入浴は、皮膚を清潔に保ったりリラックスすることで心のケアをしたりと、日常生活において重要な役割を持っています。しかし、高齢者の方の中には認知症やさまざまなことが原因で、入浴に拒否を示す方もいます。
この記事では、高齢者の方の入浴拒否に対する対応や拒否が起こる原因を解説しています。
「お風呂が好きだった家族が急に入りたくない!と言い出して困っている」と困惑している方は、是非、参考にしてみてください。
お風呂に入ってほしいのに、「この前入った!」「なんで入らなければいけないの!」などと言われてしまうと、家族として困惑してしまうこともあるでしょう。以下では、入浴拒否に対する対応をまとめました。
拒否されたからといって、強引に浴室へ連れて行ったり無理やり服を脱がしたりしてはいけません。拒否された場合は一呼吸おき、本人の気持ちに寄り添い、認めてあげることが重要です。
認知症の症状が進行すると、当たり前にできていたことができなくなったり目の前のものがお風呂と認識できなくなり、不安を感じ拒否されることも…。この症状は認知機能障害と呼ばれ、入浴してもらうためにはちょっとした工夫が必要です。
認知症の方の場合、一連の入浴手順を一気に伝えるのではなく、その都度、何をするかを伝えることが大切です。例えば、「脱衣所へ行く」「服を脱ぐ」「浴室のドアを開ける」「シャワーの蛇口をひねる」「身体を洗う」などと流れを短く区切って、丁寧に伝えると良いでしょう。
「入浴をしたくない!」と言う認知症の方に対して、脱衣所に連れて行きいきなり服を脱がせたりすると、入浴に対してより強い拒否感を生みます。そのようなときは、服を着たままお湯を張った湯船を見せたり触らせたりすることで、入浴は気持ち良いものだと思い出す可能性があります。柚子や菖蒲などで季節感を演出するのも良いでしょう。
また声かけの際は湯船を見せながら、「お風呂が湧いたよ!一番風呂だよ!」などと話すと良いでしょう。
服を脱いで入浴すること自体を面倒くさいと思っており、入浴を拒否している可能性もあります。そのようなときは、温かいタオルで顔や手、足などを優しく拭いてあげることから始めましょう。
温かいタオルで身体を拭くことに慣れてきたら足を温める足浴を促すなど、決して焦らず、段階を踏んで移行させると良いでしょう。
介護をする人からすれば「あんなにお風呂が好きだったのに…」とショックを受けることもあるでしょう。原因を紐解くと、身体的・精神的な理由から入浴拒否が始まることも多いようです。
以下では、入浴拒否が起こる原因をまとめました。
認知症の症状による記憶障害が原因で、入浴を必要だと思っておらず、拒否をしている可能性があります。記憶障害により前回いつ入浴したのか覚えておらず、「まだ入浴をしなくても大丈夫だ」と考えてしまうことが多いようです。
また認知症ではなくても、加齢により判断力や思考力の低下によって自身の臭いや汚れの状態を把握できず、入浴したいという気持ちにならないこともあります。
入浴の一連の流れを面倒くさいと感じ、拒否をしている場合もあります。加齢により体力が低下している高齢者の方にとって、脱衣所へ移動したり服を脱いだりすることは、一つひとつが大変な作業なため、月1回でも清拭をするといったところから始めるのも一案です。
入浴介助が必要な人にとっては、身体を見られるのが恥ずかしいや服を脱ぐことで無防備になることが怖いなどの理由から、入浴を拒否している可能性があります。
また認知症の症状のひとつである物盗られ妄想により、「服を脱いだらそのまま盗まれてしまうのではないか」と感じ、拒否をしている場合もあります。
高齢者も大人であるため、当然に羞恥心があります。「自分たちならどうしてほしいか」をイメージすることも大切です。
下着を脱いだ際に失禁の汚れを見られた経験などがあると、羞恥心が刻み込まれ、入浴を拒否してしまう場合があります。
また、入浴中に何度も「大丈夫?」「ちゃんと身体を洗ってる?」などと声をかけられてリラックスできなかったことが引き金となって、入浴拒否に至っている可能性も考えられます。
本人の拒否が強く、どうしても自宅で入浴できない場合は、デイサービスでの入浴サービスや訪問入浴サービスを利用しましょう。介護スタッフは入浴拒否に対しての対応を心得ているため、スムーズに入浴することができるでしょう。
本人が入浴介助に慣れてきたら、介護スタッフにどのような声かけをすれば拒否なく入浴してくれるかを聞いてみるのも良いです。
家族とはいえ、何度も拒否されるとついイライラしてしまい、穏やかなままではいられないことも。家族であるがゆえに「なんでお風呂に入らないの!」などと強い口調になってしまうこともあるかもしれません。
そのようなときは、本人のペースや意思を尊重して、気持ちに寄り添い、優しく介護することも大切です。焦らずゆっくりと介護していくことで、良い結果が生まれる場合もあります。
高齢者の方が入浴を拒否している場合、まずは本人の意思を尊重し、気持ちに寄り添うことが大切です。強引に浴室へ連れて行ったり無理やり服を脱がすのは、より拒否が強くなるので絶対にNGです。
入浴拒否が続くと、臭いはもちろんのこと、汗や角質、皮脂などが皮膚に溜まっていき、ひどくなると皮膚炎にかかることがあります。どうしても入浴できないときは温かいタオルなどで身体を拭くなどの工夫をし、常に清潔を保っておきましょう。
また、「看護師さんに身体を見てもらいましょう」など訪問看護の利用も選択肢のひとつです。
認知症の方に入浴のことを思い出してもらうには、一連の流れを短く区切って伝えることが重要です。例えば身体を洗う場合も、一つひとつ丁寧に「頭を洗いましょう」「腕を洗いましょう」「足を洗いましょう」といった細かい声かけが必要です。
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