪問看護を利用できるのは「住宅型有料老人ホーム」「一般型ケアハウス」です。 訪問看護を利用する際の注意点はありますか? 住宅型有料老人ホームで訪問看護を利用する際は「24時間の看護ケアは受けられない可能性がある」「生活面や介護面のサポートは受けられない」「介護保険の限度額以上の利用は自己負担」という点に注意しましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "サービス付き高齢者向け住宅に入居しても訪問看護は利用できますか?", "acceptedAnswer": { ...
介護の基礎知識

サービス付き高齢者向け住宅での看取り│看取りが可能な施設の選び方

日々を過ごす中で体の衰えを感じ、将来を考えることもあるでしょう。また、「せっかく施設に入るなら看取りまでしてもらいたい」と考えて家族の施設探しをしている人もいるかもしれません。 サービス付き高齢者向け住宅でも、看取りに対応している施設もありますが、その数は少ないのが現状です。 この記事では、「サービス付き高齢者向け住宅では看取りに対応しているのか」を解説します。施設を選ぶ際のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。 この記事を読めばこれがわかる! サービス付き高齢者向け住宅で看取りをしてもらえるのかがわかる! サービス付き高齢者向け住宅の介護体制がわかる! 看取りに対応したサービス付き高齢者向け住宅を選ぶ際のポイントがわかる! サービス付き高齢者向け住宅でも看取りをしてもらえる施設はある サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)では看取りをしてもらえます。しかし、看取りに対応していない施設もあるので注意が必要です。 厚生労働省の調査(※1)では、「『ホームで亡くなりたい』という希望があれば、受け入れる」というサ高住は全体の半数以上あります。しかし、国土交通省の調査(※2)では実際に看取りを実施したサ高住は約22%しかありません。 また、サ高住の入居者のなかで亡くなった人の約52%が病院で死亡しています。(※1)入居者本人や家族が看取りケアを希望していても、入居者の状態をみて医師が「治療が必要」と判断した場合は、医療機関へ搬送されることもあるからです。 サ高住で看取りを希望する場合には、施設の看取りの体制をしっかり確認し、病院で最期を迎える場合もあるということを覚えておきましょう。 ※1 参考:「高齢者向け住まいにおける認知症ケアや看取り、医療ニーズ等の重度化対応へのあり方に関する調査研究」(厚生労働省) ※2 参考:「高齢期の居住の場とサービス付き高齢者向け住宅の現状に関する調査報告」(国土交通省) そもそも看取りケアとは 看取りケアとは、主に最期を迎えるまでの身の回りのケアのこと。看取りケアでは、患者の痛みや苦しみ、ストレスをできるだけ和らげ、最期のときまで人間としての尊厳を保てるようにお世話をします。 看取りケアは日常生活のケアがほとんどです。日常生活のケアとは、具体的には、清拭や入浴、口腔ケアなどによる身体の清潔さの維持、食事や排泄介助などです。 また、入居者を一人にしないようにスタッフの訪室回数を増やしたりと、穏やかに最期を迎えられるようにケアを実施することが看取りケアということになります。 サービス付き高齢者向け住宅の介護サービス体制 そもそもサ高住とは、基本的に介護を必要としない自立している高齢者のための施設。サ高住には「一般型」と「介護型」の2種類があります。 一般型サ高住は、施設からのサービスは安否確認や生活相談など生活面でのサービスの提供のみです。介護が必要になった場合は、訪問介護など外部の介護事業者と契約することで必要な分だけのサービスを受けられます。 介護型サ高住は、サ高住の中で「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設を指します。そのため、食事や入浴の介助のほか、介護・看護サービスなど介護付き有料老人ホームと同等のサービスが受けられます。 入居希望のサ高住がある場合には、看取りの実施体制が外部の介護事業者によるものか、施設のスタッフによるものか、施設に確認しましょう。 看取りに対応しているサービス付き高齢者向け住宅を選ぶときのポイント 看取りをしてくれるサ高住を選ぶ際のポイントは、主に以下です。 納得できる看取り体制か 実際に看取りを実施したかどうか 家族の立ち会い・面会はどういった体制か 本人が亡くなった後の対応 それぞれ詳しく見てみましょう。 納得できる看取り体制か 看取りに対応しているサ高住を選ぶ際には、「納得できる看取り体制なのか」を確認することが大切です。 看取りケアの方針や体制は施設によってさまざまです。施設の方針と本人や家族が理想とする最期が違うと、看取りの際に辛い思いをしたり後悔するかもしれません。 サ高住で看取りを希望する場合は、入居前に必ず施設の方針や体制を確認しましょう。 実際に看取りを実施したかどうか 看取りに対応しているサ高住を選ぶ際には、実際に看取りを実施したかどうかを確認しましょう。看取りの実施が豊富な施設なら緊急時もすぐに対応してもらえるので安心です。 家族の立ち会い・面会はどういった体制か 看取りに対応しているサ高住を選ぶ際には、看取りの際の家族の立ち会いや面会についても確認しましょう。 特に、「看取り時に家族が施設に泊まれるのか」を質問するのがおすすめです。家族が施設に宿泊可能な準備を整えていれば、最期のときまで一緒に居られます。 本人が亡くなった後の対応 看取りに対応しているサ高住を選ぶ際には、入居者本人が亡くなった後の対応も確認しましょう。 施設によっては、「エンゼルケア」や「グリーフケア」をおこなっている場合があります。 「エンゼルケア」とは、死去後、入居者本人の体を清めたり化粧をするケアのこと。「グリーフケア」は、残された家族が大切な人を亡くした後、悲しみから立ち直って日常生活を送れるように施設が支援するケアです。 よくある質問 サービス付き高齢者向け住宅では看取りをしてもらえますか? サ高住では看取りをしてもらえます。しかし、看取りに対応していない施設もあるので入居検討の際には確認が必要です。 看取りケアとはどんな内容のケアを受けられますか? 看取りケアでは、患者の痛みや苦しみ、ストレスをできるだけやわらげ、最期の時まで人間としての尊厳を保てるようにお世話をします。看取りケアは、清拭や入浴、口腔ケアなどで身体の清潔さを維持したり、食事や排泄介助など日常生活のケアがほとんどです。 看取りをしてくれるサービス付き高齢者向け住宅を選ぶ際に注意することはありますか? 看取りをしてくれるサ高住を選ぶ際は「納得できる看取り体制か」「実際に看取りを実施したかどうか」「家族の立ち会い・面会はどういった体制か」「本人が亡くなった後の対応」を確認しましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "サービス付き高齢者向け住宅では看取りをしてもらえますか?", "acceptedAnswer": { ...
