【動画でわかる!】老人ホームの費用はいくらかかる?月額利用料や入居金の仕組み

【動画でわかる!】老人ホームの費用はいくらかかる?月額利用料や入居金の仕組み

更新日 2024/05/28

老人ホームの入居を検討する上で、費用がいくら必要になるのか気になる方は多いですよね。

そこでこの記事では、老人ホームの費用の仕組みや入居時費用、月額利用料の内訳などに関して解説していきます。

「老人ホームへの入居を考えているけど、どのくらい費用が必要なんだろう?」「親のお金だけで支払っていけるのかな?」といった悩みをお持ちの方は、是非、参考にしてみてください。

老人ホーム・介護施設の費用目安

費用は施設の種類によって異なります。

以下は老人ホームや介護施設でかかる代表的な費用を一覧にしました。

施設の種類公的/民間入居一時金月額利用料
介護付き
有料老人ホーム
民間0~数千万円15~30万円
住宅型
有料老人ホーム
民間0~数千万円11~25万円
サービス付き
高齢者向け住宅
民間0~数十万円11~25万円
グループホーム民間0~数十万円10~15万円
ケアハウス公的0円~数十万円6~17万円
特別養護
老人ホーム
公的0円8~14万円
介護老人
保健施設
公的0円8~14万円
介護医療院公的0円10~20万円
ホスピス民間施設や入院期間
により異なる
施設や入院期間
により異なる

▶老人ホームの種類に関してはこちらのページをご覧ください

老人ホームの費用の仕組み

老人ホームには入居一時金や月額利用料が必要になってきます。

かかる費用でもっとも大きな金額になるのは入居一時金と月額利用料です。

入居一時金とは老人ホームの入居時にかかる費用のことで、一定期間の月額利用料を前払いするというものです。入居一時金を設定していない施設もありますが、大部分の老人ホームでは入居時に入居一時金が発生します。

一方で、月額利用料とは老人ホームで生活する上で必要な費用です。居室の使用料のほかに水道光熱費や食費などが含まれます。入居してから毎月かかる月額利用料の内訳に関しては、以下で詳しく見ていきましょう。

月額利用料の内訳

居住費

公的施設の場合

公的施設の場合は、国が定めた「基準費用額」が決められています。月額は基準費用額の範囲で、施設と入居者との契約で決定します。ただし居住スペースの広さや種類によって金額は差があります。

  • 多床室
  • 個室
  • ユニット型個室
  • ユニット型個室的多床室

多床室とは複数のベッドがおかれた大部屋のことです。集団で利用することになるので、費用を抑えることができます。個室だとプライベート空間が確保された居室に住むことになり、多床室より費用は高額に。

さらにユニット型個室になると、リビングルームなどの共有スペースも利用できるので個室よりさらに料金は高くなります。

民間施設の場合

民間運営の老人ホームの場合は、公的施設と違って居室費の金額に基準はなく、施設の立地や居室の豪華さ、医療サポート体制などで差が生じます。

月額の居住費が数万円程度であるところもあれば、月に10万円以上かかる施設も。それぞれ入居する人の予算や希望に応じて幅広く設定されています。

管理費

施設設備の維持・メンテナンス費用などが含まれます。居室の水光熱費の有無など詳細は施設によりさまざまですので入居前に確認しましょう。

食費

公的施設の場合

公的施設の場合は、居住費と同様に食費も「基準費用額」が定められているので、極端に高くなったり安くなるということはありません。

食費には1日3食分が前提になっているので、食欲がなくて食事を食べなかった場合でも、1日分として減額なく請求されます。

ただし入院や外泊などで長期間食費が不要になる場合などは、事前申請をしておけば請求されません。

また、公的施設での食費は所得や資産状況によって、自己負担の限度額が段階的に設定されています。限度額については以下の表を参考にしてください。

設定区分対象者負担限度額
(日額)
第1段階生活保護受給者または老齢福祉年金受給者300円
第2段階市町村民税非課税で、本人の課税年金収入額と
合計所得金額が80万円以下
390円
第3段階市町村民税非課税で、課税年金収入額と
合計所得金額が80万円を超える方
650円
第4段階市町村民税課税世帯の方1,445円

出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)

