在宅での介護生活で、訪問看護を利用している方も多いでしょう。その中には、利用者本人が認知症で、将来的にはグループホームなど認知症ケアが受けられる施設への入居を考えている方もいるのでは?
本人の健康管理のためにも、「認知症ケアが受けられる」「看護ケアも受けられる」という介護サービスを利用するのが理想でしょう。
グループホームでは看護ケアを受けられるの?施設に看護師が常駐していなくても、訪問看護なら利用できるのでは?そんなふうに考えている方に、ぜひ読んで欲しい記事です。
本記事では、グループホームで訪問看護を利用できる条件や対象者などをご紹介します。
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グループホームで訪問看護は利用可能ですが、介護保険の対象ではなく、医療保険を使って利用することになります。その場合、訪問看護を利用できる対象者は限定的で、対象者以外は訪問看護は利用できない、ということになります。
それでは、どういう人がグループホームで訪問看護を利用できるのか、詳しく見ていきましょう。
グループホームで訪問看護を受けられる対象者は以下の通りです。
医療保険で訪問看護を受けるためには、主治医から「特別訪問看護指示書」の交付が必要です。ただし、指示書の交付は急性憎悪や癌末期など特別な場合に限られます。また、指示書の指示期間は原則として月1回、14日以内と決まっています。
厚生労働大臣が定める疾病を持つ方も医療保険で訪問看護が利用できます。
厚生労働大臣が定める疾病とは、以下の19種類の疾病と1つの状態を指します。
訪問看護ステーションと契約しているグループホームに入居する場合は、介護保険で訪問看護が利用できます。
訪問看護にかかる費用は、グループホームの月額費用に「医療連携体制加算」を加算し、利用者が負担します。(訪問看護ステーションにはグループホームが委託費用を支払います)
以下は、医療連携体制加算の算定科目と算定要件です。
医療連携体制加算(Ⅰ-イ)57単位/日
■事業所の職員として看護師を常勤換算で1名以上配置していること。
■事業所の職員である看護師、または病院、診療所、訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
■重度化した場合の対応に係る指針を定め、入居の際に、利用者又はその家族等に対して、当該指針の内容を説明し、同意を得ていること。医療連携体制加算(Ⅰ-ロ)47単位/日
■事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置していること。
■事業所の職員である看護師、または病院、診療所、訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
■重度化した場合の対応に係る指針を定め、入居の際に、利用者又はその家族等に対して、当該指針の内容を説明し、同意を得ていること。
医療連携体制加算(Ⅰ-ハ)37単位/日
■事業所の職員として、または病院、診療所、訪問看護ステーションとの連携により、看護師を1名以上確保していること。
■事業所の職員である看護師、または病院、診療所、訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
■重度化した場合の対応に係る指針を定め、入居の際に、利用者又はその家族等に対して、当該指針の内容を説明し、同意を得ていること。
医療連携体制加算(Ⅱ)5単位/日
■医療連携体制加算(Ⅰ)のいずれかを算定していること。
■直近3ヵ月において次のいずれかの状態の入居者が1名以上いること。
・喀痰吸引を実施している。
・警備胃管や胃ろうなどの経腸栄養がおこなわれている。
・呼吸障害により人工呼吸器を使用している。
・中心静脈注射を実施している。
・人工腎臓を実施している。
・重篤な心機能障害、呼吸障害などにより常時モニター測定を実施している。
・人工膀胱または人工肛門を実施している。
・褥瘡に対する治療を実施している。
・気管切開がおこなわれている。
・留置カテーテルを使用している。
・インスリン注射を実施している。
例えば、医療連携体制加算(Ⅰ-イ)(1単位=10円・1割負担の場合)では、1ヵ月(30日)で、1,710円を負担します。
ここからは、認知症ケアと看護ケアを同時に受けられる介護施設を紹介します。
介護付き有料老人ホームは「特定施設」の指定を受けているため、介護保険で訪問看護は利用できません。
