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認知症について

認知症の中核症状と代表的な症状

【医師監修】認知症の中核症状|代表的な6つの症状と治療方法

認知症になると、心身にさまざまな影響があらわれます。そのなかで認知症の中核症状とはどのようなものなのでしょうか。 代表的な症状と、認知症でも対応可能な施設についても紹介します。 中核症状とは 認知症の症状には中核症状と周辺症状(BPSD)の2つの種類があります。中核症状の代表的な症状は、新しいことが覚えられなくなる「記憶障害」、時間や場所がわからなくなる「見当識障害」、物事を順序だてておこなうことが難しくなる「実行機能障害」があります。 中核症状の原因は脳細胞の破損で、認知症になると上記のような症状はほぼ必ずあらわれます。したがって、中核症状が出た場合は、認知症のサインと思って早めに検査をして対処することが大切です。 一方で心理症状(BPSD)は中核症状の二次的症状とも言えるもので、中核症状による不安やストレスによって引き起こされる暴言・暴力、被害妄想などの症状のことです。心理症状(BPSD)はその人の性格や環境によって症状の出方が異なります。 6つの中核症状 記憶障害 認知症の中でも、最もわかりやすいのが記憶障害です。 記憶障害はもの忘れとよく混同されますが、記憶障害ともの忘れは根本的に異なります。もの忘れは「何かを忘れている」ことは理解できますが、記憶障害になると、忘れているという記憶すらなくなるのです。 例えば、普通のもの忘れであれば会う約束の時間をうっかり忘れてしまっても、指摘されると思い出すことができます。しかし、記憶障害になると約束したこと自体もすっぽりと記憶からなくなってしまうのです。 例)失われやすい短期記憶 数時間前に会った人の名前 何を買うために外出したか 何を話そうとして電話したか 例)保たれやすい長期記憶 子供の時の思い出 昔の楽しかった出来事 思い出の旅行 手続き記憶 認知症になると大脳が損傷されて記憶障害が起きますが、運動機能の調節を司る小脳に影響はありません。認知症でも身体機能を正常に動かすことができれば、昔からおこなってきた動作を忘れることはありません。 すぐにできなくても、きっかけや少しの練習があればすぐに思い出すことができます。このような記憶を「手続き記憶」と呼びます。自転車の乗り方や泳ぎ方など。身体で覚える記憶は、一度覚えていれば認知症でも忘れることはありません。 手続き記憶を呼び起こすことで、認知症の人の能力を引き出して自信をもたせることができます。 エピソード記憶 エピソード記憶は、個人が体験した今までの経験に基づくもので、時間と場所、そのときに一緒だった人や、そのときの感情の記憶です。 一般的な知識や常識などに関する意味記憶の反対にあるもので、極めて個人的な記憶なので、アルツハイマー型認知症になると比較的初期段階で忘れられやすくなります。 短期記憶は失い、長期記憶は残りやすい 認知症になると、新しい記憶ほど失われやすくなります。数ヵ月から数十年前の長い期間の記憶(長期記憶)はしっかり覚えているのに、数分~数日前の短い期間の記憶(短期記憶)は覚えていないということが起こります。さらに症状が進んでいくと、長期記憶も曖昧になっていきます。 見当識障害 見当識障害とは、今、自分がいる時刻や日付、場所、周囲の環境などを総合的に判断する能力が失われる障害です。アルツハイマー型認知症になると、記憶障害に続いて見られる症状です。 見当識障害には「時間の見当識障害」「場所の見当識障害」「対人関係の見当識障害」の3つの種類があります。まず最初に症状としてあらわれるのが時間の見当識障害と場所の見当識障害です。症状が進行すると対人関係の見当識障害も目立つようになります。 時間の見当識障害 昼か夜かわからなくなる 今日が何月何日かわからなくなる 自分の年齢がわからなくなる 時間の見当識障害が起きると時間の感覚が失われていきます。日付や曜日の間違いはもの忘れの範囲ですが、症状が進行すると季節や朝昼夜の区別も難しくなります。 場所の見当識障害 自宅への戻り方がわからなくなる 家の中でトイレやお風呂の場所がわからなくなる 場所の見当識障害が起きると、今まで普通に通っていた場所やその道順があやふやになります。目的地の建物が認識できなかったり、どこで曲がるのかわからなくなって道に迷います。迷ったことで焦りやパニックを起こして、さらに遠くに行ってしまう危険もあります。 対人関係の見当識障害 自分の孫を自分の子供だと思い込む 家族のことを他人と認識する 自分の名前や過去を忘れてしまう 認知症の症状が進行して短期記憶だけではなく過去の記憶も失われ始めると、対人関係の見当識障害もあらわれるようになります。家族や近い友人もわからなくなって、自分と他者との関係性もあいまいになります。 実行機能障害 実行機能障害は、物事を順序だてて考えたり、計画を立てる能力が衰える症状で、認知症になると初期段階からあらわれるようになります。 実行機能障害になると、料理や洗濯、掃除といった日常の家事をこなすことが難しくなります。それまで普通にできていたことができなくなることで、本人のストレスや不安も大きくなります。また、家族などの介護者の負担も増すことになります。 例えば料理については、「その日の献立を考える」「必要な食材を必要な分だけ買う」「買ってきた食材を使って料理を作る」というような何段階にもわたる工程を順序立てておこなうことが難しくなります。 また、突発的な状況に対する対処も実行機能障害になると困難になります。乗ろうとしていた電車が出発してしまったときに、次の電車に乗ろうというような選択ができずにパニックになることもあります。 実行機能障害の方のサポートは、本人の気持ちに寄り添って安心感を与えながらおこなうことが大切です。焦らさずに落ち着いて、一つひとつの手順を一緒に確認しながら対応しましょう。 失行 それまで当たり前にできていたことができなくなることを、失行といいます。 テレビをつける、お風呂を沸かすといった日常の動作も理解できなくなります。自分で身体を動かすことはできますが、誰かの指示通りに行動したり、お箸などの道具を使うことは難しいようです。 失語 失語とは、その名の通り言葉を失ってしまう障害です。言葉を司る脳の部位に損傷が起きることによって、文字を読んだり書いたり、言葉を話したり、理解することが困難になります。 同じ失語でも、脳のどの部位に損傷がでたかで、症状はさまざまです。また、原因が進行性の病気なのか、脳卒中などの一時的なものかによって、進行性にも違いがあります。 失認 失認は脳の部位の中で、頭頂葉、側頭葉、または後頭葉に損傷が起きたときに見られる症状です。頭頂葉に障害がある場合は、たとえばハサミを触っても何か理解できなくなる一方で、目で見るとハサミだと理解できます。 後頭葉はその逆で、ハサミを見ても、ハサミだと認識することができません。側頭葉は音が聞こえているのに、その音が何の音か判断することができない状況です。 認知症の中核症状に対する治療法 現在の医学では、認知症を完治させることは不可能です。認知症の治療は病気の進行を遅らせて、少しでも症状を和らげることを目的としています。 認知症の治療は薬を使っておこなう薬物療法と、薬を使わない非薬物療法があります。それぞれの内容を見ていきましょう。 薬物療法 中核症状に対しては認知機能改善薬、抗認知症薬などが使われます。 これらの薬は中核症状をできるだけ抑えて、緩和することが目的です。代表的なものはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬や、NMDA受容体拮抗剤です。 非薬物療法 非薬物療法は薬を使わずにおこなわれる認知症の治療法です。 その人が好きだった音楽を聞かせたり(音楽療法)、昔の思い出話を話したりすることで脳を活性化させたり(回想法)。脳にほど良い刺激を与え続けることで認知症の進行を遅らせることができます。 身体を動かすことも、脳に良い刺激を与えることがわかっています。適度な距離の散歩や体操、ストレッチも非薬物療法のひとつです。 在宅生活が困難なときは 認知症になっても住み慣れた環境で過ごさせてあげたいと家族が考える気持ちは理解できます。ただし、認知症の症状が進んでいくと、家族による在宅介護では対応ができなくなることもあります。その場合は専門の施設への入居も検討しましょう。 認知症の人を受け入れている代表的な施設について説明します。 小規模多機能居宅介護 小規模多機能型居宅介護とは「通所」「訪問「宿泊」の3つの機能を有した介護施設のことです。比較的新しく登場した地域密着型サービスのひとつで、どのようなケアも同じ事業所の同じスタッフが対応するので、新しい人が苦手な認知症の人に適しています。 実際に小規模多機能型居宅の利用者は8割程度が認知症の人と言われています。認知症の高齢者の受け皿として期待されていますが、小規模な事業所が多く、入居待ちの人が多いことが残念です。 グループホーム 認知症の高齢者のみを入居対象としているのがグループホームです。認知症の知識と経験をがあるスタッフが常駐しているのが特徴です。 入居者は少人数で「ユニット」という単位にわけられて、ユニットごとに配置されたスタッフが対応します。これも認知症の人が新しい人に不安を感じるために、なじみのスタッフでサポートできるよう工夫されたシステムです。 入居者にはそれぞれの役割や責任が与えられるので、それを満たすことによって入居者に達成感ややりがいを与えることができます。 グループホームは住民上のある市区町村の中でのみ選択可能です。また介護状況の進行に伴い、介護付き有料老人ホームへの転居を勧められるケースもあります。 介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、24時間介護スタッフが常駐して、食事や入浴など身の回りのサポートを受けられる施設です。 民間企業が経営しているものが多く、金額や施設、サービス内容についてもさまざまです。 終身利用を原則としており、認知症や要介護5の人まで幅広く受け入れ可能。看取りのサービスまであるので、他の施設のように途中で転居しなければならないということもありません。 また、住宅型やサービス付き高齢者向け住宅でも最近は認知症の対応が可能としている施設が増えています。気になった施設があれば、問い合わせをして事前に受け入れについて確認しておきましょう。 認知症の中核症状に関するよくある質問 認知症の中核症状とは何ですか? 認知症の症状を大きく分けると、脳の障害により直接引き起こされる「中核症状」と、中核症状に環境や人間関係、性格などが関係して発生する「周辺症状」があります。 中核症状は主に「記憶障害」「見当識障害」「実行機能障害」「失行」「失語」「失認」「理解・判断力の低下」などが挙げられ、認知症になると症状としてほぼ現れます。 認知症になると昔の思い出など忘れてしまいますか? 認知症になると記憶障害のため、数時間前に会った人の名前や何を買うために外出したか、何を話そうとして電話したかなどの短期記憶が失われがちです。 しかし、本人が子どものときの記憶や昔の楽しかった思い出などの長期記憶は保たれていることが多く、一概には思い出を忘れてしまうとは限りません。 認知症は誰でもなりますか? 認知症は、誰でもかかる可能性があります。認知症の高齢者は2020年時点で約600万人、2025年には700万人にもなると推定されています。認知症は発症率が高く、高齢者の約5人に1人が認知症になる可能性があると言われています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "認知症の中核症状とは何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/14

