「グループホームの入居条件を知りたい」だけでなく、「入居を断られることもあるの?」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、グループホームでは入居を断られることがあります。
では、どんな場合にグループホームへの入居を断られるのでしょうか?また、そもそもグループホームの入居条件はどのように設定されているのでしょうか?
この記事では、グループホームの入居条件をはじめとして、入居を断られるケースや、他の施設との入居条件の違いなどについて詳しく解説していきます。
グループホームに入居するには、以下のように5つの入居条件があります。以下で詳しく見ていきましょう。
まず1つ目の入居条件は、原則として年齢が65歳以上であることです。ただし「若年性認知症」の診断を受けた40歳~64歳の方は、入居可能です。
若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症のことで、原因となる疾患には「脳血管性認知症」「アルツハイマー型認知症」「前頭側頭型認知症」「アルコール性認知症」などがあげられます。
65歳未満であっても、若年性認知症の診断を受けている方は、グループホームの入居条件を満たしています。
グループホームの入居条件の2つ目は、要支援2以上の介護認定を受けていることです。
グループホームは介護保険適用のサービスを提供する施設です。そのため、要介護認定を受けていない方は入居できません。
要介護認定を受けるには、お住まいの自治体の介護保険担当窓口や地域包括支援センターで介護保険制度の申請が必要です。
申請すると、聞き取り調査や主治医意見書などをもとに、介護の必要性に応じて「要支援1~2」「要介護1~5」の7段階に分けて認定を受けます。グループホームへの入居条件は要支援2以上となるため、要支援1の方は入居できません。
グループホームの入居条件の3つ目は、医師から認知症の診断を受けていることです。
グループホームは「認知症対応型共同生活介護」とも呼ばれ、その名の通り認知症の入居者が共同生活を送る施設です。そのため、医師から認知症の診断を受けた方が対象となります。認知症と診断されていない方が「物忘れがあるから」という理由だけでは入居できません。
認知症の診断を受けるには、以下の診療科を受診すると良いでしょう。
かかりつけ医のいる方は、まずはそちらに相談し、上記の専門医へ紹介状を書いてもらうとスムーズです。
4つ目の入居条件は、グループホームと同じ市区町村に住民票があることです。
グループホームは地域密着型サービスのため、利用できるのは施設と同じ地域に住む方に限られます。
地域密着型サービスとは、高齢者が要介護状態となっても住み慣れた地域での生活が続けられることを目的としている介護サービスです。
サービスを提供する事業者の指定や監督を市区町村がおこなうため、地域に密着した身近で細やかなサービスが受けられることが特徴です。
ただし特例として、グループホームが所在する市区町村が同意すれば、他の市区町村に住む方も利用できる場合があります。
5つ目の入居条件は、施設での共同生活に支障がないことです。
グループホームは、5〜9人の認知症高齢者が、施設スタッフの援助のもとで共同生活を送ります。そのため、暴言や暴力行為など、他の入居者やスタッフの安全を保証できないような症状がある方は共同生活が難しいと判断されるため入居できません。
精神科などで薬の調整などをおこなって、症状を落ち着かせてから入居を検討しましょう。
次に、グループホームへの入居が断られるケースを紹介します。
代表的なのは以下のケースです。
他の入居者や職員に対して暴言を吐いたり、暴力を振るったりする行為がある場合は、共同生活を送ることが難しいと判断され、入居を断られるケースがあります。
ただし、このような行為は認知症が原因の場合もあるため、入居を申し込む前に精神科などへ相談することをおすすめします。薬の調整をおこなうことで症状が緩和し、グループホームに入居できる可能性があります。
ただし、グループホームによっては、認知症による暴言・暴力行為の程度によって受け入れ可能な場合もあります。心配な症状のある方は、事前に施設側へ相談すると良いでしょう。
感染症に罹っている方は、他の入居者の安全面への配慮から入居を断られる可能性があります。高齢者が感染症にかかると、重症化するリスクが高いためです。
