サービス付き高齢者向け住宅を検討していくうえで、気になるのは「費用」です。サービス付き高齢者向け住宅の費用は、主に契約時に支払う「初期費用」と毎月支払う「月額費用」があり、それぞれ、「一般型」か「介護型」施設の種類によって異なります。
「一般型」と「介護型」には、費用において具体的にどのような違いがあるのでしょうか?サービス付き高齢者向け住宅で生活するためにかかる費用を、わかりやすく解説していきます。
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はじめに、サービス付き高齢者向け住宅の「一般型」と「介護型」では、実際にはどの程度の費用がかかるのかの目安として、おおまかな費用を見てみましょう。
「一般型」の施設では、通常の賃貸契約と同じ「賃貸借契約方式」がとられているため、契約時の初期費用は「敷金」です。おおむね家賃の3ヵ月分、数十万円程度が必要になるでしょう。
周辺地域の家賃相場などによっても変わってきますが、毎月支払う費用として賃料と管理費、食費など。施設で生活するために必要な費用が、15~30万程度かかると想定されます。
項目 | 費用目安 | |
---|---|---|
初期費用 | 敷金 | 数十万円(家賃2~3ヵ月分) |
月額費用 | 賃料 | 約6~8万円 |
管理費 | 約4~6万円 | |
食費 | 約4~6万円 | |
基本サービス費 | 約1万5000円~2万円 | |
水道光熱費 | 約5000~1万円 | |
その他 | 約0~4万円 |
「介護型」の施設の多くでは、契約時に、施設を利用したりサービスを受ける権利を得るための費用を前もって支払う「利用権契約方式」がとられています。
初期費用に「入居一時金」として、数十~数百万円程度を前払いする形になります。月々支払う月額費用として計算すると、20~30万円程度が想定されます。
項目 | 費用目安 | |
---|---|---|
初期費用 | 前払い金 | 数十万~数百万円 |
月額費用 | 賃料 | 約6~10万円 |
管理費 | 約4~6万円 | |
食費 | 約4~6万円 | |
介護サービス費 | 約5000円~2万5000円 | |
水道光熱費 | 約5000~1万円 | |
その他 | 約0~4万円 |
「一般型」「介護型」にかかる費用の大きな違いは「初期費用」です。サービス付き高齢者向け住宅を利用するための初期費用には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
サービス付き高齢者向け住宅の大きな割合を占める「一般型」の施設の初期費用は、通常の賃貸借契約と同じく「敷金」です。
通常、周辺地域の家賃相場に準じた賃料の2~3か月分が必要となるところがほとんど。礼金や更新料は不要なので、初期費用を低く抑えられるのは、大きなメリットであるといえます。
「敷金」の設定がない施設もあるようなので、いくつかの施設を検討されている際には確認してみましょう。
一部の施設では、初期費用として「保証金」と明記しているところもありますが、その多くは「敷金」と同じであると考えて良いでしょう。月額費用の不足分などとして充てられることもありますが、通常は退去時に、敷金」と同じように返却されます。
一方、サービス付き高齢者向け住宅のなかでも「特定施設」として指定される「介護型」の施設では、一定の家賃や、サービスなどを利用するための費用を「入居一時金」として、契約時に前払いします。
多くの施設では入居一時金として、数十万円~数百万円を前払いすることになります。契約時に費用の多くを事前に支払っているため、毎月、支払う金額を低く抑えることができます。
また、入居一時金には返還金制度が設けられているため、利用されなかった部分の費用は返還されます。
では、月々にかかる費用は、それぞれどのくらい必要となるのでしょうか?その内訳についても詳しく説明していきましょう。
「一般型」で月々にかかる費用は10~30万円ほどになると予想されます。
賃料、共益費(管理費)などは、一般の賃貸住宅と同じく毎月定額の支払いになります。
水道光熱費については、利用した分を支払います。地域、または季節により支払い額が大きく増減することもあるので、入居を検討する際には、予想される金額を施設側に確認することをおすすめします。
また、サービス付き高齢者向け住宅でのサービス支援費は必須です。施設によっては、このサービス支援費が管理費に含まれている場合もあるので、請求方法について事前にきちんとチェックしておきましょう。
多くの場合、一般型のサ高住では食べた分の食費を支払います。食事サービスを利用した場合の食費は、1日あたり1000~1500円程度、30日食分で月額3~5万円ほどとなるでしょう。
食事サービスの内容、支払い方法なども施設ごとに違うので、入居を検討をする際に確認しておくと良いでしょう。
比較的に元気な入居者の方が多い一般型の施設では、居室にキッチンが完備されていることも。ご自身で身の回りのことができる方などは、食事サービスを利用したい時にだけ予約し、普段は自炊という方もいます。