認知症の治療方法としての薬物療法・非薬物療法の説明

【医師監修】認知症の治療|薬物療法と非薬物療法を続けるポイント

認知症の治療法には薬物療法と非薬物療法の2つの種類があり、それぞれの治療法にメリットやデメリット、合う合わないがあります。 この記事では、薬物療法と非薬物療法の双方について、それぞれの特徴を比較しながら説明します。治療を長く続けるための心構えについても覚えておきましょう。 認知症の治療は「薬物療法」と「非薬物療法」の2種類 現在の医学では、認知症を完治することは不可能です。認知症の治療は病気の進行を遅らせて、少しでも症状を和らげることを目的としています。 認知症の治療は薬をつかっておこなう薬物療法と、薬を使わない非薬物療法があります。それぞれの内容を見ていきましょう。 薬物療法 認知症に使われる薬は中核症状に対するとBPSDに対応しているものと2種類あります。 中核症状とは、認知症によって起こ記憶障害、見当識障害、実行機能障害などの一次的な障害のことです。中核症状に対しては認知機能改善薬、抗認知症薬などが使われます。 これらの薬は中核症状をできるだけ抑えて、緩和することが目的です。代表的なものはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬や、NMDA受容体拮抗剤です。 一方でBPSD(行動・心理症状)は、認知症によって二次的に引き起こされる心理的な不安や興奮、うつ症状のことです。 BPSDの処方薬は睡眠導入剤や向精神薬、抗不安薬といった精神を安定させるものが中心です。ただし、これらの薬は副作用があったり、その人に適合しないと症状を悪化させてしまうケースもあるので注意が必要です。 非薬物療法 非薬物療法は薬を使わずにおこなわれる認知症の治療法です。 その人が好きだった音楽を聞かせたり(音楽療法)、昔の思い出話を話したりすることで脳を活性化させたり(回想法)。脳にほど良い刺激を与え続けることで認知症の進行を遅らせることができます。 身体を動かすことも、脳に良い刺激を与えることがわかっています。適度な距離の散歩や体操、ストレッチも非薬物療法のひとつです。 治療を続けるポイント 認知症の治療は継続しておこなうことが大切です。治療を続けるポイントについてまとめました。 薬物療法のポイント 副作用や異常がないか注意する 薬物療法を始めたら、副作用が起きていないか、本人に合っているかをしっかり観察しましょう。本人がどのような状態なのか確認して、日付や状態、起きたことをメモや記録を残しておくことをおすすめします。 メモや記録があれば、何かあった場合に医師に正しい情報を伝達することができます。家族と医師、薬剤師が同じ情報を共有して、信頼関係を構築することは薬物療法を続ける上で非常に重要です。 医療機関や薬の情報をまとめる 認知症の治療をしているだけではなく、ほかの病院にもかかっている場合は、薬の情報をまとめておきましょう。 それぞれの病院で情報を連携していないまま薬が処方されていると、飲み合わせによる副作用や悪影響が起きる可能性があります。薬局の窓口でお薬手帳を見せて、薬剤師の方がすべての薬を把握しておくことが重要です。 もし可能であれば、病院や薬局も一元化しておくと、情報の伝達もスムーズで管理しやすくなります。 非薬物療法のポイント 本人が好むものを取り入れる 非薬物療法はさまざまな方法がありますが、重要なポイントは本人が好むものを上手に療法に取り入れることです。 一般的に効果が高いといわれている非薬物療法でも、本人の気が進まないものであれば効果は半減してしまいます。本人が楽しみながら前向きに取り組める内容にすることが大切です。 頑張りすぎない 非薬物療法に取り組むときは、無理をせずマイペースで続けることが大切です。少しでも良くなってもらいたくて家族や周囲の人はどうしても熱くなりがちです。 しかし本人は、普段から認知症によって不安やストレスを感じています。新しいことに取り組むことにもエネルギーが必要なので、少しの療法でも大きな負担になっているケースもあります。 必要以上に頑張りすぎず、少しずつ取り組んでいきましょう。 可能なかぎり毎日取り組む 頑張りすぎないことは大切ですが、治療は毎日休まず取り組むことが大切です。一日休んでしまうことで、認知症は少しずつ進行してしまいます。 必要なのは、できるだけ毎日、一定の刺激を脳に与え続けることです。本人と家族だけではくじけてしまいそうなときは、外部の介護サービスを利用すると良いでしょう。 日常生活も大切 日常生活の中で、今までやってきた家事や趣味に取り組むことも、大事な非薬物療法のひとつです。 認知症になると、それまで普通にできていたことができなくなり、本人も大きなストレスを感じています。やろうとしてもできないことも多いでしょう。同居している家族の人もイライラしたり、声を荒げることがあるかもしれません。 家族や周囲の人が本人とどう接するかは、症状の進行にも影響します。家族の方は落ち着いた優しい態度を心がけて、認知症の方が安心を感じられるように心がけましょう。 在宅と施設のどちらで生活するか 少し前までは認知症の方も在宅介護が中心でした。しかし現在では、認知症の方でも入れる介護施設が増えたこともあり、約半数が在宅、残りの半数が施設入居という状況です。 施設は特別養護老人ホームや介護老人保健施設、医療施設が多くなっています。 在宅での認知症介護は、介護する家族の負担が非常に大きくなります。大事な家族をいつまでも自宅で過ごさせてあげたい、みんなで見守りたいと思っても、介護する側の疲労も増していきます。 認知症は完治することなく、少しずつ悪化していくものです。認知症の症状が進んで、在宅介護に限界がきているようであれば、施設入居についても検討することをおすすめします。 在宅介護のメリットとデメリット ここからは、自宅で在宅介護をおこなう場合のメリットとデメリットについて考えていきます。介護される方と介護する家族の関係がポイントです。 メリット 認知症の人は慣れない場所や慣れない人に大きなストレスを感じます。在宅介護の一番のメリットは、本人が住み慣れた環境で、最も信頼できる家族に介護してもらえることです。 家族以外にも、顔なじみの近隣住民の存在も大切です。どこかで道に迷ってしまっても、誰かが気づいて声をかけてくれることもあります。 また、在宅介護は費用面で施設に入居するよりも低コストで済みます。施設に入居した場合は入居費だけではなく、付随する料金の負担もあります。その点、在宅介護であれば、在宅介護サービスの利用料金だけで収めることができます。 デメリット 在宅介護のデメリットは、なにより家族の負担が大きいことです。認知症になると感情のコントロールができなくなって、介護者に対して暴力や暴言が出てしまうこともあります。 同居する家族には身体的、精神的ストレスが大きくなります。家族は認知症の専門家ではないので、時として不適切な対応をしてしまい、症状を悪化させることもあります。 また本人にとっても、ずっと家の中にいることは刺激が少なく、脳のために良くありません。 施設介護のメリットとデメリット 認知症の人を施設に預けた場合のメリットとデメリットについて説明します。在宅介護ではできない対応も施設に入居することでできるようになります。 メリット 施設介護の最も大きいメリットは、家族の負担がなくなり、専門知識を持つ職員に介護を任せられる点です。 認知症の介護スタッフは専門の研修を受け、専門知識を有している方が中心です。家族が介護するよりも適切に、専門的なケアを受けられるのです。 また、施設では他の入居者との交流やレクリエーション、イベントなどもあります。ずっと家で寝ているよりも、脳を刺激して活性化してくれます。 デメリット デメリットとしては、本人が入居を嫌がったり、家から離れることにショックを受けることがある、ということが挙げられるでしょう。このような場合は、家族も入居させて良いか葛藤が生まれます。 自宅を離れて施設に入ったことが逆にストレスになって、症状が悪化する可能性もあります。また、施設に入居することで金銭面の負担が大きくなることもデメリットと言えるでしょう。 認知症とは 認知症とは、脳細胞の死滅によって引き起こされる脳の不具合の症状のことです。認知症にはたくさんの種類がありますが、その中でも数が多い「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」は3大認知症と呼ばれています。 認知症の症状は、障害が出た部位にあらわれる症状や治療法も変わってきます。また認知症の原因が脳梗塞や脳内出血といった病気によるものなのか、頭の怪我などの外的要因によるものかによって進行度合いも異なります。 完治させる治療法はまだない 残念ながら今のところ認知症を完治させる治療方法は見つかっていません。ただし正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などの内科的疾患が原因の認知症だけは治療が可能です。 それ以外の認知症の治療は、症状の進行を緩和させて、患者の生活の質を高め、安定した日々を送ることを目的としています。 認知症の治療は早期発見、早期治療が大原則です。症状が軽いうちに治療をスタートすることで、症状の進行を抑制して介護負担も軽くすることができます。 認知症の治療に関するよくある質問 認知症の治療にはどんな方法がありますか? 認知症の治療には「薬物療法」と「非薬物療法」の2種類があります。治療といっても現在の医学では、認知症を完治することは不可能です。認知症の治療はあくまで進行を遅らせることを目的としています。 認知症に使われる薬はどんなものがありますか? 認知症に使われる薬は中核症状に対してのものと、周辺症状に対してのものと2種類あります。 中核症状に対しては認知機能改善薬、抗認知症薬などが使われ、周辺症状に対しては睡眠導入剤や向精神薬、抗不安薬といった精神を安定させるものが処方されます。 薬以外で治療する方法はありますか? 非薬物療法が薬を使わない方法として挙げられます。主に、その人が好きだった音楽を聞かせる音楽療法、昔の思い出話を話したりする回想法などさまざまで、脳に良い刺激を与えることで認知症の進行を遅らせます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "認知症の治療にはどんな方法がありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/14

