「グループホームで最期まで看取ってもらえるの?」「グループホームでの看取りで気をつけることはある?」といった疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、グループホームでの看取りケアについて解説し、グループホームで看取りをするメリットや注意点などを紹介します。
Contents
回復の見込みがない方に対し、無理な延命治療などはおこなわず、自然に亡くなるまでの過程を見守ることを「看取り」と言います。
高齢化の進展に伴い人生の最期を過ごす「終の住処」として、看取りケアに取り組むグループホームが増えています。
ただし、看取りケアをおこなっていないグループホームもあるため、施設を選ぶ際には確認が必要です。
グループホームに看取りが求められるようになった背景には、以下のような理由があります。
グループホームに看取りが求められるようになった背景には、高齢化の進行に伴い医療ケアを必要とする入居者が増えたことが挙げられます。
元気なうちにグループホームに入居しても、認知症の進行や身体状況の変化によって、胃ろうなどの経管栄養やたん吸引、カテーテルなどの医療ケアが必要となるケースもあります。
医療ケアが必要となっても慣れ親しんだグループホームでの生活を継続し、施設で最期を迎えたいという入居者や家族の希望に対応するため、看取りケアに取り組むグループホームが増えているのです。
グループホームは医療の提供を目的とした施設ではないため、医療依存度が高まると医療機関へ入院するケースが一般的です。
しかし認知症患者は、入院すると環境の変化に対応できず、不安や混乱が続くこともあり、治療を継続できない場合があります。
そのため、入院環境に適応できない利用者が可能な限りグループホームで生活を続けられるように、提携する医療機関や訪問看護ステーションと連携して、医療ケアの提供から看取りケアまで対応する施設が増えているのです。
無理な延命治療を望まず、自然な形で最期を迎えたいと考える利用者本人や家族が増えてきたことも要因のひとつです。
グループホームでは、入居時に本人や家族から最期の時をどのように迎えたいと考えているのかを確認します。
ただし、入居するグループホームによって、看取りケアの方針や体制に違いがあるため、すべての要望に応えられるわけではありません。
入居を検討する際には、看取りができるグループホームであるか、また看取りケアをおこなっている場合には、施設の方針や内容、これまでの実績などを確認する必要があります。
グループホームで看取りをおこなうことで、本人や家族が得られるメリットは以下の2つです。
1つ目のメリットは、環境を変えずに看取りケアを受けられることです。
認知症の方は、環境や人の変化に対応することが苦手です。大規模な施設や病院では、スタッフや入居者の入れ替わりが多いため、不安や混乱を起こしてしまう可能性があります。
グループホームで看取りケアを受けることができれば、環境を変える必要がないため、慣れ親しんだ環境で穏やかに最期のときを過ごすことができます。
また、グループホームは少人数制で人の入れ替わりも少ないため、精神的な安定を保てることもメリットと言えるでしょう。
グループホームは少人数制のため、入居者とスタッフの距離が近く、一人ひとりの状態に合ったきめ細やかなケアが受けられることもメリットです。
これまでの生活習慣やこだわりなど、利用者のことをよく理解しているスタッフから支援が受けられるため、安心感を得られます。
また、グループホームは家族と施設の関係性も近いため、不安や悩みを相談しやすく、細やかな要望が伝わりやすい点もメリットです。
グループホームにおける看取りの大まかな流れは、以下の通りです。
グループホームに入居する際には、施設の理念や看取りケアの方針、対応可能なケアの範囲などについて詳しく説明してもらえるでしょう。
家族側も、本人と家族がどのような看取りケアを受けたいのか、施設への要望や終末期が近づいた際の考えを伝え、疑問点などがあれば施設側へ確認しましょう。
ポイント)施設の看取りケアの実績はホームページやパンフレットには記載されていないことが多いため、施設側に確認が必要です。
看取りケアの実績が多いグループホームは、看取りに関する知識や経験豊富なスタッフが多いため、安心して大切な家族のケアを任せられるでしょう。
グループホームの環境やスタッフに慣れてくると、看取りケアに対する考え方や意向が変わる可能性もあります。
本人と意思疎通が図れるうちに、もう一度、看取りケアの希望や意向に変化がないか、話を聞いておきましょう。本人の意志がある程度明確にあれば、家族は終末期の方向性を固めることができます。
