「家族が認知症かもしれない」「認知症になったとき介護はどうすればいいのだろう」。そんな不安や疑問を抱えている人は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、認知症の人を介護する際に必要なポイントや心得を紹介します。
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認知症の人が見ている世界と現実にギャップが生じないようにすることが大切です。
認知症の人に合わせて会話をすることが負担だったり、不本意に感じることもあるかもしれませんが、気持ちやペースを理解し寄り添った対応を心がけることは、自尊心を守り、安心感を与えることに繋がります。
こういった丁寧な対応は、結果的に介護をスムーズに進め、介護者の負担を少なくします。
認知症になると記憶障害だけでなく徘徊や暴言・暴力、不眠、不潔行動などさまざまな症状が現れるため、家族のサポートが必要となります。
しかし家族は、認知症の方が今までできていたことができなくなっていく様子に、気持ちや対応が追いつかない場合がほとんどです。そのためどうしていいのかわからず、認知症の方に対し「ついつい怒ってしまう」「遅いからと急かす」などの行動を取ってしまいます。
適切に対応するためには、以下の3点に注意することが必要です。
このようなポイントを踏まえて対応することで、認知症の方の気持ちや行動は落ち着いてきます。また、認知症の方が今できることを把握し、その能力を活かせるように支援していくことも大切なことです。
認知症はすべてが同時にわからなくなるわけではありません。認知症の進行具合にもよりますが、自分がどこいるか、目の前のものが何なのかがわからなくなっても、わからないことへの恐怖や、今までできていたことができなくなったことの不安は、認知症を発症した本人が最も強く感じています。
そんな感情をもちながら介護を受けると、「家族の手を煩わせるのは申し訳ない」「自分は何の役にも立てない」というさらなる不安や恐怖に繋がり、BPSDを助長させることにもなります。
同じ状況ならどう感じるか、どんな気持ちになるか、認知症を発症した本人の気持ちに寄り添ってコミュニケーションをとってみましょう。
普段接する時はもちろん、介護をする・される上で信頼関係を築くことは重要ですが、そう簡単に築けるものではありません。
特に家族の場合だと、失敗した時にそれまでと同じように叱責してしまうこともありますが、認知症を発症しても羞恥心やプライドは残っています。怒られたり無視されることでストレスが溜まり、BPSDが悪化することもあります。
失敗しても否定したり叱ったりせず、不安になるような話し方や行動は極力避けましょう。その上で、本人が心からくつろげる環境を整えたり、喜びや安心につながるコミュニケーションをとるなど、焦らずゆっくり信頼関係を築きましょう。
認知症を発症すると、中核障害の影響でさまざまなことが出来なくなったり、動作が遅くなったりします。行動が遅いと「私がやった方が早い」と手を出してしまいがちですが、本人にも自尊心やプライドがあります。
自分でできることは自分でやってもらう、本人のやる気や動作に合わせて行動するなど、なるべく本人のペースに合わせましょう。
また、認知症の症状によっては出来事自体を忘れてしまうことがあります。そんな時は問いつめたり、無理に思いださせる必要はありません。深く追求せずに話を合わせるのも大切です。
認知症にとって環境の変化は、BPSDを悪化させる大きな要因です。
認知症を発症した方は環境の変化に非常に敏感なので、周囲に何らかの変化があると、それだけで大きなストレスを感じます。そして、ストレスや不安といったマイナスの感情は、BPSDを悪化させる原因のひとつです。
そのため、習慣や日課の変更、部屋の模様替えなどはできるだけ避けましょう。引っ越しや入居などでやむを得ず環境が変わる場合は、使い慣れた小物や家具を使って安心できる環境を整えてあげるのが大切です。
認知症は完治することなく、長期戦のリスクも高い症状になります。認知症の人を介護することはとても負担が大きく、ストレスをためやすくなります。認知症介護にめぐり、痛ましい事件が起きることもあります。
認知症介護を続けるために、大切な心得について説明します。
愛する家族が認知症を発症することは、とてもショックなことです。家族が変わっていく姿を見ることは辛いですし、ストレスを感じてしまいます。
介護をするときに重要なのは、必要以上に頑張りすぎたりせずに、自分自身の健康や時間も大切にすることです。
認知症の家族を介護する中で、不満や悲しみは生まれてきます。その気持ちをずっと自分だけでしまっておくと、いつか爆発してしまいます。
負の感情は溜め込まないことが一番です。時々は友人に愚痴をいったり、家族につらいと本音をこぼしたり、カラオケで発散させたり。気持ちを切り替えながらやっていきましょう。
誰かと比べるというのは、どうしてもマイナスの感情を生み出しやすくなります。特に認知症は、人によって症状の重さや症状のあらわれ方は違います。ほかの認知症の人と比べてどうということは考えても仕方ありません。誰かと比較して、悲しい気分になるのはやめましょう。