【医師監修】認知症の検査方法とは|5つの種類と診断の流れ

「親が認知症かもしれない」「認知症の検査をしてみたいがどこに行けば良い?」「認知症の検査はどのような検査をするの?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。 認知症は早期発見、早期治療が大切です。この記事では、認知症の検査内容や診断後にどうすれば良いかなど詳しく紹介していきます。 認知症診断の流れ 認知症診断の流れは以下の通り。 面談(問診) 身体検査 認知症検査 認知症診断では、問診を含む面談、他の病気の可能性も確認するための身体検査、神経心理学検査と脳画像検査となります。 1.面談(問診) まずは本人と家族に対して医師の面談があり、過去の病歴や現在の状態についてヒアリングがおこなわれます。正確に伝えるために、あらかじめ内容をまとめたメモなどを準備しておくと良いでしょう。 2.身体検査 身体検査では、一般的な健康診断や人間ドックのような内容(レントゲン、血液検査、尿検査、血液検査など)をおこないます。 認知症だけではなく、他の病気の有無や身体の状態について確認します。 3.認知症検査 認知症の検査は以下の2つに分類されます。 神経心理学的検査 脳画像検査 「神経心理学的検査」は、医師や心理士からの設問に答えていく形式がほとんどです。検査手順は簡易的なものですが、質問に患者が正確に答えていくことで認知機能の状態がおおまかに測れます。 ただし、患者が検査中に疲れてきたり周りからのプレッシャーがあることにより、正しい検査の結果が出ないこともあります。答えが思い出せず上手に回答できなかった場合、患者が落ち込んでしまうことがあるので、同伴する方のフォローが必要になることも。 一方、「脳画像検査」は、脳の状態や働きを物理的にみる検査のことです。 代表的な神経心理学的検査と脳画像検査は下記の5種類です。 改定長谷川式認知症スケール(HDS-R) ミニメンタルステート検査(MMSE) 時計描写テスト(CDT) 脳の状態をみる検査(CT、MRI) 脳の働きをみる検査(SPECT) それでは詳しく説明していきましょう。 改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R) 神経心理学的検査で行われる認知機能テストのひとつに長谷川式スケールがあります。1974年に精神科医の長谷川氏が開発し全国的にも普及させました。1991年に改訂されたため、現在では「改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」と呼ばれています。 所要時間は10~15分ほどの口頭形式。名前や生年月日、年齢、場所、人間関係、簡単な計算などの設問に患者が答えていき、30点満点中20点以下だと認知症の可能性が高いとされます。 身近な質問もあるため検査もスムーズに進んでいきますが、その日の体調や状態によって正答率が下がることもあり、テスト結果だけで認知症と診断がつくわけではありません。 設問は口頭が多いため、難聴の方は医師の質問の聞き取りが難しく不正解となる場合もあるため注意が必要です。 ミニメンタルステート検査(MMSE) 神経心理学的検査でおこなわれる認知機能テストのひとつで、国際的に広く使われています。 およそ10~15分間かけて11個の設問に答えていき、記憶力や計算力、言語能力、図形描写力などをチェックします。30点満点のうち27点以下は軽度認知障害の疑いがあり、23点以下だと認知症の疑いがあるとされています。 前述の長谷川式より難しめの問題が入っており、10秒以上経っても答えられないと医師が次の質問に行くため、患者にはプレッシャーを感じる人もいるかもしれません。 そのため、同伴する方は問題に集中させる、設問に答えられなくてもプライドが傷つかないようフォローすることが必要です。 時計描写テスト(CDT) 丸時計の数字や針、中心点を描く検査で、丸時計を描いた内容から前頭葉・側頭葉・頭頂葉の状態を知ることができます。 この検査は、受ける側もリラックスして受けやすいテストのため、認知症の早期発見に繋がりやすいと言われており、高齢者の自動車運転免許更新時にも組み込まれています。 老人性うつ病やパーキンソン病患者は、丸時計の描写が可能なことからアルツハイマー型認知症との区別がつきやすくなり、長谷川式検査とあわせてテストすれば、認知機能障害の状態も把握しやすいと言われています。 脳の状態をみる検査(CT、MRI) 脳の血流などの状態や萎縮度合いをみる検査は下記の2種類です。 CT MRI 脳の状態を分析するための画像検査で、認知症になると脳の萎縮や病変が広がったりといった異変が現れることがあり、それらを発見・分析することができます。 脳の働きをみる検査(SPECT) SPECTは認知症の診断には欠かせない脳の働きをみる検査です。微量の放射線を出す検査薬を使い、集積する部位を発見し画像化します。 脳の働きや脳内の血流を診る検査や、脳内の神経経路(ドパミン神経)を画像化してドパミン神経の脱落や変性レベルをみる検査などがあります。これらによりアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などが診断できます。 また、検査薬に含まれる放射線に副作用はなく、検査を受ける方へ影響を及ぼさない程度と言われています。 検査にあたっての心づもり 認知症の検査と聞くと、ショックを受けたり、診断されたくないと検査を拒否する人もいるでしょう。しかし、認知症は早期発見、早期治療に越したことはありません。本人にしっかりと理解してもらい、協力を得ることが大切です。症状が進んでいて本人の理解が難しい場合、認知症検査とは言わずに、普通の健康診断と伝えて受診するのも良いかもしれません。また、認知症検査の結果については、本人だけではなく家族も一緒に確認するようにし、今後の対応について話し合えるようにしておきましょう。 認知症は予防と早期発見が大切 認知症の予防 認知症の平均発症年齢は51歳と言われています。認知症にならないように早い段階から意識しておくことをおすすめします。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることができます。 認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減させます。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。 また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。 あわせて適度な運動も大切です。適度な運動をすることで、筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また、運動は身体だけではなく、脳にも良い刺激をもたらします。 認知症の早期発見 認知症は早期発見、早期治療が重要です。認知症の初期症状である記憶障害は単なるもの忘れとして見逃されることも多いのですが、早く対処すれば進行を遅らせることもできます。 他の病気と同様に、放置しておくことは非常にリスクがあります。早い段階からさまざまな治療をすることで、たとえ認知症が発症しても、症状を抑えて生活することが可能です。 かかりつけ医がないときはどうする? 持病などがなく、かかりつけ医がいない場合には認知症を専門としている精神科や心療内科、脳神経科を受診することになります。 自治体では認知症サポート医やもの忘れ相談医などをリストにしているところも多いので、本人がお住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみると、情報を共有してもらえますよ。 軽度認知障害(MCI)は「認知症」ではない 軽度認知障害=MCI(Mild Cognitive Impairment)は、認知症になる一歩手前のグレーゾーンの段階のことです。そのまま見落としたままにしてしまうと、認知症へと進行する可能性があります。 ただし、適切な予防と対策をすれば、発症を遅らせたり、健常な状態へ戻ることもできます。 認知症と診断がでたら 認知症について知る 認知症には3大認知症と言われる「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」があり、発症の仕組みによって分類されています。 アルツハイマー型認知症 認知症で最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、アミロイドβやタウタンパクというたんぱく質が脳にたまることで神経細胞が減少し、脳全体が委縮することで起こります。 もの忘れや時間の見当識障害、料理がうまくできなくなるなどの実行機能障害実行機能障害が見られ、これらの症状からうつや無気力、幻覚や妄想、暴言や暴力などの二次的な行動・心理症状が生じることがあります。 適切な支援や環境が整えば、二次的な症状を防げる場合があります。 レビー小体型認知症 「レビー小体型認知症」は、レビー小体というたんぱく質のかたまりが脳にたまり、脳の神経細胞の数が徐々に減少することで起きる認知症です。 「レビー小体型認知症」では、認知機能の低下よりも先に、手足が震える、筋肉が硬くなるといったパーキンソン症状があらわれます。幻視やレム睡眠行動障害といった特有の症状が見られるのが特徴です。 「アルツハイマー型認知症」と「レビー小体型認知症」には根本的な治療法はなく、薬によって症状の進行を遅らせることはできます。 脳血管性認知症 「脳血管性認知症」は脳の血管に出血やつまりが生じ、脳細胞が死滅することによって引き起こされる認知症です。アルツハイマー型認知症に比べて男性の割合が高く、女性の2倍近い報告があります。 「脳血管性認知症」ではもの忘れなどに加え、できることとできないことの差が大きかったり、1日のうちでも症状の変動が大きかったり、感情をコントロールしにくいなど特有の症状が見られます。 症状に波があり、障がいを受けていない機能は保たれているので症状の発見が遅れる傾向があるので注意が必要です。 いずれの認知症でも、発症された方自身ができないことにいらだちを覚えたり、自尊心を傷つけるような方法を取ってしまうと、認知症以外の二次症状を起こしかねません。 本人の認知症の特性を理解し、適した対応を取ることで症状の安定へと繋がります。 介護サービスを検討する 認知症を発症しても、初期の段階ではご家族と一緒にこれまでと同じようにご自分の家で日常生活を送っても問題ありません。 しかし、症状の進行にともない、身体的な介護負担が増えていくと介護する方の精神的な負担も大きくなります。 認知症を発症したらまずは介護認定を受け、ケアマネジャーに依頼して必要な介護サービスの利用を検討しましょう。 介護サービスにはホームヘルパーが自宅を訪れ身体介護や生活支援をおこなってくれる「訪問介護」や、自宅に専用の浴槽を持ち込みスタッフが入浴介助をおこなってくれる「訪問入浴介護」、食事や入浴などの生活支援やレクを介護施設で日帰りでおこなう「デイサービス」、介護施設などに宿泊する「ショートステイ」などがあります。 介護の形は家庭によってそれぞれ違います。介護する方の負担を減らし、介護疲れを防ぐことも大切な介護支援と考えられていますので、積極的に利用しましょう。 頑張りすぎない 愛する家族が認知症を発症することは、とてもショックなことです。家族が変わっていく姿を見ることは辛いですし、ストレスを感じてしまいます。 介護をするときに重要なのは、必要以上に頑張りすぎたりせずに、自分自身の健康や時間も大切にすることです。 認知症の検査に関するよくある質問 認知症の検査はどのようなことがおこなわれますか? 認知症の検査は「脳画像検査」と「神経心理学検査」の2種類があり、またその中でも5種類にわけられます。 脳画像検査はCTやMRIで脳を撮影して、脳の状態を検査するものです。また神経心理検査は、絵を見て絵の内容を答えるものや、記憶の確認、単純な計算問題などの脳の働きをチェックする検査です。よく耳にする長谷川式簡易知能評価スケールは神経心理検査にあたります。 認知症の主な原因は何ですか? 認知症は、脳の病気や機能の低下が原因で起こる病気です。アルツハイマー型認知症は脳神経変性で起こり、ゆっくりと症状が進みます。 また、次に患者数が多いとされる脳血管認知症は、脳出血や脳梗塞などの脳の血管障害によって症状が起こります。 認知症の種類の中には、若い世代でも発症するレビー小体型認知症というものもあります。他の認知症と比較して症状の進行スピードが早いことが特徴として挙げられ、神経細胞にできたレビー小体が大脳皮質や脳幹に過剰に作られることが原因です。 認知症ともの忘れの違いは何ですか? もの忘れの場合は、自分が何かを忘れてしまったという自覚はあります。しかし、認知症の場合は自覚そのものがなく、自分がしたこと自体を忘れてしまいます。症状が進行すると物事の計画が立てられなくなったり、時間や場所などもわからなくなるといった症状が出ます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "認知症の検査はどのようなことがおこなわれますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/14