たとえば、インフルエンザや新型コロナウイルス、ノロウイルス感染症、結核などに罹っている場合は、集団感染の恐れがあるため、症状が落ち着き、完治しなければ入居できません。
また、グループホームによっては、C型肝炎やHIVウィルス、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの感染症を持つ方の入居を断るケースもありますので、入居を検討する際には施設側へ確認が必要です。
歩行介助や食事介助など身体的な介護が常に必要な状態の方は、入居を断られるケースがあります。
グループホームは、施設職員の支援のもと共同で家事などを分担し、自立した生活を送る施設です。そのため、あくまで職員の業務は生活援助がメインです。
常に身体介護が必要な状態の方は共同生活を送ることが難しいと判断され、入居を断られる場合があります。
身体的な介護を必要とする方は、介護・医療体制が充実した介護付き有料老人ホームへの入居を検討すると良いでしょう。
グループホームの利用料を支払えなくなる可能性が高い方や、保証人を立てられない方も、入居を断られるケースがあります。
グループホームでは、入居前の面談で資産や収入の確認がおこなわれます。また万が一、入居者が利用料を滞納した場合には、保証人が本人に代わって支払う義務を負います。
グループホームの料金の支払いに不安のある方は、ケアハウスや特別養護老人ホームなどの公的施設への入居を検討すると良いでしょう。公的施設では、入居一時金が必要なく、月々の費用も安く抑えられています。
また、グループホームは生活保護を受給されている方も入居可能です。ただし、施設ごとに条件が異なるため、確認が必要です。
以下の表は、グループホームと他施設との入居条件の違いについて比較したものです。
老人ホームの種類 | 要介護度 | 年齢 | 認知症の診断 | 住民票 |
---|---|---|---|---|
グループホーム | 要支援2 要介護1~5 | 65歳以上 | 必須 | 同一市町村 |
介護付き有料老人ホーム | 自立 要支援1~2 要介護1~5 | 65歳以上 | 必須ではない (受入可) | 条件なし *地域密着型介護付有料老人ホームでは 同一市区町村の住民票が必要 |
住宅型有料老人ホーム | 自立 要支援1~2 要介護1~5 | 60歳以上 | 必須ではない (受入は応相談) | 条件なし |
サービス付き高齢者向け住宅 | 自立 要支援1~2 要介護1~5 *一般型・介護型による | 60歳以上 | 必須ではない (受入は応相談) | 条件なし |
特別養護老人ホーム | 要介護3~5 | 65歳以上 | 必須ではない (受入可) | 条件なし *地域密着型特別養護老人ホームでは 同一市区町村の住民票が必要 |
介護老人保健施設 | 要介護1~5 | 65歳以上 | 必須ではない (受入可) | 条件なし |
介護医療院 | 要介護1~5 | 65歳以上 | 必須ではない (受入可) | 条件なし |
ケアハウス | 自立 要支援1~2 要介護1~5 *一般型・介護型による | 60歳以上 | 必須ではない (受入可) | 条件なし |
上記の通り、グループホームは認知症ケアに特化した施設であるため、入居するには認知症の診断が必須です。また、地域密着型サービスのため、施設と同じ市区町村に住民票があることも入居条件であることがわかります。
グループホームの入居条件は次の5つです。「原則65歳以上」「要支援2以上」「医師から認知症の診断を受けている」「グループホームの所在地と同じ市区町村に住んでいる」「グループホームでの共同生活に支障がない」。64歳以下でも入居できるなど例外もあるので、詳しくは担当のケアマネジャーに確認してみましょう。
グループホームに入れない人にも条件があります。それが、次の4つ。「暴言・暴力を振るう」「感染症に罹っている」「身体的な介護が常に必要」「将来的に料金が支払えない可能性がある」です。施設での共同生活に支障をきたす可能性がある人は、入居を断られるケースがあります。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などとグループホームとで、決定的に異なる入居条件は、「認知症の有無」と「住民票の所在地」です。この2点においてグループホームに入居できない、という方は、有料老人ホームやサ高住への入居を検討してみても良いでしょう。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。