生活支援や家事サービスなどに加え、外部の介護サービスを受けられるのが魅力の住宅型有料老人ホーム。具体的な費用が気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では住宅型有料老人ホームの費用について紹介します。
Contents
項目 | 費用目安 | |
---|---|---|
初期費用 | 前払い方式・保証金など | 0~数千万円 |
月額費用 | 賃料 | 約50,000~150,000円 |
管理費・共益費 | 約50,000~100,000円 | |
食費 | 約50,000~70,000円 | |
その他 (介護保険負担額、医療費、雑費など) |
約50,000円 |
住宅型有料老人ホームの費用は入居時にかかる初期費用と入居後に毎月かかる月額費用にわけられ、3つの支払い方式があります。
「有料老人ホームへの想定入居期間×賃料」を入居時費用と定め、その全額または一部を入居時費用として支払う方式です。一部を支払った場合は、その後残額を分割または一括で支払います。
また、一定の期間内に契約を解消すると返還金を受け取れます。
有料老人ホームに入居した際に一定の金額を支払うのではなく、毎月賃料として支払う方式です。
前払い方式とは違い毎月決まった額を支払うため、想定入居期間を超えて入居し続けると前払い方式よりも割高になります。
前払い方式と同様に想定入居期間×賃料から算出される入居時費用の一部を前払い金として支払い、それを差し引いた賃料を月々支払っていきます。
入居時費用は家賃の前払いにあたるため、一定期間毎月賃料に引き当てられます。このように最初の費用を少しずつ使っていくことを「償却」といいます。
賃料として償却される以外に、入居時にも一定の割合で償却が発生します。これを「初期償却」と呼びます。
償却期間や初期償却の割合は施設ごとに決められており、償却期間が終わる前に退去した場合は残金が戻ってきます。
「短期解約特例(クーリングオフ)」は、いったん契約の申し込みや契約の締結をしたあとでも、一定期間であれば契約を無条件で撤回したり解除できる制度です。
住宅型有料老人ホームのクーリングオフ適用可能期間は90日間です。入居したものの施設の方針が合わない場合や必要なサービスが受けられなかったときも、この期間内に申し出れば契約が解除できます。
ただし、入居時費用のすべてが返金されるわけではありません。入居時費用から入居した日数に応じた利用料や、居室内の原状回復に必要な費用を差し引いて返金されます。
入居して実際の生活が始まると、以下のような項目の費用が必要になります。
居住費は家賃に相当し、施設に住むために必要な費用です。
一般的な家賃と同様に部屋の広さやキッチンの設備等により費用に差が出ます。また、入居時費用の支払い方式によっても金額は変わります。
管理費は運営費とも呼ばれ、共有設備の維持・メンテナンス費用、事務費用などが含まれます。
水道光熱費も管理費に含まれることが多いですが、施設によっては別途実費で請求されることもあります。
施設から提供される1日3食分の食材費と厨房管理費が含まれます。
朝・昼・夕食のどこかで外食などをし、1日3食を施設で食べていない場合でも3食分の計算で請求される施設と、食べた分のみ請求される施設とがありますので入居前に確認しましょう。
住宅型有料老人ホームでは、自立の方から要介護認定を受けている方まで入居できます。
介護サービスは、入居者が必要なタイミングで外部の介護サービス事業者と個別に契約し、ケアプランに沿った介護サービスを利用します。
入居前から利用しているケアマネジャーがいる場合は、改めてする手続きは不要なので引き続き担当してもらえるので安心です。また、住宅型有料老人ホームによっては居宅介護支援事業所や訪問介護事業所を併設し、入居者のニーズに対応できる環境が整っています。
入居者にとって介護サービスの種類や利用頻度はさまざまなので必要なだけ利用できるのは便利ですが、要介護度が上がると毎月の介護サービス費の負担が大きくなります。
介護サービスを利用した分に対して支払い、介護保険が対応できる上限を超えた分に関してはすべて自己負担となります。
介護サービスは介護保険が適用になりますが、自己負担が生じます。月々の自己負担額は要介護度と所得により変わります。
出典:「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
自宅生活の時と同様に、必要なタイミングで外部の介護サービスを利用することができます。多くの施設では介護サービス施設が併設されており、必要なサービス分だけを利用して支払うことで、介護度が低い方は費用を抑えることができます。
住宅型有料老人ホームでは入居者は訪問介護スタッフから食事や入浴、清拭、更衣などの介助や指導を受けることができます。訪問介護スタッフは必要な知識や技術を身に付けているため安心して利用することができます。
定期的な看護を必要とする入居者を看護師が訪問して、その入居者の病気や障がいに合った看護を受けられるサービスです。医療法人が運営していたり、医療体制が整っている住宅型有料老人ホームでは訪問看護ステーションが併設されているケースもあります。
訪問介護サービスの一つで理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ有資格者が入居者を個別対応し、「心身機能の回復や維持、日常生活の自立」を目指したリハビリを提供します。