ただし、人員基準として看護師の配置が法律で義務付けられているため、施設の看護師が入居者へ医療サービスを提供します。受けられる医療サービスは服薬管理や、血圧・体温測定など毎日の健康管理や処置などが中心です。
また、多くの介護付き有料老人ホームでは認知症の方を受け入れ、認知症ケアをおこなっています。ただし、受け入れる認知症のレベルは施設によって異なります。
介護付き有料老人ホームでは、24時間体制で医師や看護師が常駐していなくてはいけないという義務はありません。多くの場合、夜間に急なことがあれば、看護師が連絡を受けて出勤するオンコール対応をしています。
しかし、一部には、常駐の医師を配置し、看護師も夜勤をおこなうなど24時間体制で手厚い医療サービスを提供する有料老人ホームもあります。
基準以上の人員体制を整えている施設は安心感がありますが、その分の費用は高くなる傾向です。
住宅型有料老人ホームは、施設によって看護師が配置されていない場合があります。看護師が配置されていない施設では、外部の訪問看護ステーションと入居者(もしくは家族)が契約を結ぶことで、訪問看護を利用できる場合があります。
入居中に日常的な医療ケアが必要となっても、訪問看護を利用することでたんの吸引や経管栄養(胃ろうなど)、床ずれ・褥瘡の処置などの医療行為が受けられます。
看護師が配置されていない場合でも、訪問看護で適切なケアを受けながら施設生活が継続できる可能性があります。
住宅型有料老人ホームは「特定施設」の指定を受けていないため、看護師の配置基準も特に決まっていません。そのため、施設内で受けることができる医療ケアの範囲は施設ごとに差があります。また、多くの住宅型有料老人ホームは、軽度者を対象としているため、入居中に身体状態や認知症が重度化した場合には退去を求められる可能性があります。
サービス付き高齢者向け住宅とは、介護の必要がない比較的元気な高齢者向けの民間賃貸住宅のことです。
「サ高住」と略称で呼ばれることが多く、入居者に提供されるサービスは、法律で義務付けられている「安否確認」と「生活相談サービス」のみです。
日中は介護・看護職員などの施設スタッフが対応しますが、夜間は施設スタッフが常駐していない住宅も多くあります。
医療ケアや認知症、看取りに対応しているところは比較的少ない傾向です。
サービス付き高齢者向け住宅で、介護保険を利用してサービスを受けたい場合には、外部の介護サービス事業所に依頼する必要があります。訪問看護を利用したい場合も入居者(もしくは家族)が外部の訪問看護ステーションと契約を結ぶことで、利用可能です。
特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の方が入居できる公的な介護保険施設です。受けられるサービスは、食事や入浴、排せつなどの介助や、掃除、洗濯などの生活支援、健康相談・服薬管理などの医療サービス、アクティビティなど。認知症や看取りにも対応し、終身にわたって利用可能です。ただし、看護師を夜間に配置する義務はないため、24時間の医療ケアが必要な方は入居できません。
特養には医師の配置が義務付けられています。ただし、常勤で配置されているわけではありません。特養の医師の主な業務は、入居者の健康管理や療養上の指導です。軽度な治療は施設内でおこなうところもありますが、多くの場合、入居者の体調が悪化すれば、病院へ搬送して治療をおこないます。
原則として、グループホームでは訪問看護は利用できません。その理由は、グループホームが“身体的には元気な認知症の方”を入居対象としているからです。
ただし、例外として「主治医から特別訪問看護指示書を交付されている方」「厚生労働大臣が定める疾病がある方」は訪問看護を利用することができます。
介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームなど、看護師が常駐している施設であれば、施設スタッフにおって看護ケアを受けられますし、また認知症ケアにも長けた介護スタッフがいることが多いです。
一方で住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅には看護師の常駐は義務付けられていないため、別途、訪問看護ステーションと契約することで看護ケアを受けることになります。
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