要介護認定を受けるためには、「主治医意見書」を医師に作成してもらう必要があります。ただ、「どんなことに使われるの?」「どうやって取得すれば良いの?」と疑問を持つ方も少なくないでしょう。
そこで今回は、主治医意見書の役割や書類のもらい方、主治医がいない場合の対処法を解説。この記事を読めば、スムーズに要介護認定の申請手続きを進められますよ。
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主治医意見書とは、市区町村が要介護・要支援認定をおこなう際に用いられる書類のこと。要介護認定の申請者が介護保険サービスを必要とする要因について、主治医が医学的な意見をまとめています。
この書類には、医師が申請者の病気や怪我の既往歴、投薬状況、特別な医療の必要性、症状の変化の予測、生活機能低下の原因、認知機能の状態といった所定の事項について記載します。
主治医意見書には以下のような役割があります。
次項から具体的に解説していきます。
主治医意見書は、要介護判定をおこなう際にどのくらいの介護が必要になるかを確認するための資料となります。
要介護認定審査は2段階。一次判定では認定調査の結果と主治医意見書の内容をもとにコンピュータで統計的な審査をします。二次判定は介護認定審査会でおこなわれ、一次判定の結果をもとに、主治医意見書の内容を踏まえながら最終判断します。
このように、申請者一人ひとりの心身状態を医学的に正確に伝えるために重要な役割を担っているのが主治医意見書です。
認定調査結果の確認や修正にも主治医意見書が用いられます。認定調査は、自治体の職員や自治体が委託した介護保険施設の職員などがおこなうため、申請者の状態によっては医学的な確認や補足が必要な場合があるからです。
認定調査結果よりも主治医意見書の内容を重視すべきと判断された場合は、判定が変更されるケースもあります。このように主治医意見書は要支援・要介護の判定審査においてとても重要です。
主治医意見書は「状態の維持・改善の可能性」を評価するためにも使われます。この評価は、「要介護認定等基準時間が32分以上50分未満」と判断された方が要支援2と要介護1のどちらに該当するのかを判定するものです。
※「要介護認定等基準時間」:申請者の状態から推定した「介護に要する時間」を分単位で示したもの。
「状態の維持・改善可能性」評価で「認知機能低下」と「心身の状態不安定」のどちらも該当しない方は要支援2、いずれかまたはどちらも該当する方は要介護1となります。
この結果、要支援2の方は「介護予防サービス」を、要介護1の方は「介護サービス」を受けられるようになるのです。
主治医意見書は、ケアプラン(介護サービス計画)作成時にも利用されます。ケアマネジャーなどの介護サービス提供者は、申請者の同意を得ることで主治医意見書の閲覧が可能です。
例えば、「医学的管理の必要性」や「医学的観点からの留意事項」といった項目に記載されている内容を参考にし、申請者にとって必要な介護サービスを検討します。ケアプランの作成には欠かせない情報が記載されているので、ケアマネジャーは主治医意見書の内容を重視しています。
第2号被保険者は、40~64歳までの医療保険加入者のこと。65歳以上である第1号被保険者が介護保険サービスを受ける際は要介護認定の原因を問われませんが、第2号被保険者がサービスを受けられるのは、要介護認定の原因が「特定疾病」の場合に限定されています。
特定疾病とは、末期がんや関節リウマチ、初老期における認知症などの16種類です。これらの疾病が生活機能低下の原因なのかを判断するため、主治医意見書が必要になります。
主治医意見書のもらい方は2通りあります。それぞれの流れも詳しくみていきましょう。
主治医意見書は申請者から直接かかりつけ医に依頼できます。
ただし、用紙の様式は全国一律なので、必ず市区町村の窓口などで用紙をもらいましょう。自治体によっては、インターネットからダウンロードすることも可能です。
主治医意見書を直接もらう場合の流れは以下の通りです。
当日いきなり主治医意見書を依頼するのはNGです。事前に医師へ作成して欲しい旨を伝えておきましょう。
次に、市区町村からかかりつけ医に主治医意見書を依頼する方法です。
まず、市区町村の窓口にかかりつけの病院名・住所・医師名などの基本情報を伝えます。その後、市区町村は申請者から聞き取った情報に基づいて医師に書類を送付し、作成を依頼します。書類を受け取った医師は様式に従って記入し、市区町村に送り返します。
市区町村からかかりつけ医に依頼する場合の流れをまとめると、以下のようになります。
かかりつけ医がいない場合の対処法としては、以下の3つが挙げられます。ひとつずつ見ていきましょう。
過去に受診歴のある医師をかかりつけ医にできます。主治医意見書を作成する医師は、何科であっても問題ありません。申請者の状態を少しでも分かっている医師がいるのであれば、主治医意見書の作成を依頼してみましょう。
かかりつけ医がいない場合は、市区町村の窓口に相談するのもひとつの方法。地域の医師会を通じて、医師を紹介してもらえることもあります。紹介された指定の医師に診察してもらって、主治医意見書の依頼をすることも可能です。
地域で通いやすい病院を探し、まずは受診してみましょう。その際は、要介護認定の申請を予定している旨を伝えることが大切です。担当医がそのままかかりつけ医になることがほとんどですが、適切な医療機関や医師の紹介を受ける場合もあります。
複数の病院に通院している場合は、過去1ヵ月以内に受診歴があり、申請者の心身状態を詳しく把握している医師に依頼しましょう。なぜなら主治医依頼書に記載するのは、最新の情報であることが望ましいからです。
なお、前回の受診から期間が空いている場合は改めて受診し、主治医意見書の作成を依頼したいことも伝えましょう。
主治医意見書の作成にかかる費用について、気になる方も少なくないでしょう。実は、費用は市区町村が負担するため、申請者が支払う必要はありません。
主治医意見書とは、申請者の介護保険サービスの必要性について、かかりつけ医が医学的な意見を記載する書類です。要介護・要支援認定の審査をおこなう際の参考資料となり、コンピュータによる一次判定、二次判定の介護認定審査会でも使用されます。
主治医意見書には、既往歴や認知症の有無、日常生活の自律度、特別な医療の有無などについて細かく記載されています。どのくらいの介護が必要になるかを確認する資料として、要介護・要支援認定の審査やケアプラン作成時に用いられます。
診断書は、医師が病名や症状などの医学的事項を記載するだけのもので、基本的に内容を本人に確認することはありません。意見書は、かかりつけ医が本人の病気や症状などについて、医学的観点に基づいた意見を記載する書類です。
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