近年、少子高齢化が進み、一人暮らしをしている高齢者が増えています。特に高齢者の一人暮らしによる「孤独死」は社会問題として注目されており、ニュースなどで「孤独死」の文字を見て不安を感じる人もいるでしょう。
孤独死とは誰にも看取られることなく1人で亡くなること。高齢者の孤独死の原因は「家族や近所付き合いなどの人とのつながりが希薄」「経済的に困窮している」などさまざまです。
この記事では、孤独死の現状や、孤独死が起きる原因、防ぐための対策などを解説します。「一人暮らしをしている親や親族のことが将来心配…」と不安を抱えている人は、是非、参考にしてみてください。
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孤独死とは、誰にも看取られることなく1人で亡くなることを言います。孤立死は普段から周囲との交流がなく、社会や地域から孤立した状態であるというニュアンスが強いです。
昨今では高齢社会に伴い孤独死が年々増加傾向にあります。孤独死の推移と死因をそれぞれ詳しく見てみましょう。
解剖をおこなっている東京都監察医務院が公表しているデータによると、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の死亡者数は以下です。
出典:「令和2年版高齢社会白書」(内閣府)
2009年の2194人という結果に対して、2018年には約2倍の3882人と増加傾向にあります。
出典:「死因別統計データ」(国土交通省)
厚生労働省の人口動態統計を見ると病死が最も多く62.3%、次に多いのが自殺で11.3%という結果が出ています。半数以上は病死ですが、孤独死の死因として少なからず自殺者がいることを認識しておきましょう。
また、日本人の死因は「悪性新生物(がん)」が多いとされていますが、孤独死の原因は「心筋梗塞」など突発的な心疾患が多いといわれています。
孤独死と似た言葉で孤立死があります。どちらも明確な違いはありませんが、行政機関などで使われている資料では以下のように使い分けされています。
孤独死を招く原因は主に以下が考えられます。
それぞれ詳しく見てみましょう。
孤独死を招く原因のひとつに、「単身で生活していること」があげられます。若い頃から未婚でいる場合もありますが、結婚していても配偶者と離別・死別をしてしまい、将来的に1人になってしまうこともあります。
単身での生活は高齢になるにつれ思わぬ弊害が徐々に増えてきます。誰かと住んでいれば避けられる事態も、一人暮らしによって誰にも気づかれず、最悪な結末を招くケースもあります。
例えば、軽い風邪だと思って病院に行かず、寝ている間に症状が悪化してしまったり、転倒などで大怪我をした際に動けずに助けを呼べず、そのまま亡くなる場合もあります。
また、家事全般を任せていた配偶者が亡くなった際に、1人では食事や掃除が満足にできず食生活が乱れたり生活環境が悪化したりする恐れもあります。
孤独死を招く原因のひとつに、「人とのつながりが希薄であること」があげられます。近年では、SNSの普及や個人情報の意識が強くなった関係で、近所付き合いが減ってきています。
近所付き合いが減ることで、人と会話をすることが少なくなるだけでなく、万が一のときに頼れる人がいないということにもつながります。そのため、体調を崩したり怪我をしてしまったりすると誰にも気づいてもらえない状況に陥り、最悪の場合、孤独死に至ります。
また、家族と連絡をとっていない、頻繁に会う友人や仲間がいないなどの「人と接しない生活」は、家に籠もりきりの生活になりやすいです。家に籠もっていると、生きがいを無くし生活環境や健康状態が悪化してしまいます。そのままの状態を放置していると、自分の力では生活環境を改善できず、周囲にも助けを求められない「セルフ・ネグレクト状態」になる危険もあるので注意しましょう。
孤独死を招く原因のひとつに「経済的困窮」もあげられます。貧困に陥る原因は企業の倒産やリストラによって収入がなくなるなど人によってさまざまです。
経済的に困窮している人は以下の状態になる危険があるので注意が必要です。
出典:「孤独死現状レポート」(一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会)
孤独死の男女比は男性が83.1%、女性が16.9%となっており、男性の方が孤独死をする可能性が高いことがわかります。
孤独死をしている人に男性が多い理由として考えられる原因は主に以下です。