Q&A

認知症の母親を介護施設に入れたことに罪悪感…。「帰りたい」と泣くので連れ戻した方が良いのでしょうか?

2ヵ月ほど前に認知症の母を近所の老人ホームに入居させました。週に1度は面会に行くのですが、その度に「帰りたい。家に連れて帰って」と泣いてしまって…。老人ホームに入れない方が良かったのでしょうか。 母の様子を見ていると、「やっぱり私が介護するべきだったのかも」と老人ホームに入れたことに罪悪感を覚えます。今からでも家に連れ戻した方が良いのでしょうか? (坂田さん・会社員・57歳) ご家族を介護施設に入れることは悪いことではありません!お母様の老人ホーム入居に関して、罪悪感を感じなくても大丈夫ですよ。現代ではお子さんの介護の負担が大きくなりやすいです。なので、坂田さんの健康を守るためにもお母様が介護施設に入ることは必要なことだと思います。もし、「家に帰りたい」と何度もお母様が訴えていたり、施設での生活に不安があるときは施設長さんなどに相談してみましょう。対応してもらうことで、お母様が落ち着いて生活できるようになると思いますよ。 親を介護施設に入れることに罪悪感を持たなくて良い! 2ヵ月ほど前から母が近所の老人ホームに入居しています。認知症がひどくなって在宅介護は難しいと感じて入居させたのですが…。面会に行く度に「家に帰らせて」と泣くんです。母が泣く様子を見ると「やっぱり私が介護をするべきなのかな」と老人ホームに入れたことに罪悪感が…。今からでも家に連れ戻した方が良いのでしょうか? ご家族を介護施設に入れることは悪いことではありません!なので、老人ホームに入れたことに罪悪感を持たなくても大丈夫ですよ。もう少し様子を見てみましょう。親御さんを老人ホームに入れることに罪悪感を持つ方は多くいらっしゃいます。そういう人は「親の介護は子がするもの」という考え方を持っているため、親御さんを介護施設に預けることに抵抗感があるのだと思います。 そうなんです!娘である私が介護をするべきなんだと思っていました。 「親の介護は子がする」は当たり前でなくなっている 以前は「親の介護は子がする」のでも、問題がない社会構造でした。というのも、3世代が同居していることは当たり前でしたし、兄弟姉妹が数多くいるため家族で介護を分担することが簡単でした。しかし、現代では核家族化が進んだことで介護の担い手が少なくなっています。高齢の親御さんとお子さんが別居していることは珍しくないですし、兄弟姉妹のいない一人っ子であることも増えてきました。つまり、お子さん一人あたりの負担が増加 しているわけです。そのため、「親の介護は子がする」という考え方は、以前よりも実現が難しくなっています。 確かに…。母方の祖父母は、5人もいる母の兄弟で分担して介護をしたと聞いています。私は一人っ子ですから、それをすべて1人で担わないといけないんですよね。しかも、私はフルタイムで働いているので時間がかなり限られるわけだし…。 おっしゃる通り、仕事をしながら介護をしている人も増えています。一昔前は専業主婦の女性が多く、女性が主に介護を担っていました。ですが、今は共働きの家庭が増えています。そうした背景も、「親の介護は子がする」が当たり前ではなくなった理由です。 無理して在宅介護を続けるリスク 「親の介護は子がする」のが当たり前ではなくなったとしても、「家に帰りたい」と言う母の言葉を無視しているのは後ろめたくて…。やっぱり自宅で介護した方が良いんじゃないかな…。 そのお気持ちはよくわかります。「家に帰りたい」と泣いているお母様を見たら、在宅介護の方が良いんじゃないかと思いますよね。ただ、在宅介護を続けると以下のようなことが起こる危険性があるので、坂田さんに無理をしていただきたくないんです。 介護うつ 介護離職 虐待 介護うつ 介護うつというと、介護によってうつになることですか? おっしゃる通りです。介護は体力的にも精神的にも大きな負担がかかります。そのため、ストレスや疲れが溜まりやすい状況です。その状況が続くと、「寝付けない」「食欲がない」「趣味を楽しめない」 といった状態になってしまうことも。こうした状況が2週間以上続くと、介護うつの可能性が高いとされています。 言われてみれば、自宅で母の介護をしているときはなかなか寝付けないことがよくありました。常に気を張っているというか。今は介護施設に母が入ったので落ち着きましたが…。 介護離職 介護離職も在宅介護を続けるリスクのひとつです。 介護離職って、介護をするために仕事を辞めることですよね?それって良くないことなんですか? 一概に良くないこととは言えませんが…おすすめはしません。というのも、経済的な余裕が少なく なりますし、一度仕事を辞めてしまって再就職するのはハードルが高い です。それに介護だけに集中してしまうので、余計に介護うつになりやすくなる場合もあるんですよ。 えぇ!そうなんですね。再度、自宅で母の介護をするとしたら仕事を辞めることも考えていたのですが…仕事は続けた方が良いんですね。 虐待 テレビでよく高齢者虐待のニュースをやっていますよね。これも、無理をして在宅介護をし続けたせいなんでしょうか? その可能性が高いですね…。介護の疲れやストレスが溜まって追い詰められた結果、自分のご家族に手を上げてしまう ケースが多いんです。在宅介護はどうしても閉鎖的な環境になり、周囲の人とのつながりが薄くなりやすいですから、不安やストレスを1人で抱え込みがちになってしまうんですね。 