民間施設の場合

民間施設の場合、食費の金額や条件も老人ホームによって異なります。毎月同じ金額で請求するところもあれば、食べた分だけ請求するところもあります。

公的施設と違って、多くの民間施設では食べなかった分の食費は月額から減額されます。もちろん例外はあるので、入居希望の老人ホームで確認しましょう。

民間施設では、費用だけではなく、食事の献立やメニュー素材なども施設によって違います。老人ホームで過ごしている間、食事は楽しみのひとつです。食事の豪華さと月額費用は比例するので、費用を確認しながらしっかり検討しましょう。

水道光熱費

水道光熱費については入居者負担になります。居室ごとのメーターで利用料金をチェックして、月額利用料や管理費にあわせて請求されます。

サービス加算

一般に行われる基本サービスに加えて、さらに手厚い介護や人員体制を整えている施設では、内容に応じてサービス加算の金額が請求されます。

国によって定められている項目を満たしている場合は、サービス加算の対象となります。加算の度合によって施設ごとに金額は異なりますので、注意が必要です。

上乗せ介護費用

介護保険法によって、老人ホームでは入居者3名に対して、1名の看護・介護員の配置が定められています。この人数より多くの介護職員を配置している施設では、上乗せ介護費用が発生します。

この上乗せ介護費用は入居者負担で、前払いで支払う方法や月額費用に合算して支払うこともできます。

いずれにせよ上乗せ介護費用がかかる施設とかからない施設で月額は大きく変わってくるので、施設選びの際には気を付けましょう。

介護サービス費の自己負担額

介護サービスを受ける時の自己負担額は費用の1割から3割。残りは「介護給付」によってまかなわれています。

特定施設が行う介護サービスと在宅で外部の業者にお願いするサービスの場合で、費用は変わります。

特定施設と在宅サービスの場合の費用の内容は下記のとおりです。

特定施設入居者生活介護の自己負担額

要介護度 1割負担 2割負担 3割負担
要支援1 5,490 10,980 16,470
要支援2 9,390 18,780 28,170
要介護1 16,260 32,520 48,780
要介護2 18,270 36,540 54,810
要介護3 20,370 40,740 61,110
要介護4 22,320 44,640 66,960
要介護5 24,390 48,780 73,170

出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)

在宅介護サービスの自己負担額

要介護度 1割負担 2割負担 3割負担
要支援1 5,032円 10,064円 15,096円
要支援2 10,531円 21,062円 31,593円
要介護1 16,765円 33,530円 50,295円
要介護2 19,705円 39,410円 59,115円
要介護3 27,048円 54,096円 81,144円
要介護4 30,938円 61,876円 92,814円
要介護5 36,217円 72,434円 108,651円

出典:「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)

月額利用料に含まれない主な費用

月額利用料に含まれないものとして理美容サービスや買い物代行サービスなどが挙げられる

介護保険対象外のサービス費用

サービスを受けても介護保険の対象外になるものもあります。理美容サービスや買い物代行サービスなどは全額実費負担になります。

医療費

施設に医師が常駐していない場合、老人ホームではほかの医療機関と提携して入居者の健康管理がおこなわれています。

また、専門的な診察が必要で、他の医療機関を紹介されて受診するケースもあります。このような時の医療費や薬代は基本的に月額利用料に含まれず、全額自己負担になります。

日用品や介護用品、嗜好品など自己負担となる費用

入居者が日常生活を送るうえで必要になる歯ブラシや石鹸などの日用品やお菓子などの嗜好品、入居者の個人的な趣味の品などはもちろんすべて自己負担です。

ただし、おむつは民間施設では実費請求になりますが、公的施設では施設サービス費に含まれています。

入居時費用とは

入居時費用とは、前払い家賃の意味を持つ費用です

入居時費用は「前払い家賃」の意味合いをもつ費用です。入居時にまとまった金額で請求されるので、内容についてはしっかりと理解しておきましょう。入居時費用は施設の場所や事業規模、設備の豪華さによって金額は異なります。また退去時に返還されるケースもあります。

入居時費用の種類

入居一時金とは

入居一時金とは、一定期間の月額利用料を前もって支払う金額のこと。この一定期間がどれくらいの期間なのかは特に決まりはなく施設によって異なり、入居者がどれくらいの期間、入居するかを想定した上で設定されています。

この入居一時金は、数十万円のところもあれば数千万円以上かかるところもあります。入居一時金が0円の施設も最近は登場していますが、ほとんどの有料老人ホームにあるといっても良いでしょう。

