グループホームは、自宅で過ごすことが難しくなった認知症の高齢者の方が、専門スタッフのサポートを受けながら共同生活をおこなう施設です。自立した日常生活を送れるよう支援するグループホームでは、生活能力を高めるためのリハビリが欠かせません。
しかし、実際の様子はあまり知られていないため、「どんなリハビリを受けられるの?」「リハビリはどれくらいの頻度でおこなわれている?」など疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、グループホームで実際に受けられるリハビリの種類や具体的な内容をご紹介。リハビリの目的や、リハビリ時のポイントなどをご紹介します。
グループホームでのリハビリは、入居者同士で掃除や洗濯などを分担し、適切な介助を受けながら日常生活にリハビリを取り入れる「生活リハビリ」が中心です。
自宅に近い環境で、介護スタッフの補助を受けながら、各自の能力に応じて家事の一部を担当します。
QOL(Quality of Life)を維持しながら、自立した日常生活を送れるように導くことが、グループホームでのリハビリの目的です。
自分でできることを増やして自分に自信を持たせたり、適度な刺激で認知症の進行を遅らせる効果も期待できます。
グループホームには、リハビリの頻度などを定める規定はありません。そのため、創作活動や体操、散歩などのリハビリの頻度は施設ごとに異なります。
食事の準備や掃除、入浴などを見守りながら介助する「生活リハビリ」は、日常生活のすべてがリハビリであるため、頻度は高いと言えるでしょう。
グループホームでは、日常生活に根差したリハビリが中心になるので、認知症の専門知識を持った介護スタッフのサポートが必須です。
介護スタッフは、入居者3人に対し1人以上の配置が義務付けられており、深夜帯には、1ユニット(5~9人)に常時1人以上の勤務が定められています。この人員で、日中の買い物や調理、夜間のトイレ移動などをサポートします。
グループホームには、作業療法士や理学療法士などのリハビリ専門職の配置義務がありません。そのため、介護スタッフがリハビリを担当するホームが多いのですが、なかには外部の理学療法士からアドバイスを受けたリハビリメニューを提供しているホームもあります。
生活能力の向上に加え、認知症の進行防止を目的としたグループホームでのリハビリですが、具体的にはどんな種類のリハビリが提供されているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
適切な介助を受けながら洗濯、食事の準備などの家事をこなしたり、折り紙、描画などの作業を行うリハビリです。手順を考えたり、指先を動かすことで脳に刺激を与え、認知症の進行を抑えることができます。
「自分でできる」という自信に繋がり、BPSD(行動心理症状=ストレスや不安が原因で起こる意欲減退や暴力行為などの症状)の予防にもなります。
ボール運動やラジオ体操、散歩など、身体を動かすリハビリです。身体機能の維持、向上による動作改善や転倒予防が期待できます。
また、脳への血流促進による認知症の進行予防の効果があります。スタッフのサポートを受けながらの散歩や買い物は、気分転換やストレス発散になるだけでなく、地域社会との関わりを持つ機会にもなります。
写真や映像を見て昔の出来事を再体験したり、自分の過去を人に話すことで脳に刺激を与えるリハビリです。同世代の入居者同士で体験を共有し仲を深めたり、自分の歴史を振り返り自信を取り戻すなどの効果もあります。
他人とのコミュニケーションは脳を活性化させ、気持ちを安定させてくれるので、BPSDの軽減も期待できます。
音楽療法には、受動的音楽療法と能動的音楽療法の2種類があります。
受動的音楽療法は、音楽を聴くことでリラックスし、イライラをやわらげることができます。どなたでも楽しく取り入れることができる手軽なリハビリです。童謡などの懐かしい音楽を聴くことで、昔の自分を思い出し脳に刺激を与える効果もあります。
能動的音楽療法は、皆で音楽に合わせて歌ったり身体を動かしたりすることで、孤独感や疎外感を取り除き心を落ちつかせてくれます。
どちらも、楽しむことでストレスの軽減や脳の活性化、感情や表情の変化が期待できます。
五感を刺激して脳を活性化させる療法です。足湯やホットパックによる温かみの体感や、珍しいお菓子を味わう味覚の体感、花の香りをかぐ嗅覚の体感など、感覚を刺激することで脳の活性化を図ります。
比較的自由なグループホームの生活では、多くの認知刺激療法を体験することができます。
日常の中にリハビリを取り入れながら、自分らしく暮らすことができるグループホームですが、「リハビリを定める規定がない」「専門のスタッフがいない」などのデメリットもあります。
ここでは、入居を検討する際に知っておきたい注意点を紹介します。
認知症の方が、できる限り自宅に近い環境で日常生活を送れるように補助することが目的のグループホーム。リハビリ専門スタッフや看護師の設置義務がなく、医学的なリハビリテーションを受けることができるホームは限られています。
また、入居者3人に対し介護スタッフを1人以上配置することが義務付けられているのですが、大幅に増員しているホームは少なく、個人の能力に合わせた個別リハビリの実施は難しいのが現状です。
そのため、グループホームでのリハビリは、日常生活を介助する生活リハビリに加え、介護スタッフによる体操や散歩などの集団リハビリテーションが主になります。
認知症の方が少人数(最大9名)でグループを組み、役割分担をしつつ協力し合って共同生活を送るのがグループホームです。集団生活が可能な方たちが対象になっているため、介護度の高い方はリハビリを受けることが難しい場合もあります。
与えられた作業ができないことが自信喪失、意欲低下に繋がる可能性もあり、注意が必要です。
グループホームは施設での介護にあたるので、居宅サービスである訪問リハビリを、介護保険制度を使用して受けることはできません。医師が個別のリハビリが必要だと判断した場合には、医療保険制度を利用して外部のサービスを受けることができます。
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