長い闘病の末に、延命治療をおこなわずに穏やかな最期を迎えるための施設に「ホスピス・緩和ケア病棟」があります。
ホスピス・緩和ケア病棟では、さまざまなデメリットがあります。例えば、「費用が高額になる場合がある」「30日以上は入院できない場合がある」「延命治療はできない」などです。
しかし、ホスピスのデメリットを解決する手段があります。
この記事では、ホスピスのデメリットについて解説します。また、ほかにもホスピスケアを受けられる場所も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ホスピスに入った際のデメリットは主に以下が挙げられます。
それぞれ詳しく見てみましょう。
ホスピスとは、末期がんなどで死期が近い患者に対して、やすらかな最期を迎えてもらうための治療やケアをおこなう施設のこと。病院でも介護施設でも、どちらも「ホスピス」と呼びます。また、病院内に併設されたホスピスのことを「緩和ケア病棟」と呼びます。
病院内のホスピスである緩和ケア病棟へ入院した際には、費用が高額になる場合があります。緩和ケア病棟では、入院費・食費に加えて差額ベッド代やおむつ代などが追加でかかるためです。
緩和ケア病棟でかかる費用のうち、差額ベッド代やおむつ代などは健康保険の対象外となります。特に1人部屋などの場合にかかる差額ベッド代は、病院によってはとても高額になるケースがあるので注意が必要です。
病院内のホスピスである緩和ケア病棟では、入院が30日を超えると退院を促される場合があります。
現在、緩和ケア病棟は数が少なく、入院したくてもできない人が多くいます。施設は1人でも多くの人を受け入れるため、長期入院を避けている現状があるのです。
また、緩和ケア病棟の入院条件として、滞在期間を30日と設定している施設もあります。期間が30日を超え退院した後には、在宅や通院でホスピスケアを受けられます。
ホスピスケアを受けている人のなかには、痛みが強い、呼吸が苦しいなど症状が重くなったときは緩和ケア病棟へ入院し、症状が落ち着けば退院。その後、在宅や通院でのケアに切り替えるという体制を取っている人もいます。現在は、在宅でのホスピスケアにより最期を自宅で迎える人も増えてきています。
ホスピスとは、病気により死期が近い患者が「人生の終末を穏やかに迎えたい」と考えた際に入る施設です。そのため、ホスピスではがんなどの病気治療を目的にしたり、延命のための治療はできません。
しかし、すべての医療行為を止めるわけではありません。ホスピスでも、レントゲンや血液検査、輸血、点滴など全身状態を維持するために必要な検査や治療は受けられます。
ホスピスでの医療行為はあくまで痛みを軽減するためのもの。病気の回復目的以外の通常の診療は今までと同様に受けられます。
病院内のホスピスである緩和ケア病棟へは、「末期がん」または「エイズ」の人しか入れません。
厚生労働省が発表している緩和ケア病棟の施設基準では、緩和ケア病棟の入院条件のひとつに、「末期の悪性腫瘍患者(がん)、またはエイズ(後天性免疫不全症候群)を患っていること」が挙げられます(※)。つまり、原則として「末期がん」または「エイズ」の人しか緩和ケア病棟に入れないのです。
緩和ケア病棟の施設によっては入院条件を「末期がんの人のみ」または「エイズの人のみ」としている場合があるので、入院を検討する際には病名の指定があるのかを確認しましょう。
介護施設のホスピスでは末期がんまたはエイズ以外の病気でも入れる場合があります。
ホスピス(介護施設)では、入居条件に「末期がん、または難病」としている施設が多いです。難病などの病気の場合には、病院のソーシャルワーカーや都道府県の保健所などの相談窓口で聞いてみましょう。
(※)参考:「基本診療料の施設基準等の一部を改正する件」(厚生労働省)
ホスピスのデメリットを解決する手段もあります。主には以下です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
病院内のホスピスである緩和ケア病棟でかかる費用のうち、健康保険の対象になる費用には「高額療養費制度」が対象になります。
高額療養費制度とは、1日~月末日までの1ヵ月間に支払った医療費の自己負担額が高額になってしまった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた額を国が後から支給する制度のこと。自己負担限度額は年齢や所得によって異なります。
