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新たな研究で、糖尿病の人はそうでない人に比べて、腰痛を引き起こす可能性が高いことがわかりました。 この研究はイランのタブリーズ医科大学によっておこなわれ、研究結果はアメリカの科学雑誌に掲載されています。 糖尿病の人は腰痛など筋骨格系の痛みが現れる場合が多い 今回の研究では、317人の糖尿病患者を対象に腰痛の頻度を3ヵ月間隔で調査。すると、半数以上の63%の人が腰痛を経験していることがわかりました。 また、オーストラリアのシドニー大学の研究でも、糖尿病の症状がある人はそうでない人に比べて腰痛のリスクが35%高く、首の痛みのリスクは24%高いことが明らかになっています。 シドニー大学骨関節研究所のマヌエラ フェレイラ氏は「腰痛や、首や背中の痛みなどに悩まされている糖尿病の人は多いことが示されています」と指摘しました。また、「糖尿病を治療することで、腰痛の発生を減らすことができたり、その逆に腰痛を防ぐことで、糖尿病の治療も改善することが期待されます」としています。 糖尿病の人が腰痛になる理由 糖尿病の人が発症する腰痛は、主に以下があります。 糖尿病性神経障害(神経障害性疼痛) 感染症脊椎炎 肥満による腰への負担 そもそも糖尿病の原因は、体質などの遺伝的な要因と、運動不足や肥満などの生活習慣が組み合わさることです。 糖尿病の原因のひとつである肥満は、上半身が重くなり、腰に負担がかかります。また、糖尿病によって血流が悪くなることも腰痛の原因と考えられます。 糖尿病の人が発症する糖尿病性神経障害の主な症状は手足のしびれや痛みですが、糖尿病性神経障害が原因で腰痛を引き起こすこともあります。糖尿病性神経障害は、糖尿病と診断されてから10年ほど経過した糖尿病患者の約半数の人に症状が出るといわれています。 別の研究では、体重を減らすことで糖尿病を改善できるという結果も。普段のエレベーターの使用を階段にしたり、ウォーキングをしたりなど、普段の生活の中でできることから運動する習慣をつけるのが良いかもしれませんね。
2024/02/01
新たな研究で、質の良い睡眠が取れている人は、そうでない人に比べて血糖値が下がりやすい傾向にあることがわかりました。 この研究は、アメリカのカリフォルニア大学によっておこなわれ、その研究結果は「Cell Reports Medicine」という医学誌に掲載されています。 質の良い睡眠が血糖値を下げる 今回、カリフォルニア大学の研究グループは、600人の参加者の睡眠データを分析。睡眠時に現れる脳波と血糖値の関係を調べました。 その結果、ノンレム睡眠(深い睡眠)のときにみられる、睡眠紡錘波と徐波と呼ばれる2種類の脳波の組み合わせが、糖の代謝を促すインスリンの働きに関与していることが判明。これらの2つの脳波が体内の副交感神経を優位にし、血液からブドウ糖を吸収するように細胞に指示を出して、血糖値の上昇を防いでいるとみられています。 つまり、より深く眠れている人は、そうでない人に比べて血糖値が下がりやすい可能性が示されたのです。 今回の結果について、カリフォルニア大学で神経科学を研究しているマシュー・ウォーカー氏は「夜の深い睡眠で得られる脳波がインスリンの働きに影響を与え、結果的に血糖値を改善するのに役立っていることがわかった」と述べています。 睡眠を改善する方法とは 年を重ねるにしたがって、寝つきが悪くなったと感じる人もいるのではないでしょうか? 一般的に、人が高齢になると、睡眠と関係が深いホルモンの分泌能力が衰える傾向にあります。加えて、社会活動量も減少することで必要とする睡眠量そのものが減り、結果的に夜中に何度も覚醒するような浅い眠りになっていくと考えられています。 では、どうすれば眠りの質を改善することができるのでしょうか? 睡眠障害を研究しているアメリカのピッツバーグ大学によると、以下のような対策が睡眠の質の改善に有効だとしています。 毎日同じ時間に起きて同じ時間に眠る 夜遅い時間に食事をしない エアコンを利用するなどして、室温を調節する ウォーキングなどの運動を1日30分程度おこなう 起床後すぐにカーテンを開けて日の光を浴びる 夜に自然と眠くなるためには、日中は活発に過ごすことが重要です。夢中になれる趣味を見つけてみると良いかもしれませんね。 参考:「New research finds deep-sleep brain waves predict blood sugar control」(Berkeley news) 参考:「年をとるにつれて増える睡眠の悩み。高齢者の不眠の原因と3つの改善法」(NHK)
2023/08/02
新たな研究で、1日の食事の大半を午後1時までに済ますことで、糖尿病を発症するリスクが抑えられる可能性が示されました。 この研究はアメリカのニューヨーク大学によっておこなわれ、その研究結果は、2023年6月15日に開催された米国内分泌学会で発表されました。 糖尿病予備軍を対象に調査を実施 今回の研究は、肥満で血糖値が基準値よりも上回っている「糖尿病予備軍」の10人を対象に実施。対象者を2グループに分け、1グループは1日の摂取エネルギー量の80%を午後1時までに摂取してもらい、もう1グループには、午後4時以降に1日の摂取エネルギー量の半分を摂取するという通常に近い食生活を送ってもらいました。 それぞれのグループの対象者に、以上のような生活を1週間継続してもらったあと、今度は逆のグループの食事パターンに切り替えて追加で1週間過ごしてもらいました。 昼までにまとめて食事をした方が糖尿病になりにくい 2週間にわたる調査の結果、1日の摂取エネルギー量の80%を午後1時までに摂取してもらったときのほうが、血糖値が基準値を超える時間が減少し、変動も緩やかになったことが明らかになりました。