罪悪感のきっかけになりやすいもの せっかく介護施設に入ったのに施設での生活に不安や不満があると、「入居させない方が良かったのかな」と罪悪感を持つきっかけになりやすいです。例えば以下のようなことがあると、介護施設での生活が心配になって罪悪感を持つようになりやすいです。 「家に帰りたい」と言われる スタッフの対応に不満・不安がある ほかの利用者との人間関係 「家に帰りたい」と言われる お母様のように「家に帰りたい」と言う方は多いです。やはり、どれだけ介護施設で快適に過ごしていたとしても、住み慣れた自宅の方が良いからでしょう。同意したうえで入居した場合でも、「家に帰りたい」という気持ちが出てきてしまうものなんです。 そうなんです!「家に帰りたい」と言われてしまうと、「自宅に連れて帰った方が良いのかな」と思ってしまって。多くの人が帰りたいと思っているものなんですね。 スタッフの対応に不満・不安がある もし、スタッフの良くない対応をご家族が見てしまったら、「家で介護した方が良かったのかも」と思ってしまうかもしれません。介護スタッフは接遇や介護技術についての研修を受けています。が、それがすべてのスタッフが身についているとは言えないのが実情なんです。 ほかの入居者との人間関係に問題がある ほかのご入居者の中には相性の悪い人がいることもあるでしょう。そういう場合も、罪悪感を持つことがあります。単純に性格が合わない場合だけでなく、認知症の症状によって相性が悪いこともあります。 まずは介護施設側に相談してみよう 介護施設での生活に不安や不満があるときは、まずは介護施設側に相談してみましょう。解決策を提案してくれるかもしれません。そのうえで、施設での不安を解決するためにご家族が対応できることもありますので、ひとつずつお話ししていきますね。 「家に帰りたい」と言われたときは うちの母のように「家に帰りたい」と言っている場合は、どうしたら良いのでしょうか? 面会の頻度を変えてみるのはどうでしょうか?面会の頻度を増やしたり減らしたりすることで、「家に帰りたい」という気持ちが落ち着くことがありますよ。 週1回くらいの頻度で面会に行っています。この場合は、頻度を増やすのと減らすのはどちらが良いんですか? お母様の状況にもよりますね。例えば、慣れない場所でさみしさを感じているときは、ご家族が頻繁に顔を見せることで「いつでも家族が会いに来てくれる」と安心 して「家に帰りたい」と言わなくなることがあります。 なるほど…。母はさみしいから「家に帰りたい」と言っているのかな…。 反対に、面会の頻度を下げることで穏やかに暮らせるようになることもあります。特に認知症の方の場合、納得したうえで入居したとしてもそれを忘れていることがありますから、ご本人が介護施設で暮らすことを受け入れるまでは面会を控える方が落ち着けるんです。それに、認知症の影響で入居していることが理解できていない場合、ご家族が面会に行くことで「迎えに来てくれた」と期待してしまう ことも。なので、自宅に帰れないとわかるとがっかりして気持ちが落ち込んでしまいます。 そんなことがあるんですね。そういえば、母は「今日は一緒に帰れるの?」と聞いてきます。面会に頻繁に行った方が良いと思っていたのですが、逆効果だったのかな…。 老人ホームに入った後の様子は施設側がよく把握しています。なので、面会を増やした方が良いのか、減らした方が良いのか、施設に相談して決めるのがおすすめ です。 スタッフの対応に不満・不安があるときは 介護施設のスタッフの対応に不満や不安を持つ場合もあるでしょう。そういうときは、施設長やケアマネジャーなどに相談しましょう。スタッフのなかには、乱暴な言葉遣いや対応などを意図せずにやっていることもありますから、相談することでケアの質が向上することもありますよ。 面倒を見てもらっているのに、文句を言ってはいけないと思ってしまうんですが…。 そうおっしゃる方は多くいらっしゃいます。ただ、面倒を見てもらっているからといって不満や不安を我慢する必要はありませんよ。万が一、特定のスタッフだけではなく施設全体の対応が悪い場合は転居を考えた方が良いでしょう。 ほかの入居者との人間関係に問題があるときは ほかのご入居者との関係に問題があったり、相性の悪いご入居者がいる場合には、部屋や食事の席を離してもらったり、居室のフロアを変えてもらう などの対応をしてもらえることがあります。 つまり、これも施設に相談が必要なんですね。 おっしゃる通りです。特にほかのご入居者も関わる問題の場合、ご本人やご家族だけで対応してしまうとトラブルが大きくなってしまうことも。そのため、まずは施設に相談して対応してもらうようにしましょう。介護スタッフに間に入ってもらうだけでも、ご本人のストレスが減ると思いますよ。 確かに、今まで「面倒を見てもらっているのだから迷惑をかけてはいけない」と思って、母のことを施設に相談せずにいました。これからはもう少し施設を頼ってみようと思います。 親を介護施設に入れることに罪悪感を持つ必要はない! 無理に在宅介護を続けると介護うつや離職、虐待のリスクも 介護施設での生活に不安があるときは、まず施設に相談しよう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: ...