敷金、保証金とは

マンションなどを賃貸する際に支払う「敷金・保証金」と同じ意味合いで、老人ホームに入居するときも敷金や保証金が必要になります。基本的に家賃の滞納などが発生したときに備えるため金額です。

サービス付き高齢者住宅や一般型の住宅型有料老人ホームではこの形態で初期費用を支払うことが多いです。

入居時費用の3つの支払い方式

前払い方式

前払金とは、想定居住期間の家賃相当分の全額、または一部を支払うお金のこと。家賃を前払いしている分、毎月の支払い額を抑えられます。

月払い方式

前払金がないかわりに家賃を毎月支払う方式です。そのため、前払金方式と比べ毎月の負担が高くなります。

併用方式

前払金方式と月払い方式を両方を併用する方式で、想定居住期間の家賃相当分の一部を前払金として入居時に支払い、支払った金額から差し引いた家賃を毎月払う方式です。

公的施設は入居時費用が0円 社会福祉法人や地方自治体が運営している公的な老人ホームでは入居一時金がかかりません。公的施設では収入や年金の額に応じて「利用者負担段階」が決められています。経済状況が苦しい人でも利用できるので、公的施設は非常に人気があり入居待ちのところが多いようです。

支払い方式のメリット・デメリット

入居一時金については一括前払いだけではなく、分割する支払い方法もあります。それぞれのメリット・デメリットについて説明します。

全額前払い方式

メリット

最初にまとまった費用の支払いを済ますことができるので、入居してからの費用負担が軽いことです。

デメリット

入居時に一括で支払っているために、万が一老人ホームの利用料金が減額されたとしても返金がされない。

一部前払方式

メリット

償却期間前に退去しなければならない場合、入居一時金として支払った額の未償却分は返金される可能性が高い。

デメリット

全額前払いよりは月額費用が高くなる。

月払い方式

メリット

将来的に施設の利用料金が下がった時には、全額前払い方式よりトータルで支払う金額が少なくなる。また途中退去や転居もしやすい。

デメリット

逆に老人ホームの料金が上がった時に、全額前払い方式より高くなる可能性がある。

入居時費用の償却

入居時費用は家賃の前払いにあたるため、一定期間毎月賃料に引き当てられます。このように最初の費用を少しずつ使っていくことを「償却」といいます。

賃料として償却される以外に、入居時にも一定の割合で償却金が発生します。これを「初期償却」と呼びます。

償却期間や初期償却の割合は施設ごとに決められており、償却が終わる前に退去した場合は残金が戻ってきます。

返還金の例を次の図で見てみましょう。

このケースでは、600万円のうち初期償却の180万円は入居後すぐに退去しても戻ってこない金額です。残りの420万円を償却期間で等分すると1ヵ月7万円となり、この金額が毎月賃料に引き当てられられます。

入居後5年以内は償却が終わっていないため、この間の退去では入居時費用から初期償却額と毎月償却された額を引いた金額が返還されます。

老人ホームにはさまざまな権利形態が存在する

老人ホームはその施設種別によって権利形態が異なります。以下では、3つの権利形態に関して解説しています。

利用権方式

利用権方式は居室や共用設備、介護サービスや生活支援を利用する際にかかる料金をパックにした方式です。入居者と施設との間で結ぶ終身契約で、有料老人ホームではほとんどの施設が利用権方式を採用しています。

ただし、契約は入居者が亡くなった場合に消滅してしまうので、家族が権利を相続することはできません。

建物賃貸借方式

建物賃貸借方式は一般的な賃貸住宅と同様に、施設で生活をするために家賃相当額を毎月支払う方式です。介護サービスに関しては別途契約をする必要があるため、入居者の身体状況によっては月額利用料が高くなる可能性もあります。

また入居者が亡くなった場合は、同居人や親族などに相続が可能で継続して生活できます。

終身建物賃貸借方式

終身建物賃貸借方式は、都道府県知事から許可を得ている施設のみで採用されている特別な方式です。建物賃貸借方式との違いは、入居期間が終身であるということです。よって、契約者が亡くなった場合、契約終了となり相続権は発生しません。

ただし、夫婦で入居していて契約者が亡くなってしまった場合でも、配偶者が1カ月以内に申し出れば継続して生活が可能です。

短期解約特例(クーリングオフ)

「短期解約特例(クーリングオフ)」は、契約の申し込みや契約の締結をしたあとでも、一定期間であれば契約を無条件で撤回したり解除できる制度です。

介護付き有料老人ホームのクーリングオフ適用可能期間は90日間です。入居したものの施設の方針が合わない場合や必要なサービスが受けられなかったときも、この期間内に申し出れば契約が解除できます。

