本人や家族が介護保険サービスを受けるとき、「費用はどのくらいかかるの?」「毎月払い続けるのは大変」といった疑問や不安を持っている方は多いのではないでしょうか。
介護保険サービス費は、所得に応じて料金の1割から3割を自分で負担しなければなりません。さらに、介護保険の支給限度額を超えてサービスを利用した場合、超過分は全額自己負担となってしまいます。
そこで、介護費用の負担が重くなりすぎることを防ぐため、高額介護サービス費という制度があります。
本記事では、限度額を超えた自己負担分を還付してくれる高額介護サービス費について、その対象サービスや申請方法などを紹介しています。サービスを利用する際の参考にしてみてください。
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高額介護サービス費は、介護保険サービスの利用者の経済的負担が重くなり過ぎないように設けられた制度です。月々の自己負担額に上限を設け、自己負担が限度額を超えた場合、超過分が払い戻されます。
自己負担の限度額は、サービスを利用する方の世帯所得や個人所得に応じて定められています。
では、具体的にどのようなサービスが高額介護サービス費の対象となるのでしょうか。以下の3つのサービスに関して見ていきましょう。
居住サービスは、自宅で生活しながら受ける介護サービスです。
自宅で介護を受けられる訪問型、施設に通い介護を受ける通所型、短期間の宿泊をともなう短期入所型の3種類がこれに該当します。
例えば、訪問介護や訪問入浴、デイサービス、ショートステイ、などが居住サービスにあたります。
施設介護サービスは、介護施設に入居して受ける介護サービスです。
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院の4施設が施設介護サービスにあたる公的施設です。
地域密着型サービスは、要介護者が慣れ親しんだ地域で生活を続けられるように提供される介護サービスであり、事業所のある市区町村に住む方のみ利用できます。
主に夜間対応型訪問介護、認知症対応型デイサービス、グループホームなどが地域密着型サービスにあたります。
施設利用時にかかる食費や居住費、日用品の購入にかかる費用は、介護保険の対象外であり、高額介護サービス費の支給対象に該当しません。また、介護保険が適用されていても、高額介護サービス費の支給対象にならないものがあります。対象外のサービスは以下の通りです。
高額介護サービス費の負担限度額は、介護サービスを受ける人が属する世帯の所得と本人の所得によって決まります。2021年(令和3年)8月には、限度額に変更があり、高所得者の上限額が引き上げられました。
区分 | 負担の上限(月額) |
---|---|
生活保護を受給している方など | 15,000円(個人) |
前年の「公的年金等収入額」と「その他の合計所得金額」の合計が年間80万円以下 | 24,600円(世帯) 15,000円(個人※1) |
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方 | 24,600円(世帯) |
市区町村税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 44,400円(世帯) |
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 | 93,000円(世帯) |
課税所得690万円(年収約1160万円)以上 | 140,100円(世帯※1) |
表中の世帯は、世帯合算ができるという意味です。そのため、個人では上限を超えていなくても、同じ世帯に介護サービス利用者がいれば合算できるということです。例えば、夫婦2人とも介護認定を受けていた場合、合算した利用額が上記の自己負担限度額を上回れば、超えた分が払い戻されます。
例として、世帯の自己負担の上限が月24,600円の世帯で、1か月間の自己負担の合計40,000円だった場合は15,400円が払い戻される計算になります。
介護サービスの利用料が負担限度額を超えると、自治体から支給申請書が送られてきます。受取口座などの必要事項を記入し、捺印して窓口に提出しましょう。一度申請すれば、次回該当月からは自動的に手続きがおこなわれます。
なお、受取口座を変更したい場合は、別途手続きが必要です。
高額介護サービス費の申請は、介護サービス利用日の翌月1日から2年以内におこなう必要があります。期限が過ぎてしまうと、該当するサービス料の払い戻しができなくなるので、申請書が届いたら早めに手続きをおこないましょう。
高額介護サービス費には、自治体から利用者に直接支給される「本人償還」と、利用者が施設に支払う金額を限度額までとし、超過分は自治体から施設へ支払われる「受領委任払い」の2通りの支給方法があります。
通常の支給方法です。利用者が介護サービス料を全額施設に支払い、限度額を超えた金額が後日指定の口座に振り込まれます。
利用者が全額窓口で支払う場合、利用するサービスによっては高額になってしまう可能性があります。そこで、利用者の施設への支払いは限度額までとし、超過分を直接、自治体から介護施設に支払う方法が受託委任払いです。
ただし、この制度の利用には施設の同意が必要となるため、利用を希望する際は事前に確認しましょう。
高額介護サービス費は、利用者の費用負担を軽減する制度です。個人や世帯の所得によって決められている月々の負担限度額を超えた場合、払い戻しがおこなわれます。
介護サービスを利用した月の翌月1日から2年間の間が申請期間です。期間を過ぎてしまうと申請できなくなるので、申請書が届いたら速やかに手続きしましょう。
介護サービスを受けた月の翌々月末頃に送付する自治体が多いようです。例えば、1月に利用した介護サービスの費用は、3月末頃に申請書が届きます。
送付時期は自治体によって異なるので、お住いの自治体に問い合わせておくと安心です。
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