介護保険の利用を検討しているため詳しく内容を知りたいと考えていたり、「将来のために介護保険について学んでおきたい」と考えている人もいるでしょう。
介護保険法は介護が必要な人を支えるための法律です。介護保険法は、介護保険制度という介護や介護予防に必要な費用の一部を給付する制度について定められています。
この記事では介護保険法や介護保険制度について詳しく解説します。また、介護保険制度の対象者や介護保険の対象の介護サービスについても紹介しますので、是非参考にしてください。
Contents
介護保険法は、介護や支援を必要とする人に対して、介護や介護予防に必要な費用の一部を給付する制度(介護保険制度)について定めた法律です。
介護保険は40歳以上のすべての人が被保険者となり、被保険者は要介護度や要支援度の認定を受け、定められた負担割合で介護や支援サービスを利用することができます。
介護費用の一部給付や介護認定のほか対象となる施設や事業者など、広範囲にわたって取り決められています。
介護にまつわる法律には、介護保険法のほかに老人福祉法があります。老人福祉法とは、高齢者福祉を担当する機関や施設、事業に関するルールについて定めた法律です。老人福祉法は高齢者福祉の施策やサービスの提供体制を整えることを目的としています。
老人福祉法では主に以下の事項が定められています。
老人福祉法では主に高齢者を対象とした施設などについての規定が置かれているのに対し、介護保険法は介護に焦点を当てた制度や施設についての規定が置かれています。
介護保険法の制定から20年以上が経過し、要介護・要支援の認定を受けた方は3倍以上に増加しました。また、介護を取り巻く環境は常に変化し続けているため、3年に1度改正することで時代の流れや新たなニーズに適応させています。
改正は次のように過去に7回おこなわれました。
出典:「介護保険制度の概要」(厚生労働省)
2024年以降におこなわれる介護保険制度の見直しについて、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は、2022年12月20日に以下の項目を公表しました。
出典:「介護保険制度の見直しに関する意見」(厚生労働省)
介護保険法の直近の改正は2021年に施行されました。その概要は以下の通りです。
それぞれ詳しく見てみましょう。
地域包括支援センターは、高齢者を介護・医療・保険・福祉などさまざまな側面から支える「総合相談窓口」です。
改正では地域住民の課題をさらに幅広く解決するため、高齢者だけでなく障害、子ども、貧困、参加支援の相談窓口としての役割も加えることになりました。また、このための財政支援などの規定や、関係する法律も整備されました。
認知症の方も地域社会の一員として参加できるよう、支援体制の強化や認知症予防の研究を進めることになりました。また、PDCAサイクルに沿って介護データベースを活用し、効果的かつ効率的な地域支援をおこないます。
さらに、人口構造の変化の調査や有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅設置状況の把握、市町村間の情報連携の強化によって、高齢者一人ひとりが適切な介護サービスを受けられるよう介護基盤を整備します。
地域に合った質の高いサービスを提供するためには、地域の医療や介護の状況を正しく把握するとともに、調査分析・研究が必要です。
このため、データ化した情報を活用できるよう、要介護認定情報や介護レセプト情報に加え、地域支援サービス利用者の基本情報やデイサービスや訪問介護の利用情報、健康状態や介護ケアについての情報も開示請求できるようになりました。
深刻な介護分野の人材不足を緩和するためには、人材確保や業務効率化のための体制強化が必要です。このため、介護福祉士養成施設卒業者の国家試験義務付けの経過措置が延長されました。
従来、介護福祉士養成施設を卒業した人は国家試験を受験せずに介護福祉士資格を取得できましたが、平成28年以降に卒業した人は国家試験の受験が必要になりました。
国家試験の必須化は令和5年までの経過措置が設けられていましたが、今回の改正により令和8年度まで延長されることになりました。
人口バランスが変動し福祉ニーズが多様化する中で、地域共生社会を実現するために「社会福祉連携推進法人制度」が新設されました。
社会福祉連携推進法人とは、社会福祉法人やNPO法人を社員とする非営利法人で、福祉サービス事業者間の連携・協働をおこないます。
介護保険制度とは、介護や支援が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みです。40歳以上の人は保険料を納める代わりに、要介護・要支援状態になったときに介護サービスを利用できます。費用の一部は介護保険が負担するため、利用者は原則1割(所得によっては2割または3割)の自己負担で介護サービスを利用できます。