「介護型」の月額費用は、15万円~40万円程度かかると予想されます。
内訳は上記の一般型と同じですが、家賃・管理費などに加え、食費が必ずかかります。「介護型」の施設では、食事の提供が前提となっているため、食事サービスを利用しなくても、毎月定額で支払う必要があります。
「介護型」施設は居室にキッチンがないことが多いため、自炊はできないと考えて良いでしょう。施設を選ぶ際には確認が必要です。
その他、サービス付き高齢者向け住宅で生活していくために別途かかってくる費用として、本人の身体状況やライフスタイルに合わせて、下記のものが挙げられます。
診察費、薬代、通院にかかる交通費など
生活に必要な日用品(トイレットペーパー、洗剤など)や衛生用品(オムツ)など
清掃や洗濯などの家事代行サービス、外出時の送迎、付き添いサービスなど
介護認定を受けている方が介護サービスを利用した場合、介護保険サービス費の1割、または収入に応じて2~3割の自己負担分を支払うことになります。
レクリエーション活動やアクティビティへの参加費(材料費や講師料などの実費)、通信費(電話代、インターネット代)など
入居者本人が、今後どのような暮らしをしていきたいかを想像しつつ、医療費やおむつ、介護サービスの利用などの費用が将来的に加算されてくることも検討したうえで、月々にかかる月額費用を想定することが重要です。
サービス付き高齢者向け住宅の「一般型」と「介護型」の費用の違いは上記の通り。ここで考えたいのが、「では、一般型と介護型のどちらに入居すれば良いのか?」ということです。
資金面はもちろん、入居者本人の身体状況などを考えて、より慎重に検討する必要があります。
一般型のサービス付き高齢者向け住宅は、比較的健康な高齢者のための入居施設であり、施設によりさまざまではありますが、下記のように定められている場合が多いです。
上記に加え、「認知症ではないこと」「身の回りのことができること」「医療行為が必要でないこと」といった条件が付け加えられている施設もあるので、確認が必要です。
介護型では、施設によって軽度の認知症の方や高い介護度の方も受け入れている場合もあります。施設の方針などをよく調べ、利用者の状況をきちんと把握したうえで、検討することをおすすめします。
一方で、利用者の身体状況などの変化により、入居した後に施設を退去しなくてはならないケースがあるのも、想定しておかなければなりません。
特に一般型のサービス付き高齢者向け住宅では、介護が必要になったら外部の介護事業所と契約して介護サービスを利用することになります。介護サービス費用は要介護度、所得によってさまざまです。
出典:「サービスにかかる利用料」(厚生労働省)
ただし在宅介護サービスでは、定額制の施設介護サービスとは異なり利用限度額を超えた分のサービス費は全額自己負担となります。利用回数によっては高額になってしまう可能性も認識しておきましょう。
要介護度が低いうちは一般型でも良いですが、将来的に介護度が上がる(=介護サービスの利用回数が増える)ことも想定するなら、介護型への入居も検討してみると良いでしょう。
生活保護を受給していてもサービス付き高齢者向け住宅には入居できます。ただし、すべての施設が生活保護受給者を受け入れているわけではありません。
公益社団法人「全国有料老人ホーム協会」の調べによれば、生活保護受給者向けに料金体系を設定しているサービス付き高齢者向け住宅は、約3割と調査結果が出ており極端に少ないわけではありません。もし気になる施設がある場合は、生活保護受給者の受け入れに関して問い合わせると良いでしょう。
出典:「平成25年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書」(公益社団法人 全国有料老人ホーム協会)
サービス付き高齢者向け住宅は「一般型」と「介護型」でわかれており、それぞれ契約方式がさまざまです。「一般型」では、通常の賃貸契約と同じ「賃貸借契約方式」がとられており、契約時の初期費用は敷金として概ね賃料の3カ月であることが多いです。
一方、「介護型」では施設を利用したりサービスを受ける権利を得るための費用を前もって支払う「利用権契約方式」がとられており、初期費用として「入居一時金」を数十~数百万円程度を前払いする形です。
基本的な内訳として、「賃料」「共益費」「水道光熱費」「サービス支援費(安否確認や生活相談のための費用)」「食費」が挙げられます。
食費については、一般型の場合は食べた分の食費を支払うに対し、介護型では、食事の提供が前提となっているため、食事サービスを利用しなくても、毎月定額で支払う必要があるので注意が必要です。
入居者の身体状況などにもよりますが、初期費用を抑えつつある程度自由に生活していきたいということであれば「一般型」を選ぶのが得策と言えるでしょう。
ただし、「将来的に介護の心配がある」や「食事を自分で作るのが厳しくなってきた」などの不安がある場合は、「介護型」のサービス付き高齢者向け住宅の方が安心して生活することができます。
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