老人ホーム 良い施設長

【医師監修】認知症の診断方法とは|診断の流れと受診のタイミング

認知症かなと思ったら、早めに病院に行き診察を受けたいところ。認知症は、予防と早期発見がとても大事です。 では実際、認知症の診断はどのようにおこなうのでしょうか? まずは病院選びから始まり、どのように診断されるのか、また診断後はどのようなことに注意すれば良いのかを解説していきます。 認知症の診断方法 まずは本人や家族の問診がおこなわれ、どのような症状があるのか、日常生活や家族が困っていることなどが聞かれます。 その後の診察では血圧などの健康面と発語、聴力、歩行状態をチェックした後で、いくつかの検査がおこなわれ診断がおります。 認知症診断の流れ 認知症診断の流れは以下の通り。 面談(問診)身体検査認知症検査 認知症診断では、問診を含む面談、他の病気の可能性も確認するための身体検査、神経心理学検査と脳画像検査となります。 面談(問診) まずは本人と家族に対して医師の面談があり、過去の病歴や現在の状態についてヒアリングがおこなわれます。正確に伝えるために、あらかじめ内容をまとめたメモなどを準備しておくと良いでしょう。 身体検査 身体検査では、一般的な健康診断や人間ドックのような内容(レントゲン、血液検査、尿検査、血液検査など)をおこないます。 認知症だけではなく、他の病気の有無や身体の状態について確認します。 認知症検査 認知症検査は「脳画像検査」と「神経心理学検査」の2種類があります。 脳画像検査はCTやMRIで脳を撮影して、脳の状態を検査するものです。神経心理検査は脳の働きをチェックする検査。絵を見て絵の内容を答えるものや、記憶の確認、単純な計算問題などです。 神経心理検査には「長谷川式簡易知能評価スケール」や「ミニメンタルステート検査」「時計描画テスト」といったものがあります。 検査にあたっての心づもり 認知症の検査をするというと、ショックを受けたり、診断されたくないと検査を拒否する人もいるでしょう。しかし、認知症には早期発見、早期治療に越したことはありません。本人にしっかりと理解してもらい、協力をとりつけることが大切です。認知症状が進んでいて本人の理解が難しい場合は、認知症検査ということは言わずに、普通の健康診断として受診することも良いかもしれません。また、認知症検査の結果については、本人だけではなく家族も一緒に確認するようにして、今後の対応についても話し合えるようにしておきましょう。 かかりつけ医がないときはどうする? 持病などがなく、かかりつけ医がいない場合には認知症を専門としている精神科や心療内科、脳神経科を受診することになります。 自治体では認知症サポート医やもの忘れ相談医などをリストにしているところも多いので、本人がお住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみると、情報を共有してもらえますよ。 本人が診察を拒否するときの対処法 自覚症状がなかったり、強い不安感などから本人が診察に強い抵抗を示すこともあるでしょう。診察を拒否された場合、次のような方法を試してみてください。 アプローチを変える 本人のためにも早めに受診してもらうには「認知症の検査に行こう」と言うのではなく、別の方法で病院に連れ出すようにしましょう。 本人が信頼している人やかかりつけ医に診察の必要性を話してもらうのも、ひとつの方法です。また、地域包括支援センターに相談しアドバイスをもらう方法もあります。 本人の健康診断や「眠りが浅くなった」など、健康上の少し気になる症状を相談に行くと言って診察を受けてもらう方法もあります。 家族の病院の付き添いや、「自分の認知症の検査のついでに一緒に検査してみないか?」などと言って病院へ連れて行くのも良いでしょう。 その際は、あらかじめ医師や看護師に話をしておいたり、気になる症状をまとめたものを渡したりすると診察がスムーズに進みます。 自宅へ訪問してくれる専門家を頼ろう 普段病院に行き慣れていないなど、病院に強い抵抗感がある場合は地域の民生委員や地域包括支援センターと連携し自宅へ訪問し認知症の診療をおこなっている病院もあります。 2014年度には地域包括支援センターや認知症疾患医療センターなどを拠点とした「認知症初期集中支援チーム」が国の事業として設置されました。 医療や介護の専門職が、かかりつけ医や認知症疾患医療センターと連携しながらチームで認知症の方と家族への支援をおこなってもらえます。 認知症の診察を受けるのを嫌がっているなどでお困りの場合も、地域包括支援センターへ相談してみましょう。 認知症は予防と早期発見が大切 認知症の予防 認知症の平均発症年齢は51歳と言われています。そのため大切になるのが、認知症にならないように早い段階から意識しておくこと。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることもできます。 認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減します。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。 また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。 あわせて、適度な運動も大切です。適度な運動をすることで、筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また運動は、身体だけではなく脳にも良い刺激をもたらします。 認知症の早期発見 認知症には早期発見、早期治療が重要です。認知症の初期症状である記憶障害は単なるもの忘れとして見逃されることも多いのですが、早く対処すれば進行を遅らせることもできます。 他の病気と同様に、放置しておくことは非常にリスクがあります。早い段階からさまざまな治療をうけておくことで、たとえ認知症でも、症状を抑えて生活することも可能です。 認知症と間違えられやすい疾病 認知症に似た症状が出ていても、実は認知症ではなく似た症状があらわれる疾病もあります。以下が主な例です。 もの忘れ せん妄 正常圧水頭症 慢性硬膜下血腫 以下で詳しく説明しますが、認知症との違いを見極めるには専門的な知識が不可欠。認知症かな?と思っても自己判断せず、医師の診察を受け正確な診断を受ける必要があります。 もの忘れ 誰でも年を重ねるともの忘れが多くなるもの。「昨晩の夕食に何を食べたか」など、一部を忘れてしまっているだけで、もの忘れしていることは自覚しています。ヒントがあれば思い出せることも多いため、日常生活で困ることはそれほどないでしょう。 認知症によるもの忘れは「昨晩の夕食を食べたか」といった行動自体を忘れてしまい、もの忘れをしている自覚がありません。ヒントがあっても思い出せないため、日常生活に困難が生じるでしょう。 もの忘れの自覚がないため、もの忘れを認めなかったりごまかしたりすることもあり、家族とトラブルになることも多くあるでしょう。介護される方、介護する方にとっても厳しい環境となってしまいます。 せん妄 病気や薬などの影響や環境の変化によって生じる意識障害や混乱状態をせん妄と呼びます。突然、幻覚やつじつまの合わない言動などを発症し、認知症とよく似た症状であることから間違われることが多いです。 せん妄は一過性であることが多く、治療によって改善することができます。突発的に症状が出た場合は、認知症ではなくせん妄を疑いましょう。 ただ、認知症の方でもせん妄の症状が出ることがあり、すぐに認知症ではないと言い切ることはできません。認知症の場合は突然ではなく徐々に症状があらわれるので、日頃から注意が必要です。 正常圧水頭症 くも膜下出血や髄膜炎、頭部の外傷などが原因となり、髄液が脳にたまりすぎてしまうことで起こるのが正常圧水頭症です。髄液が脳を圧迫し、認知症のような症状が徐々にあらわれます。 集中力や意欲の低下が目立ち、歩くのが遅くなったり歩きにくくなったりといった歩行障害や、おしっこが間に合わなくなることが増えたなどの症状がよく見られるため、認知症と間違われることの多い病気です。 認知症と診断された方の高齢者の約5〜6%は正常圧水頭症ではないかとも言われています。正常圧水頭症は脳神経外科で手術をし、髄液が正常に流れるようになり脳への圧迫が治まれば症状も改善します。 慢性硬膜下血腫 脳内の血管が切れ、1~2ヵ月ほどかけて脳に徐々に血がたまることで起こるのが慢性硬膜下血腫です。 「お酒を飲み過ぎたときに転んだ」「物を拾おうとしてテーブルなどに頭をぶつけた」といった、ぶつけたことを忘れてしまう程度の頭部の外傷などでも起こりうるので、問診だけでは診断が難しく、CTやMRIの撮影をして診断します。 時間や場所が分からなくなるといった見当識障害、注意力の低下や聞いたことを理解する力が衰える、計算ができなくなるといった症状が数週間から数ヵ月かけてあらわれてきます。頭痛や吐き気、失禁や歩行障害などを伴うこともあります。 手術で血栓を取り除けば劇的に症状が改善することも多く、正しい診断と適切なタイミングでの治療が重要です。 認知症と診断されたら 認知症について知る 認知症には3大認知症といわれる「アルツハイマー型認知症」、「レビー小体型認知症」、「脳血管性認知症」があり、発症の仕組みによって分類されています。 アルツハイマー型認知症 認知症で最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、アミロイドβやタウタンパクというたんぱく質が脳にたまることで神経細胞が減少し、脳全体が委縮することで起こります。 もの忘れや時間の見当識障害、料理がうまくできなくなるなどの実行機能障害実行機能障害が見られ、これらの症状からうつや無気力、幻覚、や妄想、暴言や暴力などの二次的な行動・心理症状が生じることがあります。 適切な支援や環境が整えば、二次的な症状を防げる場合があります。 レビー小体型認知症 「レビー小体型認知症」は、レビー小体というたんぱく質のかたまりが脳にたまり脳の神経細胞の数が徐々に減少することで起きる認知症です。 「レビー小体型認知症」では、認知機能の低下よりも先に、手足が震える、筋肉が硬くなるといったパーキンソン症状があらわれます。幻視やレム睡眠行動障害といった特有の症状が見られるのが特徴です。 「アルツハイマー型認知症」と「レビー小体型認知症」には根本的な治療法はなく、薬によって症状の進行を遅らせることはできます。 脳血管性認知症 「脳血管性認知症」は脳の血管に出血やつまりが生じ、脳細胞が死滅することによって引き起こされる認知症です。アルツハイマー型認知症に比べて男性の割合が高く、女性の2倍近い報告があります。 「脳血管性認知症」ではもの忘れなどに加え、できることとできないことの差が大きかったり、1日のうちでも症状の変動が大きかったり、感情をコントロールしにくいなど特有の症状が見られます。 症状に波があり、障がいを受けていない機能は保たれているので症状の発見が遅れる傾向があるので注意が必要です。 いずれの認知症でも、発症された方自身ができないことにいらだちを覚えたり、自尊心を傷つけるような方法を取ってしまうと、認知症以外の二次症状を起こしかねません。 本人の認知症の特性を理解し、適した対応を取ることで症状の安定へと繋がります。 介護サービスを検討する 認知症を発症しても、初期の段階ではご家族と一緒にこれまでと同じようにご自分の家で日常生活を送っても問題ありません。 しかし、症状の進行にともない、身体的な介護負担が増えていくと介護する方の精神的な負担も大きくなります。 認知症を発症したらまずは介護認定を受け、ケアマネジャーに依頼して必要な介護サービスの利用を検討しましょう。 介護サービスにはホームヘルパーが自宅を訪れ身体介護や生活支援をおこなってくれる「訪問介護」や、自宅に専用の浴槽を持ち込みスタッフが入浴介助をおこなってくれる「訪問入浴介護」、食事や入浴などの生活支援やレクを介護施設で日帰りでおこなう「デイサービス」、介護施設などに宿泊する「ショートステイ」などがあります。 介護の形は家庭によってそれぞれ違います。介護する方の負担を減らし、介護疲れを防ぐことも大切な介護支援と考えられていますので、積極的に利用しましょう。 自分も大切にする 愛する家族が認知症を発症することは、とてもショックなことです。家族が変わっていく姿を見ることは辛いですし、ストレスを感じてしまいます。 介護をするときに重要なのは、必要以上に頑張りすぎたりせずに、自分自身の健康や時間も大切にすることです。 溜め込まない 認知症の家族を介護する中で、不満や悲しみは生まれてきます。その気持ちをずっと自分だけでしまっておくと、いつか爆発してしまいます。 負の感情は溜め込まないことが一番です。時々は友人に愚痴をいったり、家族につらいと本音をこぼしたり、カラオケで発散させたり。気持ちを切り替えながらやっていきましょう。 まわりにも頼る 介護をしているときは大変すぎて、自分一人に抱えてしまいがちです。しかし、介護を一人でするのは不可能です。周りの人や外部のサービスを上手に利用して、まわりに頼りながらやっていきましょう。 認知症の診断に関するよくある質問 認知症の診断はどのようにおこなわれますか? 本人や家族の問診がおこなわれ、どのような症状があるのか、日常生活や家族が困っていることなどが聞かれます。その後、一般的な健康診断をおこない、認知症検査も実施されます。いつかの検査を受けた後、医師より診断がおります。 本人が診察を拒否する場合はどうすれば良いですか? 本人のために早めに受診してもらうには、本人が信頼している人やかかりつけ医に診察の必要性を話してもらうのが方法としてあります。また家族がアプローチする際は、無理矢理ではなく本人の気持ちを尊重しつつゆっくりと話しを進めましょう。 認知症にならないためにどのようなことに気を付ければ良いですか? 認知症にならないために日頃から意識することとして「食生活の意識」「適度な運動」「良質な睡眠」「ストレスを溜めない」などが主に挙げられます。また少しでも身体に異常を感じたら早めに病院を受診しましょう。認知症は早期発見、早期治療が重要です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "認知症の診断はどのようにおこなわれますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/14

介護タクシーのサービス内容や費用、利用できる人の条件

【医師監修】認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)とは|利用条件とその費用

認知症の家族を在宅で介護している方の中には、「介護の負担を軽減できたら良いのにな…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 そんな方々のためにあるのが認知症対応型デイサービス(認知症対応型通所介護)で、認知症の方のみを対象としたデイサービスの種類です そのサービスの内容について、またサービスを受けるための利用条件や気になる料金について説明していきますので、ぜひ参考にして、利用を検討してみてくださいね。 認知症対応型デイサービスとは? 引きこもりがちになる認知症の方に対して、施設で食事や入浴などの日常生活支援や口腔機能向上サービスなど専門的なケアをおこないます。また、利用者や職員、ボランティアスタッフとの交流を促すために、レクリエーションの時間などもあります。 認知症対応型デイサービスは、送迎サービスがあるので家族の負担も少なく、介護する側もリフレッシュの時間をつくることができます。 認知症対応型デイサービスには「単独型」「併設型」「共用型」の3つの形態があります。それぞれの特徴についても見ていきましょう。 単独型 特別養護老人ホームや病院、その他介護老人保健施設などに併設されていない認知症通所介護施設単独で運営されているものを言います。 併設型 ほかの施設に併設して運営されている認知症通所介護施設のことを併設型と呼びます。ほかの施設とは特別養護老人ホームや介護老人保健施設以外にも、病院や診療所、社会福祉施設などがあります。 共用型 認知症対応型共同生活介護事業所、地域密着型特定施設、地域密着型介護老人福祉施設の共有スペースを利用しているものを共用型と言います。 利用条件 認知症対応型デイサービスを利用するためにはどのような条件があるのでしょうか。必要条件について見ていきましょう。 住所地 基本的に、住んでいる地域に住所がある事業所が対象になります。 ただし、認知症対応型デイサービスの場合は例外もあり、市区町村によっては他の地域の利用を認めていることがあります。地域の事情によるので、それぞれの市区町村の窓口に確認しましょう。 要介護1以上 認知症対応型デイサービスを利用するには、要介護1以上の認定を受けていることが条件です。したがって要支援の方は利用することができません。 要支援の人を対象とするサービスは「介護予防認知症対応型通所介護サービス」があります。これは、認知症のケアと同時に、要支援から要介護状態に悪化することを予防する目的もあります。 認知症の診断 認知症対応型デイサービスは認知症の方を対象としたサービスなので、医師による認知症の診断も必要です。診断がない状態では利用することができないので注意しましょう。 利用料金 認知症対応型デイサービスの料金は施設が「単独型」「併設型」「共用型」のいずれかによって設定が異なります。また、利用者の要介護度、利用する時間によっても金額が変わります。 介護サービスは介護保険の対象であれば、自己負担額は1割が基本です(収入によって2~3割)。その場合、詳しくは下記のような料金設定になります。ただし、おむつや食費は別途実費負担です。 介護保険負担割合1割として1日あたりの金額 単独型 ...