各自治体では高齢者を支援する取り組みをおこなっています。昨今では高齢社会に伴い、各自治体で高齢者支援サービスに力を入れているところが増えてきました。
高齢者を見守るサービスは自治体によってさまざまです。例えば東京都では高齢者への見守りとして、地域の人たちに以下の「異変への気づき」を呼びかけています。
また、「会話が噛み合わない」「髪や服装が乱れている」「同じものを大量に購入している」など、高齢者本人に認知症が疑われる言動を見かけた場合にも、地域包括支援センターや高齢者見守り相談窓口へ相談することを推奨しています。
自治体によっては「緊急通報装置の貸し出し」「電話訪問」など安否確認につながるサービスが多数あるので、孤独死を防ぐための対策として大いに活躍することでしょう。
参考:「高齢者等の見守りガイドブック」(東京都福祉保健局)
孤独死の原因は状況によりさまざまです。孤独死に至らないようにするための対策は主に以下があります。
それぞれ詳しく見てみましょう。
孤独死を防ぐためにボランティアなどの地域のコミュニケーションへ参加し、地域社会とのつながりを持ちましょう。
各自治体には、地域のボランティア活動や趣味のサークルといったさまざまなコミュニティがあります。コミュニティに属して定期的に活動することで、同じコミュニティの仲間から体調や安否を気にかけてもらいやすくなり、孤独死の防止に繋がります。
また、社会的なつながりと持っていると認知症の予防にも効果的です。特にボランティア活動は地域社会への貢献による達成感ややりがいを得られるのでおすすめです。
まずは自分に合うコミュニティや活動を探してみましょう。興味があるものがなければ、町内会の集まりや地元のお祭りなどに参加することから始めるのも良いですね。
孤独死を防ぐための対策として、家族が高齢者本人と頻繁に連絡を取りましょう。
高齢者本人と家族が連絡を取ることが習慣化すれば、1日連絡が来なかった際に「もしかして何かあったのかも…」と判断することができます。高齢者本人と家族の連絡が習慣化するまでは毎週何曜日に連絡を取るなど、日程を決めると忘れにくくなるのでおすすめです。
連絡手段は電話に限らず、メール、SNSなど、さまざまな連絡手段があります。最近では、スマートフォンを使いこなしている高齢者も多いので、LINEなどでメッセージを送り合うのも良いでしょう。
孤独死を防ぐための対策として、民間の事業者による見守りサービスを利用するのもおすすめです。
最近では、民間の事業者による見守りサービスが増加しています。見守りサービスは万が一のときに備えておくと安心です。
民間の事業者による見守りサービスとは、例えば以下です。
孤独死を防ぐ方法として最も適しているのは、老人ホームなどの介護施設に入居することです。老人ホームでは、スタッフによる安否確認や健康管理が毎日おこなわれるのはもちろんのこと、季節のイベントやレクリエーションなど豊富にサービスが提供されます。
日々スタッフの見守りや、ほかの入居者との関わりがあるので、孤独死という最悪な結果を生むことはなく家族としても安心できるでしょう。
老人ホームを探す場合には、介護施設の紹介サイトを利用するのも良い方法です。紹介サイトでは、さまざまな施設の情報が提供されているので、入居希望者の状態に合った施設を探せます。
また、紹介サイトの相談員に相談すると、いくつかの希望に合った施設を紹介してくれることもあります。自分一人で施設を探すよりも、入居希望者に合った施設を効率的に見つけられます。
とくに「いい介護」には、「お客様の相談を受けて10年以上」というベテラン相談員が多数在籍しています。老人ホームをお探しの際にはぜひご相談ください。
家族や親族とのコミュニケーションがなく、近所付き合いも希薄な人が孤独死するケースが多いです。高齢社会に伴い、一人暮らしをしている高齢者が増加傾向にあるので、孤独死問題は軽視できません。
女性に比べて男性の方が、日常的な地域の付き合いや、近所とのコミュニケーションを苦手とする人が多いと言われています。特に定年退職をした後は、社会との接点がなくなり孤立するケースも珍しくありません。
少子化や核家族化などの理由から高齢者の一人暮らしが増加しています。2040年には65歳以上の高齢者4~5人に1人が一人暮らしをしているという予想がされており、年々増加傾向にあります。
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