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母親が認知症かもしれません。帰省したときに様子がおかしくて心配です

遠方にある実家に1年ぶりに帰省したら、母の様子がおかしくて心配です。母は一人暮らしなのですが、これまでは問題なく1人で生活できていました。ですが、先日、帰省したときはお惣菜のパックがキッチンに散乱し、ゴミは分別もされずに溜まっていました。 母は料理が得意だったのに、最近はしていない様子。「年を取ると料理するのもゴミ出しも億劫になっちゃって…」と言っていましたが、家の中の様子は異常でした。それに、数日前に私が伝えていたのにも関わらず、帰省のことすらも忘れているようでした。 母は80歳超えているので「年のせいかな」とも思うのですが、1年前とあまりにも様子が異なるので「認知症かも」とも考えています。 (竹田さん・パート・63歳) 「家の中が散らかっている」というのは、認知症である可能性が高いです。そのほかの前兆としては「家電の操作がわからない」「性格が変わった」などがあります。もし、心当たりがあったら、早めに認知症検査を受けることをおすすめします。検査の結果、認知症だった場合は、介護サービスを使いながら一人暮らしを続けたり、老人ホームに入るなどの介護の体制を早めに整えましょう。 親の認知症を疑うポイント 先日、1年ぶりに実家に帰省したところ、母の様子がおかしくて心配です。母は料理するのが好きな人だったのに、しばらく料理をした様子がなく、キッチンにはお惣菜のパックが散乱。洗っていない食器がシンクに置きっぱなしでゴミも分別せずに部屋の隅にまとめてありました。母に聞くと「年を取ると料理するのもゴミ出しも億劫になっちゃって…」と答えていましたが、明らかに家の中は異常でした。母は80歳を超えていますし「年のせいなのかな」とも思うのですが、あまりの異常さに「認知症になってしまったのかも」と心配なんです。認知症かそうでないかは、どうしたら見分けられるでしょうか? うーん、かなり心配な状況ですね。「久しぶりに帰省したら、親の様子がおかしい」というご相談はよく伺います。例えば、以下のような兆候があったら、認知症の疑いが高いので早急に検査を受けることをおすすめします。 約束や予定を忘れる 家の中が散らかっている 家電の操作がわからない 服装が不潔、季節に合っていない 性格が変わった 約束や予定を忘れる 認知症の代表的な症状のひとつに「記憶障害」があります。これは、直近の出来事を忘れてしまう症状。進行すると数十分前の出来事も忘れてしまいます。そのため、何か約束していたことや病院などの予約を忘れている様子があったら、認知症の可能性があります。 でも、高齢になれば誰でも忘れっぽくなりますよね? おっしゃる通り、高齢になると物忘れをしやすくなります。が、認知症の物忘れは「予定していたことそのものを忘れる」のが特徴です。加齢による物忘れが「あの予定は何時からだったっけ?」という忘れ方なのに対し、認知症による物忘れは「そんな予定入れていたっけ?」と予定を入れたことが完全に頭から抜け落ちてしまいます。 そういえば、実家に帰る数日前に電話で帰る日時を伝えておいたのですが、母は私の帰省だけでなく電話したことも忘れていた様子でした。やっぱり認知症なのかも…。 家の中が散らかっている 家の中が散らかっているのも、認知症の兆候なんですね。 はい。以前は家の中の片付けができていたのに急にできなくなるのは、認知症によって脳の機能が低下したことによるのかもしれません。認知症になると、具体的に以下のように家の中の整理などができなくなります。 ゴミが溜まっている シンクに汚れた食器などが置きっぱなし 冷蔵庫に腐ったり賞味期限切れの食品がある 同じものをいくつも買っている ティッシュペーパーやトイレットペーパーを補充していないト 「ゴミが溜まっている」「シンクに汚れた食器などが置きっぱなし」はうちの母に当てはまります…。 このように家の中が散らかってしまうのは、認知症による脳の機能低下によって、物の管理ができなくなるから。特に記憶障害があると、家に同じものがあるのに買ってきてしまったり、反対にトイレットペーパーなどの買い足さないといけないものを買い忘れてしまうことが起きるんです。さらに、認知症によって段取り良く行動するのが難しくなります。そのため、ゴミの日に該当のゴミを捨てられないなどの問題も起きてしまうんですね。 そういうことだったんだ…。母が急に家事をやらなくなって心配していたんですが、そういう理由があったのかも…。 性格が変わった 人によっては、認知症になって性格が変わる場合があります。具体的には怒りっぽくなったり、無気力でぼーっとしていることが多くなるんです。特に認知症になると、人との交流を避ける傾向があります。外出を嫌がったり地域の集まりに参加しなくなったり…。好きだったものに興味を示さなくなり、趣味のサークル活動などをやめるケースもあるんです。 確かに、母は少しぼーっとしていたような気がします。虚ろな表情というか…。 家電の操作がわからない 認知症によって脳の機能が低下すると、家電などの機械の操作がわからなくなることがあります。それまで使えていた電子レンジが使えなくなったり、テレビのリモコンの操作がわからなくなる、といったケースが多いです。 母はそうした様子はありませんでしたね。でも、認知症になると家電の使い方も忘れてしまうのかぁ…。 服装が季節に合っていない、不潔 認知症の症状のひとつに「見当識障害」というものがあります。これは、日時や季節がわからなくなる症状。そのため、真夏なのに厚手のセーターを着ていたり、寒い冬にコートを着ずに外出してしまうこともあります。 でも、季節がわからないといっても真夏にセーターを着ていたら暑いと思うんですが…。 認知症の方に限らず、ご高齢になると暑さ・寒さを感じにくくなると言われています。そのため、とりあえず手に取りやすい服を着てしまっているのかもしれません。