2021/12/13

脳血管性認知症の症状や特徴、家族の対処法を解説

【医師監修】脳血管性認知症とは|原因や症状の特徴

認知症の中でアルツハイマー型認知症に次いで多いのが脳血管性認知症。脳血管障害は生活習慣を改善することで予防できるとも言われています。 この記事では、脳血管性認知症の原因や症状について解説します。 他の種類の認知症と同様に、脳血管性認知症でも予防と早期発見が大事です。症状の出方や原因も詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 脳血管性認知症とは? 脳血管性認知症とは、何らかの要因により血液の循環が妨げられ、栄養が届かなくなった脳細胞が死滅。死滅した脳細胞の部位によって、認知症の症状があらわれるようになります。 脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症と並んで、3大認知症と言われています。 脳血管性認知症の特徴としては女性より男性に多く、男性は女性の2倍の疾病数が報告されています。また、脳だけではなく、歩行障害や言語障害といった身体のさまざまな場所に症状があらわれることも知られています。 脳血管性認知症の原因は? 脳血管性認知症の原因は、脳内の血管になんらかの障害(脳血管障害)が起きることによって発生します。 脳血管障害には脳内出血やくも膜下出血、脳梗塞などがありますが、最も多いのが脳梗塞です。脳梗塞、は脳の血管が細くなったり詰まってしまうことで栄養が運ばれなくなり、脳細胞が死んでしまう病気です。 脳梗塞の原因は生活習慣の乱れといわれています。不規則な食事や運動不足、喫煙、ストレス過多な生活を続けていると高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こします。 生活習慣病は動脈硬化を引き起こし、脳梗塞へとつながりやすくなります。適度な運動やバランスの取れた食生活を実践することによって、脳梗塞および脳血管性認知症を予防することができます。 若年での発症は高次脳機能障害の診断が多い 脳血管性認知症の発症は高齢者だけに限らず、若年層にも起こる可能性があります。比較的若い人が脳血管性認知症になった場合は認知症ではなく、高次脳機能障害と診断されるケースが多くみられます。 高次脳機能障害の場合は、脳細胞に障害が生まれたことにより注意障害、記憶障害、失語症などの症状がおこります。「急に怒りっぽくなった」「今までできていたことが急にできなくなった」というような時は高次脳機能障害の可能性があります。 脳血管性認知症の場合は症状は進行していきますが、高次脳機能障害は治療やリハビリテーションを受けることで回復することもあります。 脳血管性認知症の特有症状 脳血管性認知症の症状には他の認知症にも同様に見られるものがあります。 覚えられなくなる記憶障害 時間や場所や人がわからなくなる見当識障害 計画立てて物事を実行することが難しくなる実行機能障害 上記の3点はほかの認知症の場合も多くみられますが、脳血管性認知症だけの症状もあります。次から詳しく見ていきましょう。 まだら認知症 脳血管性認知症の場合は、症状の出方に波があるため、「まだら認知症」と呼ばれます。 同じことができるときとできないときがあったり、理解力は問題ないのにもの忘れだけがひどいといったケースです。まだら認知症の症状は見逃されやすいので注意が必要です。 認知症の原因は脳の血液の流れが滞ることにあり、脳の血流量が低下するタイミングでまだら認知症の症状が出やすくなるといわれています。 多様な症状を併発しやすい 影響をうけた脳細胞の部位によっては、認知症状だけでなく、運動機能や言語機能など多様な症状を併発しやすいのも脳血管性認知症の特徴です。 運動機能に障害がでると、手足の筋力が弱まることで歩行が困難になったり、手足の麻痺や震えがおきます。また簡単な言葉の意味がわからなかったり、ろれつが回らなくなるといった言語障害が起きることもあります。 感情コントロールが利きにくい(感情失禁) 脳血管性認知症になると、怒りっぽくなったり、すぐ悲しくなったりと感情のコントロールが利きにくくなるという症状もあります。 軽度な刺激に対しても、過度に大喜びしたり激怒したり、悲しんだりするので、事情を理解していないと、家族や周囲の人も困惑することになります。 本人もなぜそうなるか理解できないケースが多いので、人間関係に大きな影響を及ぼしてしまうこともあります。認知症の症状のひとつとして、周囲が理解に努めることが大切です。 夜間せん妄 夜になると家の中を歩き回ったり独り言を言ったりといった、「夜間せん妄」という症状もあります。 夜間の暗い状態で、認知症の症状である不安や幻想、見当識障害が起きてしまい、ここがどこなのかわからないまま歩き回っている状況です。 本人は不安によって意識が混乱を起こしてしまっています。対策としては夜間でも一定の明かりをつけておいたり、大丈夫だよと優しく声をかけてあげるようにしましょう。 脳血管性認知症の症状とその経過 初期 脳血管性認知症の場合、ほとんどが脳梗塞や脳出血といった脳の病気が原因です。脳の病気自体が落ち着いたのちに、もの忘れなどの初期症状が見られるようになります。 本人や周囲も「おかしいな」と訝るようになりますが、症状がまだらに出るために、認知症と疑わずに発見が遅れることがよくあります。 しかし、脳血管性認知症になると早い段階から周りの環境を認識して行動することが難しくなる「失認」「失語」「失行」の3つの症状が見られるようになります。これはアルツハイマー型認知症とは違う特徴で、脳血管性認知症のわかりやすいサインになります。 3つの症状の特徴について詳しく見ていきましょう。 失認 失認は脳の部位の中で、頭頂葉、側頭葉、または後頭葉に損傷が起きたときに見られる症状です。頭頂葉に障害がある場合は、たとえばハサミをさわっても何か理解できなくなる一方で、目で見るとハサミだと理解できます。 後頭葉はその逆で、ハサミを見ても、ハサミだと認識することができません。側頭葉は音が聞こえているのに、その音が何の音か判断することができない状況です。 失語 失語とは、その名の通り言葉を失ってしまう障害です。言葉を司る脳の部位に損傷が起きることによって、文字を読んだり書いたり、言葉を話したり、理解することが困難になります。 同じ失語でも、脳のどの部位に損傷がでたかで、症状はさまざまです。また、原因が進行性の病気なのか、脳卒中などの一時的なものかによって、進行性にも違いがあります。 失行 失行は頭頂葉や、頭頂葉と他の部位をつなぐ神経のどこかが損傷したことによって起こる症状で、パターンや順序を覚える能力が失われる障害です。 失行が起きると、身体的には作業を行うことは可能なのに、手順や順序がわからなくなり、必要な作業を行うことができなくなります。 失行はすべての動作が困難になるわけではなく、ある特定の動作だけが行えなくなるものもあります。たとえばボタンをはめる、電話をかける、メモを取るなど。そのほかの作業はできているので、失行の症状は見逃されやすくなります。 中期以降 脳血管性認知症は脳の病気自体を治療して症状が安定し、その後、大きな事故などがなければ進行自体は予防できる症状です。 理学療法士や作業療法士の指導の下、適切なリハビリテーションを継続。脳にこれ以上衝撃を与えないように転倒防止を行うなどの環境整備をおこなうことが大切です。 ただし、高齢になってから発症して早期発見がされなかったり、自覚症状のないまま進行してしまうリスクもあります。その場合は、脳血管性認知症もアルツハイマー型認知症と似た形で進行する可能性もあります。 脳血管性認知症の診断や治療 診断 脳血管性認知症の診断は、頭部CTやMRIを使って脳を撮影して行われます。脳の画像を確認すれば、前頭葉や側頭葉、後頭葉、視床、海馬などに脳梗塞が生じていないか判断することが可能です。 ただし、脳梗塞ではなくても、脳の血管自体が細くなっていたり、血流が低下していることも。そのため、脳の血流状態を調べる脳血流シンチグラフィーなども使って総合的に脳の状態を検査します。 また、脳梗塞の原因にもなる生活習慣病に関する数値も確認し、総合的な診断がなされます。 治療 脳細胞は一度死んでしまうと再生することは不可能なので、完治することはできません。 脳血管性認知症の治療では、それ以上症状が進行しないような対策が必要です。生活習慣病をなくすために血圧や血糖値をコントロールしたり、脳にそれ以上の衝撃を与えないように脳血管障害の再発防止を行います。 理学療法士や言語聴覚士、作業療法士などの専門家のアドバイスによるリハビリテーションも有効です。 最近の研究では、脳の一部が損傷した場合、その隣接部位が代替機能を果たすようになり、機能が回復する可能性があることがわかってきています。そういった意味でもリハビリや生活習慣の改善は大切です。 同居家族の注意点 普段できていた簡単なことができなくなると、本人が最も焦燥感を感じて辛い思いをしています。周囲の人は決して責めたり、急かしたりしてはいけません。リハビリテーションもすぐに効果が出るものではなく、継続していくことが大切です。 家族としても何とかしてあげたいという気持ちは理解できますが、脳血管性認知症の場合感情のコントロールもうまくできないので、家族に対してひどい言葉を投げかけてしまったり、時に暴力的になることもあります。 本人が自分を追い込んで自暴自棄になって飲酒に逃げたり、引きこもってしまうこともあります。 周囲はなるべく冷静に見守ることが大切です。自分でできそうなことは少しだけ手助けして、「自分でできた」という自己肯定感を守ることも必要です。 寄り添って小さな事の積み重さねていくことや、本人が楽しめる日課をつくることが大切です。 脳血管性認知症の方への対応 環境を整える 脳血管性認知症になると手足が震えたり、自分が思うように身体を動かすことが難しくなります。脳血管性認知症の症状を悪化させないために、転倒防止は非常に重要です。 在宅で介護するときに便利な福祉用具はたくさんの種類があります。歩行器や車いすの利用、またはトイレに手すりを設置したり、浴槽の滑り止めマットなど。 本人の生活をサポートしやすい福祉用具を上手に活用して、住環境を整えましょう。 本人との接し方 脳血管性認知症の方との接し方は基本的にはアルツハイマー型認知症と方と同様です。身近な人が認知症になると、周囲も戸惑ってしまうのは当然です。しかし家族や周囲の理解によって本人の気持ちも症状も変わります。次の3つの点を大切に本人と接するようにしましょう。 失語や麻痺といったコミュニケーションが難しいことを理解する感情の波に巻き込まれず、理解しながらも距離をとるできないことを責めず、苦しみを共感する 在宅生活が困難な時は 認知症になっても住み慣れた環境で過ごさせてあげたいと家族が考える気持ちは理解できます。ただし、認知症の症状が進んでいくと、家族による在宅介護では対応ができなくなることもあります。その場合は専門の施設への入居も検討するようにしましょう。 認知症の人を受け入れている代表的な施設について説明します。 小規模多機能居宅介護 小規模多機能型居宅介護とは「通所」「訪問「宿泊」の3つの機能を有した介護施設のことです。比較的新しく登場した地域密着型サービスの一つで、どのようなケアも同じ事業所の同じスタッフが対応するので、新しい人が苦手な認知症の人に適しています。 実際に小規模多機能型居宅の利用者は8割程度が認知症の人と言われています。認知症の高齢者の受け皿として期待されていますが、小規模な事業所が多く、入居待ちの人が多いことが残念です。 グループホーム 認知症の高齢者のみを入居対象としているのがグループホームです。認知症の知識と経験をがあるスタッフが常駐しているのが特徴です。 入居者は少人数で「ユニット」という単位にわけられて、ユニットごとに配置されたスタッフが対応します。これも認知症の人が新しい人に不安を感じるために、なじみのスタッフでサポートできるよう工夫されたシステムです。 入居者にはそれぞれの役割や責任が与えられるので、それを満たすことによって入居者に達成感ややりがいを与えることができます。 グループホームは住民上のある市区町村の中でのみ選択可能です。また、介護状況の進行に伴い、介護付き有料老人ホームへの転居を勧められるケースもあります。 介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、24時間介護スタッフが常駐して、食事や入浴など身の回りのサポートを受けられる施設です。 民間企業が経営しているものが多く、金額や施設、サービス内容についてもさまざまです。 終身利用を原則としており、認知症や要介護5の人まで幅広く受け入れ可能。看取りのサービスまであるので、他の施設のように途中で転居しなければならないということもありません。 また、住宅型やサービス付き高齢者向け住宅でも最近は認知症の対応が可能としている施設が増えています。気になった施設があれば、問い合わせをして事前に受け入れについて確認しておきましょう。 脳血管性認知症に関するよくある質問 脳血管性認知症はどんな症状が出ますか? 脳血管性認知症は、ほかの認知症と共通する認知機能障害以外に運動機能や言語機能に障害が起こることがあります。 また、怒りっぽくなったり、すぐ悲しんだり、感情のコントロールが利きにくくなる症状や、夜に家の中を徘徊したり独り言を発したりする夜間せん妄という症状も挙げられます。 脳血管性認知症の原因は何ですか? 脳血管性認知症の原因は、脳内の血管に何らかの障害(脳血管障害)が起きることによって発生します。脳血管障害は脳内出血やくも膜下出血、脳梗塞などが挙げられ、最も多いのが脳梗塞です。 脳梗塞の原因は生活習慣の乱れと言われているので、適度な運動やバランスの取れた食生活を心がけ、脳血管性認知症の予防をしましょう。 脳血管性認知症の治療はどんなことをしますか? 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2021/12/13