また、家族の気持ちが揺らいだ時にも本人の意思を尊重できるため、看取りに際しての家族の迷いや後悔を最小限に抑えることができるでしょう。
また、施設側とも本人と家族で話し合った内容を共有し、いざというときに備えて連携できる体制を整えておくことも大切です。
精神的・身体的に不安定で、改善が見込めず全身の機能が低下して衰弱した状態となります。その要因は、急な病気や転倒などの事故、食事を受け付けない、体重減少など人それぞれです。
終末期の判断は医師がおこない、現在の状況や今後予想される経過について説明してもらえるでしょう。
また、看取り直前の時期になると、心身の状態に合わせてケアプランの見直しをおこなうため、ケアマネジャーを中心に、医師や施設スタッフ、提携する医療機関、家族などの関係者が集まり、今後の方向性について話し合います。
施設や医療機関からは、今後を予測した具体的なケア方法の提案や、対応できるケアの範囲などの説明がおこなわれます。家族からも、受けたい支援の内容や意向のほか「最期の時は立ち会いたい」といった要望も伝えましょう。
看取りケアの方向性が固まると、看取りケアの同意書やケアマネジャーが作成したターミナルケアプランにサインをします。
精神的・身体的に不安定な状態が継続し、回復が見込めない時期です。
「眠っている時間が長くなる」「反応が少なくなる」「食事や水分がほとんど摂れなくなる」といった状況が訪れます。できるだけ本人のそばにいて声掛けやスキンシップを図りましょう。
施設側は、病状や心身の状況を詳細に家族に伝え、できるだけ最期に家族と過ごせるように配慮してくれます。施設によっては、入居者と同じ居室に泊まれたり、施設内に家族が宿泊可能な部屋を備えていたりする場合もあります。
多くのグループホームでは、臨終の場面に医師が立ち会うことはほとんどありません。家族や施設スタッフで最期を看取ります。
医師が死亡を確認した後は、希望すれば家族も一緒にエンゼルケア(身体を清める、化粧をする、着替えるなど)ができる場合もあります。
グループホームにおける看取りの注意点は2つあります。
すべてのグループホームが看取りに対応しているわけではありません。
医療機関との連携が難しいグループホームや、小規模なグループホームでは看取りに十分な体制が取れないため、看取りに対応していない場合があります。
そのようなグループホームでは、介護が重度化したり、医療ケアが必要な状態となったら、医療機関へ搬送したり、あるいは看取りケアに対応する別の介護施設への転居を促されたりするのが一般的です。
最後まで生活環境を変えたくないと思う方は、施設を探す際に、看取り対応をおこなうグループホームや、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームなど看取りケアに積極的な施設を選択すると良いでしょう。
グループホームは、医療体制が十分に整っていない場合がほとんどです。法律でも医師や看護師の配置は義務付けられていません。
そのため、多くのグループホームでは、医療体制を整えるため、以下のような対応を取っています。
看取りケアを希望するにあたり、施設の医療サービスの充実度は気になるところです。グループホームの医療体制は、施設ごとに異なるため事前に確認しておきましょう。
グループホームで看取りケアを希望する場合には、本人と家族で看取りについて話し合い、親族内で方針を決めておきましょう。
看取りに関する話は、家族であってもなかなか話題にしにくい内容ですが、グループホームへの入居をきっかけにして、本人や家族間で話し合う時間を持ちましょう。
認知症によって本人の意向が聞き取れない場合でも、家族の間で介護の方針を決めておけば、その後のトラブルを回避できる可能性があります。
また、家族だけで方針を決められない場合には、施設側と相談しながら考えることも可能です。
グループホームで看取りをおこなうことは可能です。ただし、すべてのグループホームが看取りに対応しているわけではありません。看取りを希望する方は、施設選びの際に、看取りに対応したグループホームを選択しましょう。
住み慣れた環境の中でケアを受けられます。また、少人数体制で入居者とスタッフの距離が近いため、一人ひとりの状態に合わせたきめ細やかなケアが受けられることもメリットです。
グループホームには、医師や看護師が常駐していないことがほとんどです。そのため、医療体制が十分に整っていない可能性があります。
多くのグループホームでは、医療ケアに対応するため、提携する医療機関の医師や訪問看護ステーションと連携して必要な医療体制を整えています。
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