「せっかく老人ホームへ入居したなら、トラブルもなく長く過ごしたい」と考えている人は多いでしょう。しかし、長く過ごしているうちに入居者本人の身体状況などが変わったり、トラブルを起こしてしまった場合に、入居先の老人ホームから追い出されることもあるかもしれません。
老人ホームから追い出されるのには理由があります。老人ホーム側が入居者の状態に対応できなくなってしまったり、ほかの入居者やスタッフへ迷惑行為があったり、理由はさまざまです。
この記事では、老人ホームから追い出されてしまう理由を解説します。また、老人ホームから退去を求められた場合にはどうしたらいいのか、新しい入居先の探し方も解説しますので、あわせて参考にしてください。
Contents
老人ホームから追い出されてしまうのには理由があります。主に以下が挙げられます。
それぞれ詳しく見てみましょう。
老人ホームから追い出されてしまう理由に、「ほかの入居者やスタッフへの迷惑行為があった場合」が挙げられます。
ほかの入居者やスタッフへの迷惑行為とは、例えば以下のようなものです。
認知症の症状により、迷惑行為をしてしまう可能性もありますが、「ほかの入居者やスタッフと上手くコミュニケーションが取れない」「生活環境が変わりストレスが溜まっている」など、本人の性格や生活環境が原因で発生している可能性もあります。
あまりにも迷惑行為が酷い場合には、老人ホーム側が対応しきれず、退去を求められることがあります。
老人ホームを追い出されてしまう理由として、「認知症の症状が強くなった場合」も挙げられます。
認知症は、うつ状態や妄想がひどくなったり、怒りっぽくなる、徘徊するなど、精神や行動にも症状が出ます。具体的には以下のようなものがあります。
老人ホーム側が入居者の迷惑行為に対応しても改善しない場合は、退去を求められる可能性があります。
老人ホームから追い出されてしまう理由に、老人ホーム側が対応できない医療行為が必要になった場合もあります。
老人ホームは、施設によって対応できる医療行為が違います。
例えば、インスリン注射やたん吸引などは医療行為のため、原則として看護師または医師がおこないます。看護師または医師がいない施設では入居者に必要な医療行為を提供できないので、退去を求められる可能性が高いです。
高齢者によくある主な病気と、その病気に必要な医療行為の例は以下です。
病名・病状名 | 医療行為 |
---|---|
糖尿病 | インスリン注射 |
脳梗塞、パーキンソン病、気管支喘息など | 喀痰(かくたん)吸引 |
呼吸不全(肺炎など) | 人工呼吸器 |
慢性呼吸不全、慢性心不全 | 在宅酸素 |
腎臓病 | 人工透析 |
嚥下・摂食障害、誤嚥性肺炎 | 経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養) |
腸閉塞、潰瘍性大腸炎など | ストーマ(人工肛門・人工膀胱) |
寝たきり | 床ずれ・褥瘡(じょくそう)への処置 |
要介護度が変わったときにも、老人ホームから追い出されてしまう可能性があります。
介護施設にはそれぞれ、入居者の要介護度が入居条件として決まっています。施設で決まっている入居条件に当てはまらなくなったとき、退去を求められる可能性があります。
例えば、自立している高齢者向けの施設に、入居中、老化や病気などによって要介護度が上がったときなど。自立している人向けの施設は介護に対応していないので、要介護度が上がり手厚い介護が必要になった場合には、施設側から「対応できない」と判断されてしまうのです。
また、入居条件が「要介護3以上」など、要介護度が高い人向けの施設では、入居後に介護状態や心身状態が回復し要介護度2以下になった場合、条件を満たしていないと判断されて退去しなければならないこともあります。
老人ホームから追い出されてしまう理由に「長期の入院」も挙げられます。
施設によっては短い入院期間なら対応してくれることもありますが、長期期間やそもそも退院の見通しが立たない場合は退去を求められる可能性があります。一般的には「3ヵ月以上施設に戻らない場合は退去」としている施設が多いです。
入居している老人ホームの月額利用料が払えなくなり、滞納した場合、老人ホームから追い出されてしまう可能性があります。
入居者が施設の費用を払えなくなった場合は、入居時に契約した連帯保証人へ請求がいきます。もし、連帯保証人も老人ホームの費用を支払えない、または支払いを拒否した場合には、退去を求められる可能性が高いです。
入居時の契約によって異なりますが、「数ヵ月支払いが滞っている」「支払いの見通しがたたない」などが、退去の対象となります。
もし、老人ホーム側から退去を求められても、慌てずに次の行動に移すことが大切です。
老人ホームから退去を求められた場合、以下のことを老人ホームへ確認しましょう。
