着替えは、身体の清潔を保つために欠かせない日常動作です。しかし、高齢者の方の中には着替えをするという日常動作を、身体的・精神的な理由で拒否する方もいます。
この記事では、高齢者の方の着替え拒否に対する対応や拒否が起こる原因を解説しています。
「着替えてほしいのに本人がまったく動いてくれなくて困る」と戸惑っている方は、是非、参考にしてみてください。
着替えをしてほしいのに「着替えたくない!」と言われてしまうと、家族としても「せっかく手伝ってあげようとしているのに!」という気持ちになり、戸惑ってしまうこともあるでしょう。
以下では、着替え拒否に対する対応方法をまとめました。
拒否されたからといって、強引に服を着させたり脱がしたりしてはいけません。拒否された場合は一呼吸おき、本人の気持ちに寄り添い、認めてあげることが重要です。
家族に着替えを手伝われている状況は、情けない気持ちや「着替えもできなくなってしまったのか」といったネガティブな感情を生み出し、着替え拒否へとつながっていく可能性があります。
そのようなときは、介護をする人が着替えのすべてを手伝うのではなく「袖はこの場所に通して」「このボタンは一番上だよ」などと声かけをし、本人にできるところまでやってもらうことが大切です。
また、「暑いから」「寒いから」など「あなたのことを心配している」というメッセージを伝えることも重要です。「ボタンが開け閉めしにくい」「袖が通らない」などの理由から着替えをすることが面倒になり、着替え拒否をしている場合もあります。以下は、高齢者の方でも簡単に着替えることのできる服をまとめました。
本人が負担に感じない服を選びましょう。
「ボタンを上手くはめられない」「足が上がらずズボンを履くときバランスを崩しそうで怖い」などの身体的要因で、着替えを拒否している可能性があります。
そのようなときは、簡単にボタンをはめられるようになるボタンエイドを使用したり、ズボンを履く際は転倒防止として手すりを設置したりすると良いでしょう。
特にパーキンソン病など手指の痺れを伴う場合、ボタンなど着脱しやすい工夫が必要です。身体的・精神的状況によって、突然、着替え拒否が始まることがあります。介護する人からすれば何が原因なのかわからず、戸惑うことも多いでしょう。
以下では、着替え拒否が起こる原因をまとめました。
加齢による身体機能の低下が、着替え拒否を起こす原因のひとつとされています。高齢になると、関節の動く範囲が狭くなったり足が思うように上がらなくなったりとさまざまな弊害が生じます。そのため、着替えそのものが面倒になり、着替え拒否へと発展している可能性が考えられます。
高齢者の方に認知症の症状がある場合、着替え拒否が起きる原因は以下です。
認知症の症状のひとつである物取られ妄想により、「着ていた服を盗まれてしまうのではないか」と感じ、ひどい場合は暴言・暴力で拒否を訴える場合もあります。
また、認知症ではなく着替えに対して「億劫になってしまった」という気分的な要因も考えられます。
自尊心が傷つく言葉を言われた影響で、着替えを拒否している可能性があります。
介護をする人からしてみれば「ちゃんと着替えられてる?」「大丈夫?」など心配で声をかけたつもりが、知らず知らずのうちに本人の自尊心を傷つけ、拒否に発展していたということもあります。
高齢者自身大人であるため、同じように自尊心があることを理解する必要があるでしょう。認知症ではなくても、加齢により集中力や判断力が低下し、着替え拒否に至っている場合があります。特に冬場は、着る服の種類や枚数が増え、着替えに時間がかかることも。時間がかかることで次第に脳が疲れ始め、着替えに集中できず、拒否するケースが多いです。
家族とはいえ、何度も拒否されるとついイライラしてしまい、穏やかなままではいられないことも。「早く着替えて!」「着る順番が違う!」などと強い口調になってしまうこともあるかもしれません。
そのようなときは、本人のペースや意思を尊重して、気持ちに寄り添い、優しく介護しましょう。焦らずゆっくりと介護していくことで、良い結果が生まれる場合もあります。
本人が着替え拒否をしている場合、無理に着替えさせようとはせず、少し時間を空けて声かけをおこなうと良いでしょう。介助に関して難色を示している場合は、本人の意思を尊重し見守ることが大切です。
着替え拒否が続くと、臭いが気になるようになるのはもちろんのこと、ひどい場合は皮膚炎にかかることもあります。どうしても着替えに応じてくれないときは、訪問介護やデイサービスを利用し、介護スタッフに介助をお願いするのも一案です。
また、タイミングや声をかける人を変えるなど、目先を変えてみるのも良いでしょう。
「袖はこの場所に通して」「このボタンは一番上だよ」など、一つひとつの動作を短く区切って本人に伝えましょう。特に認知症の症状がある場合は、どのような順番で服を着れば良いかわからなくなっているケースもあるため、順序立てて丁寧に伝える必要があります。
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