また、洗濯をせずに手近な服を着続けるので、服が不潔であることも。認知症の人はお風呂を嫌がることも珍しくないので、髪や体も不潔な状態になっていることもあります。 「認知症かも」と思ったら認知症検査を 北野室長の話を聞いていたら、やっぱり母は認知症かもしれない、と思いました…。 お話を聞いているだけではなんとも言えないので、まずは認知症検査を受けることをおすすめします。 そうですよね。やっぱりきちんと検査をしないと。でも、母は素直に認知症検査を受けてくれるでしょうか?「認知症なんかじゃない!」と拒否される気がして…。 「認知症かもしれないから検査を受けよう」とストレートに言うと、やはり抵抗感があって素直に受けてくれないと思われます。おすすめとしては、「健康診断」と言って認知症検査に誘う方法。認知症検査は脳の検査だけでなく全身の検査もおこなうので、あながち嘘ではありません。そのときは、検査を受ける病院に認知症検査ではなく健康診断と伝えていることを共有しておきましょう。きっと上手くお母様に説明してくれますよ。 そうなんですね!健康診断と伝えるなら、素直に検査を受けてくれそう。 もしくは、お母様のお友達やご近所の人など、仲の良い人に勧めてもらうのも良いでしょう。お子さんから「認知症検査を受けよう」と言われると嫌がる方が多いのですが、お友達から勧められると意外とすんなり受け入れる方は多いんですよ。それか、かかりつけ医から勧めてもらうのも良い方法です。医師の言うことは素直に聞くご高齢者は多いですから、お母様に話をしてもらうようにかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。 親が認知症だったときの対応 検査の結果、母が認知症だったらどうしたら良いんでしょうか? まずは、介護の体制を整えましょう。介護サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要がありますから、始めに要介護認定を受けるための申請をすることが大切です。 要介護認定の申請はどこでできるんですか? お母様がお住まいの役所か地域包括支援センターで要介護認定の申請ができます。申請をした後の流れは以下の通りです。 要介護認定の手続きをしながら、お母様がご実家で暮らし続けられるようにするのか、老人ホームに入居するのか、介護の方針を決めておきましょう。 そう言われても、介護についてまったくわからないのでどちらを選べば良いのやら…。 でしたら、「自宅で暮らし続ける」「老人ホームに入る」の2パターンについてお話しますね。 在宅介護サービスで自宅で暮らし続ける お母様はまだなんとか一人暮らしをしているので、在宅介護サービスを利用すれば今よりも安心してご実家で暮らし続けられるかもしれません。主な在宅介護サービスは以下の通りです。このような在宅介護サービスを組み合わせながら生活をする方が多いですね。 訪問介護 デイサービス ショートステイ 小規模多機能型居宅介護 在宅介護サービスっていろいろあるんですね。 訪問介護はヘルパーさんが自宅まで来て家事や身体介護をしてくれるサービス。デイサービスは日中の間に介護施設に通って食事やレクリエーションなどのサービスを受けられるものです。ショートステイは1日から宿泊できるサービスで、宿泊中の食事や介護はすべてお任せできます。最後の小規模多機能型居宅介護というのは、訪問介護・デイサービス・ショートステイの3つのサービスを1つの介護施設で受けられるもの。「デイサービスの利用後、そのままショートステイを利用」といった柔軟な使い方ができるのが魅力です。 へー!それは便利ですね。母の様子を考えると、まともに食事もできていないかもしれないので、デイサービスやショートステイなどの食事の提供があるところも良いかもしれないですね。 老人ホームに入る 老人ホームに入るってまだ早い気がするんですが…。家の片付けができなくなったとはいえ、まだ1人で生活できているわけですし…。 もちろん、そういう考え方もあります。ですが、認知症だった場合、症状が進行して急に一人暮らしが難しくなる可能性もあります。それに、火の消し忘れで火事になったり、ご高齢者を狙う詐欺の被害にあったり…認知症の方が一人暮らしするのはどうしても心配が出てくるでしょう。そのため、早いうちから老人ホームに入って安全な暮らしを確保する、という考え方もあります。 なるほど…。ちなみに、認知症の母が入れる老人ホームってどんなものがあるんですか? 認知症の方が入れる老人ホームには以下のようなものがあります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 この老人ホームのなかでも認知症の方におすすめなのは、「介護付き有料老人ホーム」と「グループホーム」です。介護付き有料老人ホームは、手厚い介護体制のある施設。介護スタッフが24時間、看護師は少なくとも日中に常駐しているので、認知症の方はもちろん、インスリン注射が必要な糖尿病の方などの受け入れもしています。グループホームは、認知症の方専門の施設。「ユニット」と呼ばれる少人数単位で生活しており、ご入居者同士が協力しながら生活をしているのが特徴です。グループホームなら、介護スタッフのサポートを受けながら掃除や洗濯、料理などもできるので、お母様の自立性を確保しながら生活できると思いますよ。 そういう施設もあるんだ…。老人ホームというと、寝たきりのような状態の人ばかりなんだと思っていました。まだ、母が認知症と決まったわけではないですが、もし認知症だったとしても対応の方法があると知って安心できました。 予定を忘れたり家が散らかっているなどがあったら認知症の可能性アリ 「認知症かも」と思ったら、認知症検査を早めに受けよう 認知症だったら、まずは要介護認定を受けて介護体制を整えよう pre { margin: 40px 0; background: #333; ...
