病気やケガの治療などで重要な役割を果たす「薬」。しかし、服薬の必要な人が必ずしも薬を飲んでくれるとは限りません。特に認知症の症状がある場合、「自分は病気ではない」「毒が盛られているかもしれない」などと感じ、服薬拒否に至っているケースがあります。
この記事では、高齢者の服薬拒否に対する対応や拒否が起こる原因を解説しています。
「必ず飲まなくてはいけない薬なのに本人が飲んでくれず困る」と戸惑っている方は、是非、参考にしてみてください。
絶対に飲まなければいけない薬なのに「今は飲みたくない!」「なんで薬なんか飲まなければいけないんだ!」と言われてしまうと、家族としては「本人のことを思って言っているのに…」と戸惑うケースも多いでしょう。
以下では、服薬拒否に対する対応をまとめました。
健康維持のために、薬を飲んでほしい気持ちはわかります。しかし、拒否されたからといって、強引に薬を飲ませるのは絶対にしてはいけません。拒否された場合は一呼吸おき、本人の気持ちに寄り添い、認めてあげることが重要です。
認知症による認知機能の低下で、自分が病気であることや薬を飲まなくてはいけない状況が理解できておらず、服薬を拒否している場合もあります。
そのようなときは、わかりやすく「元気でいるために必要なものだよ」「お医者さんが特別に出してくれた薬だよ」などと伝えることで飲んでくれることも。優しく丁寧に声かけすることを意識しましょう。
薬を飲むことで起きる副作用が原因で、服薬を拒否しているケースがあります。
体調に変化が見られる場合は、早急にかかりつけの医師に相談しましょう。薬の種類や量を変えることで、服薬拒否が改善されることがあります。
薬の味や形態が合わず、服薬拒否に至っている可能性があります。以下では、高齢者が服薬しやすい方法をまとめました。
薬の味や形態を変えることで、無理なく飲めるようになったケースも多いです。高齢者の場合、味覚障害を伴っていることもあるので、味の工夫も必要だと言えます。
さまざまな対応方法を試しても、服薬拒否が改善されない場合があります。
そのようなときは、介護者を替えるのも一案です。身内の言うことは聞かない方でも、他人の言うことはすんなりと受け入れ、薬を飲んでもらえる可能性も。そのため服薬拒否がどうしても改善されない場合は、訪問介護などの介護保険サービスを利用し、第三者に服薬介助をお願いすると良いでしょう。
特に本人が一番信頼している人の名前(主治医など)を出すと効果的かもしれません。身体的・精神的状況によって、突然、服薬拒否が始まることがあります。介護をする人からすれば、「なんで飲んでくれないの?」と困ってしまうこともあるでしょう。
以下では、服薬拒否が起こる原因をまとめました。
認知症による認知機能の低下が、服薬拒否を起こす原因のひとつとされています。
「自分には何故、薬が必要なのか?」「そもそも薬とは何なのか?」などと理解が追いつかなくなり、「よくわからないものは飲みたくない!」といった気持ちを引き起こします。
加齢による嚥下機能の低下で、薬に対して飲み込みづらさを感じ、服薬を拒否している場合があります。大きい錠剤が飲み込みづらいのはもちろんのこと、人によっては小さい錠剤や飲み込みやすいであろう顆粒タイプに飲み込みづらさを感じている場合もあります。
副作用が原因で服薬拒否に至っているケースも多く見受けられます。「この薬を飲むと体調が悪くなるから…」という訴えがあるときは、薬による副作用が出ていると疑いましょう。
認知症が進行すると被害妄想の症状が現れる可能性があり、それにより介護をする人に対して不信感を抱くことも。薬に対して「毒が盛られてるかもしれない!」と感じたり、介護する人のことを「信用できない!」と言ったりして拒否へと発展します。
薬は命に関わることではありますが、強引に飲ませようとすることで、本人との信頼関係に響くのは仕方ありません。拒否の程度によっては、「そもそも薬がどこまで必要なのか?」を主治医に相談してみるのも良いでしょう。家族とはいえ、何度も拒否されるとついイライラしてしまい、穏やかなままではいられないことも。「早く薬を飲んで!」「まだ飲んでないの?」などと強い口調になってしまうこともあるかもしれません。
そのようなときは、本人のペースや意思を尊重して、気持ちに寄り添い、優しく介護しましょう。焦らずゆっくりと介護していくことで、良い結果が生まれる場合もあります。
本人が服薬拒否をしている場合、無理に薬を飲ませようとはせず、少し時間を空けて声かけをおこなうと良いでしょう。介助に関して難色を示している場合は、本人の意思を尊重し見守ることが大切です。
服薬拒否が続くと薬による効果が発揮されず、病状が悪化する場合があります。服薬拒否は命に関わる可能性もあるので、自己判断で薬を減らすことはせず、拒否が現れた時点でかかりつけの医師や薬剤師に相談すると良いでしょう。
また、介護保険には薬剤師が訪問できるサービスもあるので、担当のケアマネジャーに相談すると良いでしょう。
大きい錠剤の場合、薬自体を粉砕しとろみを付けると飲み込みやすくなり、拒否がなくなることがあります。
また、飲み込みやすい「液体タイプ」「ゼリータイプ」に変更できるかをかかりつけの医師や薬剤師に相談してみると良いでしょう。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。