災害大国であると同時に、長寿大国でもある日本。そこで、介護施設などでは災害時に高齢者を守るための対策がおこなわれています。
今月7日におこなわれたのは、大分県にある養護老人ホームでの避難訓練。大分県では昨年度から土砂災害警戒区域などにある介護施設へ防災の専門家を派遣して、防災訓練を実施しています。
今年度は、この施設以外にも県内の9ヵ所の介護施設でも避難訓練がおこなわれるそうです。
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今月7日、大分県日田市の養護老人ホーム「日田延寿寮」で、入居者や職員など約80人が避難訓練をおこないました。
この訓練は、大雨警戒レベル3「高齢者等避難」が出されたという想定で実施。職員は無線で連絡を取り合いながら、車いすを利用している入居者を1階から2階に垂直避難させました。
垂直避難とは、浸水や土砂災害などの際に建物の高い階に移動する避難方法のこと。台風などの場合、避難所に移動するために外に出たことで被災して亡くなるケースもあるため、同じ建物内で避難することが良い状況もあるのです。
大分県では、土砂災害警戒区域の介護施設に防災の専門家を派遣し、一緒に避難訓練をおこなう取り組みを実施。今年度は、この施設以外にも、津波浸水想定区域などにある9つの介護施設でも同様の避難訓練が実施される予定です。
災害大国の日本ですが、高齢者の避難に関してはまだまだ多くの課題があります。
例えば、2020年の熊本豪雨では、熊本県内の死亡者65人のうち約7割が70歳以上の高齢者。「避難行動要支援者名簿」にも名前がなく、一人ひとりの個別避難計画がない例が多数でした。
「避難行動要支援者名簿」とは、災害対策基本法で地方自治体が作成することを義務付けられているもの。災害時に自力での避難が難しい高齢者や障がい者などを登録することで、地域の消防や警察、民生委員などと共有することを目的としています。
この名簿に登録された情報をもとに、それぞれの身体状況などを考慮した避難行動計画が個別避難計画。しかし、避難行動要支援者名簿への登録が進まないために関係機関が災害弱者の把握ができないという問題が起こっています。
また、高齢者が自宅で生活をしている場合、避難所までの経路を自分で把握することが重要。「長距離を自力で歩けるのか」「坂や階段は通れるのか」まで考えていないと、いざという時に避難所に移動できない可能性もあるのです。
さらに、高齢者の事前の災害対策としては、避難行動要支援者名簿への登録に加えて、持病の薬の確認も必要。普段から数日分の薬を持っておくことと、お薬手帳の写しも防災セットの中に入れておくと良いかもしれませんね。
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