介護の基礎知識

住宅型有料老人ホームは住所地特例の対象外!住民票を移すメリットも紹介

住宅型有料老人ホームへ入居する際、住民票を異動するかどうか迷いますよね。住民票について調べているうちに「住所地特例」の文字を目にして、住宅型有料老人ホームで住所地特例が利用できるか疑問に思う人もいるかもしれません。 結論から言うと、住宅型有料老人ホームへの入居では住所地特例は利用できません。 住所地特例とは、転居の際に市区町村が変わっても転居前の介護保険料と変わらずにいられる制度です。住所地特例の対象は介護保険施設と「特定施設」のみなので、住宅型有料老人ホームは含まれません。 この記事では、住所地特例について解説します。また、住民票を施設の住所へ移した方が良いのか、住民票を移すメリット・デメリットも紹介しますので、あわせて参考にしてください。 この記事を読めばこれがわかる! 住所地特例の対象施設がわかる! 住所地特例の仕組みがわかる! 住民票を異動するメリット・デメリットがわかる! 住宅型有料老人ホームは住所地特例の対象ではない 住宅型有料老人ホームは、住所地特例の対象ではありません。 住所地特例の対象となる有料老人ホームは、自治体から特定施設の認定を受けた施設である介護付き有料老人ホームのみです。 特定施設とは 特定施設とは、正式には「特定施設入居者生活介護」と言います。 特定施設は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。特定施設ではケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。 住所地特例の対象となる施設は? 住所地特例の対象施設は下記です。 特定施設 介護付き有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 ケアハウス 養護老人ホーム 介護保険施設 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 介護医療院 参考:「住所地特例」(厚生労働省) 住所地特例は老人ホームのみ対象です。訪問介護などのサービスで介護保険を利用していても、転居先が自宅の場合は住所地特例を利用できません。 また、「地域密着型サービス」の老人ホームやグループホームは住所地特例の対象外です。 そもそも住所地特例とは 「住所地特例」とは、転居した後も、転居前の市区町村が継続して介護保険の保険者となる制度です。 そもそも「介護保険」は、全国の市区町村が運営しています。介護保険における「保険者」は市区町村で、介護保険料は市区町村ごとに異なります。 そのため、もともと住んでいた市区町村から引っ越して別の市区町村にある施設へ入居し、住民票を移した場合、転居先の市区町村によっては転居前よりも介護保険料が高くなってしまうことがあります。 住所地特例を利用すると、転居前の市区町村が保険者となるので、介護保険料は転居前と変わらずにいられます。住所地特例は転居先の介護保険料が高い場合に非常に助かる制度です。 住所地特例を使う際の注意点 住所地特例を使う際の注意点は主に以下です。 転居先の介護保険料を確認しておく 14日以内に受給資格証明書を提出する それぞれ詳しく見てみましょう。 転居先の介護保険料を確認しておく 入居した介護施設へ住民票を異動させる際には、転居先の市区町村の介護保険料を確認しましょう。 転居先の市区町村の介護保険料が転居前より安い場合は、住所地特例を利用する必要はありません。そのため、転居先の市区町村の介護保険料を事前に確認しましょう。 転居先の市区町村の介護保険料が転居前より高い場合は、無理に住民票を移す必要はありません。 また、入居する介護施設が特定施設であれば住所地特例を利用できるので、転居先の市区町村の介護保険料が転居前より高い場合でも介護保険料が変わらずにいられます。 14日以内に受給資格証明書を提出する 要介護認定を受けている人が市町村をまたいで住民票を異動した場合、住民票を異動した日から14日以内に受給資格証明書を役所に提出しなければなりません。 「受給資格証明書」とは、要支援・要介護認定を受けている高齢者が市区町村をまたいで転居した際に、転居先で再び要介護認定審査を受けることなく、転居前の介護度を引き継ぐための証明書です。 受給者資格証明書は、住民票を異動した日から14日以内に新たな市区町村の窓口に提出する必要があります。 14日間を過ぎてしまった場合は、新たに介護認定審査会を通して要介護認定を受けることになるので注意しましょう。 また、受給資格証明書は転居前の市区町村の役所の窓口で交付されるので、忘れずに手続きをしましょう。 住所地特例の申請方法 住所地特例の申請は以下の手続きが必要です。 「住所地特例適用届」を提出する 入居した施設に「施設入所連絡票」の作成と送付を依頼する 住所地特例を申請する際には「住所地特例適用届」が必要です。住所地特例適用届は、市区町村の窓口で受け取れます。 住所地特例適用届に必要事項を記入したら、市区町村へ提出します。住所地特例適用届の提出先は転居する前の市区町村なので注意しましょう。 また、入居した施設に「施設入所連絡票」の作成と送付を依頼しましょう。 市区町村によっては、住所地特例の申請書類の提出日に期限が設けられていることがあるので、住民票を異動する前に市区町村の窓口などで確認しておくのがおすすめです。 退去時の申請も忘れずに 入居していた施設から退去する際には、住所地特例の利用を終了する手続きも忘れずにおこないましょう。 必要な手続きは以下です。 「住所地特例終了届」を提出する 入居していた施設に「施設退所連絡票」の作成と送付を依頼する 住所地特例の利用を終了する際には「住所地特例終了届」が必要です。住所地特例終了届は市区町村の窓口でもらえます。 住所地特例終了届に必要事項を記入したら市区町村へ提出します。住所地特例終了届の提出先は介護保険料を払っている市区町村です。住民票がある市区町村ではないので注意しましょう。 また、入居していた施設に「施設退所連絡票」の作成と送付を依頼しましょう。 施設を退去した後、「地域密着型サービス」の老人ホームやグループホーム、または自宅へ住民票を移した場合は住所地特例は利用できません。入居していた施設から、ほかの住所地特例の対象施設への転居であれば、再び住所地特例の申請をすれば利用できます。 住民票は老人ホームに移さなくても良い 老人ホームへ入居する場合、基本的には住民票を移す義務はありません。 「地域密着型サービス」の老人ホームやグループホームなど、住民票を移さなければ入居できない施設以外は、急いで住所変更をする必要はありません。 