介護をしているときは大変すぎて、自分一人に抱えてしまいがちです。しかし、介護を一人でするのは不可能です。周りの人や外部のサービスを上手に利用して、まわりに頼りながらやっていきましょう。
介護は大変なので、どうしても介護に手いっぱいでまわりを見たり、今の時間を楽しむ余裕はなくなります。しかし介護は永遠に続くわけではありません。長い目で介護についてとらえて、なるべく「今」を大切に過ごしましょう。
認知症の介護は心身ともに負担がかかるため、介護する家族はストレスを多く抱え込む傾向があります。もし介護者が倒れてしまうと、その後の介護を継続することはできなくなり、他の家族にも混乱が生じます。
限界を感じたときは、介護うつや介護疲れになる前に地域包括支援センターや医療機関、居宅介護支援事業所などで専門家に相談するのが良いでしょう。また、介護者が一時的に介護から離れ休息を取る、「レスパイトケア」という考え方も重要です。
レスパイトケアは地域包括支援センターに相談することで、利用できます。認知症の介護は終りが見えないうえ、「家族のことだから」と頑張り過ぎてしまいます。
介護者自身が、人生を楽しむ時間と健康を維持できるよう、周囲からのサポートや公的なサービスは積極的に利用しましょう。
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認知症になっても住み慣れた環境で過ごさせてあげたいと家族が考える気持ちは理解できます。ただし、認知症の症状が進んでいくと、家族による在宅介護では対応ができなくなることもあります。その場合は専門の施設への入居も検討するようにしましょう。
認知症の人を受け入れている代表的な施設について説明します。
小規模多機能型居宅介護とは「通所」「訪問「宿泊」の3つの機能を有した介護施設のことです。比較的新しく登場した地域密着型サービスの一つで、どのようなケアも同じ事業所の同じスタッフが対応するので、新しい人が苦手な認知症の人に適しています。
実際に小規模多機能型居宅の利用者は8割程度が認知症の人と言われています。認知症の高齢者の受け皿として期待されていますが、小規模な事業所が多く、入居待ちの人が多いことが残念です。
認知症の高齢者のみを入居対象としているのがグループホームです。認知症の知識と経験があるスタッフが常駐しているのが特徴です。
入居者は少人数で「ユニット」という単位にわけられて、ユニットごとに配置されたスタッフが対応します。これも認知症の人が新しい人に不安を感じるために、なじみのスタッフでサポートできるよう工夫されたシステムです。
入居者にはそれぞれの役割や責任があたえられるので、それを満たすことによって入居者に達成感ややりがいを与えることができます。
グループホームは住民上のある市区町村の中でのみ選択可能です。また介護状況の進行に伴い、介護付き有料老人ホームへの転居を勧められるケースもあります。
介護付き有料老人ホームは、24時間介護スタッフが常駐して、食事や入浴など身の回りのサポートを受けられる施設です。
民間企業が経営しているものが多く、金額や施設、サービス内容についてもさまざまです。
終身利用を原則としており、認知症や要介護5の人まで幅広く受け入れ可能。看取りのサービスまであるので、他の施設のように途中で転居しなければならないということもありません。
また、住宅型やサービス付き高齢者向け住宅でも最近は認知症の対応が可能としている施設が増えています。気になった施設があれば、問い合わせをして事前に受け入れについて確認しておきましょう。
認知症の人を介護する際に気を付けることは、「気持ちを理解する」「信頼関係を築く」「ペースを合わせる」「環境の変化は最小限に抑える」などが挙げられます。
家族が認知症になってしまった場合、今までできていたことができなくなっていく様子に、気持ちや対応が追いつかない場合がほとんどです。適切に対応していくためには「驚かせない」「急がせない」「自尊心を傷つけない」といったことも意識すると良いでしょう。
介護うつや介護疲れになる前に、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談したり、レスパイトケアを利用しましょう。レスパイトケアは、介護から一時的に開放され心身ともにリフレッシュさせる、介護者のためのケアのことです。
認知症介護を難しくなってきたら、小規模多機能居宅介護やグループホームへの入居も検討しましょう。
小規模多機能型居宅介護は「通所」「訪問「宿泊」の3つの機能を有した施設のことです。一時的に宿泊などを利用することによって介護者の負担を減らし、在宅介護も継続することができます。
また、グループホームは認知症の人を入居対象とした施設で、認知症の知識と経験があるスタッフが常駐しています。入居者はそれぞれ役割や責任が与えられ共同生活を送ります。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。