レビー小体型認知症の症状や原因など特徴の解説

【医師監修】レビー小体型認知症とは|原因や症状、治療について

認知症について調べているうちに、認知症の種類のひとつである「レビー小体型認知症」を見かけることもあるでしょう。 レビー小体型認知症は日本人に多い3大認知症のひとつで、アルツハイマー型認知症に次いで多くの患者がいます。 レビー小体型認知症は、ほかの認知症と共通する認知機能障害以外に、パーキンソン症状・幻覚・自律神経症状など特有の症状が現れます。また、他の認知症より進行が早いため、早い時期からの対策が重要です。 この記事では、レビー小体型認知症の原因や特有の症状などを徹底解説。レビー小体型認知症の治療方法やおすすめの対応方法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 この記事を読めばこれがわかる! レビー小体型認知症の症状がわかる! レビー小体型認知症の症状が進む過程がわかる! レビー小体型認知症の方への対応方法がわかる! レビー小体型認知症とは? レビー小体型認知症は、1990年代後半に知られるようになった比較的新しい認知症です。3大認知症のうちアルツハイマー型に次いで患者数が多く、高齢者の認知症の約20%を占めます。 女性よりも男性の発症が多く、物忘れなどの「認知機能障害」のほか、「幻覚」や「抑うつ」、「パーキンソン症状」など特有の症状がみられます。 発症は高齢者に多いですが、早い人では40代から症状が出ることも。また、他の認知症より進行が早いため、できるだけ早い時期からの対策が重要です。 レビー小体型認知症の特有症状 レビー小体型認知症では、ほかの認知症と共通する認知機能障害以外に、パーキンソン症状・幻覚・自律神経症状など特有の症状が現れます。 ただしこれらの症状は個人差が大きく、すべてのレビー小体型認知症の方に発現するわけではありません。 レビー小体型認知症で主に見られる症状は以下の通りです。 認知機能障害 幻覚 パーキンソン症状 レム睡眠行動障害 自律神経症状 それぞれ詳しく見てみましょう。 認知機能障害 認知機能障害は中期になって出始めることが多く、主に以下の症状があります。 記憶障害:起きた出来事自体を忘れているなどの物忘れ 見当識障害:時間、場所、人などを認識する力の低下 実行機能障害:物事を計画立てて実行するのが困難 また、認知機能が変動するのが特徴で、意識がはっきりしているときと反応が乏しくぼんやりしているときを繰り返します。認知機能は数分で変動することもあれば同じ状態が数時間、ときには数週間~数ヵ月続くこともあります。 なお、アルツハイマー型認知症では初期から新しいことを覚えるのが難しくなる方が多いですが、初期のレビー小体型認知症では記憶障害はあまりみられません。 幻覚 レビー小体型認知症により、視覚をつかさどる後頭葉がダメージを受けることで、存在しないものが見えてしまい、幻覚が現れることがあります。 レビー小体型認知症の症状である幻覚には主に以下があります。 幻視 幻視とは、他人に見えないものが見える症状のこと。例えば以下のような行動をとることがあります。 何もない床に向かって虫を捕まえようとする 誰もいないほうに向かって話しかける 誰もいないのに不審者がいると通報する 幻覚の中で最も多いのが幻視です。本人が幻視とわかっていることもあれば、わかっていない場合もあります。見えるものは人により異なりますが、「虫が床を動いている」など具体的なことが多いです。 錯視 錯視とは、現実に存在するものが別のものに見える症状のこと。例えば以下のような症状です。 壁のしみが人の顔に見える 小さなゴミが虫に見える ベッドカバーのしわがヘビに見える 幻視は「実在しないものが見える」のに対し、錯視は「実在するものが別のものに見える」という症状が現れます。 幻聴 幻聴とは、他人には聞こえない音や声が聞こえる症状のこと。誰もいないはずの部屋から声が聞こえるなどの症状があります。 パーキンソン症状 レビー小体型認知症はパーキンソン症候群と同じレビー小体が原因のため、パーキンソン症状が発生します。 具体的な症状は主に以下です。 振戦:手足の震え 無動:動きが遅くなる 固縮:筋肉が硬くなる 姿勢反射障害:体のバランスが悪くなる パーキンソン症状により表情に乏しくなったり、転倒しやすくなります。また、歩くときに前かがみになったり、歩幅が小さくなったり、歩き出しの一歩が出にくくなることも。一方、歩き出すと突進してしまうこともあります。 パーキンソン症状がさらに進行すると「嚥下障害」が現れ、「誤嚥性肺炎」の原因となります。 レム睡眠行動障害 レム睡眠行動障害は、眠りの浅い「レム睡眠」中に怖い夢やリアルな夢を見てしまい、夢の中と同じ動きをしてしまうこと。例えば、以下のような行動があります。 誰かと話をしているつもりで寝言を言う 大声を出す 手足を動かす 暴れる 眠っているとは思えないような行動が見られ、その動きにより自分自身がけがをしたり、隣で寝ている人にけがをさせてしまうこともあります。しかし、急に起こすと夢と現実が混同して混乱することもあるので、危険がない場合は見守るようにしましょう。 自律神経症状 レビー小体型認知症では交感神経と副交感神経の調整がうまくいかなくなることで、次のような自律神経症状がみられます。 立ちくらみ 寝汗 便秘や頻尿 動悸やだるさ 自律神経症状による立ちくらみは、立ち上がったときの急激な血圧低下による脳への血流減少が原因でめまいや失神につながります。失神による転倒は大きなけがにつながるため注意が必要です。 レビー小体型認知の原因は? レビー小体型認知症は、脳の大脳皮質などに「レビー小体」という異常なタンパク質が出現し、神経細胞を破壊することで引き起こされます。しかし、今のところレビー小体出現のメカニズムは解明されていません。 レビー小体が原因の病気にはパーキンソン症候群もあり、レビー小体型認知症との併発も多く見られます。 また、若いときにパーキンソン症候群を発症した人が、高齢になりレビー小体型認知症へ移行することもあります。 レビー小体型認知症の診断方法 レビー小体型認知症と診断が出るまでには、主に以下の検査が必要です。 認知機能検査​ 脳血流SPECT検査 MIBG心筋シンチグラフィ検査 それぞれ詳しく見てみましょう。 認知機能検査​ 認知機能検査とは、医師の質問に回答する形式で図形などを描くテストのことです。 レビー小体型認知症ではほかの認知症と比べて脳の萎縮が目立たないため、CTやMRIなどの画像で診断できることはほとんどありません。 画像で判断できない症状は、口頭での質問のほか、文字、図形、絵などの課題を描く神経心理学検査を実施し、認知症の影響があるかを確認します。 レビー小体型認知症では、記憶や計算機能などに比べて視覚を使った課題を苦手とします。そのため、記憶障害がほとんどない初期の段階の方でも、認知機能検査によりレビー小体型認知症と診断されることもあります。 脳血流SPECT検査​ 脳血流SPECT検査とは、脳の血流の状態や脳の動きを画像化する検査です。 レビー小体型認知症・アルツハイマー型認知症・前頭側頭型認知症は、それぞれ脳の血流が低下している部分が異なり、レビー小体型認知症では後頭葉や後部帯状回、楔前部に血流の低下が見られます。後頭葉は視覚認知を司る部分。そのため、レビー小体型認知症では幻視が出やすいと考えられています。 MIBG心筋シンチグラフィ検査​ MIBG心筋シンチグラフィ検査とは、MIBGという物質を注射して心臓の交感神経の動きを確かめる検査です。 レビー小体型認知症の原因物質であるレビー小体は心臓の交感神経にも現れます。そのため、レビー小体型認知症の初期の段階でも異常が認められることがあります。 レビー小体型認知症の症状とその経過 レビー小体型認知症の進行過程は人により異なります。しかし、アルツハイマー型認知症などのほかの認知症と比べると進行スピードが早いと言われており、多くの方は初期症状から常に介助が必要な後期状態まで10年以内で到達します。 レビー小体型認知症ではどのように症状が進行するのか、一般的な経過を見ていきましょう。 初期症状 レビー小体型認知症の初期では、物忘れなどの認知機能低下はほとんど見られず、以下のような特有の症状が現れはじめます。 パーキンソン症状 幻覚・幻聴 自律神経症状 レム睡眠行動障害 中期症状 レビー小体型認知症の中期では、初期症状の変動が大きくなります。症状の軽いときと重いときを繰り返しながら、徐々に症状が強まっていくのが特徴です。食後に動作が遅くなったり、夕方に幻視を見るなど、症状の波は1日のうちでも変動します。 また、このころから認知機能障害が現れるとともに、症状の進行は早まります。 後期症状 レビー小体型認知症の後期には、次のような症状がみられます。 パーキンソン症状が強くなり、ちょっとしたきっかけでも転倒しやすくなる 自律神経症状によるふらつきや立ちくらみが増える 嚥下機能が低下し、誤嚥性肺炎になりやすくなる 転倒や立ちくらみなどが増えることで、身体介護の必要な場面が増加します。このため、在宅での生活や家族介助が難しい場合も出てきます。 レビー小体型認知症の治療方法 薬物療法 レビー小体型認知症はほかの認知症と同様に根本的な治療薬はなく、症状を抑える投薬治療が主体です。症状に合わせ、記憶障害に対する薬・幻覚などの精神症状に対する薬・バーキンソン症状に対する薬が処方されます。 ただし「薬剤過敏性」という特徴があり、通常量以下の薬物でも過敏に反応し、興奮したり副作用が出ることがあります。 薬剤の量の調節が難しいため、服薬後の体調や症状の変化を観察・報告するなど、医師や看護師・薬剤師等と連携が欠かせません。 非薬物療法 認知機能や生活機能の維持・改善には、非薬物療法も重要です。 特に、動きが遅くなったり筋肉が硬くなるなどのパーキンソン症状の改善や進行抑制には、運動療法が効果的です。散歩やストレッチなどの日常的な運動に取り組みましょう。 また、デイサービスへの通所も効果的です。デイサービスには理学療法士などのリハビリ専門職が配置されており、専門家の指導のもと適切なリハビリをおこなえます。さらに、家族以外と関わりを持ったり、レクリエーションで脳を活性化できる点でも効果が期待できます。 レビー小体型認知症の方への対応 環境を整える 転倒による骨折などで体の動きが不自由になると、認知症の症状の進行が早まることがあります。 レビー小体型認知症では、パーキンソン症状により歩幅が小さくなったりふらついたりするため、転倒リスクが高まります。家の中の段差をなくしたり手すりを設置するなど、転倒や転落を防止しましょう。 本人への接し方に配慮をする 認知症患者は本人も多くの不安や混乱を抱えて過ごしています。周囲の家族ができるだけ患者本人の混乱をなくし、安心して暮らせるように配慮しましょう。 安心して暮らせるような配慮とは、例えば、できるだけ穏やかに相手の主張に耳を傾けながら会話をしてましょう。後ろから声をかけたり、大声を出したりして驚かせるのは危険です。 レビー小体型認知症の症状のひとつに、「昨日できていたことが今日できなくなる」などがあります。レビー小体型認知症の症状は波があるので、励まして無理をさせる必要はありません。どんな周期で意識がはっきりするかデータを取り、リハビリなどは状態が良さそうなときにおこないましょう。 幻覚への接し方に気を配る レビー小体型認知症の症状である幻覚・錯視は、本人はとっては現実に見えています。そのため、本人は家族や周りの人に「そんなことはない」と否定されると混乱したり、拒絶されたと感じてしまいます。本人に幻覚などの症状が現れた際には、「追い払いましたよ」などの声をかけて安心させることが大切です。 また、本人が幻覚による症状で不安を強く感じている時は一人にしないで安心させてあげましょう。 介護事業者を利用する レビー小体型認知症の方の介護を家族だけでするのはとても大変です。デイサービスや訪問介護、グループホームなど、介護保険で利用できる介護サービスを活用しましょう。介護事業者の介護サービスは、家族の負担だけでなく、本人の負担も軽減してくれます。 介護サービスの中には認知症の方へのケアに特化した支援制度やサービスがあります。認知症の方は生活環境の変化に敏感なので、認知症の症状が出た早い段階で取り入れて、介護サービスの利用に少しずつ慣れていくのがおすすめです。 早いうちから認知症の予防をしよう 認知症の平均発症年齢は51歳と言われています。そのため大切になるのが、認知症にならないように早い段階から意識しておくこと。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることもできます。 認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減します。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。 また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。 あわせて、適度な運動も大切です。適度な運動をすることで、筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また運動は、身体だけではなく脳にも良い刺激をもたらします。 レビー小体型認知症に関するよくある質問 レビー小体型認知症はどんな症状が出ますか? レビー小体型認知症は、ほかの認知症と共通する認知機能障害以外に、「パーキンソン症状」「幻覚」「自律神経症状」「レム睡眠行動障害」など特有の症状が現れます。 またレビー小体型認知症は、ほかの認知症と比べると進行スピードが早いと言われており、初期症状から常に介助が必要な後期症状まで10年以内で到達するのが特徴です。 レビー小体型認知症の原因は何ですか? レビー小体型認知症の原因は、脳の大脳皮質などに「レビー小体」という異常なタンパク質が出現し、神経細胞を破壊することで引き起こされます。しかし、レビー小体という物質が何故脳に出現するかは不明で、脳の年齢的な変化であると考えられています。 レビー小体型認知症の症状が進むとどうなりますか? レビー小体型認知症は、ほかの認知症と比べると進行スピードが早く、最終的にパーキンソン症状や自律神経症状が悪化し、転倒や立ちくらみなどが増えます。また、嚥下機能の低下も目立ち始め、誤嚥性肺炎を発症する可能性もあります。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "レビー小体型認知症はどんな症状が出ますか?", "acceptedAnswer": { ...

