地震や台風、大雨など毎年のように大きな災害に見舞われる災害大国である日本。しかし、高齢者に対する災害時の対応が十分ではないのが実情です。
そうした対策につなげるために、福島県立医科大学が東日本大震災や福島第一原発の事故によって比年を余儀なくされた高齢者を対象に健康状態の調査を実施。その結果、震災による低栄養状態を予防するためには、運動習慣を維持することが重要である可能性があるそうです。
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福島県立医科大学は、震災に遭った高齢者が震災後に低栄養状態になったり「やせ」状態になった原因について調査をしました。
この調査がおこなわれた背景には、2011年の東日本大震災と福島第一原発の事故の避難住民のなかで、生活の変化による健康への影響が問題になったためです。
具体的には、ストレスの増加や身体活動量の減少によって、肥満やメタボリックシンドロームの増加も報告されていたそう。一方で、体重が減少したり栄養状態の悪くなった人も一定数おり、要介護状態の前段階であるフレイルのリスクが高まっていると考えられました。
そのため、今回は震災前から福島第一原子力発電所の近くに住んでいた60歳以上の約1万3000人を対象に、低栄養について調査をおこないました。
その結果、低栄養傾向にある人は震災後に一時的に減少しているものの、女性は震災後に少しずつ増加。直近の3年間では震災前よりも高い割合になったそうです。
また、震災後に新たに低栄養傾向になる要因として挙げられたのは「運動習慣が不十分」「生活習慣病がある」「手術歴があること」など。こうしたことから、研究グループは平時から運動習慣を持つことで震災後の低栄養傾向を予防できる可能性がある、としています。
震災時は多くの人が生活環境が変わり、健康面でも影響を受けます。なかでも高齢者は、心身ともにより注意が必要です。
というのも、避難所での生活ではおにぎりやパン、カップ麺などの配給が多く、そのなかには高齢者には食べにくいものもあるため。例えば、ぱさぱさしたパンや冷えたおにぎりは、飲み込む力の衰えた人にとっては食べにくく、それが原因で低栄養状態になることもあり得るのです。
いったん体調を崩してしまうと、若い世代よりも回復に時間がかかるのも高齢者の特徴。災害時は誰もが大変な状況ですが、影響を受けやすい人に適切な支援が受けられるような体制を平時から整備することが求められています。
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