高額療養費は申請しないと支給されません。本人が加入している公的医療保険(健康保険組合・協会けんぽの都道府県支部・市町村国保・後期高齢者医療制度・共済組合など)に、高額療養費の支給申請書を提出することで支給が受けられます。
また、医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、「限度額適用認定証」を提示する方法が便利です。
高額療養費制度によって支給されるのは申告後なので、一時的に大きな金額を出費することになってしまいます。しかし、限度額適用認定証が交付されていれば、医療費を支払う金額を高額療養費制度の上限額までに抑えることが可能です。
病院内のホスピスである緩和ケア病棟では、滞在期間が30日を超えると退院を促される可能性がありますが、介護施設のホスピスは終身利用であり滞在期間の定めはありません。
最近では、ホスピスケアを提供する特別養護老人ホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などが少しずつ増えています。
滞在期間の定めがないのは、安心材料のひとつになりますね。
緩和ケアは、がんなどの病気の治療と並行して受けられるので、「がんの治療を止めるのが不安」という人に向いています。
緩和ケアとは、病気で受ける痛みや、そのほかの苦痛を伴う症状を和らげるケアのこと。ホスピスケアはがんなどの治療を止めた人が受けるのに対し、緩和ケアはがんなどの治療と並行して受けられます。
緩和ケアを受けるのに適した人は、病気や症状に関わらず治療に伴う苦痛を和らげたい人です。がんなどで告知されたばかりの初期症状の人から、症状が進んでしまった人も受けられます。
「治療の痛みを和らげたいが、治療をやめるのは怖い」「がんと宣告されてから日々の治療が辛い」と不安や辛さを感じる人は、ホスピスケアではなく緩和ケアを受けるのがおすすめです。
病院内のホスピスである緩和ケア病棟では、本人の希望と医師の許可があれば退院することも可能です。
緩和ケア病棟は最期の時を過ごすだけでなく、病気の治療による痛みの緩和を目的とした1~2週間の短期入院や、場合によっては抗がん剤治療の合間の療養の場としても利用できます。
また、退院後に再び状態が変化した場合、再入院することも可能です。
ホスピスケアは自宅でも受けられます。自宅で受けるホスピスケアを「在宅ホスピス」と呼びます。
在宅ホスピスとは、患者の自宅や専門の施設でホスピスケアを受けながら生活する方法です。住み慣れた家で家族と一緒に残された時間を過ごせることは、患者にとって一番幸せかもしれません。
在宅ホスピスでは、定期的に医師と看護師が訪問して、ケアや診察をおこないます。専門の施設なら何かあったときにいつでも医師や看護師が駆けつけられるという安心がありますが、自宅の場合でも、家族のサポートを受けながら緊急の時には医師や看護師に対応してもらえます。
もし、自宅で具合が悪くなった場合は病院に入院することも可能です。加えて、自宅で介護をする家族が身体的・精神的負担を感じ、十分な介護ができなくなると判断した場合は、レスパイト入院(一時的な入院)もできます。
ホスピスへ入るタイミングは、本人が希望したタイミングがベストとされています。本人が、がんなどの治療を受ける中で、「最期は自分の好きなように過ごしたい」「苦痛から解放されて家族と心ゆくままに過ごしたい」と思った際に、ホスピスへの入居を検討してみましょう。
ホスピスに入るタイミングは、法律などで明確に規定されているものではありません。そのため、ホスピスに入るタイミングは人それぞれです。
ホスピスに入った際のデメリットは主に「費用が高額になる場合がある」「『末期がん』または『エイズ』の人しか入れない」「30日以上は入院できない」「延命治療はできない」という4点が挙げられます。
病院内のホスピスである緩和ケア病棟では、本人の希望と医師の許可があれば退院することも可能です。また、退院後に再び状態が変化した場合、再入院することも可能です。
ホスピスでは末期がんなどの病気治療を目的にしたり、延命のための治療はできません。緩和ケアならがんなどの病気の治療と平行して受けられるので、「がんの治療を止めるのが不安」という人に向いています。
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