ケアハウスへ入居する際、住民票を異動するかどうか迷いますよね。市区町村をまたぐ住民票の異動によって介護保険料が変わる場合もあります。介護保険料が安くなれば良いですが、高くなる場合には住民票を異動するか迷う人もいるでしょう。
市区町村をまたぐ住民票の異動によって介護保険料が高くなる場合には「住所地特例」を利用できます。
住所地特例とは、転居の際に市区町村が変わっても、転居前の介護保険料と変わらずにいられる制度です。
この記事では、住所地特例について解説します。また、住民票を施設の住所へ移した方が良いのか、住民票を移すメリット・デメリットも紹介しますので、あわせて参考にしてください。
Contents
ケアハウスでは住所地特例を利用できます。
「住所地特例」とは、転居した後も、転居前の市区町村が継続して介護保険の保険者となる制度です。
そもそも「介護保険」は、全国の市区町村が運営しています。介護保険における「保険者」は市区町村で、介護保険料は市区町村ごとに異なります。
そのため、もともと住んでいた市区町村から引っ越して別の市区町村にある施設へ入居し、住民票を移した場合、転居先の市区町村によっては転居前よりも介護保険料が高くなってしまうことがあります。
住所地特例を利用すると、転居前の市区町村が保険者となるので、介護保険料は転居前と変わらずにいられます。住所地特例は転居先の介護保険料が高い場合に非常に助かる制度です。
住所地特例の対象施設は下記です。
参考:「住所地特例<参考資料>」(厚生労働省)
住所地特例は介護施設のみ対象です。訪問介護などのサービスで介護保険を利用していても、転居先が自宅の場合は住所地特例を利用できません。
また、「地域密着型サービス」の老人ホームやグループホームは住所地特例の対象外です。
ケアハウスへ入居する場合、基本的には住民票を移す義務はありません。住民票を移すか移さないかは、本人や家族の都合に合わせましょう。
介護保険料は市区町村によって異なるので、ケアハウスがある市区町村によっては安くなる場合があります。介護保険料が安くなる場合には、住民票を異動するのがおすすめです。
住民票の異動により介護保険料が高くなってしまう場合には、住所地特例を利用しましょう。
入居しているケアハウスへ住民票を移すと、入居している本人宛の郵送物が施設に届くようになります。基本的に、役所などからの郵便物は住民票の住所に送られてきます。住民票を移しておけば重要な書類が直接、入居している施設に届くので、見逃しがなく安心です。
家族が近くに住んでいて間を置かずに届けに行けるのであれば良いですが、家族が遠くに住んでいたり、会いに行く時間が確保できない場合は、住民票を移して郵便物を入居先の施設で直接受け取れるようにした方が、お互いの負担が少なくなるでしょう。
住民票をケアハウスの住所に変更すると、これまで自宅に届いていた入居者宛の郵送物が施設に届くようになります。
入居者ごとにポストが用意されている施設であればプライバシーが守られますが、郵便物が施設の受付などに届く場合、郵便物が入居者本人や家族より先に施設のスタッフの目につきます。
管理してもらって安心という見方もありますが、「どこからの郵送物が届いているのか、施設のスタッフに知られたくない」と思う人もいるでしょう。
プライバシーが気になる郵便物は主に以下が考えられます。
老人ホームでは個人情報の取り扱いは厳重に管理されているため、郵便物が悪用されることはありません。しかし、プライベートな郵便物を見られるのが気になる場合は、郵便物の取り扱い方、郵便物を目にする可能性のあるスタッフなどを確認しておきましょう。
入居者に届いた個人宛の郵便物を老人ホームのスタッフが開封することは、原則としてありません。もし中身を見た形跡があった場合は、老人ホームで信頼できるスタッフに相談してみましょう。
ケアハウスへ住民票を移す際の注意点は主に以下です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
入居したケアハウスへ住民票を異動させる際には、転居先の市区町村の介護保険料を確認しましょう。
転居先の市区町村の介護保険料が転居前より安い場合は、住所地特例を利用する必要はありません。そのため、転居先の市区町村の介護保険料を事前に確認しましょう。
転居先の市区町村の介護保険料が転居前より高い場合は、住所地特例を利用しましょう。住所地特例は市区町村へ申請しないと利用できません。住所地特例を利用する際は、施設にも書類を作成してもらう必要があるので、事前に施設のスタッフに相談しましょう。
住民票を異動した後は、14日以内に受給資格証明書を役所に提出しましょう。
「受給資格証明書」とは、要支援・要介護認定を受けている高齢者が市区町村をまたいで転居した際に、転居先で再び要介護認定審査を受けることなく、転居前の介護度を引き継ぐための証明書です。
受給者資格証明書は、住民票を異動した日から14日以内に新たな市区町村の窓口に提出する必要があります。
14日間を過ぎてしまった場合は、新たに介護認定審査会を通して要介護度を審査することになるので注意しましょう。
また、受給資格証明書は転居前の市区町村の役所の窓口で交付されるので、忘れずに手続きをしましょう。
住所地特例の申請は以下の手続きが必要です。
住所地特例を申請する際には「住所地特例適用届」が必要です。住所地特例適用届は、市区町村の窓口で受け取れます。
住所地特例適用届に必要事項を記入したら、市区町村へ提出します。住所地特例適用届の提出先は転居する前の市区町村なので注意しましょう。
また、入居した施設に「施設入所連絡票」の作成と送付を依頼しましょう。
市区町村によっては、住所地特例の申請書類の提出日に期限が設けられていることがあるので、住民票を異動する前に市区町村の窓口などで確認しておくのがおすすめです。
入居していた施設から退去する際には、住所地特例の利用を終了する手続きも忘れずにおこないましょう。
必要な手続きは以下です。
住所地特例の利用を終了する際には「住所地特例終了届」が必要です。住所地特例終了届は市区町村の窓口でもらえます。
住所地特例終了届に必要事項を記入したら市区町村へ提出します。住所地特例終了届の提出先は介護保険料を払っている市区町村です。住民票がある市区町村ではないので注意しましょう。
また、入居していた施設に「施設退所連絡票」の作成と送付を依頼しましょう。
施設を退去した後、「地域密着型サービス」の老人ホームやグループホーム、または自宅へ住民票を移した場合は住所地特例は利用できません。入居していた施設から、ほかの住所地特例の対象施設への転居であれば、再び住所地特例の申請をすれば利用できます。
住民票を異動すべきか、異動しないべきか、悩んだらまずはケアマネジャーや施設のスタッフ、市区町村の窓口などの専門家に相談しましょう。
「地域密着型サービス」の老人ホームやグループホームなど、住民票を移さなければ入居できない施設以外は、急いで住所変更をする必要はありません。
施設に入居する際は住民票を異動することが多いですが、住所変更には手間がかかることもあるでしょう。住民票を異動する際のメリットとデメリット、本人や家族の都合などを考え、慎重に決めましょう。
ケアハウスは住所地特例の対象施設です。ケアハウスに入居しても住所地特例を利用できます。
住所地特例の対象施設は「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「ケアハウス」「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院」「養護老人ホーム」です。
ケアハウスへ入居する場合、住民票を移す義務はありません。住民票を移すか移さないかは、住民票を移すことによって生じるメリットやデメリットをふまえて、本人や家族の都合に合わせましょう。
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