それぞれ詳しく見てみましょう。
もし老人ホーム側から退去を求める連絡を受けたら、退去をしなければいけない理由を確認しましょう。
老人ホーム側から説明を受けて契約条項を改めて確認し、退去を求められる理由に正当性がある場合には素直に従うほかありませんが、もし、どうしても納得がいかない場合は無理に退去を受け入れる必要はありません。
老人ホームから退去を求められる理由にどうしても納得ができない場合には、公的な相談機関を利用しましょう。公的な相談機関とは、主には以下があります。
公的機関であれば、退去を求める理由が正当かどうか、中立的な立場から的確なアドバイスをしてくれるでしょう。
退去の手続きに進む際には、費用について主に以下を確認するのが大切です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
老人ホームの退去の手続きに進む際、戻ってくる費用があるのか確認しましょう。場合によっては、入居時に支払った初期費用の一部が戻ってくる可能性があります。
老人ホームへ入居した際に初期費用として入居一時金を支払っている場合、入居一時金は入居している間に施設へ償却していくことになりますが、入居者が退居や死亡した場合は入居一時金の未償却分が本人や家族などに返金されます。
しかし、退去日が償却期間を過ぎている場合には返金はありません。また、入居一時金が0円の施設は返金はありません。
場合によっては、退去の際に月額利用料以外の支払いがある可能性があるので確認が必要です。
老人ホームの退去時には、居室を原状復帰しなければならない場合があります。部屋の損傷が、自然劣化や損耗など経年劣化によるものは修繕費を支払う必要はありません。しかし、入居者の故意や過失による損傷については、入居者本人の負担で原状復帰をおこないます。
初期費用の中で賄う場合もありますが、修繕費が初期費用を超える場合には追加で費用を支払う必要があります。
老人ホームの退去の準備をする際には、何日までに退去しなければいけないのかも確認しましょう。
老人ホーム側から退去を求められた後、退去までの猶予の期間は約90日程度としている施設が多いです。退去までの期間のうちに次の入居先を探しましょう。
入居していた老人ホームから追い出されてしまい、新たに老人ホームを探す場合、以下の相談窓口を利用してみましょう。
それぞれ詳しく見てみましょう。
既に介護サービスを利用しており、担当のケアマネジャーがいる人は、ケアマネジャーに相談するのも良いでしょう。担当のケアマネジャーであれば、今の心身の状態を理解しているので本人に合った施設を紹介してもらえるかもしれません。
しかし、ケアマネジャーは施設探しの専門ではないので、すべてのケアマネジャーが介護施設の情報を持っているとは限らないので注意が必要です。
もし、担当のケアマネジャーが周辺地域の介護施設の情報を持っていなかった場合には、ほかの相談窓口を利用しましょう。
地域の相談窓口には、主に以下のものがあります。
市町村の役所には、地域包括支援センターをはじめ、高齢者向けの相談窓口が複数設置されているところも多くあります。
老人ホームから退去勧告を受けたことについて、地域の相談窓口に相談してみましょう。入居希望者の状態に対応可能な老人ホームを教えてくれるかもしれません。
老人ホームを探す場合には、介護施設の紹介サイトを利用するのも良い方法です。紹介サイトでは、さまざまな施設の情報が提供されているので、入居希望者の状態に合った施設を探せます。
また、紹介サイトの相談員に相談すると、いくつかの希望に合った施設を紹介してくれることもあります。自分一人で施設を探すよりも、入居希望者に合った施設を効率的に見つけられます。
とくに「いい介護」には、「お客様の相談を受けて10年以上」というベテラン相談員が多数在籍しています。老人ホームをお探しの際にはぜひご相談ください。
入居者の行動や状態によっては老人ホームから追い出されてしまうこともあります。老人ホームから追い出されてしまう理由には「ほかの入居者やスタッフへ迷惑行為があった」「入居者本人の認知症の症状が強くなり、施設が対応できなくなった」「医療行為が必要にり、施設が対応できなくなった」「要介護度が変わり、入居中の施設の入居条件に合わなくなった」「長期の入院で長く施設を空けることになった」「施設の利用料が払えなくなった」などがあります。
老人ホームから退去を求められた場合、「退去しなければいけない理由」「戻ってくる費用はあるのか」「月額利用料以外に支払う費用はあるのか」「何日までに退去しなければいけないのか」を老人ホームへ確認しましょう。
老人ホーム側から退去を求められた後、退去までの猶予の期間は約90日程度としている施設が多いです。
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