認知症かなと思ったら、早めに病院に行き診察を受けたいところ。認知症は、予防と早期発見がとても大事です。
では実際、認知症の診断はどのようにおこなうのでしょうか?
まずは病院選びから始まり、どのように診断されるのか、また診断後はどのようなことに注意すれば良いのかを解説していきます。
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まずは本人や家族の問診がおこなわれ、どのような症状があるのか、日常生活や家族が困っていることなどが聞かれます。
その後の診察では血圧などの健康面と発語、聴力、歩行状態をチェックした後で、いくつかの検査がおこなわれ診断がおります。
認知症診断の流れは以下の通り。
認知症診断では、問診を含む面談、他の病気の可能性も確認するための身体検査、神経心理学検査と脳画像検査となります。
まずは本人と家族に対して医師の面談があり、過去の病歴や現在の状態についてヒアリングがおこなわれます。正確に伝えるために、あらかじめ内容をまとめたメモなどを準備しておくと良いでしょう。
身体検査では、一般的な健康診断や人間ドックのような内容(レントゲン、血液検査、尿検査、血液検査など)をおこないます。
認知症だけではなく、他の病気の有無や身体の状態について確認します。
認知症検査は「脳画像検査」と「神経心理学検査」の2種類があります。
脳画像検査はCTやMRIで脳を撮影して、脳の状態を検査するものです。神経心理検査は脳の働きをチェックする検査。絵を見て絵の内容を答えるものや、記憶の確認、単純な計算問題などです。
神経心理検査には「長谷川式簡易知能評価スケール」や「ミニメンタルステート検査」「時計描画テスト」といったものがあります。
持病などがなく、かかりつけ医がいない場合には認知症を専門としている精神科や心療内科、脳神経科を受診することになります。
自治体では認知症サポート医やもの忘れ相談医などをリストにしているところも多いので、本人がお住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみると、情報を共有してもらえますよ。
自覚症状がなかったり、強い不安感などから本人が診察に強い抵抗を示すこともあるでしょう。診察を拒否された場合、次のような方法を試してみてください。
本人のためにも早めに受診してもらうには「認知症の検査に行こう」と言うのではなく、別の方法で病院に連れ出すようにしましょう。
本人が信頼している人やかかりつけ医に診察の必要性を話してもらうのも、ひとつの方法です。また、地域包括支援センターに相談しアドバイスをもらう方法もあります。
本人の健康診断や「眠りが浅くなった」など、健康上の少し気になる症状を相談に行くと言って診察を受けてもらう方法もあります。
家族の病院の付き添いや、「自分の認知症の検査のついでに一緒に検査してみないか?」などと言って病院へ連れて行くのも良いでしょう。
その際は、あらかじめ医師や看護師に話をしておいたり、気になる症状をまとめたものを渡したりすると診察がスムーズに進みます。
普段病院に行き慣れていないなど、病院に強い抵抗感がある場合は地域の民生委員や地域包括支援センターと連携し自宅へ訪問し認知症の診療をおこなっている病院もあります。
2014年度には地域包括支援センターや認知症疾患医療センターなどを拠点とした「認知症初期集中支援チーム」が国の事業として設置されました。
医療や介護の専門職が、かかりつけ医や認知症疾患医療センターと連携しながらチームで認知症の方と家族への支援をおこなってもらえます。
認知症の診察を受けるのを嫌がっているなどでお困りの場合も、地域包括支援センターへ相談してみましょう。
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認知症の平均発症年齢は51歳と言われています。そのため大切になるのが、認知症にならないように早い段階から意識しておくこと。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることもできます。
認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減します。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。
