またしても、介護職員による利用者への暴行事件が発覚しました。2021年3月、名古屋市緑区の特別養護老人ホーム「緑生苑」で短期入所サービスを利用していた角谷三枝子さん(当時81歳)が救急搬送後に死亡。遺体に多数の内出血が見つかるなど不審な点があったことから、愛知県警は事件の可能性を視野に捜査を続けていました。
捜査の結果、県警は今年8月17日、同施設の元職員だった福島栄行(ひでゆき)容疑者(34)を傷害致死容疑で逮捕しました。
逮捕容疑は、2021年3月5〜6日、緑生苑で角谷さんの両足や背中、腰などを足で蹴るなどの暴行を加え、死亡させたというものです。捜査関係者らによると、角谷さんは両足のすねを骨折していたほか、こめかみや胸付近などに内出血を起こし、死因は外傷性ショックだったそう。福島容疑者は容疑を認めているとのことです。
施設側の説明によると、亡くなった角谷さんは同5日に短期入所。6日午前7時半ごろ、ホームの看護師が、角谷さんの顔色が悪いことや下半身の内出血などに気づき119番した後、救急搬送され、7日夕方搬送先の病院で死亡したとのことです。その後、不審に思った家族が110番していました。
福島容疑者は2008年4月から緑生苑で勤務しており、当日は角谷さんがいた個室のあるフロアを担当する夜間当直勤務。暴行があったとみられる時間帯は、管理を行う夜勤リーダーを含めた4人のスタッフが勤務しており、基本的には各フロアを担当者1人で管理している状態でした。
容疑者は約30人の利用者をほとんど1人で管理し、個別の呼び出しにも対応していたことになります。福島容疑者は「イライラしていた」という旨の供述をしていることもあり、容疑者への業務的な負担は大きかった可能性があります。
愛知県警は、利用者からの呼び出しなどにストレスを感じた容疑者が、衝動的に暴行に及んだ可能性があるのではないかとみて追及しています。
同様の事件は各地で起きていますが、本件は複数人でフロアを管理していれば防げたかもしれない事例と言えます。介護現場の勤務状況・環境を改善するための施策が早急に求められているのではないでしょうか。
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