2021/12/13

認知症介護の介護拒否の原因と対応

介護拒否が起こる原因|3つの対応方法とよくある事例

「自分の親が認知症で介護拒否をし始めたが、どうしたら良いんだろう?」「介護拒否をする原因がわからない、介護の仕方が悪いのかな?」といったお悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。 この記事では、要介護者に介護拒否をされた場合の対応方法、原因、ポイントなど詳しく説明していきます。認知症介護でありがちな介護拒否の対策のヒントになるはずです! 介護拒否に対しての3つの対応方法 まず、要介護者に介護拒否をされた場合、介護する人はどのように接していく必要があるのかを説明していきます。ポイントは以下の3つです。 無理強いせず本人の意思を尊重する 具体的な声かけをする タイミングを見計らう 無理強いせず本人の意思を尊重する 忙しい日常生活の中で介護をしていると時間に余裕がないことも多く、要介護者に思わず無理強いしてしまうことも。 介護を拒否された場合は、介護する人も一呼吸置いてから「これをやりたくないんだね」とまずは要介護者の意思に寄り添い、認めてあげましょう。そうしたうえで「こうしてみても良いのでは」「自分で選んでみようか」など介護側からの提案や、生活に支障がない範囲内で本人に委ねてみましょう。 要介護者の気持ちを尊重することで、介護者の介助を受け入れるようになります。 具体的な声かけをする 特に認知症の方は、日常生活の介助に対しても理解ができないことがあります。 例えば「朝起きたらトイレに行きましょう」と排泄の介助をした場合、なぜトイレに行ってズボンや下着をおろすのかを理解できず、恐れや混乱などから介助者やトイレに行くことを拒否してしまうことがあります。 そのような場合は、「朝、トイレに行って排尿しましょう。お腹がすっきりして朝ごはんが食べたくなりませんか?」と具体的な説明をして本人に体感や納得させることにより、スムーズに排尿ができるようになることがあります。 タイミングを見計らう 要介護者は自分なりの生活タイミングが決まっていたり、認知症の方は「介護されている意味がわからない」場合があります。 そのため、介護を嫌がったり要介護者が気分を害した場合は、一旦、介護の手を止めて少し離れたところから見守り、本人がやりたいタイミングを見計らって、介護を再開すると良いでしょう。 また、お互いに「距離を取る」「間を持つ」ことも重要です。 介護拒否の主な原因 介護拒否されると介護する人も「自分が悪いのか?」と自分を責めてしまいがちですが、思いつめないようにしましょう。 以下の4つは、要介護者が介護拒否をした場合の代表的な原因です。 認知機能が低下している 怯えや不安を感じている 羞恥心が強い 自尊心が高い 認知機能が低下している 認知機能が低下すると、介護職のプロではない家族には理解できないこともあり、介護には忍耐と時間を要します。 例えば、要介護者が食べこぼしをしたので着替えさせようとしたら抵抗されて着替えがスムーズにいかなかったり、記憶障害によって着替えている最中に「なぜ服を脱がされているのか」と慌ててしまうことも。 その場合は「洋服がこのように汚れたので着替えましょう」「濡れていたままでは寒いでしょう?」と汚れた衣服を実際に見せて要介護者に寄り添いながら、何度も丁寧に説明すると良いでしょう。 怯えや不安を感じている 認知症の介護は本人の怖い、不安、恥ずかしいと感じた時の記憶の積み重ねに左右されることがあります。 例えば、「介護する人が誰だかわからない」→「ヘルパーの来訪に怯える」「手荒な着替えや入浴介助を受ける 」→「 着替えや入浴が怖い」「部屋やトイレで失禁してしまう 」→「 排泄が嫌・恥ずかしい」となっていき、時には大声を出して嫌がることがあります。 そのようになった場合は、一旦、本人の感情を受け止め、なぜ不安に感じているのか相手を理解するように努めましょう。そういった関わりを重ねることで、本人も介護の拒否や抵抗感が和らいでいくことでしょう。 羞恥心が強い 認知症の方にも当然私たちと同じように羞恥心があります。要介護度が高くなってくると排泄や入浴の介助が必要となるケースも多いですが、家族ではない人や異性にトイレや入浴、着替えの介助をされるのに嫌がる傾向があります。 また、「オムツを交換しましょう」「誰も見ないから、ここで洋服を着替えましょう」といったデリカシーやプライバシーの配慮に欠けた言動は、要介護者を傷つけ介護拒否に繋がることがあるので注意しましょう。 自尊心が高い 高齢者も元々は「自立した大人」であり、身体が不自由になってきたことやヘルパーに来てもらうことに抵抗感を持つことは当然と言えます。 排尿や排便で失敗してしまった人の中には「また下着が汚れたら」「着替え介助を受けて汚れた衣服や下着を見られたくない」と水分を摂るのを控えたりする人も。また、食事や投薬の記憶が曖昧だが、聞くのも恥ずかしくて食べず飲まずになってしまう要介護者もいます。 生命や健康維持に関わることもあるため、介護する側は気を付けてください。 よくある介護拒否のケース 介護拒否のパターンはおもに下記の6つのパターンがあります。 食事の拒否 服薬の拒否 入浴の拒否 着替えの拒否 排泄の拒否 外出の拒否 それぞれについての内容と、その対処法について見ていきましょう。 食事の拒否 食べることは生命を維持するうえで非常に大切ですが、食事を拒否することもあります。体調が悪くて食べられなかったり、食べる気にならないといった精神的な原因もあります。 一方で口内炎などで口の中が痛かったり、うまく飲み込めないといった身体的な原因の場合もあります。 また、認知症の症状によっては、箸の使い方がわからなくなっていたり、それがどう食べるものか理解できない状況もあるので、何故、食べないのかを観察することが重要と言えます。 服薬の拒否 認知症の薬を拒否するケースもあります。この場合は単に薬を飲むこと自体を忘れているだけのこともあります。しかし、わかっていて服用していない場合は、薬があわなかったり、飲みにくいという原因が考えられます。 医師に相談して、薬の回数・時間帯を変えてもらったり、できるだけスムーズに服薬できるように対策を検討しましょう。 入浴の拒否 入浴を拒否することも介護拒否ではよく見られます。入浴の介護拒否の原因の一つは衛生観念が薄まり、入浴の必要性を感じなくなることです。年とともに「着替える・入浴する」ということ自体が「億劫」になってしまう方も多いです。 また、介護者に裸を見られるのが恥ずかしいという羞恥心による場合もありますので、同性の介護者だけにするなどの配慮が必要です。「入浴が好きなのか、嫌いなのか」などを考慮する必要もあるでしょう。 着替えの拒否 着替えについては入浴と同様に羞恥心が要因の場合も多いです。しかし同時に着替える段取りを整えることができない実行機能障害がおきていて、困っているケースもあります。 着替えを拒否している場合も「なぜ拒んでいるか」を見極めたいところです。 排泄の拒否 認知症が進んでくると、便意や尿意についての意識が鈍ってくる傾向にあります。また、トイレの場所がわからなくなっていたり、トイレ自体の方法が曖昧になることも考えられます。 トイレを失敗すると本人にも家族にも大きなストレスにつながります。トイレを拒否している原因を正しく理解して、対策をとりましょう。 外出の拒否 そもそも年をとると外出自体が億劫になる傾向にあります。それにくわえて認知症の人の場合は、外出の意味が理解できずに余計なストレスや不安感を感じてしまうこともあります。 わかっていると思い込まないで、なぜ外出するのか、どこにいくのか、なにをするのかをしっかりと伝えたうえで外出するようにしましょう。 介護拒否をされても叱ってはいけない 家族とはいえ、親に介護を何度も拒否をされると感情も穏やかのままではいられないことも。時には傷つくこともあるでしょう。肉親であるがゆえに「早くして」「なんでできないの?」と叱ってしまい、余計に介護を拒絶されることもあるかもしれません。そのような時は、要介護者のペースや意思に合わせて、穏やかに介護することにより、いい結果が生まれる場合もあります。焦らずゆっくりと介護していくことが大事です。 .point { position: relative; border: 3px solid #f08d18; margin-top: 40px !important; } .point::before { background: #f08d18; content: "POINT"; ...

2021/12/10

アルツハイマー型認知症の症状や予防法

【医師監修】アルツハイマー型認知症とは|原因や症状、進行するとどうなる?