また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。
あわせて、適度な運動も大切です。適度な運動をすることで、筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また運動は、身体だけではなく脳にも良い刺激をもたらします。
認知症には早期発見、早期治療が重要です。認知症の初期症状である記憶障害は単なるもの忘れとして見逃されることも多いのですが、早く対処すれば進行を遅らせることもできます。
他の病気と同様に、放置しておくことは非常にリスクがあります。早い段階からさまざまな治療をうけておくことで、たとえ認知症でも、症状を抑えて生活することも可能です。
認知症に似た症状が出ていても、実は認知症ではなく似た症状があらわれる疾病もあります。以下が主な例です。
以下で詳しく説明しますが、認知症との違いを見極めるには専門的な知識が不可欠。認知症かな?と思っても自己判断せず、医師の診察を受け正確な診断を受ける必要があります。
誰でも年を重ねるともの忘れが多くなるもの。「昨晩の夕食に何を食べたか」など、一部を忘れてしまっているだけで、もの忘れしていることは自覚しています。ヒントがあれば思い出せることも多いため、日常生活で困ることはそれほどないでしょう。
認知症によるもの忘れは「昨晩の夕食を食べたか」といった行動自体を忘れてしまい、もの忘れをしている自覚がありません。ヒントがあっても思い出せないため、日常生活に困難が生じるでしょう。
もの忘れの自覚がないため、もの忘れを認めなかったりごまかしたりすることもあり、家族とトラブルになることも多くあるでしょう。介護される方、介護する方にとっても厳しい環境となってしまいます。
病気や薬などの影響や環境の変化によって生じる意識障害や混乱状態をせん妄と呼びます。突然、幻覚やつじつまの合わない言動などを発症し、認知症とよく似た症状であることから間違われることが多いです。
せん妄は一過性であることが多く、治療によって改善することができます。突発的に症状が出た場合は、認知症ではなくせん妄を疑いましょう。
ただ、認知症の方でもせん妄の症状が出ることがあり、すぐに認知症ではないと言い切ることはできません。認知症の場合は突然ではなく徐々に症状があらわれるので、日頃から注意が必要です。
くも膜下出血や髄膜炎、頭部の外傷などが原因となり、髄液が脳にたまりすぎてしまうことで起こるのが正常圧水頭症です。髄液が脳を圧迫し、認知症のような症状が徐々にあらわれます。
集中力や意欲の低下が目立ち、歩くのが遅くなったり歩きにくくなったりといった歩行障害や、おしっこが間に合わなくなることが増えたなどの症状がよく見られるため、認知症と間違われることの多い病気です。
認知症と診断された方の高齢者の約5〜6%は正常圧水頭症ではないかとも言われています。正常圧水頭症は脳神経外科で手術をし、髄液が正常に流れるようになり脳への圧迫が治まれば症状も改善します。
脳内の血管が切れ、1~2ヵ月ほどかけて脳に徐々に血がたまることで起こるのが慢性硬膜下血腫です。
「お酒を飲み過ぎたときに転んだ」「物を拾おうとしてテーブルなどに頭をぶつけた」といった、ぶつけたことを忘れてしまう程度の頭部の外傷などでも起こりうるので、問診だけでは診断が難しく、CTやMRIの撮影をして診断します。
時間や場所が分からなくなるといった見当識障害、注意力の低下や聞いたことを理解する力が衰える、計算ができなくなるといった症状が数週間から数ヵ月かけてあらわれてきます。頭痛や吐き気、失禁や歩行障害などを伴うこともあります。
手術で血栓を取り除けば劇的に症状が改善することも多く、正しい診断と適切なタイミングでの治療が重要です。
認知症には3大認知症といわれる「アルツハイマー型認知症」、「レビー小体型認知症」、「脳血管性認知症」があり、発症の仕組みによって分類されています。
認知症で最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、アミロイドβやタウタンパクというたんぱく質が脳にたまることで神経細胞が減少し、脳全体が委縮することで起こります。