施設に入居する際は住民票を異動することが多いですが、住所変更には手間がかかることもあるでしょう。住民票を異動する際のメリットとデメリット、本人や家族の都合などを考え、慎重に決めましょう。 住宅型有料老人ホームに住民票を移すメリット 入居している住宅型有料老人ホームへ住民票を移すと、入居している本人宛の郵送物が施設に届くようになります。基本的に、役所などからの郵便物は住民票の住所に送られてきます。住民票を移しておけば重要な書類が直接、入居している施設に届くので、見逃しがなく安心です。 家族が近くに住んでいて間を置かずに届けに行けるのであれば良いですが、家族が遠くに住んでいたり、会いに行く時間が確保できない場合は、住民票を移して郵便物を入居先の施設で直接受け取れるようにした方が、お互いの負担が少なくなるでしょう。 住宅型有料老人ホームに住民票を移すデメリット 住民票を住宅型有料老人ホームの住所に変更すると、これまで自宅に届いていた入居者宛の郵送物が施設に届くようになります。 入居者ごとにポストが用意されている施設であればプライバシーが守られますが、郵便物が施設の受付などに届く場合、郵便物が入居者本人や家族より先に施設のスタッフの目につきます。 管理してもらって安心、という見方もありますが、「どこからの郵送物が届いているのか、施設のスタッフに知られたくない」と思う人もいるでしょう。 プライバシーが気になる郵便物は主に以下が考えられます。 友人からの手紙や年賀状 借金の督促状 運転免許証の更新案内 市区町村から届く公的書類 利用中のサービスや会社からの請求書やダイレクトメール 過去に利用した店や会社からのダイレクトメール 老人ホームでは個人情報の取り扱いは厳重に管理されているため、郵便物が悪用されることはありません。しかし、プライベートな郵便物を見られるのが気になる場合は、郵便物の取り扱い方、郵便物を目にする可能性のあるスタッフなどを確認しておきましょう。 よくある質問 住宅型有料老人ホームは住所地特例を利用して入居できますか? 住宅型有料老人ホームは、住所地特例の対象ではありません。住所地特例の対象となる有料老人ホームは、自治体から特定施設の認定を受けた施設のみです。 住宅型有料老人ホームに入るときは住民票を移さないといけませんか? 老人ホームへ入居する場合、基本的には住民票を移す義務はありません。住民票を異動する際のメリットとデメリット、本人や家族の都合などを考え、慎重に決めましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", ...
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住宅型有料老人ホームは介護保険が適用されない!安くする方法は?

介護施設への入居を検討するにあたって、候補のひとつに「住宅型有料老人ホーム」が挙がることもあるでしょう。住宅型有料老人ホームでは介護保険を利用できるのか気になりますね。 住宅型有料老人ホームの施設自体の費用には介護保険は適用されません。しかし、住宅型有料老人ホームの入居者が外部の介護事業者と契約をし、介護サービスを利用した際には介護保険を利用できます。 この記事では、住宅型有料老人ホームと介護保険の関係性について解説します。また、住宅型有料老人ホームの入居中にかかる費用のうち、介護保険が適用されるサービスの解説や、介護費用を抑えるための制度も解説するので、あわせて参考にしてください。 この記事を読めばこれがわかる! 住宅型有料老人ホームで介護保険に適用しているサービスがわかる! 介護保険の仕組みがわかる! 介護保険の以外の費用を減額する制度がわかる! 住宅型有料老人ホーム自体の費用には介護保険が適用されない 住宅型有料老人ホームでかかる、初期費用や月額利用料など、施設利用にかかる費用には介護保険は適用されません。 そもそも介護保険は、介護サービスに適用される制度です。 住宅型有料老人ホームでは、食事の提供や洗濯、掃除など生活面のサービスを提供していますが、施設から介護サービスの提供はありません。そのため、住宅型有料老人ホームの施設利用にかかる費用には介護保険は利用できないのです。 住宅型有料老人ホームの入居者が介護サービスを利用したい場合には、外部の介護事業者と契約を結ぶ必要があります。外部の介護事業者から受ける介護サービスには介護保険が適用されます。 住宅型有料老人ホームの費用の介護保険の適用範囲 住宅型有料老人ホームに入居している間にかかる費用は主に以下です。 住宅型有料老人ホームに入居している間にかかる費用の中の「介護保険が適用されるサービス」を詳しく解説しますので見てみましょう。 介護保険が適用されるサービス 住宅型有料老人ホームに入居している間にかかる費用の中で、「介護保険が適用されるサービス」は主に以下です。 訪問介護 訪問リハビリ 訪問看護 デイサービス(通所介護) デイケア(通所リハビリ) 居宅療養管理指導 住宅型有料老人ホームの入居者が外部の介護事業者と契約を結んで介護サービスを受けた場合、外部の介護事業者から提供される介護サービスには介護保険が適用されます。 住宅型有料老人ホームの費用の中の家賃や生活支援サービス費など、介護サービス以外の費用には介護保険は適用されません。 住宅型有料老人ホームで介護保険サービスを利用したいときは 介護保険サービスを利用するには、さまざまな手続きが必要です。例えば、要介護度がない人は、まずは要介護認定を受けなければいけません。 介護保険サービスを利用するまでの流れを解説しますので参考にしてください。 介護保険サービスの利用までの流れ 介護保険適用の介護サービスを受けるためには、要介護認定を申請し、要支援1~2、要介護1~5のいずれかの認定を受ける必要があります。 要介護認定の申請してから認定を受けるまでの流れは主に以下です。 要介護認定の申請をすると、まずは訪問調査がおこなわれます。訪問調査は市区町村の職員が介護認定調査員として、自宅や施設、病院へ訪問します。 訪問調査では、介護を受けたい本人が介護が必要な状態か、介護が必要な場合はどの程度の介護や支援が必要なのかなどを確認します。 その後、申請した書類や訪問調査をもとにコンピュータや「介護認定審査会」により審査がおこなわれます。 介護認定審査会により審査結果が出ると、介護を受けたい本人に要介護度が認定され通知されます。一般的に要介護認定の申請から約30日で結果が通知されますが、​​地域によっては申請から判定まで1ヵ月以上かかる場合もあります。 住宅型有料老人ホームでの介護保険の自己負担額は 住宅型有料老人ホームでの介護保険サービスの自己負担額は、居宅介護の利用限度額が適用されます。 