訪問入浴とは、自力での入浴が困難な要介護者に対して、専門スタッフが訪問し入浴サービスを提供することです。専用の浴槽を持ち込み、入居者のベットの横か部屋の空きスペースを使って入浴し、身体清潔の保持、簡単な健康チェックまでおこないます。
要介護認定を受けた入居者が利用できるサービスです。しかし多くの住宅有料老人ホームは、要介護者のための介助入浴設備が既に整っているため、訪問入浴介護ではなく訪問介護サービスを利用するケースが多いのが実情です。
通所介護(以下、デイサービス)は、要介護者がデイサービスセンターなどへ通い、食事や入浴、レクリエーションなど介護、機能訓練を日帰りで行うサービスです。基本的にはデイサービス事業者が住宅型有料老人ホームから施設まで送迎をします。
デイサービスを利用することで普段と異なる利用者や介護スタッフと触れ合うことができるため、活動的に過ごすことで健康維持につながります。
通所リハビリ(以下、デイケア)は、要介護者がリハビリテーションを目的として日帰りで施設利用できるサービスです。
デイケアは病院、介護老人保健施設、診療所が提供しているケースが多く、医師の承認のもと、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門員による「機能の維持回復」を目的とした専門的なリハビリが受けられます。
デイサービスとは異なり、リハビリが中心の介護保険サービスです。食事・入浴のサービスがない場合もあるので利用前に確認が必要です。
小規模多機能型居宅介護とは、1つの事業所が24時間365日体制で「通所」「短期間宿泊」「訪問」の3つを組み合わせて提供しているサービスです。
住宅型有料老人ホームに併設されている場合もあります。顔なじみの専門スタッフがサービスを提供してくれるため、利用者が安心して利用できます。
また小規模多機能型居宅介護の利用登録することで、手続きをサービスごとの個別でする必要がなく、一回の契約でできるので契約の手間が省けます。
住宅型有料老人ホームでは介護保険を利用できますが、要介護度が高いと自己負担も高額になります。また、入居中に病気やけがなどで治療が必要とさらに医療費が必要になることも。
「高額介護サービス費制度」は、1ヵ月の介護保険サービス自己負担額が限度額を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。支給対象の方には自治体から「支給申請書」が送られくるので、忘れずに申請しましょう。
高額介護サービス費の支給を受ける際は、各自治体の窓口に申請しましょう。以下、申請時に必要な主な書類をまとめました。
「高額医療・高額介護合算制度」は、同一世帯で支払った介護保険サービスと医療費の自己負担額の合計が基準を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。合算期間は8月1日から翌年の7月31日で、利用するには自治体の国民健康保険窓口で申請します。
ただし、同一世帯内でも「夫が75歳以上で後期高齢者医療保険、妻が75歳未満で国民健康保険」など、加入する保険が異なる場合は合算することができません。さらに、基準を500円以上越えない場合は適用外です。
高額医療・高額介護合算制度を利用する際は、各自治体の窓口に申請しましょう。以下、主に必要な書類をまとめました。
老人ホーム選びの際に比較されることが多いのが住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅です。
以下では、両施設の違いに関してまとめました。
住宅型有料老人ホーム | サービス付き高齢者向け住宅 | |
---|---|---|
契約形態 | 利用権方式 | 建物賃貸借方式 |
入居一時金 | 0~数千万円 | 0~数十万円 |
月額利用料 | 11~25万円 | 11~25万円 |
大きな違いは契約形態です。住宅型は「利用権方式」、サ高住は「賃貸借方式」を採用しています。この違いは、前者は居室や共有スペースを利用する権利と生活支援サービスが受けられる権利の両方を購入し、後者は一般賃貸住宅と同様に住宅を借りる権利を購入しています。
基本的に有料老人ホームへ入居する際は少なからず入居一時金が必要です。
ただ現在は、初期費用0円で月額利用料のみで入居できる施設も増加してきており、入居時にまとまった資金を確保できない人や短期間の入居を想定している人にとってはメリットです。しかし、入居時費用がかからない分、毎月の賃料が高くなるため注意が必要です。
一般的には入居期間が長ければ前払いの方が、短ければ月払いの方が得になります。しかし、どちらの方式にもメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いとは言い切れません。
住宅型有料老人ホームでは介護保険を利用できますが、要介護度が高いと自己負担も高額になります。そんなときに利用したいのは「高額介護サービス費制度」や「高額医療・高額介護合算制度」です。
高額介護サービス費制度は、「高額介護サービス費制度」は、1ヵ月の介護保険サービス自己負担額が限度額を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度。
「高額医療・高額介護合算制度」は、同一世帯で支払った介護保険サービスと医療費の自己負担額の合計が基準を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。どちらも申請が必要となってくるので、該当する場合は早めに申請しましょう。
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