【シェフ・三國清三~後編~】ぼくが37年目にして「オテル・ドゥ・ミクニ」を閉店した理由

【シェフ・三國清三~後編~】ぼくが37年目にして「オテル・ドゥ・ミクニ」を閉店した理由

更新日 2023/03/24

三國清三(みくに・きよみ)シェフの自伝『三流シェフ』(幻冬舎)が話題を呼んでいる。発売から3カ月で、そろそろ10万部を突破する勢いだという。

2022年12月にシェフが「オテル・ドゥ・ミクニ」を閉店したのと同時出版という絶妙なタイミングが働いてのことだと思うが、本の内容も実に素晴らしい。

北海道の増毛という漁師町に生まれたシェフが、極貧生活のなかからたったひとつの選択肢をたぐり寄せて料理人になる道を進む、感動的なサクセスストーリーである。

『三流シェフ』には、フレディ・ジラルデ、トロワグロ兄弟、アラン・シャペルといった一流シェフの店での武者修行がイキイキと語られているが、後編のインタビューでは、帰国したシェフが「オテル・ドゥ・ミクニ」を開店したいきさつ、そして2022年12月に同店を閉店した理由について、じっくり語っていただくことにしよう。

前編もぜひご覧ください!

三流シェフ

  • 著者:三國清三
  • 発行:幻冬舎
  • 定価:1500円(税別)

「ホテルの時代」から「オーナーシェフの時代」に

三國清三シェフの自伝「三流シェフ」の書影

―1982年12月、ヨーロッパ修行を終えて、三國さんが28歳で日本に帰国したときの日本は、どんな状況だったのでしょう?

ぼくがヨーロッパに渡る前、帝国ホテルで必死に鍋磨きをしていたころの日本のフランス料理界が「ホテルの時代」だったことはさっき言いましたよね(※前編に掲載)。ホテルに正社員として就職するというのが、一人前のフランス料理人になる唯一の道だったんです。
 
でも、ヨーロッパでの8年間の修行を終えて帰国したときの日本では、東京の街場のフランス料理店が脚光を浴びていました。

鎌田昭男さんの「オー・シュヴァル・ブラン」、石鍋裕さんの「ビストロ・ロテュース」、井上旭さんの「ドゥ・ロアンヌ」。この3人の先輩シェフたちがブイブイ言わせていました。
 
そう、時代は「ホテルの時代」から「オーナーシェフの時代」に移っていたんです。村上さんの「10年経ったら君たちの時代が来ます」という予言は当たったんですね。
 
だから、その村上さんに帰国のあいさつに行ったとき、ホテルの仕事を紹介されても、「ありがとうございます。でも、街場のレストランで腕試しをしたいんです」と言って、お断りしました。もちろん、村上さんは「そうか。頑張れよ」と激励してくれましたよ。

―最初は「ビストロ・サカナザ」というお店で、雇われシェフとしてスタートしたんですね?

ぼくがフランスで修行していたころから「3つ星店の厨房で日本人が働いている」という噂が日本で流れていたようです。それを聞きつけたオーナーが、わざわざフランスまでやって来て「東京のビストロでシェフをやらないか」とスカウトしてくれたんです。
 
当時のぼくは、村上さんの言いつけを守って、収入のすべてを自己投資に費やしていましたから、貯金はゼロ。渡りに船のお誘いだったわけです。
 
もうひとつ、村上さんの「10年修行しなさい」という言葉もぼくは忘れていなかった。海外での修行は8年で切りあげて帰国したから、それに2年を足して、30歳になった年に自分の店を持とうと思ってました。
 
そうして、その決意の通りに開店したのが、「オテル・ドゥ・ミクニ」。1985年3月のことです。

30歳で自分の店「オテル・ドゥ・ミクニ」を開店した三國清三シェフ

開店して半年は閑古鳥。借金地獄の日々だった

―「オテル・ドゥ・ミクニ」は迎賓館赤坂離宮にほど近い住宅街に立地しています。フランス料理店と言えばアクセスのいい繁華街に開店するイメージがありますが、なぜあえてその場所を選んだのでしょう?