認知症の中で最も多いと言われるのがアルツハイマー型認知症。「アルツハイマー」という言葉だけでも聞いたことがある、という人も多いのではないでしょうか? この記事では、アルツハイマー型認知症ではどのような症状が出るのか?その原因や具体的な症状、予防法について解説していきます。 アルツハイマー型認知症とは? 認知症は症状によって3つのタイプに分類されます。そのうちのひとつがアルツハイマー型認知症で、そのほかの認知症にはレビー小体型認知症と脳血管性認知症があります。 アルツハイマー型認知症は全体の約4割を占めると言われ、認知症の中でも最も多いタイプ。完全に治す治療法は現在のところ見つかっていません。 アルツハイマー型認知症の原因は? アルツハイマー型認知症の原因は所説ありますが、脳にアミロイドβといった特定のたんぱく質がたまり、それに伴い脳細胞が死滅、損傷。脳全体が変形したり、萎縮したりすることで、アルツハイマー型認知症が起きると言われています。 症状が進行すると自分がしたことをすべて忘れてしまう記憶障害や、物事を順序立てておこなうことが難しくなる実行機能障害などが起き、日常生活を送るのが難しくなります。 アルツハイマー型認知症の症状とその経過 認知症の症状には「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の2つがあります。中核症状とは認知症の典型的な症状のことで、行動・心理症状(BPSD)は中核症状が起こることによって引き起こされる二次的な行動・心理的な症状のことです。 中核症状はある程度定型化しているのに対し、行動・心理症状(BPSD)は認知症の進行度合いや周囲との関係性、本人の生活などにより、症状もさまざまです。 代表的な中核症状や行動・心理症状(BPSD)について詳しく見ていきましょう。 代表的な中核症状 中核症状とは認知症になると症状としてあらわれるもので、主に「記憶障害」「見当識障害」「実行機能障害」「失行」の4つがあります。 症状としてはっきりしているので、中核症状の内容を知っていれば「認知症かも?」と早めに気づいて、早めに治療することができます。 記憶障害 記憶障害はその名の通り、「ものを覚える」ことができなくなる障害のことです。「もの忘れ」とも似ていますが、食べた料理を忘れることがもの忘れなら、食べたこと自体を覚えていないのが記憶障害の状態です。 見当識障害 見当識障害は、主に時間と場所がわからなくなる状態のことです。 いまが何月何年なのか、ここはどこなのかということがわからなくなります。季節感もなくなるので、冬なのに薄着をしたり、夏なのにコートを着ようとするといった症状が見られます。 実行機能障害 実行機能障害になると、食材を買い物して、料理を作るという物事の段取りがたてられなくなったり、なにかを計画することが難しくなります。いくつかの工程を経る動作に加えて、複数の動作を同時にこなすこともできません。 失行 それまで当たり前にできていたことができなくなることを、失行と言います。 テレビをつける、お風呂を沸かすといった日常の動作も理解できなくなります。自分で身体を動かすことはできますが、誰かの指示どおりに行動したり、お箸などの道具を使うことは難しいようです。 代表的な行動・心理症状(BPSD) 行動・心理症状(BPSD)はアルツハイマー型認知症に見られる症状ですが、中核症状のように一律に症状がでるわけではありません。症状は人によって異なりますが、自分が忘れたものを盗まれたと思い込む「物盗られ妄想」や、「介護拒否」などがよく見られます。 症状の経過 初期症状 記憶障害 アルツハイマー型認知症になると、早い段階で記憶障害の症状があらわれます。 特徴として、昔のことはよく覚えているのに、最近のことを覚えられない傾向にあります。たとえば食事をしたのに、すぐに食べたことを忘れてしまい、また食べようとするといった事例も。 時間の見当識障害 いまの時間に対する意識が混乱するような症状を見当識障害といいます。 時間帯や日時、季節などがわからなくなり、朝起きたばかりなのにお風呂に入って寝ようとしたり、夏なのに厚着をしだしたりします。 実行機能障害 物事を順序だてておこなうことが難しくなる症状のことです。 ご飯を研いで、炊飯器にいれて、炊飯器をセットするというような複数の工程をこなすことができなくなるので、日常生活に大きな支障がでてしまいます。 中期症状 場所の見当識障害 自分がいる場所が理解できなくなり、家の近所で道に迷ったり、わからないまま遠くへ行ってしまうこともあります。 トイレやお風呂といった家の中の場所についてもわからず、パニックになることも。 失行 テレビのスイッチの切り方や洋服の着脱の仕方など、今まで当たり前にできていた簡単なことができなくなることを「失行」といいます。 初期は本人も周囲も認知症だという認識がないので、大変戸惑い、自信をなくしてしまったり、傷つくケースが見られます。 次第に言語能力も低下するので、的確な言葉で自分の状態や気持ちを伝えられずに、暴言やうつ症状を引き起こすこともあります。早めに気づいて、病院に連れて行くといった対応が大切です。 後期症状 後期になると歩行したり、食事をしたり、排泄するといった生きていくために必要な動作が自力ではできなくなります。そのため生活の大部分は寝たきりになったり、つきっきりの介護や医療支援が必要になってきます。 言語能力が後退し、会話をすることも難しくなってきます。しかし一方で、喜怒哀楽などの感情は残っているので、本人の気持ちを尊重し、人間としての尊厳を守る介護をしていかなければなりません。 アルツハイマー型認知症の方への対応 環境を整える アルツハイマー型認知症の家族がいるときは、まずは家の中の環境整備が大切です。 認知症になると、それまで自力でできていたこともできなくなったり、家の中の場所がわからなくなります。トイレまでの道筋に矢印のマークをつけたり、何の場所かわかるように「トイレ」「お風呂」といった文字をはっておくのも良いでしょう。 また家の中の不要な段差をなくしてバリアフリーを意識したり、手すりをつけるといったリフォームも有効です。 どのような環境なら快適に過ごせるか、本人の意思も尊重しながら対応していきましょう。 本人との接し方 アルツハイマー型認知症になると本人も自分はどうなっていくのか不安と混乱を抱えることになります。そのような時に、大声で叱ったり、頭ごなしに否定するような対応をしてはいけません。なるべく本人が不安に感じないように、本人の話をしっかり聞いて、本人の気持ちに寄り添うことが大切です。 もし食事をしたことを忘れているようなら、「もう食べたでしょ」というようなことは言わずに、軽食やお菓子をだしてあげるのもいいでしょう。また、あらかじめ食事の量を半分にしておいて、残りをあとからだすという方法もあります。 アルツハイマー型認知症は、不安やストレスを強く感じると症状が悪化してしまうこともあります。逆に「自分は大丈夫」「問題ない」と思える対応を続けることで、進行を抑えられる可能性が高くなります。 事例1「○○を盗られた」と責める アルツハイマー型認知症の症状として、自分で置き忘れた物を誰かに盗られたと思い込む「物盗られ妄想」があります。このような症状の場合、まずは「間違いだ」「勘違いだ」とは言わずに、話をちゃんと聞いて共感する姿勢をとることが大切です。相手を否定せずに、一緒に探してみましょう。なるべく本人が自分で見つけるほうが良いので、先に見つけた場合も、本人が見つけるように誘導するようにします。 事例2「ガスコンロの火の消し忘れ」 高齢者のガスの消し忘れによる火災も時々起きています。危険があるので、ついつい声を荒げて注意してしまいがちですが、それでは認知症の人には逆効果です。もし今後も頻繫に起こりそうであれば、早めにIHコンロに変えるといった環境の改善が必要です。最近のIHコンロであれば、「消し忘れ防止機能」がついているものも多くなっています。 アルツハイマー型認知症の診断や治療 診断 認知症かどうかの判定は専門の病院で検査しておこないます。認知症の検査では「面談」「身体検査」「認知症検査」が行われます。まず面談では本人と家族に、過去の病歴や現在の状態についてヒアリングをおこないます。 次に身体検査でレントゲン、血液検査、尿検査、血液検査などをおこないます。これは認知症と併発しやすい病気の有無や、身体の状態を確認するのが目的です。 認知症検査は「脳画像検査」と「神経心理学検査」の2種類があります。脳画像検査はCTやMRIで脳の状態を撮影。アルツハイマー型認知症の場合、脳の萎縮や変形が見られます。 神経心理検査は実際に絵を見て絵の内容を答えるものや、記憶の確認、単純な計算問題などです。神経心理学検査が一定の水準を下回ると認知症の判断が下されます。 治療 現在のところ、アルツハイマー型認知症を完全に治癒する薬は見つかっていません。治療は主にリハビリや症状を抑制する投薬治療が中心になります。 アルツハイマー型認知症は時間がたつと症状が進行していきます。その進行を緩やかにして、本人が安定して生活できるように配慮することが大切です。 処方薬 アルツハイマー型認知症の症状を抑えると言われている処方薬は現在のところ4種類です。 低下した脳の働きの改善を促す処方薬がアリセプト、レミニール、リバスタッチ。脳細胞の損傷を防止するメマリーです。 アルツハイマー型認知症の症状は人それぞれ違いますので、すべての人に効果があるというわけではありません。ただ投薬によって状況の改善が見られることもあります。医師と相談しながら、試してみてください。 またアルツハイマー型認知症になるとイライラしたり、不安感に苛まれてしまうこともあります。そのような時は、対症療法薬として精神安定剤や睡眠薬も効果があるかもしれません。 認知症の予防 認知症の平均発症年齢は51歳と言われています。そのため大切になるのが、認知症にならないように早い段階から意識しておくこと。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることもできます。 認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減します。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。 また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。 あわせて、適度な運動も大切です。適度な運動をすることで、筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また運動は、身体だけではなく脳にも良い刺激をもたらします。 認知症の早期発見 認知症には早期発見、早期治療が重要です。認知症の初期症状である記憶障害は単なるもの忘れとして見逃されることも多いのですが、早く対処すれば進行を遅らせることもできます。 他の病気と同様に、放置しておくことは非常にリスクがあります。早い段階からさまざまな治療をうけておくことで、たとえ認知症でも、症状を抑えて生活することも可能です。 在宅生活が困難なときは 認知症になっても住み慣れた環境で過ごさせてあげたいと家族が考える気持ちは理解できます。ただし、認知症の症状が進んでいくと、家族による在宅介護では対応ができなくなることもあります。その場合は専門の施設への入居も検討するようにしましょう。 認知症の人を受け入れている代表的な施設について説明します。 小規模多機能居宅介護 小規模多機能型居宅介護とは「通所」「訪問「宿泊」の3つの機能を有した介護施設のことです。比較的新しく登場した地域密着型サービスの一つで、どのようなケアも同じ事業所の同じスタッフが対応するので、新しい人が苦手な認知症の人に適しています。 実際に小規模多機能型居宅の利用者は8割程度が認知症の人と言われています。認知症の高齢者の受け皿として期待されていますが、小規模な事業所が多く、入居待ちの人が多いことが残念です。 グループホーム 認知症の高齢者のみを入居対象としているのがグループホームです。認知症の知識と経験をがあるスタッフが常駐しているのが特徴です。 入居者は少人数で「ユニット」という単位にわけられて、ユニットごとに配置されたスタッフが対応します。これも認知症の人が新しい人に不安を感じるために、なじみのスタッフでサポートできるよう工夫されたシステムです。 入居者にはそれぞれの役割や責任があたえられるので、それを満たすことによって入居者に達成感ややりがいを与えることができます。 グループホームは住民上のある市区町村の中でのみ選択可能です。また介護状況の進行に伴い、介護付き有料老人ホームへの転居を勧められるケースもあります。 介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、24時間介護スタッフが常駐して、食事や入浴など身の回りのサポートを受けられる施設です。 民間企業が経営しているものが多く、金額や施設、サービス内容についてもさまざまです。 終身利用を原則としており、認知症や要介護5の人まで幅広く受け入れ可能。看取りのサービスまであるので、他の施設のように途中で転居しなければならないということもありません。 また、住宅型やサービス付き高齢者向け住宅でも最近は認知症の対応が可能としている施設が増えています。気になった施設があれば、問い合わせをして事前に受け入れについて確認しておきましょう。 アルツハイマー型認知症に関するよくある質問 アルツハイマー型認知症はどんな症状が出ますか? アルツハイマー型認知症の症状は、あったことそのものを忘れてしまう記憶障害、物事を順序立てて考えられなくなる実行機能障害、時間と場所がわからなくなる見当識障害、当たり前にできていたことができなくなる失行が挙げられます。 また症状が悪化すると、被害妄想や徘徊などの症状も出る場合があります。 アルツハイマー型認知症の原因は何ですか? アルツハイマー型認知症の原因は、脳にアミロイドβといった特定のたんぱく質がたまり、それに伴い脳細胞が死滅、損傷。脳全体が変形したり、萎縮したりすることで、アルツハイマー型認知症が起きると言われています。症状が進行することで、日常生活に弊害が生じます。 認知症は高齢者だけに起こりますか? 認知症は高齢者だけに限らず、若い年齢でも発症する可能性があります。18歳から39歳までに発症した若年期認知症と40歳から64歳に発症した初老期認知症をあわせて若年性認知症と言います。 また若い年齢でもアルツハイマー症状が出ていた場合、若年性アルツハイマーと診断されます。原因は事故による頭部損傷の後遺症でも起こる可能性があります。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "アルツハイマー型認知症はどんな症状が出ますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/08

認知症の種類や症状、予防法についての解説

【医師監修】認知症の種類|3大認知症の特徴と症状

高齢者の病気の中でも認知症は症状や種類も多く、家族や周囲の対応が難しい病気です。認知症になると、生活する上でさまざまな面で支障が出てしまいます。 そこでこの記事では、認知症の種類や症状についての解説を中心に、認知症の方を介護するときの心得について解説します。在宅介護でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 認知症とは 認知症は病名ではない 認知症というと病名のように捉えられることもありますが、病名ではありません。記憶障害など特有の症状を示す「状態」を総称する言葉です。 病気や怪我といった何らかの原因で脳の細胞に損傷がおき、記憶障害や言語障害といった症状が発生。日常生活に支障がおきている状態のことです。 もの忘れと認知症の違いは? 年をとると誰でも記憶力が低下します。加齢によるもの忘れと認知症は混同されやすいのですが、まったく別のものです。 もの忘れの場合は、自分がなにかを忘れてしまったという自覚はありますが、認知症の場合は自覚そのものがありません。自分がしたこと自体を忘れてしまうのが認知症です。 もの忘れと認知症の具体的な違いは下記の通りです。 加齢によるもの忘れ認知症によるもの忘れ体験した記憶一部を忘れるすべてを忘れている学習能力維持されている新しいことを覚えられないもの忘れの自覚あるなくなる時間や場所見当がつく見当がつかない探し物に対して(自分で)努力して見つけられるいつも探し物をしている誰かが盗ったなどと他人のせいにすることがある症状の進行極めて徐々に進行進行する 3大認知症とは 認知症には「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」という3つの種類があります。それぞれの症状について見ていきましょう。 アルツハイマー型認知症 認知症のなかでよく知られているのがアルツハイマー型認知症です。認知症の症中でも全体の約半数はアルツハイマー型認知症といわれています。 アルツハイマー型認知症とは、脳の神経が変性することによって脳全体が萎縮し、脳機能が停止してしまう症状です。 アルツハイマー型認知症になると初期は物事を思い出せなくなる記憶障害がおき、その後は、ものごとの計画が立てられない、気候に合った服が選べないといった実行機能障害が目立ってきます。ただし個人差が大きく、全員に同じような症状がでるわけではありません。 脳血管性認知症 アルツハイマー型認知症に次いで日本人に多いのが脳血管性認知症です。脳血管性認知症は、くも膜下出血や脳梗塞といった脳の病気によって、脳細胞が死滅して引き起こされる認知症です。 記憶障害などの典型的な症状もありますが、脳血管性認知症の場合は心身のコントロールができなくなって、コミュニケーションに支障をきたすこともあります。 レビー小体型認知症 脳血管性認知症に次いで多いとされているのがレビー小体型認知症です。レビー小体というたんぱく質が脳神経細胞を破壊することで発症するのがレビー小体型認知症です。 レビー小体型認知症の場合もアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症と同じで、記憶障害や実行機能障害がおこります。 症状には個人差があるので一概には言えませんが、レビー小体型認知症の場合は、手足が震えるといったパーキンソン病に似た症状が表れるようです。 若年性認知症とは 18歳から39歳までに発症した若年期認知症と40歳から64歳に発症した初老期認知症をあわせて若年性認知症と言います。東京都長寿健康医療センターの調査によると、2018年時点で若年性認知症有病率は人口10万人あたり50.9人。男性よりも女性が発症することが多くなっているのが特徴です。ただし若年認知症の診断は非常に高度な診断技術が必要なので、診断を受けることがなく、日常生活や就労面で問題を抱えているケースも多くなっています。 .point { position: relative; border: 3px solid #f08d18; margin-top: 40px !important; } .point::before { background: #f08d18; content: "POINT"; color: ...

2021/12/08

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

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