ただし、入居時費用のすべてが返金されるわけではありません。入居時費用から入居した日数に応じた利用料や、居室内の原状回復に必要な費用を差し引いて返金されます。

入居時に初期費用が0円の施設も増えています

初期費用がかからない老人ホームが年々増加傾向にある

「公益社団法人 全国有料老人ホーム協会」の調査によると、最近では初期費用がかからない老人ホームが増加。全国の老人ホームのうち、その数は3割程度で、年々増加しています。

老人ホームの利用は高額であるイメージがありましたが、今後初期費用がかからない施設が増えれば、老人ホームを検討する人はますます増加しそうです。

初期費用0円のメリット

初期費用0円の施設は入居時にまとまったお金がなくても入居できるのがなによりのメリットでしょう。また、人気の高い特養老人ホームがあくのを待つ間に、短期間だけ入居することもできます。

初期費用0円のデメリット

初期費用は前払家賃の意味合いがあるので、支払うことである程度月額を安定させることができます。初期費用0円の場合は、月額が高額になることもあるので、注意が必要です。

生活保護でも入居できる?

生活保護受給者でも入居できる施設はあります。公益社団法人「全国有料老人ホーム協会」の調べによれば、生活保護受給者向けに料金体系を設定している施設は、介護付き有料老人ホームが9.5%、住宅型有料老人ホームが28.4%、サービス付き高齢者向け住宅が23.9%という調査結果が出ています。

生活保護受給者向けの料金体系がある施設割合

出典:「平成25年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書」(公益社団法人 全国有料老人ホーム協会)

どの施設も半分以上は設定していない場合が多いですが、無回答もあったため、実際に生活保護受給者向けに料金体系を設定している施設はもう少し多いと言えるでしょう。

そのため、「生活保護だから施設には入居できないのか…」と諦める必要はありません。

年金のみの生活が可能なのか?

老人ホームの月額利用料は毎月数十万円かかるため、国民年金のみでは状況的に厳しい

収入が年金のみの高齢者でも、老人ホームに入居できるのでしょうか。もちろん年金額は人によって違いますし、貯蓄の額も違うので、一概には言えません。

ただし老人ホームの入居には毎月数十万円の費用がかかります。下記は令和4年度の国民年金と厚生年金の受給額の平均ですが、国民年金のみだと状況的に厳しいと言えます。

国民年金6万4816円
厚生年金21万9593円

出典:「令和4年4月分からの年金額」(日本年金機構)

老人ホームで暮らすのですから、持ち家は必要なくなります。自宅や車などの資産を売却することで、ある程度まとまった資金が手に入れば、入居資金に充当することもできます。

年金での生活が可能か資産の確認をしましょう

老人ホームに入居することを考えたら、自分の保有資産についても早めに確認しておきましょう。

高齢になると収入が年金だけになることは普通です。入居中に資金がなくなり、老人ホームを退去しなければならない。そんな事態に陥らないように、資金計画は慎重にたてるようにしましょう。

老人ホームの費用に関するよくある質問

老人ホームにかかる費用はいくらですか?

老人ホームの費用は施設の種類によってさまざまです。

介護付き有料老人ホームは入居一時金が0~数千万円。月額利用料が約15~30万円。住宅型有料老人ホームは入居一時金が0~数千万円。月額利用料が約11~25万円。グループホームは入居一時金が0~数十万円。月額利用料が約10~15万円です。

公的な施設の特別養護老人ホームでは入居一時金が0円。月額利用料が約8~14万円と種類によって金額がさまざまです。入居者の状態、経済的な状況を考え適切な施設を選びましょう。

老人ホームの費用は誰が負担した方が良い?

老人ホームの入居費用などは、本人が負担する場合が圧倒的に多いです。

ただし、年金の受給額が少なく介護サービス費など月々の支払いができないとなると一定額の負担を家族が請け負います。家族間で険悪にならないためにも、日頃から親の介護に関しての話し合いと、いざというときは誰が支払いをするかを決めておきましょう。

老人ホームを途中で退去した場合、入居一時金は戻ってきますか?

償却が終わる前に退去した場合は残金が戻ってきます。ただし施設によって償却期間が異なるため、詳細に関しては施設に確認すると良いでしょう。

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