新たな研究で、人体の関節軟骨の成分である「グルコサミン」を習慣的に摂取すると、脳梗塞などが原因で発症する血管性認知症の発症リスクが低下する可能性が示されました。
この研究は中国の南方医科大学の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Alzheimer’s Research & Therapy」という学術誌に掲載されています。
研究グループは今回、イギリスの大規模データベースである「英国バイオバンク」に登録されている、60歳以上の高齢者21万4945人を対象に調査をおこないました。事前調査によると、このうち5万2893人が習慣的にグルコサミンのサプリメントを摂取していることがわかりました。
その後、研究グループは平均して12年にわたって追跡調査を実施。この期間中に認知症になった人は、グルコサミンを日常的に摂取しなかったグループで2935人、日常的に摂取していたグループで842人いました。
研究グループが調査データを統計的に解析した結果、グルコサミンを習慣的に摂取していた人はそうでない人に比べて、脳梗塞などが原因で発症する「血管性認知症」の発症リスクを抑えられる可能性が示されました。また、カルシウムの補給を平行しておこなっていた人では、その傾向がより顕著にみられることもわかりました。
一方、前頭側頭型認知症や認知症患者の半分以上を占めるアルツハイマー型認知症とグルコサミンの摂取との間には相関性がみられなかったことも判明しました。
以上の結果を踏まえ、研究グループは「高齢者の習慣的なグルコサミン摂取は血管性認知症のリスクを下げる可能性が明らかになった。今後、ほかの研究でも同様の結果が示されれば、高齢者に対して継続的にグルコサミンを投与することで血管性認知症の発症を予防できるようになるかもしれない」と述べています。
グルコサミンは食品で摂取しにくい成分のひとつ。関節の摩耗を抑える効果も期待できるため、気になる方はサプリメントを試してみても良いかもしれませんね。
参考:「高齢者集団におけるグルコサミンの習慣的使用、APOE遺伝子型、原因特異的認知症の発症リスク」
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