暖かい場所から寒い場所へと移動した際、急激な温度の変化から身体に影響を及ぼすことをヒートショックと言います。ヒートショックは高齢者を中心に、毎年多くの方が亡くなっています。一方で、しっかりと対策をしていればヒートショックを起こす可能性を格段に下げることができます。
この記事では、ヒートショックによって起きる症状や未然に防ぐための対策を解説しています。
「親が一人で入浴しているから心配…」「万が一のときはどうすれば良いの?」など不安な方は、是非、参考にしてみてください。
ヒートショックは「急激な気温の変化により血圧が上下し、心臓や血管などにダメージを受ける健康被害」を指します。冬場における入浴中の死亡事故は毎年多く、ヒートショックもその要因のひとつと言われています。
出典:「入浴中の死亡者数の推移」(東京都福祉保健局 東京都監察医務院)
出典:「東京 2019年 月ごとの値」(国土交通省 気象庁)
では、ヒートショックに至った場合どのような症状が起きるのでしょうか。
以下で解説していきます。
ヒートショックの症状は軽度であれば「立ちくらみ」や「めまい」などが中心で、症状が治まるまで安静にしていれば大事に至ることはありません。しかし、重度になると以下のような症状が出始めます。
上記のような症状が出始めた際、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性もあり、最悪なケースとして死に至る場合もあります。
ヒートショックが起きた際は、発症者の身体状況をよく観察し、必要なときは救急車を要請するなどの対応をおこないましょう。
ヒートショックは、冬場の「脱衣場」「浴室」「トイレ」などの場所で発生しやすいです。
特に冬場は、暖かい場所と寒い場所の温度差が10度以上の場合もあり、急激な温度変化によって急速に血圧が上下します。そのため身体がダメージを受け、ヒートショックに至ります。特に高齢者の場合、暖かい場所から寒い場所へ移動する際は、自宅と言えども細心の注意が必要と言えるでしょう。
ヒートショックを起こしやすい人には、以下の6つの特徴があります。
それぞれ詳細を見ていきましょう。
65歳以上の高齢者の場合は、ヒートショックを起こすリスクが高いです。主な原因としては、気温の変化に身体がついていけなかったり血圧を正常に保つための機能が低下したりとさまざまな要因が考えられます。
糖尿病・高血圧・肥満といった生活習慣病は動脈硬化を引き起こす可能性があり、ヒートショックを引き起こす要因のひとつです。血管が狭くなっていたり血圧の変動が激しいと心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。
「睡眠時無呼吸症候群」や「不整脈」といった特定の基礎疾患がある人もヒートショックを起こす可能性があります。生活習慣病と同様に血圧との関連が深い場合は、リスクが高いと言えるでしょう。
熱いお風呂が好きという人は、ヒートショックに細心の注意を払わなければいけません。
熱いお風呂に入ると、一気に血圧が上昇し数分後には急降下します。結果、急激な血圧の変動が起き血管に大きな負担をかけ、最悪の場合、意識障害や失神してしまうこともあります。
長時間の入浴は、血圧の低下を招き、心臓に大きな負担を与えます。30分以上の入浴はヒートショックを引き起こすリスクが高くなるため、10~15分程度の入浴を意識すると良いでしょう。
飲酒をした場合、アルコールによって血圧が下がり、そのまま入浴すると血管が拡張しさらに血圧が下がります。そのため、飲酒後の入浴は急激に血圧が下がっているため、危険な状態だと言えます。
ヒートショックを引き起こさないためには、急激に血圧を上下させないように以下のような予防対策が重要です。
詳しい内容を見ていきましょう。
冬場は脱衣所と浴室が寒いため、浴室乾燥機や小型の暖房機器などで事前に暖めておくと良いでしょう。暖房機器がない場合は、お湯を溜めた後に浴槽の蓋を開けておくと脱衣所、浴室ともに暖まります。
お風呂やシャワーの温度を38~40度程度に低く設定しましょう。温度を低くすることで心臓への負担を避け、ヒートショックを未然に防ぐことができます。
また、長時間の入浴はヒートショックを引き起こす可能性が高くなるため、10~15分ほどで出ることを意識しましょう。
いくら浴室を暖かくしていても、いきなり湯船に浸かるのは身体に大きな負担を与え、ヒートショックを招く可能性があります。そのため、湯船に浸かる前には必ず手足からかけ湯をおこない、お湯の温度に身体を慣らす必要があります。
湯船に浸かっているときは、身体が暖められ血圧が低下している状態です。その状態で急に立ち上がると、めまいを起こしたり失神してしまうこともあります。そのため、湯船から出る際は、ゆっくり立ち上がることを意識しましょう。
ヒートショックが引き起こされるのは、脱衣所や浴室だけではありません。トイレでも起こる可能性があるので以下のような事前の対策が必要です。
詳しい内容を見ていきましょう。
トイレも脱衣所や浴室と同様に、暖房機器がなく寒い空間であるケースが多いです。しかし近年では、暖房便座や足元に置くヒーターなどを始めとし、人感センサー付きのヒーターやヒーター一体型の天井照明などが数多く販売されています。このような暖房機器を活用して温度差をできるだけ少なくすることがヒートショック対策として重要です。
排便の際に、長い時間いきみすぎてしまうと血圧が上がり、心臓への負担が大きくなります。
また、排便後は血圧が急激に下がるため、急速な血圧の変動に耐えれずヒートショックが引き起こされる可能性があります。対策として、便秘にならないように普段の食生活を見直す手段が挙げられます。
ヒートショックが起きた場合、軽度であれば水分補給をおこなうなどして安静にすることが重要です。ただし、状態が悪化したり明らかに重度の症状が出ている場合は、速やかに救急車を呼びましょう。
浴槽内で気を失っていたり、ぐったりしていた場合は浴槽のお湯を抜き、可能であれば浴槽から引き上げて救急車が到着するまで安静にしていることが大切です。
また、救急車を呼んだ際に救急隊員よりその後の指示を受ける場合もあります。その際は、指示に従い、適切な処置をおこないましょう。
ヒートショックは室内の温度差が原因で起こり、特に冬場の暖かい部屋から寒い部屋へ移動した際などに発生します。主に発生場所として挙げられるのが「脱衣所」「浴室」「トイレ」です。
急激な血圧の上下に伴い、ヒートショックが発生すると脳出血、脳梗塞、心筋梗塞などにより意識を失う可能性があります。特に浴槽内でヒートショックが起きた場合は、溺れてしまう危険性もあるため、湯船に浸かる際はかけ湯をおこない、ゆっくりと浸かりましょう。
1月をピークに11~4月の冬場に突出して多いです。理由としては、暖かい部屋と寒い部屋の温度差が激しいことが挙げられます。
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