特別養護老人ホームを探しているとき「親が高齢だから最期まで見てほしい。特養では看取りをしてくれるのかな?」と疑問を感じることもあるかもしれません。
そこで、今回は特養での看取りの特徴や内容、病院での看取りとの違いを紹介します。
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特別養護老人ホーム(特養)は、施設によっても異なりますが基本的に看取りが可能です。
「看取り」とは、回復の見込みがない終末期の患者に対して延命治療をおこなわず、自然に亡くなるまでの過程を見守ること。特養などの介護施設では、息を引き取るまでできるだけ身体的・精神的苦痛をやわらげながら、日常ケアを中心におこないます。
特養の看取りでは、死期が近づいている方やその家族に対して下記のような3つのケアがおこなわれます。
身体ケアとは、身体を清潔に保つだけではなく、入所している居室の室内環境を整えたり、体位変換を小まめにおこなうこと。身体的苦痛をできるだけ取り除きながら、快適な環境でその人らしい最期を迎えられるようにお手伝いをします。
入所者は、最期のときが近づくにつれ孤独や不安を感じてしまうことがあります。そこで、施設のスタッフは、毎日のあいさつや何気のない声かけはもちろん、入所者のプライバシーを尊重しながら、できる限りそばにいて話しかけたり、身体に痛みのある部分をさすって痛みと不安を和らげるなどの精神的ケアをおこないます。
聴覚は最後まで残る感覚であると言われており、やさしく声かけすることが入所者の精神的苦痛をやわらげると考えられています。
特養が支援するのは、入所者だけではありません。家族にとって大切な人の最期を見守ることは、大きな不安とストレスになります。時には、自らの体調や精神状態を把握できなくなる家族もいます。そこで施設のスタッフは、家族の意向や気持ちを確認しながら、必要な支援をおこないます。
家族に対するケアの中で最も重要な支援は、入所者の現在の状態や今後の想定をわかりやすく説明することです。家族が現在の状況を落ち着いて受け止められるように以下のような支援をします。
ここからは、看取りができる特養を選ぶ際のポイントをくわしく解説します。必ず確認しておきましょう。
看取り介護は、特養の施設だけで完結できません。そのため、入所を希望する施設が連携している病院もしくは診療所と24時間いつでも連絡が取りあえる体制にあるのかを必ず確認しておきましょう。
施設の看取り実績から、入所を希望する特養が的確な看取りをおこなえるかどうかを判断しておくことも大切です。さまざまなシチュエーションで的確な処置をおこなってきた経験豊富な施設であれば、安心して看取り介護をお願いできます。
看取り実績を確認するには、施設に過去1年以内の看取り回数を問い合わせるか、連携する病院や診療所の看取り実績を調べると良いでしょう。地域の在宅医療を担う24時間往診や訪問看護をおこなっている診療所は、看取り介護の経験も多い可能性があります。
入所を希望する施設では、入所者の状態記録や生活記録がスタッフ間でどのような形で共有されているのかを必ず確認しておきましょう。
担当者によって態度が変わるなど、施設内の連携が取れていないことで辛い思いをするのは入所者や家族です。施設を見学する機会があるのであれば、実際に働いているスタッフの動きを見ておくと良いでしょう。
看取り介護は、入所者だけでなく家族に対してもおこなわれるものです。家族に対して入所者の現在の状態や今後の想定をわかりやすく説明するなど、適切な精神的ケアをしてもらえることはもちろんですが、家族が最期を迎える入所者のそばで過ごせるかなど、施設が家族の希望に対してどう寄り添い、柔軟な対応をとってもらえるのかを確認しておくことも大切です。
看取り介護の方針は、それぞれの施設によって異なります。施設の方針によっては、入所者とその家族が希望する看取りを実現できない可能性もあります。
看取り介護をおこなう施設を探す際には、まず施設による看取り介護の方針について質問し、入所者やその家族が理想とする看取りに近い方針を採用する施設を選びましょう。
看取り介護アを受けるには、特養などの介護施設に「看取り介護加算(看取り加算)」という介護報酬を支払わなければなりません。
具体的な自己負担額は下記の表のとおりです。
看取り介護加算Ⅰ (1日あたり) | 看取り介護加算Ⅱ (1日あたり) | |
---|---|---|
亡くなる45日前~31日前 | 72円 | 72円 |
亡くなる30日前~4日前 | 144円 | 144円 |
亡くなる前々日、前日 | 680円 | 780円 |
亡くなった日 | 1280円 | 1580円 |
「看取り介護算定Ⅰ」とは、病院などの看護師と24時間連絡できる体制があること、看取り介護の指針を医師や看護師、ケアマネジャーなどが適宜見直すなどの複数の条件をすべて満たした特養が加算できるもの。「看取り介護算定Ⅱ」は「看取り介護算定Ⅰ」の条件に加えて、複数人の医師が配置されている施設が加算できるものです。
医療措置がすぐにできるかできないかという点が、特養と病院の看取り介護の大きな違いです。
看取り介護がおこなえる療養型の病院では、医療措置を含む次のようなケアがおこなわれます。医師が常駐するため、呼吸が停止した際は直ちに死亡が確認されます。
特別養護老人ホーム(特養)では、主に介護士や看護師が次のような看取り介護をおこないます。呼吸が停止したときは、看護師が連携している病院や診療所の医師に速やかに連絡し、そのまま看取ります。
特養では、施設によって看取りが可能ですが、施設が掲げる看取り方針はそれぞれ異なります。看取りを希望する場合は特に施設選びが重要です。看取りの有無はもちろん、希望する内容の看取りがおこなわれるかなどを確認しましょう。
特養でおこなわれる看取り介護では、入所者に対する身体的・精神的苦痛を取り除く日常的な身体ケアや精神的ケアはもちろんのこと、大切な人の最期を見守る家族に対する精神的ケアもおこなわれます。
ターミナルケアでは、終末期を迎えた患者に対し、点滴や酸素吸入など症状や痛みを和らげる医療をおこないます。一方で、看取り介護では医療行為はおこなわず、日常生活に基づくケアによって身体的・精神的な苦痛を和らげることを目的としています。
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