なお介護保険の財源は、半分が加入者から徴収した保険料、残りの半分は国や都道府県、市町村の公費でまかなわれています。
介護保険制度の対象者は65歳以上の「第1号被保険者」と、40歳~64歳までの「第2号被保険者」に分類されます。
介護保険料の支払い義務は第1号被保険者と第2号被保険者の両方にあります。ただしサービスを受けられるのは、原則として第1号被保険者であり、要介護認定または要支援認定を受けた者のみです。
第2号被保険者は、加齢に伴う疾病が原因で要介護認定もしくは要支援認定を受けた際に介護サービスの対象となります。介護保険サービスを受けられる疾病(特定疾病)は決まっており、全部で16個あります。
40歳以上になると介護保険料を納めることになります。支払う介護保険料は第1号被保険者と第2号被保険者で異なります。
65歳以上の第1号被保険者の場合、自治体ごとに介護保険料が異なります。65歳以上が支払う保険料の全国平均は約6,000円です。
全員一律で同じ保険料にしてしまうと地域による所得の違いによって不平等が生じてしまうので、基準額と本人・世帯の所得状況を基準に割る倍率が変わります。
40~64歳の第2号被保険者の介護保険料は、加入している健康保険の種類によって異なります。健康保険とは、国民健康保険、健康保険組合、協会けんぽなどです。
介護保険のサービスを利用したい場合は要介護認定が必要です。要介護度には、要支援1・要支援2・要介護1~5の7段階があります。
要介護認定の申請は、住民票のある市区町村の役所や役場でおこないます。病気やケガで入院しているなどの事情で、本人が申請できない場合は、家族が代わりに申請することも可能です。
また家族や親族からの支援が難しいときには、地域包括支援センター・居宅介護支援事業者・介護保険施設に申請を代行してもらうこともできますので、相談してみましょう。
介護保険で受けられるサービスには、以下の3種類があります。
介護認定を受けることで、介護保険サービスを1~3割の自己負担で利用できます。3種類のサービスの詳しい内容は以下です。
サービスの種類 | 分類 | 介護保険適用サービス |
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居宅サービス | 訪問サービス | |
通所サービス |
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短期入所サービス |
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その他のサービス |
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施設サービス | ||
地域密着型サービス | 訪問・通所サービス |
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認知症対応型サービス |
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施設・特定施設サービス |
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介護保険サービスは原則1割の自己負担ですが、前年度の所得によって自己負担率が2~3割に変動することがあります。さらに、要介護度別に1ヵ月に給付される限度額が決まっており、その額を超えた分は全額自己負担です。
所得や要介護度によって金額が変わるため、あらかじめ費用を把握しておきましょう。
在宅介護の場合の給付限度額と負担額は、以下の通りです。
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
介護保険法は40歳以上で介護が必要な人の自立支援を支援するために作られた法律で、1997年12月に公布されました。財源の半分は40歳以上の人から徴収した保険料、残り半分は税金で、介護サービスやリハビリなどにかかる費用の給付を目的にしています。
介護保険制度は、介護や支援を必要とする人に介護費用の一部を負担する制度です。65歳を迎えるとサービスを受けられるようになりますが、利用には要介護認定が必要です。
介護サービス利用料の自己負担は原則1割です。ただし、前年度の所得が一定以上の場合は2または3割になる場合もあります。
介護保険制度は介護保険法が施行された2000年4月から開始しました。介護をとりまく環境は変化するため、3年ごとに介護保険法は改正することで新しいニーズに適応させています。
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