もの忘れや時間の見当識障害、料理がうまくできなくなるなどの実行機能障害実行機能障害が見られ、これらの症状からうつや無気力、幻覚、や妄想、暴言や暴力などの二次的な行動・心理症状が生じることがあります。
適切な支援や環境が整えば、二次的な症状を防げる場合があります。
「レビー小体型認知症」は、レビー小体というたんぱく質のかたまりが脳にたまり脳の神経細胞の数が徐々に減少することで起きる認知症です。
「レビー小体型認知症」では、認知機能の低下よりも先に、手足が震える、筋肉が硬くなるといったパーキンソン症状があらわれます。幻視やレム睡眠行動障害といった特有の症状が見られるのが特徴です。
「アルツハイマー型認知症」と「レビー小体型認知症」には根本的な治療法はなく、薬によって症状の進行を遅らせることはできます。
「脳血管性認知症」は脳の血管に出血やつまりが生じ、脳細胞が死滅することによって引き起こされる認知症です。アルツハイマー型認知症に比べて男性の割合が高く、女性の2倍近い報告があります。
「脳血管性認知症」ではもの忘れなどに加え、できることとできないことの差が大きかったり、1日のうちでも症状の変動が大きかったり、感情をコントロールしにくいなど特有の症状が見られます。
症状に波があり、障がいを受けていない機能は保たれているので症状の発見が遅れる傾向があるので注意が必要です。
いずれの認知症でも、発症された方自身ができないことにいらだちを覚えたり、自尊心を傷つけるような方法を取ってしまうと、認知症以外の二次症状を起こしかねません。
本人の認知症の特性を理解し、適した対応を取ることで症状の安定へと繋がります。
認知症を発症しても、初期の段階ではご家族と一緒にこれまでと同じようにご自分の家で日常生活を送っても問題ありません。
しかし、症状の進行にともない、身体的な介護負担が増えていくと介護する方の精神的な負担も大きくなります。
認知症を発症したらまずは介護認定を受け、ケアマネジャーに依頼して必要な介護サービスの利用を検討しましょう。
介護サービスにはホームヘルパーが自宅を訪れ身体介護や生活支援をおこなってくれる「訪問介護」や、自宅に専用の浴槽を持ち込みスタッフが入浴介助をおこなってくれる「訪問入浴介護」、食事や入浴などの生活支援やレクを介護施設で日帰りでおこなう「デイサービス」、介護施設などに宿泊する「ショートステイ」などがあります。
介護の形は家庭によってそれぞれ違います。介護する方の負担を減らし、介護疲れを防ぐことも大切な介護支援と考えられていますので、積極的に利用しましょう。
愛する家族が認知症を発症することは、とてもショックなことです。家族が変わっていく姿を見ることは辛いですし、ストレスを感じてしまいます。
介護をするときに重要なのは、必要以上に頑張りすぎたりせずに、自分自身の健康や時間も大切にすることです。
認知症の家族を介護する中で、不満や悲しみは生まれてきます。その気持ちをずっと自分だけでしまっておくと、いつか爆発してしまいます。
負の感情は溜め込まないことが一番です。時々は友人に愚痴をいったり、家族につらいと本音をこぼしたり、カラオケで発散させたり。気持ちを切り替えながらやっていきましょう。
介護をしているときは大変すぎて、自分一人に抱えてしまいがちです。しかし、介護を一人でするのは不可能です。周りの人や外部のサービスを上手に利用して、まわりに頼りながらやっていきましょう。
本人や家族の問診がおこなわれ、どのような症状があるのか、日常生活や家族が困っていることなどが聞かれます。その後、一般的な健康診断をおこない、認知症検査も実施されます。いつかの検査を受けた後、医師より診断がおります。
本人のために早めに受診してもらうには、本人が信頼している人やかかりつけ医に診察の必要性を話してもらうのが方法としてあります。また家族がアプローチする際は、無理矢理ではなく本人の気持ちを尊重しつつゆっくりと話しを進めましょう。
認知症にならないために日頃から意識することとして「食生活の意識」「適度な運動」「良質な睡眠」「ストレスを溜めない」などが主に挙げられます。また少しでも身体に異常を感じたら早めに病院を受診しましょう。認知症は早期発見、早期治療が重要です。
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