また、この結果は体重の変化にかかわらず認められたそうです。 今回の研究をリードしたニューヨーク大学のジョアンナ・ブルーノ氏は「別の研究でも、1日のエネルギーの大半を昼までに取るほうが、摂取エネルギーを制限しなくても体重が減りやすいことがわかっている。摂取エネルギーを考えなくても体重や血糖値に良い影響を与えやすいこの方法は、ほかの食事療法よりも続けやすく、糖尿病予防に役立つ可能性がある」と述べました。 一方、ワシントンDCにある体重・ウェルネスセンターのスコット・カハン氏は「今回、報告された結果は、就寝前の食事を避けたほうが良いという考え方をより強固にするものと言える。ただし、午後1時以降の食事を最小限に抑えるのは、ほとんどの人にとって難しいのではないか」と指摘しました。 会食などの機会が多い人は、昼までにほとんどの食事を取り終えるのは難しいと言えるでしょう。そんな人は、代わりに間食を減らしたりウォーキングなどの運動を取り入れたりすると良いかもしれませんね。
2023/07/07
新たな研究で、世界中の糖尿病患者が2021年時点で5億2900万人に上ることが明らかになりました。 この研究は、アメリカのワシントン大学保健指標評価研究所の研究グループがビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を得ておこないました。その研究結果は「THE LANSET」という学術誌にオンライン掲載されています。 世界の5億人以上が糖尿病 今回、研究グループは、世界中で横断的におこなわれている大規模研究「Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study」のデータを使用して調査を実施。204の国と地域でどの程度糖尿病を患っている人がいるかどうかを調べた結果、世界の6.1%を占める5億2900万人が糖尿病を患いながら生きていることが判明しました。 糖尿病を患っている人の割合を示す有病率は、どの国でもおおむね65歳以上になると大きく増加。特に、75~79歳の平均有病率は24.4%と、およそ4人に1人の割合で糖尿病を患っていることが明らかになったのです。 研究グループは、生活習慣の見直しなどの対策をしなければ糖尿病有病者の数はこれからも増加し続けると指摘。試算によると、今後30年で、糖尿病患者の人数が現状の2倍以上である13億人に達すると考えられています。 糖尿病について 糖尿病には、糖の代謝を促すインスリンを分泌する細胞が壊れて発症する1型糖尿病と、生活習慣が大きく発症に関わる2型糖尿病があり、糖尿病患者のうち96%が2型糖尿病だと言われています。 糖尿病に関する情報発信などをおこなっている日本医療・健康情報研究所によると、以下のような要因が糖尿病のリスクになるそうです。 肥満 運動不足、身体活動の低下 栄養が偏った不健康な食事 アルコールの飲み過ぎ 大きなストレスがかかる職場環境 逆に考えると、糖尿病を防ぐためには適度に運動をしたり栄養バランスの取れた食事をしたりと、生活習慣を見直すことが有効であると言えるでしょう。 エスカレーターではなく階段を使うなど、できることから生活習慣を改善してみると良いかもしれませんね。 参考:「1990年から2021年までの糖尿病の世界的、地域的、国家的負担と2050年までの有病率の予測:世界疾病負担調査2021のための系統的分析」(THE LANSET)
2023/06/30
新たな研究で、ウォーキングなどの運動をすることで、脳内における糖の代謝を促すインスリンの値が改善し、認知機能も向上することが判明しました。 この研究は、ドイツ糖尿病研究センターによって発表されたものです。 インスリンと認知機能の関係 インスリンには、血糖を下げる働きがあります。運動不足などが原因で、筋肉や臓器、脂肪などでインスリンが効きにくい状態が続くと、やがて糖尿病になるのです。このインスリンが効きにくい状態のことを「インスリン抵抗性」と呼びます。 脳のインスリン抵抗性を放置していると、認知症の原因物質が脳内に溜まり、認知機能が衰え、やがてアルツハイマー型認知症の原因になるとも考えられています。 研究の内容 では、脳のインスリン抵抗性を改善すると、認知機能にどう影響があるのでしょうか? それを検証したのが今回の研究です。 研究グループは、21~59歳の肥満傾向にある男女21人を対象に、持久力を鍛えるトレーニングに8週間取り組んでもらうという試験を実施。肥満や運動不足だとインスリンが効きにくくなることがわかっているため、肥満傾向がある人が研究対象となったのです。 今回の研究では、トレーニングの前後にはMRIと呼ばれる装置を使って、脳のインスリン抵抗性を調べました。 すると、運動することで、脳内のインスリンの働きが標準体重の人と同じくらいまで改善されたことが明らかになったのです。また、脳内のインスリンの働きが良くなったことで、代謝も改善され、内臓脂肪も減少しました。 テュービンゲン大学糖尿病・代謝疾患研究所のステファニー・クルマン氏は今回の研究について次のように述べています。「今回の研究で、わずか8週間の運動でもそれに取り組むことで、肥満で悪化した脳内のインスリンの働きが回復することが示されました」 今後、研究グループは、運動によって脳内のインスリンのはたらきが改善することで認知機能の向上につながるかどうかについて、さらなる研究を進めたいとしています。
2022/12/09
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