居宅介護サービスの利用には、要介護度に応じた利用限度額が設定されています。要介護度が高くなるほど、限度額も上がります。 自己負担額の詳細はこちらの表でご確認ください。 介護保険サービスの料金は使った分だけ支払う 住宅型有料老人ホームの入居者が外部の介護事業者の介護サービスを利用した場合の費用は、利用した分だけを支払います。介護サービスを多く使わなければ費用を抑えられますが、介護サービスをたくさん利用する場合にはその分費用がかさんでいきます。 住宅型有料老人ホームの入居者は、基本的には、外部の介護事業者や介護サービスの内容を自由に選べます。入居者にとって介護サービスの種類や利用頻度はさまざまなので、必要なだけ利用できるのは便利ですが、要介護度が上がると毎月の介護サービス費の負担が大きくなる可能性があります。 介護サービスの利用が多く介護保険が対応できる上限を超えた分に関しては、すべて自己負担となります。 住宅型有料老人ホームで使える介護費用の軽減方法 住宅型有料老人ホームの入居者が利用できる、介護費用を軽減する制度があります。主には以下です。 高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算療養費制度 それぞれ詳しく見てみましょう。 高額介護サービス費 住宅型有料老人ホームの入居者が利用できる、介護費用を軽減する制度のひとつに「高額介護サービス費」があります。 高額介護サービス費とは、介護保険サービスの利用者の経済的負担が重くなり過ぎないように設けられた制度。月々の自己負担が限度額を超えた場合、超過分が払い戻されます。 自己負担の限度額は介護サービスを受ける人が属する世帯の所得と本人の所得によって決まります。自己負担額の限度額は以下です。 区分 負担の上限(月額) 生活保護を受給している方など 1万5000円(個人) 前年の「公的年金等収入額」と「その他の合計所得金額」の合計が年間80万円以下 2万4600円(世帯)1万5000円(個人) 世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方 2万4600円(世帯) 市区町村税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 4万4400円(世帯) 課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 9万3000円(世帯) 課税所得690万円(年収約1160万円)以上 14万100円(世帯) 出典:「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」(厚生労働省) 表中の世帯は、世帯合算ができるという意味です。例えば、夫婦2人とも介護認定を受けていた場合、合算した利用額が上記の自己負担限度額を上回れば、超えた分が払い戻されます。 例として、世帯の自己負担の上限が月2万4600円の世帯で、1ヵ月間の自己負担の合計4万円だった場合は1万5400円が払い戻される計算になります。 高額医療・高額介護合算療養費制度 住宅型有料老人ホームの入居者が利用できる、介護費用を軽減する制度のひとつに「高額医療・高額介護合算療養費制度」があります。 高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療サービスと介護保険サービスの両方を利用し、自己負担額の合計が負担上限額を超えたときに超過分が支給される制度です。 負担上限額は所得に応じて設定されており、合算期間は1年間です。同じ医療保険制度に加入している家族の分も合算できますが、高額介護サービス費として支給された金額は差し引いて計算します。 高額医療・高額介護合算療養費制度の負担上限額は、所得のほか70歳未満の人がいる世帯と70歳以上の人がいる世帯で区分されます。国民健康保険と後期高齢者医療など家族で加入する医療保険制度が異なると、合算できないため注意が必要です。 各区分の負担上限額は次の表でご確認ください。 75歳以上 70~74歳 70歳未満 介護保険+後期高齢者医療 介護保険+被用者保険または国民健康保険 年収約1160万円~ 212万円 年収約770~約1160万円 141万円 年収約370~約770万円 67万円 ~年収約370万円 56万円 60万円 市町村民税世帯非課税など 31万円 34万円 市町村民税世帯非課税 かつ年金収入80万円以下等 本人のみ 19万円 介護利用者が複数 31万円 介護保険が適用される老人ホーム一覧 老人ホームの中には、住宅型有料老人ホームのように施設自体の費用には介護保険が適用されない施設と、施設自体の費用に介護保険が適用される施設があります。 老人ホームの主な種類は以下です。 老人ホームの種別介護保険の適用介護付き有料老人ホーム〇住宅型有料老人ホーム✖健康型有料老人ホーム✖サービス付き高齢者向け住宅✖グループホーム〇特別養護老人ホーム〇介護老人保健施設〇介護医療院〇ケアハウス✖ サービス付き高齢者向け住宅とケアハウスは施設の費用は介護保険の適用外です。 サービス付き高齢者向け住宅とケアハウスは住宅型有料老人ホームと同じように、介護が必要になった場合には外部の介護事業者を利用する制度の施設で、外部の介護事業者から提供される介護サービスには介護保険が適用されます。 よくある質問 住宅型有料老人ホームは介護保険が適用されますか? 住宅型有料老人ホームでかかる初期費用や月額利用料などの施設自体の費用には介護保険は適用されません。 住宅型有料老人ホームの費用を軽減する方法はありますか? 住宅型有料老人ホームの入居者が利用できる介護費用を軽減する制度には「高額介護サービス費」「高額医療・高額介護合算療養費制度」があります。 介護保険が適用される老人ホームにはどんなものがありますか? 施設自体の費用に介護保険が適用される老人ホームは、「介護付き有料老人ホーム」「グループホーム」「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院」があります。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "住宅型有料老人ホームは介護保険が適用されますか?", "acceptedAnswer": ...

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

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