新たな研究で、生活を楽しんでいる意識が高い人は、そうでない人に比べて認知症の発症リスクが低い可能性が示されました。
この研究は、順天堂大学大学院の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「The journals of gerontology」という学術誌に掲載されています。
近年、人生の目的など人生全般におけるポジティブな心理的機能を指す「心理的ウェルビーイング」という概念が注目されています。
これまで、心理的ウェルビーイングとさまざまな慢性疾患との関連性を報告した研究はされてきましたが、認知症との関連性はまだほとんど検討されていない状況でした。
そこで今回、研究グループは中年期の男女を対象にした調査データをもとに、「生活を楽しんでいる意識」と認知症との関連性を調べることにしたのです。
研究グループは、1990年時点で秋田県横手、長野県佐久、茨城県水戸、高知県中央東、沖縄県中部の5保健所(呼称2019年現在)管内に住んでいた約3万9000人を対象におこなわれた調査データをもとに、「生活を楽しんでいる意識」と認知症との関連性を調べました。
研究グループが調査データを解析したところ、生活を楽しんでいる意識が高い人は、生活を楽しんでいる意識が低い人よりも、認知症の発症リスクが32%低いことが判明。また、生活を楽しんでいる意識が中程度の人も、意識が低い人より25%認知症リスクが低いことが明らかになりました。
さらに、自覚的ストレスが与える影響についても調べるため、対象者を「自覚的ストレスが少ない、もしくはふつう」と回答したグループと「自覚的ストレスが多い」と回答したグループにわけて分析。その結果、「自覚的ストレスが少ない、もしくはふつう」と回答したグループでは、生活を楽しんでいる意識がある人ほど認知症リスクが低いことがわかりました。
以上の研究結果を踏まえ、研究グループは「本成果は、ストレスをうまくコントロールしながら生活を楽しんでいる意識を持つことが、認知症の発症予防に重要だということを強調するものだ。ただし、認知症を予防するための具体的な行動を特定するためには、さらなる研究が必要だ」と述べています。
「今の生活に楽しみがない」という要介護認定を受けている高齢者には、レクリエーションがよくおこなわれているデイサービスを利用するというのもひとつの選択肢。ケアマネジャーに相談してみても良いかもしれませんね。
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