ガヤガヤとうるさい繁華街ではなく、静かで落ちついた雰囲気の場所にあるのがヨーロッパのフランス料理店のスタンダードだったからです。
 
ぼくが最初に修行したフレディ・ジラルデの店は、スイスのローザンヌから車で20分のところにあるクリシエ村というところにありました。
 
そんな不便なところでも、予約が途切れることはありませんでした。お客さんは静かな場所で、時間を気にせず料理を楽しめる。トロワグロさんの店も、アラン・シャベルさんの店もそうでした。他に何もない田舎の村にポツンとある。
 
だけど、友人たちは「そんなところに店を出したらお客さんが来なくなるぞ」と口をそろえて言いました。
 
実際、開店して最初の半年間は、その通りになりました。開店当時、あいかわらず貯金はゼロだったから、内装も厨房設備も食器も、みんな借金して揃えたんだけど、返済するどころか毎月赤字続きで借金はどんどん膨らむばかり。もう、年をまたがずに年内で潰れてしまうだろうと頭を抱えました。
 
そうやって地獄のような半年が過ぎたとき、日本に「一億総グルメブーム」の風が吹いてきたんです。

「グルメ」というのは本来、「美食家」「食通」と呼ばれてきた、金に糸目をつけずに食を追求するごく一部の人たちを指す言葉なんだけど、日本のバブル景気がそれを一般名詞にしたんです。
 
それに加えて、日本テレビの『若き天才シェフ 三國清三』というドキュメント番組が高視聴率になって、ぼくの名が知られるようになると、「オテル・ドゥ・ミクニ」は数カ月先も予約でいっぱいになる店になっていた。

―当時、三國さんが出版した『皿の上に、僕がある。』(柴田書店)の表紙の写真を見ると、挑戦的で、尖っていた様子が感じられますね。

だって、鎌田、石鍋、井上のフレンチ三羽ガラスに対抗するには、ヒール役に徹するしかないじゃない。プロレスのザ・デストロイヤーとか、ボボ・ブラジルみたいな憎らしいヒール役。ダンディでクールな彼らのキャラクターを真似するのではなく、逆をいったわけです。案の定、見事にバズったよね(笑)。
 
料理のスタイルにしてもそうです。味噌も醤油も米も、平気で使ったし、天ぷらや茶碗蒸し、焼き鳥なんかの技も取り入れました。
 
評論家には評判が悪くて「あんなのフランス料理じゃない」「デタラメだ」なんて書かれたけど、「お前らにおれの料理がわかってたまるか」と突っぱねて、日々、お店にやって来るお客さんだけを意識して、自分のスタイルを貫いた。
 
そんな調子だったから、2007年にミシュランの東京版が創刊されたとき、ぼくの店には星が1個もつきませんでした。

自著『皿の上に、僕がある。』(柴田書店)を持つ三國清三シェフ
三國シェフの30歳のときの著書『皿の上に、僕がある。』(柴田書店)。世界中のシェフの愛読書となっている。

「自分のため」より「人のため」。そのほうが限りなく頑張れるんです

―1985年3月に席数30席でオープンした「オテル・ドゥ・ミクニ」は、やがて80席のグラン・メゾンになり、世界各地の高級ホテルに呼ばれて行なったミクニ・フェスティバルも大成功。三國さんの名は「世界のミクニ」として知られるようになります。そんな三國さんは2022年12月、「オテル・ドゥ・ミクニ」を閉店して周囲を驚かせました。その背景には、何があったのでしょう?

開店から37年間、「オテル・ドゥ・ミクニ」はいろんなことを経験してきました。いいことばかりじゃありません。バブル崩壊、リーマン・ショック、3.11……といった危機にも直面したけれど、その都度、危機を乗りこえて成長してきた。
 
ただ、コロナの緊急事態宣言からの2か月間は、初めて「店を閉める」ということを経験したんです。
 
空いた時間を使って、YouTubeチャンネルを始めたりしましたけど、それと同時にこれまでのこと、これからのことをじっくり考えるきっかけにもなりました。
 
そうしてみると、これまでの人生でやり残してきたことがあることに気づいたんです。それは、「小さな店で、自分ひとりでお客さんと向き合い、料理を作る」ということ。
 
席数はカウンターのみで8席。メニューは決めない。豊洲でその日に仕入れた食材を、お客さんと相談しながら料理する。
 
そんな店を作りたいという思いが数年前からあって、でも、「無理だよなぁ。来世に持ち越しかもなぁ」と打ち消してきたけど、コロナ禍でそのことを考えたとき、今ならやれるかもしれない、そう思えた。
 
「あと3年で40周年だから、それまでやったらどうですか」というアドバイスもたくさん受けたけど、3年後のぼくは70歳になっている。そこから始めるよりも、まだまだ元気な今のうちに準備をしておきたい。
 
そう決めてからは、長年の立ち仕事で痛めたヒザを手術してリハビリを始めたし、我流で身につけたフランス語を基礎から学び直そうと日仏学院に通うことにしました。

それから筋トレと、食事に気を遣うことで体重を70キロ台まで絞ろうとしています。マンスールといって、ダイエットとは違った方法でカロリーと栄養バランスを考え、質の高い素材と調理法で食事をするんです。

―70歳からの再スタートをきるには、「健康であること」は必須条件なんですね。

年をとれば、人は誰だって老いていきます。プロの料理人であっても、味覚の衰えには逆らえないし、体力も減退します。

だけどその一方で、「心の健康」は、自分の心がけ次第で維持していくことができます。

―「心の健康」は、どうすれば維持できるんでしょう?

いい料理店になるには、料理のクオリティを高めるだけではダメで、サービス面のホスピタリティを充実させる必要があります。クオリティとホスピタリティの両輪がなければ「いい店」はできません。
 
ホスピタリティとは何かというと、「お客さんに料理を楽しんでほしい」というモチベーションです。
 
これまで生きてきて、つくづく感じるのは「自分のため」に頑張る力には限界があるということ。どんなに頑張っても、「もうこれ以上はできない」という壁にぶち当たる。でも、自分以外の誰かのため、そう、例えば、お客さんのため、家族のため、先輩後輩や同僚のため、社会のためを考えると、人の努力は限界を超えるんです。
 
ぼくは、そんな努力が「心の健康」につながっているんじゃないかと思う。2024年の8月10日、ぼくは70歳になります。そのときを迎えるのが、今から楽しみ。久しぶりに充実した日々を過ごしていますよ。

―とても楽しいお話、ありがとうございました!

2024年の8月10日に70歳になる三國清三シェフ

撮影/八木虎造

地域から老人ホーム・介護施設を探す

北海道・東北

北海道札幌市)|青森県岩手県宮城県仙台市)|秋田県山形県福島県

関東

東京都神奈川県横浜市 / 川崎市 / 相模原市)|埼玉県さいたま市)|千葉県千葉市)|茨城県栃木県群馬県

甲信越・北陸

新潟県新潟市)|富山県石川県福井県長野県山梨県

東海

愛知県名古屋市)|岐阜県三重県静岡県静岡市 / 浜松市

関西

大阪府大阪市 / 堺市)|京都府京都市)|兵庫県神戸市)|滋賀県奈良県和歌山県

中国・四国

岡山県岡山市)|広島県広島市)|鳥取県島根県山口県徳島県香川県愛媛県高知県

九州・沖縄

福岡県福岡市 / 北九州市)|熊本県熊本市)|佐賀県長崎県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

article-image

グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト